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(短編集)
壁抜け男の謎
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壁抜け男の謎の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点2.93pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全4件 1~4 1/1ページ
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火村も江神も出てこないノン・シリーズの作品を集めた短編集です。必ずしもミステリばかりではなく、一言でいうと軽めのショートショート風のものが多いでしょうか。掲載された雑誌やアンソロジーも「鮎川哲也読本」「野生時代」から「読売新聞」、「ダ・ヴィンチ」そして井上雅彦氏編集異形コレクション「アート偏愛」など様々で、よって作風もいろいろと違ったものになったのでしょう。 「ガラスの檻の殺人」「壁抜け男の謎」「下り「あさかぜ」」は軽いめのミステリ、 「キンダイチ先生の推理」は金田一耕助オマージュのアンソロジーに収録された子供目線のユーモア・ミステリ、 「彼方にて」はなにやら不条理劇を読むような難解さですが、テーマになっている本をご存知の方は途中で「ああ、これはあれだな。」とわかって膝を打つことでしょう。 「ミタテサツジン」ラストにもうひと捻りしてほしかったなあと感じましたが、横溝正史が好きな人にはたまらない雰囲気だと思います。 「天国と地獄」はショートショート・ミステリ、 「ざっくばらん」は産業スパイに関する軽いミステリ、 「屈辱の形」も心理劇ぽいショートショート的ミステリ、 「猛虎館の惨劇」は阪神タイガースに材を取ったアンソロジー収録ということで、阪神ファンの人には大変うれしい作品でしょう。ここまで阪神色が表に出ていると、陰惨な事件ながら、ほとんどあっけに取られっぱなしで笑いながら読んでしまいました。 「Cの妄想」「迷宮書房」前者はSF的な、後者はどこかパラレルワールドっぽい作品で、発想がユニークでした。 「怪物画趣味」はホラーに近いかも。 「ジージーとの日々」は近未来SF. そして最後の「恋人」は、これはほとんど文学だと思います。直木賞を受賞した小池真理子の「恋」を思い出しました。過ぎ去った高原の夏の思い出が美しいです。 個人的に気に入ったのは、横溝正史色濃厚な「ミタテサツジン」、ここまでやるかとびっくりした阪神愛の「猛虎館の惨劇」、ほのぼの系SFながら、子供の残酷さが強い印象を残す「ジージーとの日々」、そしてなんとも哀切な「恋人」でした。求められる仕事にあわせてこれだけ異なった種類のものを書き分けられる有栖川さんは、基本的にとても器用で文章がうまいと思うのですが、それを再認識させる作品集でした。一度、「恋人」のような密度の高い文学的作品も書いてほしいと思いました。 | ||||
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有栖川氏の比較的短い様々な媒体に連載された作品を集めた編集版。ゆえに内容は非ミステリーものなどバラバラだが、氏の様々な側面が一気に堪能できるという点でお得な一冊。各編はかなり短いのだが、それでも本格ミステリーとしての面白さは外していないのが凄い。気楽に読める作品集に仕上がっている。 | ||||
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バラエティに富んだ内容の短編、超短編集。 なかなか面白い作品もあれば、理解不能な作品もある。 「壁抜け男の謎」「キンダイチ先生の推理」「迷宮書房」は、短編の利点を活かした素晴らしいトリック。 | ||||
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有栖川がこれまでに発表したシリーズ外の短篇、掌編などを集めたもの。「ジュリエットの悲鳴」に構成が似ている。こういうのは中身が得てして既読のアンソロジ収録作とかぶることが多いが、たまたまなのか冒頭の1作のみ該当しただけだった(これはさすがにネタを覚えていた)のでラッキーといえよう。 軽妙な超ショートショートから、ほんものの鮎川作品かと一見みまがうアリバイトリックもの(作風ほかが鮎川風なだけであって、トリックはとてもそうだとは言えませんが…)やら、バリエーションに富んでいて読んでいて楽しい。 読んだ直後ですが、個人的なお気に入りは「ジージーとの日々」かなあ。冒頭からしばらくSF的な取扱いだが、終盤までくると本格ミステリな香りがしてきて、そして結末は・・・ちょっと感動です。そんな絶妙なプログラミングもすごいが、ともかく冒頭が、古田足日著「ロボットカミイ」みたいなつくりで一気に引き込まれたというのが大きいですね。 | ||||
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