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十二月八日の幻影



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【この小説が収録されている参考書籍】
十二月八日の幻影
十二月八日の幻影 (光文社文庫)

十二月八日の幻影の評価: 4.88/5点 レビュー 8件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.88pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全8件 1~8 1/1ページ
No.8:
(5pt)

日米開戦前夜の防諜の世界を描いた傑作

日米開戦前夜の東京を舞台に、防諜に心血を注ぐ帝国海軍軍令部特別班。これに陸軍の暗号解読部隊、憲兵隊も加わり、日本軍の奇襲計画を巡る手に汗握る諜報戦が繰り広げられる。

冷徹なまでの洞察力と瞬時に数手先まで見通す判断力の持ち主である特別班班長・渡海少佐、その部下の駆け出し防諜員・潮田少尉などの主要登場人物が、生き生きと描かれている。特に、軍人であるはずの潮田少尉は、実に人間くさい感情を発露しており、現代の読者の感覚にも近く、親近感を覚える。

果たして、帝国陸海軍の奇才たちは、米英ソの間諜の暗躍を止めることができるのか。いくつものどんでん返しの末に明かされた真相には、思わず唸らされた。

謎解きものとしても、楽しめる。
十二月八日の幻影 (光文社文庫)Amazon書評・レビュー:十二月八日の幻影 (光文社文庫)より
4334774288
No.7:
(5pt)

国を護ること。海軍の"奇術師"と諜報員のパースペクティブな戦い!

海軍少尉、潮田三郎。外国文献の翻訳という"虚しい"任務に辟易していた日、見慣れぬ佐官に文句を付けたことにより、軍令部直属の特別班への突然の転属を命じられる。
構成員わずか二人。日本武士道の正面攻撃とは相容れない、家の名誉と軍の誇りとも無関係にみえる防諜任務に、理解しがたい上官の渡海海軍少佐の個性は、若者を打ちのめす。わずか一か月の仮配属期間の満了を心待ちに、潮田は初日からある重要機密に接する……。

陸軍は在日外国大公使館の暗号解読班、憲兵隊、内部に巣食う「コバヤカワ」、海軍の大物予備役にして元首相、外務事務次官、アメリカ大使、MI6=SIS将校、そして大物間諜「エゴイスト」。彼らの油断ならない行動は、日本の運命を、そして潮田を、ある極点へと導いてゆく。

・渡海少佐の発想力と行動力は実に魅力的だ。咄嗟に分析・理解し、状況に応じて臨機応変に対応する人物像は、ヒーローそのもの。

・「電気ソロバン」の暗号解析、さらに飛躍した応用(ある装置)への展開に新鮮味を覚えた。理学部卒、コンピュータ関連の職を経験した著者ならではの作品だと合点が行く。

・「否、諦めない」に続く潮田の行動には実に好感が持てる。極限におかれても人間ならこうありたいと鼓舞してくれるような、本書で気に入った部分の一つだ。

宣戦布告なき日中戦争が泥沼化し、かつての同盟国イギリスと最大の通商国アメリカにより、日本帝国が徐々に追いつめられてゆく情景。一片の情報がわずかの人間に運用され、それが一国の命運を左右しかねない現実の畏怖。そんな中でも活路を見出そうとする若者の行動力と潔い決断力は魅力的だ。
だが本書で気に入ったのは、実は「コバヤカワ」の信念だ。それはまさに戦後日本の姿となって顕現したわけだが、当時共感を覚えた知識人も多かったのではないだろうか。
「男の革命の結末」がどんなものであれ、人の信念の力の偉大さを思わせてくれる、そんな作品像を想いつつ読了した。
十二月八日の幻影 (光文社文庫)Amazon書評・レビュー:十二月八日の幻影 (光文社文庫)より
4334774288
No.6:
(5pt)

相棒!

渡海少佐と潮田少尉が、まさに相棒。
紳士だけど、きれっきれの渡海少佐がかっこいい。
そして成長していく塩田くん。
分かりやすい構図といえば、その通りだけど、時代背景が新鮮でハラハラさせてくれる。
これ、小説もいいけど漫画とかで読みたいなあ。あるいは映画。
同じ世界観で描かれた短編集も読んでみたいけど、設定的に難しいのかな?
期待しています!
十二月八日の幻影 (光文社文庫)Amazon書評・レビュー:十二月八日の幻影 (光文社文庫)より
4334774288
No.5:
(5pt)

ありがとう。

きれいな本でした。レビューの評価を見て、購入しましたが、評価どうりで、良かったです。
十二月八日の幻影 (光文社文庫)Amazon書評・レビュー:十二月八日の幻影 (光文社文庫)より
4334774288
No.4:
(5pt)

国を護ること。海軍の"奇術師"と諜報員のパースペクティブな戦い!

