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リトル・シスター
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リトル・シスターの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.79pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全5件 1~5 1/1ページ
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チャンドラー長編の5作目。 ストーリーはシンプルながら、事件の真相ははっきりしないモヤモヤ感の残る作品でした。 中心登場人物の多くが女性という設定で、ハードボイルドさに欠けるものの、オーファメイ、ウェルド、ゴンザレスの3人の女性との掛け合いや距離感に、遺憾なくマーロウさが発揮されていたような。 他作とはまた異質な設定に、変わらずのマーロウ。 飽きずに楽しめました。 | ||||
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「『リトル・シスター』において、おそらくその大部分において、私は自分の本来の書き方を見失っているように感じる。すぐ脇道にそれて、気の利いたことを言ったり、悪ふざけをしたり、そんなことにばかりうつつを抜かしている」 「プロットに十分な活気もなくイマジネーションもない。枝葉末節にこだわりすぎて、デコレーション過多になっている」 「まずい文章と、まずい構成で書かれた7万5千語のおちゃらけ」 以上のコメントはすべて作者のレイモンド・チャンドラー自身による本書についての評。本作が駄作であることは、作者が一番よくわかっていたのだと思う。 書いた本人が「ダメだコリャ」とさじを投げちゃってる作品なので、やはり読んでみても「ちょっとこれは……」という感じになる。 読み手にとっての救いは、場面場面でのフィリップ・マーロウのセリフまわしが相変わらず冴えていること。 にもかかわらず、チャンドラー本人が言うようにプロットがテンポよく展開していかない。アイドリングは絶好調なのに、ギアが1速にすら入らず、車がまったく前進しない感じ。 訳者の村上春樹氏によると、作者のチャンドラーも、そして作中の探偵フィリップ・マーロウも「リトル・シスター」という苦渋の時期をくぐり抜けたからこそ、傑作と言われる次の作品「ロング・グッドバイ」を誕生させることができた、ということになるらしい。 ちなみに、原文と訳文を突き合わせてみると、村上春樹氏の丁寧な翻訳がよくわかる。余計なことを付け足したり、あるいは逆に勝手に削ったりはしていない。あくまでも原文に忠実に翻訳している。 読んでいて意味がわからない部分があったとしたら、原文の時点ですでに意味がわからない文章であると思っていい。 だから、本書がつまらなかったとしても、それは村上春樹氏の翻訳のせいではなく、原作の時点ですでにつまらなかった、ということである。 最後になるが、私が本書を読んで知り得たことは、以下のようなことである。 ・どんな大作家であってもスランプのときに面白い小説は書けない ・優れた翻訳家であっても駄作を面白くすることはできない ・本書が駄作でも村上春樹氏のネームバリューで早川書房は丸儲け そして、チャンドラーの長編7作品のうちでは「大いなる眠り」、「さよなら、愛しい人」、「ロング・グッドバイ」の3作品が傑作であると言われている意味もよくわかった。 | ||||
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村上春樹氏の文章は好きだし、翻訳を通して全体的にうまく世界観を表現しています。 ただ読んでいて残念なのが地名の発音が変なところ。 例えばベヴァリーヒルズはビヴァリーヒルズが現地の発音だし、ダヘニーはドホーニー、またLAでストリップといったらサンセットストリップを意味するんです。他にもおや?と思うとが随所ありました。私はLAに長年住んでいたせいもあり、チャンドラー小説の中に知っている地名がでてくるのが楽しみなんですが、本書の翻訳は地名の読み間違いが気になってしょうがありませんでした。 他はよかったです。 | ||||
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これは村上春樹が翻訳したチャンドラー6番目の長編探偵小説で、以前は「かわいい女」という題名だった。 女2人、男1人の3人きょうだいが、長姉のハリウッド女優の卵をめぐってやくざがらみの犯罪を引き起こし、例によって美女の美脚に弱い私立探偵マーロウが、あれよあれよと巻き込まれ、命からがらロスの街をさまよい歩くというよくある話なのであるが、不思議なことにこの小説、誰の翻訳で、何回読んでも、いったい誰が、なぜ、誰を、どうやって殺したのかが五里霧中なのである。 にもかかわらず、これほど読んで面白いミステリーもざらにはないというところが、本書のもっともミステリーな部分であろうか。翻訳がこれほどに拙劣で(彼のレーモンド・カーヴァーなどとは大違い!)プロットなんざそうとういい加減でも、探偵と犯人候補者たちが、いい文章で魅力的に描かれていれば、それで結構毛だらけ猫灰だらけなのである。 このちょっと古風な探偵小説を読みながら、私はロサンジェルスを懐かしく思い出した。いくら近代的なビルジングが建ち並び観光客がうろついていても、サボテンの茶色い枯枝が空っ風に吹かれてベヴァリーヒルズの舗道を舞っているこの天使の街の中心は、やはり聖なる森であり、その森の下には、太陽に焼きつくされて白くなった大量の砂が、人類以前の古生代の夢を見ながらむなしく眠っているのである。 そしてそんな面妖な街の片隅で、我らが主人公フィリップ・マーロウは、今日もブロンド女に32口径オートマチックの銃把で頭をぶん殴られたり、「モーツアルトはやっぱシュナーベルだな」とうそぶく警官に一晩中尋問されたりしているのだった。 | ||||
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私はいつも作者あとがきや解説の類は最後に読むことにしています。そのため、途中のある箇所でひっかかり、確認のため何度も前に戻って「おかしいなあ?」と気持ち悪い感じを抱えたまま、本書を読んでいくことになりました。「最後まで読んだら、もう一度読み直そう」とまで思っていました。最後に村上さんの解説を読んで、「あぁ、そういうことなのね・・・」と納得というか、自分が読み違えていた訳じゃなかったのが分かって、胸のつかえは取り除くことができましたが、こんな気持ちで読み進めてもやっぱり、心から楽しむことはできませんでした。それでも、やっぱりマーロウ先生と女性たちとのやりとりを読んでいると、なんかニヤニヤしちゃいます。正直、こういうの好きです。映像化したら、こっ恥ずかしくて観てられないでしょうけどね。とにかく、これから読まれる方々はぜひ初めに解説に目を通すことをお勧めします。心配しなくても、ネタバレ箇所近くでちゃんと訳者が警告してくれていますよ。 | ||||
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