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(短編集)
トータル・リコール ディック短篇傑作選2
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トータル・リコール ディック短篇傑作選2の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全25件 1~20 1/2ページ
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Philip K. Dickの短編集。 トータルリコールはもちろんのこと、どれも読みごたえのある作品ばかりで著者の着想の深さを感じさせる作品集。 トータルリコールは1990年の映画版とはだいぶ雰囲気が違い、映画版のようなアクションや派手な演出がないプロット重視の作品となっている。 私が映画版を見たことがないマイノリティリポートも本原作とは大きく違うようだが、Philip K. Dickらしいパラドックスを取り入れた面白い作品である。 Philip K. Dickの作品には、戦争、人の定義、ディストピアなどのダークなテーマが含まれていることが多く、物語のラストに予想外の結末を持ってくるなどの共通した特徴があるが、それぞれの作品ごとにユニークなストーリーラインや世界観がある。 電気羊や高い城を含め、出版から60年近く経った今でも十分に通用するこれだけ完成度の高い作品群を書いたPhilip K. Dickが、歴史に名を残すSF界の伝説であることは間違いない。 | ||||
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何人かの方が指摘している通り、kindle版の表紙は映画の広告の帯が付いた状態でした。 私が購入したとき(2021年ごろ)は、映画広告がついていました。 それがいつの間にか(多分、ここ半年以内)、映画広告の帯がなくなっていました。 ※買い直した訳ではなく、ダウンロード済みのものが自動的にアップデートされていました。 補足: 上記では単に「表紙」としましたが、kindleのデスクトップに表示しているアイコンとしての表紙と アイコンクリック後、1ページ目として表示される画像は異なります。 「トータル・リコール」は今は両方とも紙の本の表紙と同じ画像ですが、他のディック作品では 「ザップ・ガン」「聖なる侵入」は1ページ目の方は表紙画像ではなく、 文字表記のタイトル、著者名と紙面中央やや下に早川書房の h のロゴがあるデザインです。 これらも表紙画像と同じ画像に差し替えて欲しいところです。 | ||||
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やはりディック | ||||
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本書はフィリップ・K・ディック短編傑作集ですが、有名なところではトータル・リコール、そしてマイノリティ・レポートが掲載されています。もちろんこれらの有名な話も面白いですが、私はむしろそれ以外の短編を堪能しました。 ネタバレになりますので深く書きませんが、「地球防衛軍」「訪問者」は立場の逆転という視点を、「世界をわが手に」はいまでいうシミュレーション仮説につながる話です。「ミスター・スペースシップ」はBMI(ブレイン・マシン・インターフェース)、「フード・メーカー」は、デジタル監視社会といった形で、むしろ2023年に読むほうが、リアリティを増しているという作品もあると思います。私は個人的に「世界をわが手に」が特に印象に残りました。この短編の中で、世界球という玩具を作っている会社の社長が、「人々は倫理観だけでは動かないんだよ、そうではなく・・・・」というシーンがあり、これは現代のSDGsへの大いなる警句だと思いました。つまり「サステナブル」「持続可能な社会」と倫理だけに訴えていても、一部の人は従うがマジョリティは動かないだろう、ということを想起させるわけです。SFのストーリー展開が卓越しているだけでなく人間心理を深くついた作品集だと思います。 | ||||
