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リトル・シスター
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リトル・シスターの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.79pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全29件 1~20 1/2ページ
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皆さん(訳者も、著者すらも)感じているように、本作のプロットは破茶滅茶で、最後まで読んでも、誰がなんの目的で誰を殺したのかがはっきりしません。 元々、本格ミステリーから入った私は、ハードボイルドに踏み入った最初の頃は、この伏線を張ってそれを最後に探偵が回収する、という展開を見せない構成に戸惑いました。 本格ものは、原則として論理的に謎を解明し、それ以外の可能性はない、という唯一の結論に達します。 しかし、ハードボイルドでは必ずしも、というかほとんどの作品において、そのお約束は守られず、探偵が提示したものが真実、となります。 そうした構成にもようやく慣れていたところだったんですが、本作は、さらにそれの上をゆく、探偵が提示した真実に登場人物たちも「?」となっているふしさえあります。 チャンドラーの作品は「プレイバック」以外をすべて読みましたが、本作が現時点でワーストですね。 チャンドラーは、他の長編作品も短編を組み合わせて作っているらしいですが、本作はその接合に失敗したのかも知れません。 新人賞に応募しても、一次通過すら怪しいです。 プレイバックに期待です。 | ||||
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次から次へと新しい登場人物と展開に付いていけない。たしかに最後まで読んでも殺したのは誰か、はっきりしない(チャンドラーあるある?)が、マーロウのかっこいい台詞や、情景描写の言葉の手触りを楽しむ本なのかも。 | ||||
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いろんなミステリサスペンスの奥行きのハードルの基準になった作品だと思う 依頼主のキャラクターがいい いろんな風に発展させられそう マーロウ失神しすぎて、よろめきすぎ やりまん美人だらけハーレムなのに、マーロウやばすぎて誰とも寝られず もてもてだけれど、こういうバランスのとり方もあるのか アメドラのクリフハンガーは、こういうのから発展したのかと感慨深い それにしてもアメリカの豊かさにはため息がでる | ||||
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若き村上春樹に多大な影響を与えたと推察されます。 「大いなる眠り」、「さらば愛しき女たち」のマーロウにいささか欲求不満でしたが、やっと出会えました。 | ||||
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チャンドラー長編の5作目。 ストーリーはシンプルながら、事件の真相ははっきりしないモヤモヤ感の残る作品でした。 中心登場人物の多くが女性という設定で、ハードボイルドさに欠けるものの、オーファメイ、ウェルド、ゴンザレスの3人の女性との掛け合いや距離感に、遺憾なくマーロウさが発揮されていたような。 他作とはまた異質な設定に、変わらずのマーロウ。 飽きずに楽しめました。 | ||||
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「『リトル・シスター』において、おそらくその大部分において、私は自分の本来の書き方を見失っているように感じる。すぐ脇道にそれて、気の利いたことを言ったり、悪ふざけをしたり、そんなことにばかりうつつを抜かしている」 「プロットに十分な活気もなくイマジネーションもない。枝葉末節にこだわりすぎて、デコレーション過多になっている」 「まずい文章と、まずい構成で書かれた7万5千語のおちゃらけ」 以上のコメントはすべて作者のレイモンド・チャンドラー自身による本書についての評。本作が駄作であることは、作者が一番よくわかっていたのだと思う。 書いた本人が「ダメだコリャ」とさじを投げちゃってる作品なので、やはり読んでみても「ちょっとこれは……」という感じになる。 読み手にとっての救いは、場面場面でのフィリップ・マーロウのセリフまわしが相変わらず冴えていること。 にもかかわらず、チャンドラー本人が言うようにプロットがテンポよく展開していかない。アイドリングは絶好調なのに、ギアが1速にすら入らず、車がまったく前進しない感じ。 