海軍少尉、潮田三郎。外国文献の翻訳という"虚しい"任務に辟易していた日、見慣れぬ佐官に文句を付けたことにより、軍令部直属の特別班への突然の転属を命じられる。
構成員わずか二人。日本武士道の正面攻撃とは相容れない、家の名誉と軍の誇りとも無関係にみえる防諜任務に、理解しがたい上官の渡海海軍少佐の個性は、若者を打ちのめす。わずか一か月の仮配属期間の満了を心待ちに、潮田は初日からある重要機密に接する……。

陸軍は在日外国大公使館の暗号解読班、憲兵隊、内部に巣食う「コバヤカワ」、海軍の大物予備役にして元首相、外務事務次官、アメリカ大使、MI6=SIS将校、そして大物間諜「エゴイスト」。彼らの油断ならない行動は、日本の運命を、そして潮田を、ある極点へと導いてゆく。

・渡海少佐の発想力と行動力は実に魅力的だ。咄嗟に分析・理解し、状況に応じて臨機応変に対応する人物像は、ヒーローそのもの。

・「電気ソロバン」の暗号解析、さらに飛躍した応用(ある装置)への展開に新鮮味を覚えた。理学部卒、コンピュータ関連の職を経験した著者ならではの作品だと合点が行く。

・「否、諦めない」に続く潮田の行動には実に好感が持てる(p244)。極限におかれても人間ならこうありたいと鼓舞してくれるような、本書で気に入った部分の一つだ。

宣戦布告なき日中戦争が泥沼化し、かつての同盟国イギリスと最大の通商国アメリカにより、日本帝国が徐々に追いつめられてゆく情景。一片の情報がわずかの人間に運用され、それが一国の命運を左右しかねない現実の畏怖。そんな中でも活路を見出そうとする若者の行動力と潔い決断力は魅力的だ。
だが本書で気に入ったのは、実は「コバヤカワ」の信念だ。それはまさに戦後日本の姿となって顕現したわけだが、p270にある主張などには、当時共感を覚えた知識人も多かったのではないだろうか。
「男の革命の結末」(p141)がどんなものであれ、人の信念の力の偉大さを思わせてくれる、そんな作品像を想いつつ読了した。
十二月八日の幻影Amazon書評・レビュー:十二月八日の幻影より
433492994X
No.3:
(4pt)

予想通り

大体新聞広告を見たとき感じたとおりでした。西村の「D機関情報」に匹敵すると思います。
十二月八日の幻影 (光文社文庫)Amazon書評・レビュー:十二月八日の幻影 (光文社文庫)より
4334774288
No.2:
(5pt)

こういう小説を読みたいと思っていました

1941年の日米開戦前夜の日本を舞台に、海軍の防諜班の活躍を描いた物語です。
スリリングなシナリオと、興味を尽きさせない巧みな構成で、一気に読み通してしまいました。

本作の魅力ですが、まず時代考証がしっかりしており、時代小説としての読み応えも十分ある点だと思います。
細かな描写から小道具にいたるまで、しっかりとした資料の読み込みのもとに書かれているのが、一読して分かります。
物語の内容にも、この時代ならではのガジェットが深く関わってきます。

それから、小さい謎解きを繰り返して、物語の真相に迫っていく構成や、魅力的なキャラクターの立て方など
エンターテインメント作品としての技巧も非常に高いレベルにあると感じました。

また、防諜側の視点から描いたミステリ、という構成も非常に良かったと思います。
銃撃戦やアクションよりも、いかにしてスパイの手口を解明し、その正体をあぶり出すか?という
頭脳戦に重きが置かれており、そこがこの作品の一番の魅力だと私は思いました。

前からこういうのを読みたいとは思っていましたが、この作品を手に取ることができてよかったです。
十二月八日の幻影 (光文社文庫)Amazon書評・レビュー:十二月八日の幻影 (光文社文庫)より
4334774288
No.1:
(5pt)

大戦前夜の動かせない歴史的事実を背景に、よくぞ、ここまでのスリラーを組み上げることができたものだと、圧巻の思いです!

太平洋開戦前の日米欧間の諜報戦いを描いたスパイ・スリラーです。
読み手までもが、丁々発止の騙しあいに引きずりこまれたような感覚にとらわれます。何がどうなってと、読んでいて、知恵熱が出そうになるぐらいに、巧みに組み上げられたストーリーでした。時代考証もしっかりとできていたと思います。本当に面白かったです。

ストーリの軸をなすのも、これぞ、という戦時中の組織です。
また、キャラクタ設定も絶妙です。

海軍軍令部、総長直属の特別班、班長の渡海少佐と、潮田少尉。
陸軍参謀本部第二部暗号解読班、大森大尉に、有馬少尉。
 
潮田少尉と有馬少尉は、所属する軍部は違えど、優秀な成績で兵学校を卒業し、エリートと目され、本人も戦線の最前線での活躍を夢見ながらも、ひょんな経緯で諜報関連の特別組織に不本意ながら配属された、という事情を持ちます。
 
この2人が軍部の事情に翻弄されながら、与えられた職務に熟練と忠実を深めて成長していく姿も、また、すばらしい見どころになっていると思います。
 
このストーリーの主人公をあえていえば、潮田少尉でしょうか。
が、もっとも印象を残すのは、天才的なセンスで諜報活動を繰り広げ、組織に内外、さらには、読者に対しても、常に先んじた計画、行動を行う渡海少佐ですね。
本作の表紙の左側の眼鏡、スーツ姿のニヒルな人物が彼だと思います。
 
さらに、黎明期のコンピューター、真空管製の、その名も「電気ソロバン」で盗聴した敵国の暗号のアルゴリズムを解読する件には、圧倒されましたσ(^_^)。この小説はフィクションですが、真珠湾攻撃の裏で、こんな諜報戦が本当にあったんだとすれば、実に恐ろしい。。。
 
その半面、この小説で描かれた諜報活動が、もし、失敗に終っていたとすれば、それはそれで、さらに恐ろしい。。。
 
12月8日の真珠湾奇襲作戦自体は、動かすことのできない、歴史的事実ですが、この事実を背景に、よくぞ、ここまでのスパイスリラーを組み上げることができたものだと、圧巻の思いです!
十二月八日の幻影 (光文社文庫)Amazon書評・レビュー:十二月八日の幻影 (光文社文庫)より
4334774288

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