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恋と禁忌の述語論理(プレディケット)
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恋と禁忌の述語論理(プレディケット)の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.10pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全29件 21~29 2/2ページ
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メフィスト賞受賞作。表紙やタイトルから最近の傾向のラノベっぽいテイストかなと思ってしまうが、これが最近のメフィスト賞としては正統派のまごうことなき本格ミステリ連作短編集である。 論理数学とかの小難しい理論が飛び交うが、本書は基本はミステリーの王道である多重解決パターンである。 一つの事件から導き出される最初の解決を覆す要素として論理数学という珍しいギミックが用いられているのが本書が評価された最大の要因であろう。 一部酷評意見で本格ミステリの論理は論理数学などで導けないと言っている人がいるが、そんなこと当たり前である。作者も読者もそんなこと分かった上で読んでいるのである。そのうえで楽しめるのである。 本書の論理数学はいわば完全なるギミックである。これに専門的な見地からケチを付ける人はそもそも本格ミステリーなど読むべきではない。 本書の命題は必然的命題である。 そして命題は本格ミステリ好きなら本書は面白いである。 そして本書をつまらないと思った人は本格ミステリを読む資格がない。 これで全て証明できる。 | ||||
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大学生の主人公が関わった解決済みの事件. 美貌の数理論理学者の叔母が導き出す結論は? 解決編に「数理論理学」という耳慣れない学問を持ち込んだ面白い趣向のミステリー. 3つの事件ごとに基本的なことを段階的に紹介され, まったく知らなくてもきちんと楽しめるようになっていて, 「動機は考慮しない」など,従来のミステリーとは一線を画す謎解きが新鮮である. ミステリーとは.意外な真相やトリックをテーマとしたものであるが, この作品は,謎解き自体に主眼を置いており,そういう意味でも新しいタイプのミステリーと言える. いろいろとリアリティのなさにはラノベ的演出として目を瞑れば,ミステリーとしてなかなかよくできている. このスタイルでシリーズ化するのは少々苦しいかもしれないが, 続編が読みたくなる1冊. | ||||
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他の作品と異なる点は、事件の発端に明確な線引きをしていること。 そこを「公理」と定め、材料は全て揃ったという前提で推理を進めて行くわけだが、 しかしそんなことは不可能で、事象をぶつ切りにして「公理」が成り立つわけはなく、 作者も自覚しているからこその後半の展開だろう。 だから、例え線引きをしても数理論理学を使っても、本当はいくらでも多重解決が可能。 最初の事件は操り系としか思えなかったし。 (というかそもそも人の思考が全て自分にとって最善の行動を取(れ)るとは限らないわけで) だから帯は摩耶雄嵩の文脈みたいな惹句だが、それは煽り過ぎ。 しかしキャラ分けはちゃんとしてるし、 余計なことは無視して理論との抱き合わせで楽しむものなのだろう。最近の流れは踏んでいるし。 ただ最後の探偵、真面目にああいうペダンチックはただの嫌味。 | ||||
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「命題論理、述語論理、様相論理の知見を駆使して、30代美人天才論理学者(盛り過ぎ感がありますが)がそれまでの推理をひっくり返す」という趣向で面白かったです。 ただ一か所よくわからなかった部分がありました。 p. 279の証明図の説明で、当の美人論理学者が「つまり『□Iかつ◇O』から『IかつO』の矛盾を導く部分だけど、」と解説してくれるのですが、これって「『PかつQ』の矛盾を導き出す部分」(p.263の証明図との整合性をとる場合)もしくは「『IかつO』を導き出す部分」(その後の説明との整合性を考えた場合)なのでは?そもそも「『IかつO』の矛盾」は公理A3に設定されているような・・・。シークエント計算の証明図の説明がほとんどなく、ただ「どうだまいったか」という感じで提示されているだけなので、美人論理学者にもう少し説明していただけるとありがたかったです(天才設定なのでしょうがないのかもしれませんが)。 美人論理学者以外にもキャラの立った探偵がいろいろと出てくるので、次作も楽しみです。 | ||||
