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(短編集)
福袋
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福袋の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.10pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全10件 1~10 1/1ページ
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8編に登場する人物は、どこにでもいる人たちである、本書では 人生を肯定も否定もしないあるがままの人生が描かれており、 まさに小説のなかに真実が隠されているように思える。 | ||||
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都市生活の日常の中にするりと紛れ込む小さな謎。 それはある日突然、見知らぬ客から預けられた段ボール箱だったり ゴミ収集の日に門の前に置かれた紙袋だったり 駅のホームで赤ん坊を押しつけたまま行ってしまった女の人の事情だったり… 自分だったらどうするだろう、と思わずのめりこんでしまう身近な設定と 確かな観察眼から生まれる日常生活の描写の巧みさ。 つるっとしたうどんのようなやわらかな語り口。うまいなあ~ それでいて、内容はけっしてスイートじゃない。 自分の知らない恋人の生活。妻の知らない夫の過去。 夫の知らなかった妻の性癖。娘の知らなかった母の遺言。 どうしようもない兄を持った妹… 時にはほろ苦く、ときには愚かで、ときには古典落語のようなおかしみさえ漂わせて 段ボールより紙袋より、一番のブラックボックスは実は身近な人間(!)であり もしかしたら自分自身なのかもしれない、と気づかされる。 人生はブラックボックスだ。 でも作者の眼には、同じボックスでもそれは「福袋」に見える。 中身が何であれ、それを受け入れ身につけていくうちにいつしか自分のものになってゆく。 「福」袋を持たされてこの世に生まれてくること自体がとてもおめでたいことなのだと 人生を肯定する力強さに、思わず笑みがこぼれる。 実を言うと、人生はカード・ゲームのようなものだ、とずっと思ってきた。 どんな悪い手札であろうと、与えられた手札で戦わねばならないものだと。 でも、カードだと思うより、福袋だと思うほうが、ずっと楽しい。 どんな厄介事も、「福」のかけらに見えるじゃないか(笑) 短編集のなかで一番好きだったのは 「イギー・ポップを聞いていますか」だった。 ああ、この物語は本当に、幸せな読後感です^-^ | ||||
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犬の舌は、ざらざらしていない。 作者は猫しか飼ったことがないんじゃないか、と思った。 | ||||
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何が入っているのかな? 福袋的な小作品8作品。 突然、何が入っているかわからない 大きな荷物の箱をおばさんに預けられる私の物語。 フシギちゃんと呼ばれる会社の先輩との物語。 などなど、どことなく福袋のようなお話達。 ワクワクドキドキではないけれどスラリと読めました。 | ||||
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人生を福袋になぞらえて描く八つの連作短篇集。 開けてみるまで何が入っているのかわからない。 福袋の「福」の字になにやら期待をかけ、手にはしてみたものの……。 まったく、これは人生そのものではないか。 普通の人々の日々を、その日々のなかで起こるささくれのような できごとを、絶妙なダーティーさで切りとっているのが 角田さんらしい作品だ。 しかつめらしく「なぜ生きる?」というような問いかけは一切ない。 煩雑な日常のなかでもがく人の暮らしをざっとなぞり、 苛立ちやのめりこんでいく気持ちや、相手との齟齬を浮き彫りにするのだ。 時には笑いも涙も愛もレリーフのように刻まれた物語。 しかし、人生はまあこんなもんだよ、なんていうおざなりな目線はない。 そこが、角田さんらしい。 あまり好ましくない状況に遭ったとき、人が抱える諸々の逡巡を描いて リアルだ。その心から思いもよらないことどもが見え隠れする。 囚われていた心が泳ぎ出す瞬間がある。 そこがおもしろかった。 「イギー・ポップを聴いていますか」「白っていうより銀」の2篇がとりわけ 好きだった。 | ||||
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穏やかな日々を脅かす闖入者。 自分とは深いかかわりはないはずのもののおかげで、微妙にズレていく毎日の幸せ。 そんな出来事を福袋になぞらえ、ユーモアありホラーあり、さまざまなスタイルで綴る短編集です。 人生を福袋に例えるのがウマイっ! 福袋ってどうせ中身に期待できないことはわかってるのに、それでもなぜか買っちゃうフシギなもの。 当たりもハズレも全部ひっくるめて、それが人生。 自分に与えられた福袋(人生)の中身をどう解釈して、どう色付けていくかは自分自身。 人生、喜怒哀楽があるから面白い。 それをしみじみ感じさせられました。 すごくかわいい表紙は「東ちなつ」さんという方の手によるものです。 乙女ココロをギューっとつかみ、懐かしさを感じる装丁。 ワタシ的に最近のナンバー1かも♪♪ | ||||