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寺沢分一先生の名作・コブラの第1話冒頭部分で、ディックのトータル・リコール(旧名・追憶売ります)がオマージュされているため、大本を読みたくて購入しました。 映画やコブラとはまったく違って、地球内で完結して火星や宇宙に行くことすらないです。 ディックの小説 → コブラ(漫画)→ トータル・リコール(映画) とオマージュされているようですね。 | ||||
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映画トータルリコールはシュワルツネカガー主演の方が印象深い。只楽しめば良いが、夢か現実かが気になる。ネット等の説明も「どちらともとれるが、全て夢だった可能性大」との解説が多い。原作では著者の描きたかった狙いが分る。勿論、原作は短編、映画は話も変更し膨らませているが、双方夢か現実かは最後まで分からない。が、原作では真実は最後の一行で明らかとなる。偶然にも作られた記憶と一致点が多いが「全ては現実で彼は英雄だった」と。勿論、映画は小説とは別作品で監督の変更は自由で真意は不明。が、小説の最大のヤマは最後の約1P、特に最後の一行。よって、監督の映画化決定もこの部分に驚き感動したに相違ない。 | ||||
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社会風刺の効いた、ディックの短編集はどれもこれも面白すぎる。地球防衛軍、では地下で暮らす人類はひたすら、地上での核戦争を終わるの待ち続けるが、実際は、星新一のショートショートのような、おちが待っていたり。とにかく、楽しすぎるのだ。 | ||||
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一つ一つの話に道理や真理のようなものが感じられます。独特な後味を感じる短編作品群。 | ||||
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著者の作品は、ずっとハヤカワSFの他作品と表紙のデザインが違うのが気になっていたが、 この本で初めて読んでみた。 表題作のトータルリコール、別で収録されているマイノリティーリポートともに大作映画のイメージが強かったので、「原作はこんなに短い短編(30Pくらい)だったんだ〜」という印象。もしやディックさんって海外版の星新一? トータルリコールは記憶の書き換えという設定自体に目新しさはないが、最後の終わり方が印象的。 最後にくすっと笑わせてくる所に勝手にアナーキズムを感じる。 そういえば表紙のデザインといい、著者の名前、顔写真といい、ロックな感じの作家だな〜 好きかは分かれそうだが、短いので気になっている人はとりあえず読んでみれば良いと思う。 自分は好きだった。 | ||||
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いずれも傑作ぞろいのディック短篇集でした。「不世出の天才が遺した十の短篇 」という大森望氏のあとがきの言葉が全てを言い表しているようです。 ①トータル・リコール・・・映画 (シュワルツェネッガー主演 及び コリン・ファレル主演) とはかなり違った展開だが、この原作のプロットの巧妙さとスピード感、サスペンスあふれる筆致は数あるディックの短篇の中でも群を抜いており、何度も映画化されるのもうなずける。ただし何度映画化されても、そのまま真似をしたのでは原作を越えるのが難しいからか、映画ではそれぞれ映像作品ならではの特色あるストーリーやガジェットを加味して観客を楽しませるように作られているようだ。 ②出口はどこかへの入り口・・・一介のセールスマンであるバイブルマンが、ハンバーガー屋さんでのくじ引きで大当たりを引いて名門大学へ進学するという話。出だしからブッ飛んだ展開だが、学内で仲良くなった美人女子学生メアリーと過ごす学生生活での出来事もブッ飛んでおり、またどこかユーモラスで、最後のオチには思わず「うーん、そうだったのか!」と感嘆してしまった。 ③地球防衛軍・・・地上は米ソの核戦争で汚染され荒廃したので、人間は8年前から地下深くで暮らすようになり、地上では米ソ双方のロボットによる代理戦争がずっと続いている。