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悲の器



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悲の器の評価: 4.39/5点 レビュー 28件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.39pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全28件 21~28 2/2ページ
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No.8:
(4pt)

2番じゃ駄目なんですか

主人公より優秀であり、学者としての評価が高く、夫婦仲がこの上なく良い法律家という登場人物が一人いれば、と感じた。
論理的な人間という自己像を持つ者への哀れみかな。
悲の器―高橋和巳コレクション〈1〉 (河出文庫)Amazon書評・レビュー:悲の器―高橋和巳コレクション〈1〉 (河出文庫)より
430942001X
No.7:
(2pt)

若いとき憧れていた作家の本を読んでみました、

内容は、自分の被雇用者を性的対象にしてもめる、という語るに何とも情けないはなしでした。司法会、大学業界のことはよくかけていますが、
読んでいて気持ちの悪くなる話でした。何かのアイロニーかなともおもったが、何が「非の器」だい、汚い下半身の話を大層な量に膨らませましたね。まったく金井美恵子を読んで明るく(明るい男女の関係)口直しをしました。
悲の器 (新潮文庫 (た-13-1))Amazon書評・レビュー:悲の器 (新潮文庫 (た-13-1))より
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No.6:
(5pt)

格調高い

知識人、教養人を自負している者の奢りを捉えている好著です。
ラスト数ページの主人公の心情描写が私は好きです。
悲の器―高橋和巳コレクション〈1〉 (河出文庫)Amazon書評・レビュー:悲の器―高橋和巳コレクション〈1〉 (河出文庫)より
430942001X
No.5:
(5pt)

その時代の…

学生時代によく読まれていた作家ですが、ようやく再文庫化されてうれしい限りです。
高橋和巳特有のくどい表現・主人公の過剰な饒舌さはありますが、著者の代表作でしょう。

今でも3年に1度くらいの割合で読み直しています。

法律の大家が「家事を切り盛りした女性(家政婦)に訴えられる」という、一見ありそうもない
題材で、主人公(大学教授)が心情を吐露し続ける小説。
過剰に露悪的な主人公の心の動き。
この点で嫌になる読者も多いでしょう。
たしかに、この小説は決して一般受けするものではありません。
ただ、著者の生きていたい時代の空気はよく感じられます。
他の著作が直接「その時代の政治」を語るかわりに、この小説では「その時代のインテリ」を
語ります。
読み様は様々でしょうが、私は、学園闘争時代にあえて「象牙の塔」の学者のイメージを反転させた
小説と読み解きます。
「閉じこもる学者」ではなく、「社会に発信することを義務とする学者」の無残な、しかし信念を
貫こうとし、失敗した学者。  かようなことを描けた人はあまりいないのでは。

著者自身の姿が重なります。
高橋和巳自身は、あの「政治の時代」に積極的に学生との対話をし続け、研究室を開放し、
政治と学問との関わりを考え続け行動した学者です。
先輩が言うには「最後は学生との相互の信頼感が少々薄れた」ようですが。
また、著者の妻の弁では「人の気持ちが分からない人」と、当時の薄給の学者なのに学生と
飲みにいくと言って金を使い切ったり、「政治的に正しいと思うことを主張しながら」
「家を顧みることがなかった」ようです … なんか戦前の共産党の「ハウスキーパー制」を当然とした
旧左翼と似てます。(←考えすぎかな)

まあ、「近代インテリゲンチャ」の懊悩でしかないのかもしれませんが、一度お読みください。

閑話 他の方の書評にあったアーレントの「公と私」とは、彼女の著作=「人間の条件」の中での、
   「Labour(Labor)・Work・Action」のことでしょうか?
   もしそうであれば、アーレントの言う「Action」とは意味がかなり異なると思うのですが????
悲の器―高橋和巳コレクション〈1〉 (河出文庫)Amazon書評・レビュー:悲の器―高橋和巳コレクション〈1〉 (河出文庫)より
430942001X
No.4:
(3pt)

中高生の諸君は読んだ後に気持ちが落ち込まないようにご用心

私は高校2年の時に、それは1975年なのですが、
高橋和巳の『悲の器』、『憂鬱なる党派』などを
読み、そのとき非常に強い印象を受けました。

しかしながら、これらの作品を読んだ後、
これらの作品の描く世界にはあまりに救いがないので
自分がこれから入っていく大学の世界や実社会が
とても希望や救いのない暗いところなのだなと
その後何年間も憂鬱な気分にとらわれた経験があります。

もし、中高生の方が高橋和巳の上記の作品を読むときには
決して現実の世界は、彼の描くほど暗い世界しか
ないわけではないことをわかっておいていただきたいと
思います。

自分が前向きに現実と格闘し続けるならば
必ず明るい世界も見つけることができると私は
自分の経験に照らし合わせた上でそう考えます。
悲の器―高橋和巳コレクション〈1〉 (河出文庫)Amazon書評・レビュー:悲の器―高橋和巳コレクション〈1〉 (河出文庫)より
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No.3:
(5pt)