訳者の村上春樹氏によると、作者のチャンドラーも、そして作中の探偵フィリップ・マーロウも「リトル・シスター」という苦渋の時期をくぐり抜けたからこそ、傑作と言われる次の作品「ロング・グッドバイ」を誕生させることができた、ということになるらしい。 ちなみに、原文と訳文を突き合わせてみると、村上春樹氏の丁寧な翻訳がよくわかる。余計なことを付け足したり、あるいは逆に勝手に削ったりはしていない。あくまでも原文に忠実に翻訳している。 読んでいて意味がわからない部分があったとしたら、原文の時点ですでに意味がわからない文章であると思っていい。 だから、本書がつまらなかったとしても、それは村上春樹氏の翻訳のせいではなく、原作の時点ですでにつまらなかった、ということである。 最後になるが、私が本書を読んで知り得たことは、以下のようなことである。 ・どんな大作家であってもスランプのときに面白い小説は書けない ・優れた翻訳家であっても駄作を面白くすることはできない ・本書が駄作でも村上春樹氏のネームバリューで早川書房は丸儲け そして、チャンドラーの長編7作品のうちでは「大いなる眠り」、「さよなら、愛しい人」、「ロング・グッドバイ」の3作品が傑作であると言われている意味もよくわかった。 | ||||
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あまり高く評価されていない作品。何より作者自身がそう思ってたらしいのだが、個人的には素晴らしい出来と感じた。冒頭から過剰でシニカルな描写たっぷりのチャンドラー節が炸裂。マーロウも依頼人を守る筋を通して警察側と対立し留置場に入れられるわ、女性からのアプローチをことごとくはねのけるわと、いつもの硬骨漢ぶりを遺憾なく発揮。実際に映画ビジネスと関わっていたチャンドラーが業界への不満をぶちまけている感もあり、複雑なストーリーでミステリーとして整合性に欠ける部分もあるようだが、私はそんな完成されたミステリーをチャンドラーに求めているわけではないのだ。本当に悪い奴は逃がしてしまい、自分なりの愛を貫いた人間は破滅する苦い結末と、それでも自分の主義を曲げないマーロウの苦渋が強く印象に残った。 作者が嫌ったと思われる要素も含めてこれこそチャンドラーなのだ。あえて満点評価。 | ||||
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当代一の人気を誇る日本人作家の村上春樹氏が私淑する往年のハードボイルド・ミステリー作家チャンドラーの名作群を新たに訳出し現代に甦らせる事に挑んだ好企画の第3弾です。本書のあとがきで村上春樹氏は今回の訳題に至った経緯について依頼人の女オーファメイが「妹」を意味する事から相応しいと考えられたと理由を述べられていますが、それは勿論100%正しいだろうと思いながらも旧題「かわいい女」にも意訳とは言え内容的に見てシンプルながらも捨て難い良い味があるなと今回久々に読み返してみて改めて感じました。今回の訳題「リトル・シスター」も決して悪くはないのですが、前回の「さよなら、愛しい人」の今風のネーミングの新鮮さに対して逆にスマートさが平凡に感じられややインパクトに欠けたかなと思います。 事務所に訪れた田舎出の若い娘オーファメイから失踪した兄オリンの行方を探して欲しいとの依頼を受けた私立探偵フィリップ・マーロウは20ドルという端金しか報酬を見込めない仕事だったが興味を抱いて引き受ける。やがて彼が住んでいた下宿に調査に向かったマーロウはいきなりアイスピックで刺し殺された死体と遭遇するのだった。 帯に書かれた村上氏の言葉「チャンドラー節」をもじって言うと今回も「奇矯なマーロウ節」は健在で、お笑いの世界ではお馴染みの‘ひとりボケと突っ込み’はその最たる物でしょう。ミステリーの部分ですが、解説によると本書は著者が映画の仕事に追われていた時期に書かれた物だそうで著者自身も嫌いな作品だと述べられているという話が成程と肯ける随所に整合性の取れない荒さが目立つ不完全な出来だと思います。意外な犯人の趣向もちゃんと用意されているのですがあまりにも犯人が超人的で現実味に乏しく、また一部の殺人の謎が解決されないまま完結しています。しかし多くの欠点にも拘らず本書が魅力的なのは本筋の犯罪の謎とは別の、ヒロイン・オーファメイの実体が善良ではなく‘すれっからし’だからこそ心から愛おしく思える切ない哀しみと全てを知りながらも怒りも責めもせずに彼女を許すマーロウの思いやり深い真実の優しさにあると思います。 村上春樹氏というビッグなネームバリューの力もあって今迄にない多方面から注目されるこの画期的な試みは海外翻訳小説の人気を高める好機になっていると思います。段々と華々しい話題作は減って来ているとは思いますが、折角ですので村上氏には埋もれたチャンドラーの残りの四作品全ての紹介をぜひ実現して頂きたいと願っています。 | ||||