人間は地上の戦況を映像でしか確認できない。定期的に地下へ戦況報告に降りてくるロボットの報告に疑問を抱いた人間の軍首脳部はある日、汚染されているはずの地上に上がろうとするのだが・・・。ヒューマニティーあふれるラストには感動させられた。 ④訪問者・・・全面核戦争から3世紀を経た遠未来。人間をふくめた地上の生物たちは放射能汚染への耐性を獲得し独自の進化をとげていた。真正の人間は、全面戦争勃発時、地下に逃れた少数の人々だけ。そしていま真正人間は仲間の真正人間を求めて防御服に身をかため汚染された地上を捜索している。彼らが捜索の果てに出会ったのは・・・。衝撃のラストに込められた逆転の発想が鮮やかだ。 ⑤世界をわが手に・・・人間の持つ破壊衝動に対するひとつの解釈か。ディックお得意の不健全なドラッグノベルっぽいストーリー。ラストに救いがありカタルシスが味わえる。 ⑥ミスター・スペースシップ・・・宇宙船に人間の脳を移植するというアイデア自体はありふれているが、古来、戦争に明け暮れ、今はプロキシマ・ケンタウリ星人と戦争状態にある戦争好きな人類の一員 (ひと組のカップル) を、そんな閉塞状態から救い出すために脳移植宇宙船が活躍するのが秀逸。しかも、脳を提供したのは主人公クレイマーの大学時代の恩師である偏屈で個性的な老学者であるところが素晴らしかった。 ⑦非O・・・いま流行りのサイコパスが主人公。非О(オブジェクト)思考を信奉するサイコパス軍団が、地球を、銀河を、そして宇宙全体の覆滅を画策するのだが・・・。サイコパス軍団が破壊に使う爆弾の名前が、出てくるたびに大笑い。水爆を越えるC爆 (コバルト爆弾)、さらには地爆 (地球を破壊する)、金爆 (金星破壊・ゴールデンボンバーかい?)、太爆 (太陽破壊!)、銀爆 (銀河系破壊!!)、宇爆 (宇宙破壊!!!)。狂気のサイコパス軍団の恐るべき野望がどこまで成就するかは読んでのお楽しみ。 ⑧フード・メーカー・・・・・・フード (頭環) はテレパスから心を読まれないための防具。新人類テレパス VS 旧人類の戦いと一言で言ってしまえば、ヴァン・ヴォークトの傑作「スラン」と似たシチュエーションだが、ラストに大きなどんでん返しが待っている。 ⑨吊されたよそ者・・・主人公ロイスは車での通勤途上、通りの真ん中にある小さな緑地帯に立つ街灯に死体が吊るされているところを発見して愕然とする。だが周囲を歩く人々も警察さえもその光景を不思議とも何とも思っていない。ディックの作品にはよくある現実崩壊のシチュエーション。追い詰められたロイスは隣町まで命からがら逃げ延びてその町の警察に救いを求めるのだが・・・。SFホラーの佳作。 ⑩マイノリティ・リポート・・・トム・クルーズ主演の映画で有名な作品。全体のストーリーが映画とはかなり異なっているものの、原作のストーリーテリングの冴えはディック短篇の中でもおそらく屈指ではないか。10ページも読まないうちに謎めいた出来事が起こり、さらに中年太りの主人公アンダートンが、若くて美しい妻リサとイケメンの青年ウィットワーとの仲を疑いだすに及んで、アンダートンに取っていったい誰が敵で誰が味方なのか分からなくなる。謎が新たな謎をよび、ハラハラドキドキのし通しで、ページをめくる手が止まらなくなってしまう。怒涛のSFサスペンス。 | ||||
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トータル・リコールは仮想現実の世界で記憶を植え付けられる主人公を描いたSF小説だ。 アーノルド・シュワルツェネッガー版では火星を舞台にしていたが、こちらは地球を舞台にしている。 最後、主人公が見ていたのは夢だったのか?それとも現実だったのか? PSVRが人気の現代に於いて、仮想現実の世界は身近なものとなっている。 ディックの未来の予見性に驚く。 | ||||