是非読んで下さい

21才大学生の若僧としてのレビューです。
邪宗門とは違い法学という著者の専門分野ではない舞台で、現代の法学に通じた読み手によってこの本を読むことは、学説としての正さというのは小説として域を越えないかもしれないが、読む価値は必ずあります。何世代か前かのインテリゲンチャの苦悩の表現が、大学というを存在を当然のようにする現代の若者が全てを理解出来るかと言ったら、きわめて難しい。ただ私自身が年をとり、社会的な地位が上昇するに応じ登場人物(特に主人公)の苦悩というのは現在よりも受け止めることが出来るのではないか。また、自分が年をとってから、読み直したいものである。邪宗門を高橋作品として読んで以来、高橋和巳という人物に対して興味が沸いたが、高橋作品の多くは廃版になっており、入手がヤフオクなど限定的。最近の娯楽小説もよいが、たまにはこのような堅苦しい本も文庫化で復活してほしい。
悲の器―高橋和巳コレクション〈1〉 (河出文庫)Amazon書評・レビュー:悲の器―高橋和巳コレクション〈1〉 (河出文庫)より
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No.2:
(5pt)

おのれと愛の羂に誑かされ悪業を作りて、いま悪業の報いを受くるなり

『悲の器―高橋和巳コレクション〈1〉』です。
文庫ですが、ページ数があって厚めです。また、一ページあたりの文字数もかなり詰まっていますし、文体、内容も重厚で難解なので、読むにはかなりの体力と気力が要ると思います。
第一回文藝賞受賞作ですが、近年の受賞作綿矢りさとか三並夏とかいった読みやすく分量も少ない作品とは全く傾向が違います。
内容をかいつまんで言いますと、法学の権威であるエラい大学教授がメイドさんとヤっちゃったはいいが、婚約不履行で訴えられてしまい、若くて萌える婚約者もいたのに、破滅への道をたどってしまう、というものです。かいつまみすぎですが、間違ってはいないと思います、たぶん。

法曹界に関する専門知識がどうなのかについては素人では検証のしようもありませんし、あくまでもフィクションである小説であるからにはする必要もないのでしょうけど。
専門ネタが法学ものということもあって、内容はかなり難しいですし、生半可な頭脳では内容を理解することすら困難なのですが、文章自体が固めでありながらも表現が豊かなので、読んでいて退屈はしませんでした。
巻末には埴谷雄高と松本侑子のエッセイという形の解説があります。

難しい解説ができるほど、本書の内容を理解できたわけではありませんので、簡単に済ませますが。
確かに作品全体から、価値観の古さやぶっちゃけて言えば左がかった臭いが漂ってこないではありません。だから、分厚くて難解でもあるこの作品は今後は忘れられて行く一方なのでしょうけど。
戦中から戦後にかけての知識人の立ち回りなど、みどころも多く、読み応えはあるのではないでしょうか。面白いと思うかどうかは、もちろん読者次第ではありますが。
悲の器―高橋和巳コレクション〈1〉 (河出文庫)Amazon書評・レビュー:悲の器―高橋和巳コレクション〈1〉 (河出文庫)より
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No.1:
(5pt)

未だ復権しない傑作モダニズム小説

ポストモダン小説理論の登場と共に、「全共闘世代の作家」として抹殺された高橋和巳の、事実上のデビュー作であると同時に最高傑作。
 師と仰ぐ埴谷雄高は、本作から後の彼の軌跡を「だんだん小さくなる。文学が向かうのは無限大でなければだめだ」(鶴見俊輔「埴谷雄高」)と好意的にではあるが揶揄し、柄谷行人は「下手な小説家」と一蹴する。柄谷をはじめとする近時の文芸評論家からみて、本作品が低い評価しか受けない理由は明白である。彼の小説には、テクスト分析の格好の対象となる「空白」が少ないからだ。「作者の死」というテーゼは、作者の情念が濃厚に書き込まれている本作では有効に作用しないだろう。
 多様な解釈を許す小説ほど面白い、というイデオロギーでは、彼の小説に相対することはできない。というのは、ひとつの理由として、彼の小説の力は、例えば本作品で言えば、「正木厳法学説」などの学問的フィクションが小説の内容と深く拘っていることを挙げておきたい。さらに一言すれば、本作品に即して言えば、高橋和巳がこの「学説」を考案するに当たり大きく影響を受けたのが、ポストモダニズムが一つの克服の対象としたフッサール現象学であることも、この作品の評価をさらに下げている理由であろう。
 小説というものは、いくら緻密に書こうとも、読者の読みはいくらでも変わってくるものである。たとえば、一つの提案として、ハンナ・アーレントの「公と私」という概念から本作を見直してみることもできよう。主人公の正木にとっては、私生活とは公人正木典膳にとって、どういう関係にあったのだろうか、など。
 再び高橋和巳が広く読まれるような時代は到来しないであろうが、心ある読者には読みつがれて欲しいものである。
悲の器―高橋和巳コレクション〈1〉 (河出文庫)Amazon書評・レビュー:悲の器―高橋和巳コレクション〈1〉 (河出文庫)より
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