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アメリカの作家レイモンド・チャンドラー(1888 - 1959)が1949年に発表した、〈私立探偵フィリップ・マーロウ〉シリーズ第5作 “The little sister” の邦訳。訳者は村上春樹さん。 シリーズ第1作『大いなる眠り』以降、長編を1、2年ごとに執筆してきたチャンドラーが、ハリウッドで脚本家として働いていたこともあり、第4作『湖中の女』から6年という長めのブランクをへて世に送り出した作品です。 プロットに不備が多いチャンドラー作品のなかでも、本作は屈指の難解さを誇る作品でしょう。きれいに伏線がはられた小説はふつう読み返せば、登場人物たちのひとつひとつの言動のつながりがよく理解できるようになるものですが、本作はむしろ読み返すほど、つながりを見失い混乱していくような気さえします。 終盤マーロウが犯人に事件の真相を滔々と語る場面で、犯人がマーロウに向かって「あなたの言っていることにうまくついていけない(I am afraid I am not following you too well)」と答えますが、まるで読者の気持ちを代弁しているかのよう。 じっさい、訳者あとがきによるとチャンドラー本人も本作を失敗作と位置づけていたといいます。作中では映画産業に対する呪詛が書き連ねられてもおり、ハリウッドで働いていたころの恨みつらみや疲れがたまっていたのかもしれません。そのためなのか、シリーズのなかでマーロウがもっともペシミスティックでニヒリスティックに感じられます。 そのぶん反対に、マーロウの人間くささがよく表れている作品だとも思います。三人の女たちにいいように翻弄され、愚痴や弱音をはき続け、ヒロイックな使命感にも諦観の影が差しています。 物語後半マーロウは依頼人に裏切られ、警官にこづき回されたあげく、自分が無意味な存在だという想いを抱き、孤独に苛まれ、悲痛な心情を吐露します。 「どうか電話のベルを鳴らしておくれ。誰か私に電話をかけてくれる人間を創り出し、プラグを接続して私をもう一度人類の一員にしてくれ。警官でもいい…私を好いてくれる必要もない。この凍りついた星から下ろしてくれるだけでいいんだ」(p.312) この場面を読むたび、ヒーローでもなければ、アウトサイダーとして生きることにも疲れた、等身大で無防備なマーロウの痛切な叫びに思わず涙してしまいます。 清水俊二さんの手による翻訳『かわいい女』(東京創元社、1957年)はだいぶ前に読んだきりで、手元にもないので村上訳との比較はできませんが、本書の訳はいつもどおり村上さんの個性がでていた印象。地の文だけでなく会話文まであえて翻訳調の硬めの日本語を使っていたり、慣用表現をあえて直訳っぽく訳出し独特のテイストを演出しています。 たとえば、上記のマーロウの独白の原文。 “Let the telephone ring, please. Let there be somebody to call up and plug me into the human race again. Even a cop…Nobody has to like me. I just want to get off this frozen star” “Let there be somebody to call up and plug me into the human race again” は、「誰か電話をかけて、私をもう一度人類の仲間に引き入れてくれ」くらいの文章でも良さそうです。ですが、“Let there be somebody” の「人をあらしめよ」というニュアンスや、 「電話」という機械だから “plug” の「プラグ」という語感を残して訳すあたりに、村上節がうかがえます。 ただ、もともとプロットが煩雑なうえ訳文も生硬なため、チャンドラー作品や村上さんの翻訳になじみのない方にはきわめてハードルが高いと思われます。その点は留意したほうがいいかもしれません。 | ||||
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「ロング・グッドバイ」「さよなら、愛しい人」に続く村上春樹さんの翻訳。 これまでより読みやすい感じがしたけれど、それが原文によるものなのか訳文によるものなのかわからなかったが、「訳者あとがき」によると、これまで通り原文に忠実な訳のようなので、元がそうなのだろう。 読みやすいというのは、もしかすると緻密さを追い求めず書き進めたということになるのかもしれないが、結果としてテンポがよくなっているように思う。 テンポはよいのだが、話は込み入っている。読みながら「?」と思って前のページを繰ることがしばしばあった。それぞれの登場人物のそれぞれの事情を一人称形式で解き明かし、しかも読み手を納得させる難しさを感じた。 このあたりの、本作がごちゃごちゃしてしまった理由は「訳者あとがき」に詳しく書かれている。 それでも部分部分の人物描写は惹きつけられるものがあり、登場する三人の女性はそれぞれに魅力的で映画で観てみたいなと思うし、刑事や検事は時としてマーロウよりも格好良く感じた。 村上さんにはマーロウ・シリーズを全て訳してもらいたいなと思う。個々の作品がどうのこうのではなく、チャンドラーのマーロウ一式として評価できるように。 | ||||