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普段、あまりSF作品を読まないのは、私の凡人脳ではついていけない発想で、読んでる途中で理解不能になってしまうから・・・ 本作も、10年くらい前に読んでいたなら、おそらくん何を言っているのか突拍子もなさすぎて読了できたか、自信がない。 現在、人間の頭脳がAIにかなわないとか、バーチャルリアリティが身近になり仮想現実体験ができたり、防犯カメラや携帯カメラで、事件事故の映像が見られたり、人間型ロボットが生活に入ってきたり、自動車の自動運転課されたり、はたまた 国が集団的自衛権・特定秘密保護法・情報監査委員会というような事象が、源氏に語られることが多くなったが故、ようやく本作品群も、ピンっとくるようになり、作者の先進すぎる発想に、恐れ入る。 デイックの作品初めて読むので、各作品、どういう内容を扱い、そういう結末を迎えるかが想像できないので、1度読みでは、深くは理解できず、2読目で、ようやく納得できる感じです。じょれからこんな世界になるのでしょうかね・・? | ||||
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10篇を収録した中短編集ですが、はっきり言って出来不出来の差が激しいと思います。 表題作の「トータル・リコール」と「吊るされたよそ者」以外は退屈で、読むのがしんどかったです。 2度の映画化で有名な「トータル・リコール」は、ある意味映画よりはるかに恐い真相に仰天しました。 こんなに素晴らしいオチがあるのに、脚本家はバカですね。 「吊るされたよそ者」は、ミステリファンに是非とも読んでいただきたい傑作です。 主人公は、街灯からぶら下がっている黒い物体を見つけます。 それは人間の死体でした。 ところが…… 一応SFですが、極めて論理的に解明されるオチが秀逸です。 ミステリとしてもっと高く評価されるべき作品だと思います。 ※レビューに「Amazonで購入」の文字が表示されていませんが、「注文履歴」で購入したことを確認済みです。 | ||||
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とにかく面白いです。 ぐいぐいと引き込まれていき、想像外の事柄も多く、一気に読みました。 | ||||
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全体的に読みやすい。翻訳がこなれているからだろう。古い作品なのだがどれも古さを感じさせない。元のアイデアが良いからだ。個人的に印象に残ったのは、「出口はどこかへの入口」「地球防衛軍」「訪問者」「世界をわが手に」の4作品。人の良心を試されているかのようなもの作品が多い。 以下、個別作品の感想。 ◎トータル・リコール 同名の映画の原作。主に映画の前半部分が本編である。この作品では記憶を取り戻した後のストーリーが異なる。淡々とした感じではあるが、しっかりとしていて面白い。昔のSFだなと感じるのは、記憶媒体にテープを使っていること。火星に人類が行ける時代になれば、テープは一般的な記憶媒体ではなくなってると思う。 ◎出口はどこかへの入口 素直に楽しめた。サイバーパンクではないブレードランナー(『アンドロイドは電気羊の夢をみるか』ではない)の世界観に近いかもしれない。人を試す展開がたまらない。 ◎地球防衛軍 読み始めて戦争の目的に疑問を持った。戦争によって地表が放射能で汚染され、人類は地下で生活するようになり、戦争は完全にロボット兵士が続行するようになった。ある日、地表から放射能汚染されていないロボットが見つかった。それをきっかけに人類が動く。地球を守ったのは誰だろうか、地球を破壊しようとしたのは誰なのか、考えさせる作品だ。 ◎訪問者 人間は地球を破壊しなければ気がすまないのかと思わせる作品だ。ただ破壊しても生き物はしぶとく生き残る。それがかつて人類と呼ばれていた種だとしても。また破壊しても新天地を求める行動を人類はするだろう。フロンティアを求める行動と言えば聞こえはいいが、新たに破壊するものを探しているだけかもしれない。懲りないなあ、人類は。 ◎世界をわが手に 多元宇宙論が元ネタだと思われる。人々が盆栽を育てるように宇宙を育てる機械を持っている世界。人々はまるで神のように宇宙を育て、破壊する。やはり天罰がくだるよね。 ◎ミスター・スペースシップ 膠着状態になっている戦争を打開するために人間の脳をコンピュータ代わりに宇宙船に載せるプロジェクトが実行された。ネタバレになってしまうが、ノアの方舟のような話だ。いい話だと思う。 ◎非(ナル)0 すべてのモノ(オブジェクト)を破壊することが論理的だというのはあまり理解できなかった。非0はストートレックのバルカン人と似たような考えを持つ人々だと自分は考えたが、バルカンがすべてを破壊する行動に出るとは思えないので、あくまでも作者の思考実験と思うことにした。 ◎フード・メーカー 先の展開ができるようにしたある程度見えてしまったので、特筆するのものはない。 ◎吊るされたよそ者 電車の車内で気持ち悪そうにしている人などに手を差し出した方がいいかなと思うときがあるが、何もしないで通りすぎることがある。この話を読んで、もしかするとエイリアンに試されているのかも知れないと考えたら何もしないのが正解となる。冷たい世の中というが、もしかしたら我々はすでにエイリアンの支配下にあるのかもしれない。 ◎マイノリティ・リポート 未来予知ができるようになり、犯罪者を事を起こす前に逮捕できるようになった。一見、素晴らしいように思えるが、使いようによっては人を陥れることもできる。アイデアとして面白く、ストーリー展開もテンポがいいので読みやすい。まあ、未来予知ができなくても、今の政治家は政敵を嵌めるために何でも工作するからなあ。現代の方がよっぽどマイノリティ・レポートを必要としているのかもしれない。 | ||||
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人間もどきなもの(ロボット・アンドロイド・擬態生物・宇宙人などなど)に対する恐怖感を描いた作品の多いデッィクですが、本作収録の「地球防衛軍」のエンディングは、ロボットの存在を単なる恐怖の対象とは違った視点で描いており、こんなディックもあるのかと少し驚きです。 「地球防衛軍」のアイデアは、その後長編「最後から2番目の真実」に採用されていますが、個人的にはこの短編の方が好みです。 一方、人間もどきなものへの恐怖感をストレートに描いた「吊されたよそ者」は、初期のデッィクらしいサスペンスフルな内容で素直に面白い作品だといえます。 アクションSF映画「トータルリコ-ル(シュワルツネッガー版)」は、いろいろなアイデア満載でシュワルツネッガー作品としてなかなか楽しめるものでしたが、映画が原作から取り入れているのは前半のイメージだけです。 原作は、自分の知らない自分自身が明らかになっていくにつれ、徐々にユーモラスな展開をたどります。 同じく映画化された「マイノリティ・リポート」も映画とは随分違った展開ですが、原作の持つイメージの方が圧倒的に魅力的です。 特に3人の予知能力者(プレコグ)の描かれ方にディックらしさがでています。 大きな頭に萎えた体。45歳のプレコグは10歳の子どもにしか見えないほど成長が遅れている。予知能力がほかのすべての成長を吸収してしまうのです。ぶつぶつとつぶやき、まどろみ生き続ける彼らを見ると、誰もが心やましさと倫理的なショックが入り交じった気持ちになってしまう。 この3人が導き出す予言には微妙な違いがあるため、統計学を応用し、3人のうち2人が一致した答えを出せば、かなりの確率で間違った答えに到達することはないと言える。このとき採用されない報告が、この作品のタイトルであるマイノリティ・リポート(少数報告)なのです。 この「マイノリティ・リポート」の展開は非常にテンポが早く、もう少しじっくり描いて長編化しても良い作品になったのではないかとも思いますが、ディック短編作品の中ではA級作品であることは間違いありません。 大森望編集のディック短編傑作選では、新潮文庫から出版されたディック短編集から多くの作品を採用している点がありがたいです。早川から過去に出版された作品集は大体読んでいても新潮文庫版は未読のものが多い、という方にはお勧めできる作品選シリーズだと思います。 | ||||
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書名とマイノリティリポートという映画化された作品を中心に楽しみました。映画との違いを考えながら読み進めるのは、結構楽しいものでした。 それ以外の作品もおもしろかったです。 ご一読あれ。 | ||||