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短編八つ。なんだろう。腰オビの文句がぴったり。「人生に当たりハズレなんてない!?」「福袋」の中の一節も秀逸。「私たちはだれも、中身のわからない福袋を持たされて、この世に出てくるのではないか…」 もっといい物が入っているのでは、と期待し過ぎちゃいけない。でもよく考えれば損をしているわけでもない。ごちゃごちゃした日常を、ごちゃごちゃと煮え切らないままの姿で描いた短編集。普通の人たちが描かれている。でも、普通ってなんだろう。そんなふうにひとくくりにまとめる必要なんてないのだ。 読後感は地味。 | ||||
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人生を福袋になぞらえて描く八つの連作短篇集。 開けてみるまで何が入っているのかわからない。 福袋の「福」の字になにやら期待をかけ、手にはしてみたものの……。 まったく、これは人生そのものではないか。 普通の人々の日々を、その日々のなかで起こるささくれのような できごとを、絶妙なダーティーさで切りとっているのが 角田さんらしい作品だ。 しかつめらしく「なぜ生きる?」というような問いかけは一切ない。 煩雑な日常のなかでもがく人の暮らしをざっとなぞり、 苛立ちやのめりこんでいく気持ちや、相手との齟齬を浮き彫りにするのだ。 時には笑いも涙も愛もレリーフのように刻まれた物語。 しかし、人生はまあこんなもんだよ、なんていうおざなりな目線はない。 そこが、角田さんらしい。 あまり好ましくない状況に遭ったとき、人が抱える諸々の逡巡を描いて リアルだ。その心から思いもよらないことどもが見え隠れする。 囚われていた心が泳ぎ出す瞬間がある。 そこがおもしろかった。 「イギー・ポップを聴いていますか」「白っていうより銀」の2篇がとりわけ 好きだった。 | ||||
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誰もが普通に幸せな人生をおくりたいのに、まあ、できない。それなりの生きがいをみつけたいのに、かけがいのない家族たちと仲良く暮らしたいのに、平凡でも楽しい夫婦生活や子育てがしたいのに、そして、自分の一番好きな人とずっと一緒にいたいのに、できない。 これといっておもしろいこともないまま日々は過ぎていくのだし、親しいはずの関係にはいつしか亀裂が入るのだし、家族やパートナーは自分の思いもよらないような彼(女)らだけの世界をつくって、どこか遠くにいってしまったり、近くにいても、どこか遠くにいるような感じがしてしまうことになる。 そんなよくある幸せ未満の人生たちに、突如、「何か」がやってくる。そしてその「何か」のせいで(おかげで)、自分のこれまでの生き方が新しい視点から見直され、自分のこれからの生き方がわずかながらも想像される、そんな感じの物語が複数取り揃えられた、連作短編集である。 この「何か」をめぐる「すったもんだ」を通して、それまでの不満系の状況は、特に大きく変化するわけでもないが、「幸せ/不幸せ」では語れないような、別の意味をもっているように思われてくる。そのかすかな認識の変化の過程を、様々に追体験することで、読者の人生にも新しい見方が訪れる、かもしれない。 ああ、この今の上手くいかない状況も、あるいはそう考えたらいいのかなあ、てな感じで。 | ||||
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角田さんの新作。表題作『福袋』をはじめとする短編8話から成り立ってます。 ダンボール箱を無理矢理預けて行く「箱おばさん」。預けられた方、中味が死体や爆弾ではないかとハラハラドキドキ。自宅の玄関前に置いてあった紙袋の中味は、ビデオだった。果たしてどんな内容のビデオなのかという「イギー・ポップスを聴いていますか」。突然、通りすがりの人に赤ん坊を預けられしまう男女のお話「白っていうより銀」。ちょっと浮いた存在の長谷川さんとの彼氏談義「フシギちゃん」。母が残した遺言は、突拍子もないものだった「母の遺言」。離婚することになった夫の本当の姿とは…。夫の同会に潜り込み新たに発見したこととは「カリソメ」。恋愛の縁に恵まれなかった男女が同棲する所に迷いこんだ犬が見せるこれからの家庭生活を彷彿させる「犬」。失踪した兄を見つけに行くことにそこからはじまる「福袋」。 短編ながら8話ともに登場人物達の人生の深さを感じさせる内容でした。それは時には笑いありそして時には、なにが出て来るから分からない「福袋」のようです。奥深くシミジミと感じる所がある作品だと思います。 | ||||
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