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男子大学生が語る事件とその解決を、論理学の専門家である女性が形式論理学の手法を用いて再検証するという安楽椅子探偵もので、長めの短編(中編?)三本からなる連作。多重解決ものの連作というのが面白いと思うと同時に、読んでいて不自然さも感じた(詳細は伏せる)。創作上の都合だからあまり気にしないでおこうと思っていたらエピローグでやられた。やられたというか、読者が引っかかっていそうな違和感にきちんとフォローを入れてきた。作者はなかなかの知恵者だと思う。 推理のステップを細かく分解して公理や推論規則の正しさを検証していく、というのが本作の探偵役の特徴だ。残念ながら第一話ではそれが「小難しい言い換え」以上にはなっていないので形式論理学に興味が無い読者はここで辟易してしまうかもしれない。しかし第二話、第三話についてはそれぞれ「排中律」「可能/必然」といった用語がちゃんと謎解きにつながるキーワードになっていて感心した。あるいはそこから発想して話を作ったのかもしれないが。 人物描写は上手だけれど漫画的でちょっと抵抗を感じたが、本作に限っては意図的にそうしたのかもしれず、これが本来の作風なのかどうかわからない。ミステリを書く技術については間違いなく高いものを持っている人だと思う。次作が読んでみたい。 | ||||
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頭が良くなった気分になったとは言い得て妙で軽快な文章とアクが強いが魅力的なキャラクターが論理学とはなんぞやを噛み砕いて教えてくれている入門書のような気分になる。自分の知らないことを学ぶのはとても心地よい。 | ||||
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『第51回メフィスト賞』受賞作で,三篇とエピローグ的な一篇を加えた四篇の連作集です. 『数理論理学』という題材や序盤での様子に,いささか身構える部分はありましたが, こじらせ気味のアラサー女子という主人公をはじめ,軽めの会話にユーモアやメタなど, 読む前、そして読み始めてとは違い、思いの外に『ついて行ける』という印象を受けます. また,取り上げられる論理自体のなじみが薄く,理解することはかなり難しいのですが, 重ねられるたとえ話はとてもわかりやすく,知識のある方が楽しめるのは確かでしょうが, 語り部の青年と主人公にも引っ張られ、少なくともその場でわかった気分にさせてくれます。 その反面,さまざま論理を繰り出し(ているように見える),謎を解き明かしていく流れは, 意地悪な言い方をすれば言葉遊びで,目新しくは映るものの,実際には遠回しな推理パートで, 真偽や要否は導けても,トリックには繋がらないなど,『最終探偵』とするには煽りすぎの感が。 とはいえ,ミステリ自体はしっかりしており,検証はロジックの積み重ねのようで楽しく, エピローグで明かされる『真実』とその裏付けも,これまた驚きで最後まで飽きさせません. このほか,続編の有無は不明ながら,『恋と禁忌』に触れつつの幕引きには意味深なところも. あと,大学生とアラサーであるはずの二人,カバーイラストでは少しばかり幼すぎるような…。 | ||||
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ラノベが好きだけど、ただのラノベじゃないぜ、論理学を扱ったラノベだぜ、こんなラノベ読んでる私ってなんて頭がいいのかしらーと酔いたい中2病さんにオススメ。 本格ミステリのロジックなんて、純粋な論理学からしたらいい加減なものだぜーと言いたいのかもしれないが、それを言ったらおしまい。 やりたいことはわかるが、悪くいえば、あとから覆すためにこしらえた軽事件とその解決が低レベルで退屈。低いハードルの事件の解決にわざわざケチをつけて何が面白いのか。意味不明。 これを上回る事件の解決を示すことが出来れば流石は名探偵、さすな純粋論理学!となるが、ヒロインであるところの探偵役が示すのは論理学上の瑕疵にすぎない。 そんなものにカタルシスを感じる読者は本格ミステリが嫌いな人間か、論理学は得意だが本格ミステリを書けない人間だろう。 本格ミステリのロジックは純粋論理学の論理とは違う。 むしろ、論理の飛躍に面白さを感じるのが本格ミステリである。それを著者はわかっていないのか、わかってはいるがそうしたオリジナルなものを描けないのだろう。 そういえば「名探偵○○推理ミス」みたいな本がたくさん出たことがあったが、それを真面目にやったらこうなったって感じ。 そういった要素を抜いたら、いかにもなラノベ的なキャラクター小説でしかないと思う。 いくらでもシリーズを続けられるが、一話だけ読めば十分。 巻末の付録、いらない。 | ||||
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書店でなんとなく手に取って立ち読みしたら、ミステリなのにやたらと数式が並んでいることに興味が湧いて購入。 一晩で読み切ってしまいました。 数理論理学の話は難しかったが、ヘンペルのカラスのくだりは面白かった。対偶が真なら命題も真だと数学で習っていたので、そうではないという話は興味深い。 描写も非常に緻密で、作中のシーンを思い浮かべるのが容易。もしかして作者さんは女性かな?あとセリフの掛け合いも面白い。読ませる力があると思います。豊富な読書経験も伺える。 続刊に期待しています。 | ||||
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