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SFというのはじつに反体制的な分野なのだなあとこの一冊で深い感慨に浸ることができる。 「トータル・リコール」でみられるような縦横無尽な自由なSF的発想は小気味よく、 未来世界を舞台に反戦と人道を問い直す「地球防衛軍」「訪問者」「ミスター・スペースシップ」 全世界が敵にまわったような孤独と自己存在のあやふやさを浮き彫りにする如何にも精神分裂病的な「吊るされたよそ者」「マイノリティリポート」 新人類の台頭する未来を舞台に、ふつうに生きふつうに暮らす人間を賛美する「フードメーカー」「非0」 など、作品としてはバラエティに富み、さまざまなアイデアにあふれながら、 しかしその根底に通じるのはディックの持ち味、反体制と人間愛であり、すべての作品がひとつの方向性にまとまっている。 一篇の無駄もない傑作集の名に恥じない短篇集だ。 | ||||
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そのレヴュアーはブックカヴァーが「映画版トータル・リコール(リメイク)」の写真が使われている・一過性の映画を特にコリン・ファレルをカヴァーにするとは何事であるかと憤っておられるが、それは違います。(おまけに★ひとつ、ディック短篇傑作選としての評価と紛らわしいったらない) それは帯です!帯の下はディックの新ラインナップのお揃いのデザインのカヴァーです。 ちゃんと書店で手に取って確かめて欲しい。不確かなレヴューを載せないでください!!! またこの中短編集、既読の作品ばかりである、つまらないというレヴューもありますが、これは仕方ないのです。 ディックの中短編傑作集としては、サンリオSF文庫時代に ジョン・ブラナー編集「ザ・ベスト・オブ・フィリップ・K・ディック」I・II と マーク・ハースト編集「ザ・ベスト・オブ・フィリップ・K・ディック」III・IV(「ゴールデン・マン」改題) の四冊が邦訳されました。 サンリオの撤退の後この四冊はハヤカワ文庫SFに 「ディック傑作選」 1「パーキー・パットの日々」 2「時間飛行士へのささやかな贈り物」 3「ゴールデンマン」 4「まだ人間じゃない」 として引き継がれ長い間ディックの中短編を愛する人々のバイブルでした。 (ハヤカワはその他にも注目すべき中短編作品集「マイノリティ・リポート」「シヴュラの目」も出しています) が、ディック作品の映画化ラッシュ時代が来て同シリーズ所収の 『報酬』が「ペイェック―消された記憶―」として映画化された際 アメリカ本国で編集された「ペイェック ディック作品集」という(日本の読者にはお馴染みな作品ばかりの)傑作短編集になり、あちらのエージェントに押し付けられた早川書房はハヤカワ文庫SFにラインナップしてしまったのです。 しかし作品の重複する中短編集を発行し続ける訳にも行かず早川書房は「ディック傑作選」シリーズを絶版。(3・4は映画「NEXT―ネクスト―」の原作本として生き残りましたがその後絶版) 「アジャストメント」(調整班) 「トータル・リコール」(リメイク版)(追憶売ります) の両映画化を期に「ディック短編傑作選」の『再編』に取り掛かったのです。 まだ三冊しか出ていませんが、今後の充実に期待するしかありません。 浅倉久志氏の不在は痛いですが…。 追記 前述のレヴュアーさんは電子書籍の事を述べておられたんですね。失礼御免(でも気に食わないなら別なショップで買えば解決するんでしょ。やっぱり変だ)。 追記の追記 前述のレヴュアーさんから御丁寧な抗議のコメントがありましたので一部表現を変更しました。しかし電子書籍なのに「表紙」なんて気にするんだ!勉強になるなあ。 | ||||
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トータル・リコールは原作より映画(シュワルツェネッガー版)の方が面白かった。鼻から追跡装置を取り出すなんてのは、映画ならではの見応え感じゃないでしょうか。原作から随分膨らませたと感心。 マイノリティー・レポートは原作の方が映画より楽しめた。映画ではハラハラしすぎて、じっくりと考える余裕が観る側に無かったと感じます。 読んで良かった。 | ||||
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