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村上春樹氏の文章は好きだし、翻訳を通して全体的にうまく世界観を表現しています。 ただ読んでいて残念なのが地名の発音が変なところ。 例えばベヴァリーヒルズはビヴァリーヒルズが現地の発音だし、ダヘニーはドホーニー、またLAでストリップといったらサンセットストリップを意味するんです。他にもおや?と思うとが随所ありました。私はLAに長年住んでいたせいもあり、チャンドラー小説の中に知っている地名がでてくるのが楽しみなんですが、本書の翻訳は地名の読み間違いが気になってしょうがありませんでした。 他はよかったです。 | ||||
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本のタイトルは、リトルシスターが合ってると思います。この本には、かわいい女は出てきません。美女で悪女は出てきますが。買ってだいぶ放置していたのですがNHKで、ロンググッドバイが始まったので読み始めました。 | ||||
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『ロング・グッドバイ』と『さよなら、愛しい人』、そして本作と、村上春樹氏の翻訳ということで読みました。 がっかりしました。 他の2作でも同様でしたが、村上氏の訳が雑なところがあって、その都度、シラけてしまいました。 おまけにプロットも複雑に入り組んでいるため(未完成?)、読後感はスカッとしたものではありません。 ひとつ気がついたことは、村上氏がご自身の小説で多用している比喩が、チャンドラーの比喩とあまりにもテイストが類似していることでした。 村上氏のあの独特な比喩の水源の一つは、チャンドラーだったのですね。 | ||||
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さすが村上春樹、翻訳がすばらしい。翻訳ではなく、春樹自身の小説のように読める。 | ||||
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ロング・グッドバイ (ハヤカワ・ミステリ文庫 チ 1-11)、さよなら、愛しい人に続く、フィリップ・マーロウものの村上春樹訳の第3弾。前の2作品は、読んだことがあったが、これは初めて読んだ。意外にそういう読者も多いのではないか。 前の2作品に比べて、テンポが良い。逆に言えば、少し雑な構成なのかもしれない。村上春樹の訳者あとがきが、例によって本作品の位置づけ、読みどころを語ってくれる。 | ||||
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ロング・グッドバイ (ハヤカワ・ミステリ文庫 チ 1-11)、さよなら、愛しい人に続く、フィリップ・マーロウものの村上春樹訳の第3弾。前の2作品は、読んだことがあったが、これは初めて読んだ。意外にそういう読者も多いのではないか。 前の2作品に比べて、テンポが良い。逆に言えば、少し雑な構成なのかもしれない。村上春樹の訳者あとがきが、例によって本作品の位置づけ、読みどころを語ってくれる。 | ||||
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チャンドラー作品には、翻訳の村上氏をはじめ熱心なファンが多いようですが、特別なファンでもない私からすると、正直この作品はたいして面白くもありません。 というか、面白い面白くない以前に、話がごちゃごちゃしすぎていて、よくわからないです。それがマーロウの語り口調と相まって、とにかく読みにくい作品でした。 村上訳で他2作も読みましたが、それらと比べても、この作品はちょっとお話にならにレベルですね。チャンドラー自身もこの作品が好きではなかったようですし。村上氏の話題性だけで売れている?本てとこでしょうか。 | ||||
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既訳は「かわいい女」としていたが、これは確かにおかしい。オリジナルタイトルが"The Little Sister"っていうんだから、これは「妹」以外にありえない。兄弟姉妹の順序は、メイヴィス(リーラ)、オリン、オーファメイの順になる。 読んでいくと「???!!!」って思う箇所が何度かあるが、そこはそれ、村上も書いているが、これがチャンドラー節なのだそうだ。特にこの作品については、チャンドラー自身があまり乗り気でなかったようで、手抜きになっているンじゃあないかって思う個所がある・・・・・。 映画女優になった姉の金を頼って、くそ田舎からまずは兄貴が、その後、行方不明になったその兄貴を探しに我らがリトル・シスターがLAにやってきたところからお話は始まる。それにしても何ともはや、この妹というのが・・・・ | ||||
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村上春樹による新訳版のレイモンド・チャンドラーのフィリップ・マーロウものの第3弾。もともとは「かわいい女」というタイトルだったが、今回は「リトル・シスター」。こっちのほうがいいね。 とにかく、今から25年以上前になるけど、レイモンド・チャンドラーにははまって、マーロウのシリーズも全て読んでいたが、実は、このリトル・シスターはあまり好みじゃなかった。「長いお別れ」や「さらば愛しき人よ」(村上春樹による新訳では「ロング・グッドバイ」、「さよなら、愛しい人」だけど)は、大好きで何度も読みなおしているんだけど、この「リトル・シスター」は、それこそ20年以上ぶりに読んだ。 自分があまり好みじゃなかった理由は、当時はあまり良くわからなかったけれど、今回、村上春樹のあとがきを読んで、なんとなく納得。確かに彼が書くように、この本には当時のチャンドラーの疲労感というか「悪い気分」が表れていて、まだ子どもだった私には共感できなかったからだ。 今回、疲れ果てた中年になってから、改めて読んでみると、マーロウの態度にも共感できる。読めて良かったと思う。 この村上春樹による翻訳のシリーズ、楽しみにしているのだが、次は何だろう。「大いなる眠り」か「プレイバック」かな? | ||||
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チャンドラーが好きで一連の長編は何度も読み返しています。英語の原文版も買って読んでいます。 ただ、"The Little Sister"(かわいい女)については、せいぜい二回くらいしか読んでいません。 どんなストーリーだったか思い出そうとしても、アイスピックを使った殺人事件やセクシーなハリウッド女優が 出てきたことくらいしか覚えていません。 そんなわけで、今回村上訳を新鮮な気持ちで読むことが出来ました。読了しての感想ですが、ストーリーはやっぱり複雑というか、 事件の概要がいまひとつ明確になりません。マーロウの推測で大体はわかるのですが、やはりすっきりしない。これは訳者の違いというより、 原典でそうなのですね。あとがきにもありましたが、事件の中心となる兄弟の順番さえはっきりしません。 清水訳では、オリン>メイヴィス>オーファメイの順ですが、村上訳では、メイヴィス>オリン>オーファメイの順と仮定しています。 何を判断基準にするかで、どちらにも解釈可能になるくらい、チャンドラーが明確に述べていないためです。 あるいは、チャンドラーがもともと書いていたものを、大胆に削ってそのままにしたのかもしれません。 ただ、村上訳のおかげで、メイヴィスがとても魅力的な女性に思えました。逆にドロレスの魅力は清水訳よりも減じました。 こういうのは訳の違いなのかなあ。村上氏は、現在入手可能になった豊富な情報も背景に現代的な訳をしていますし、 一方清水氏は、1930年代に日本向け字幕担当としてまさにハリウッドのパラマウントで働いていた実体験が訳に生きている気がします。 (チャンドラーがハリウッドで働いていた時期とは数年差があるはずですが、当時のハリウッドを身をもって体験しているということは 訳す場合に役だっているはずです) いずれにせよ、今回再認識したこの作品の魅力は、当時の勃興して隆盛になりかけている当時のハリウッドが、実にいきいきと 描かれているところです。 女優も、俳優も、プロデューサーも、オーナーも、トラブル解決エージェントも、実にいきいきと描かれています。たんなる暴露譚には ならないところは、チャンドラーの筆力であり、そこで、もがき苦しんだ自身の実体験も大きく影響していることでしょう。 個人的に面白かったのは、ストーリーの中で、スーウェル・エンディコットという地方検事が出てマーロウと顔を合わせます。 ん、どこかで聞いた名前だぞ? と「ロング・グッドバイ(長いお別れ)」を開いてみると、やはりいました。 ハーラン・ポッターの依頼で、マーロウの弁護を引き受けた弁護士と同姓同名です。おそらく検事から弁護士になったということでしょう。 | ||||
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