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地の骨



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地の骨の評価: 3.50/5点 レビュー 8件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.50pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全4件 1~4 1/1ページ
No.4:
(4pt)

愛憎ない交ぜで堕落していくインテリたち

清張はとことん大学の先生たちを貶めた。学生に見せる落ち着いた知のエキスパートたちの欲得づく、女好き、黒い心等々の面の皮を見事に引っぺがした。高邁な学問に打ち込むのではなく金、女、地位の獲得に邁進する。その為に一途に考えを巡らす様が滑稽でもあり笑いを誘う。結末は悲惨というよりも愚かしい人たちを読者は嘲笑いたい。まさに清朝は彼らを貶めた。誰ひとり感動的な人間が登場しない。世の中は総じて喜劇と化した。純粋な学生たちに少しの希望を残して。
地の骨 上 (カッパ・ノベルス)Amazon書評・レビュー:地の骨 上 (カッパ・ノベルス)より
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No.3:
(5pt)

川西=金子信雄の映像化が観たかった

自分の中で清張作品がちょっとしたマイブームである。
急に日本語で書かれた小説が大量に読みたくなったが、かと言って最近の大衆迎合の寝言のような小説は気が進まない。そこで、思い出したのが松本清張。冷静な現実認識のひんやりした感じが逆に心地よいのだ。
そう思って立て続けに何作か読み始めたが、あれ予想と違う。気楽に読める今のエンタメに近い作品もあれば、(「目の壁」「Dの複合」)ロマンティックな純愛小説もある。(「波の塔」)古くからのファンには鼻で笑われそうだが、こちらの想像以上に幅広い作風の作家だったようだ。
どうも、子供の時読んだ「鬼畜」の印象が強すぎたらしい。小市民が妙なスケベ心を出したばっかりに破滅への道を突き進む―みうらじゅんの言う所謂“清張地獄”は確かに清張作品の特徴の一面を捉えているのだが、あくまでも一面でしかないのだ。
上述の作品以外に驚いたのが、殆どコメディと言ってもよいようなものがあること。「わるいやつら」の主人公の間抜けぶりは喜劇としか言いようがないし、「黒革の手帖」の結末は完全にブラックユーモアである。そして、この私大の内紛劇を描いた「地の骨」などは清張作品の中で最もコメディ色の強い作品であろう。主人公の大学教授川西のキャラがいい。どこの大学でもこういう早々に学問の世界で業績を挙げることに見切りをつけ、“政治”に走る教員がいるものであるが、そのカリカチュアに見事に成功している。読んでいるときは、生前の金子信雄に演じさせればさぞ面白かっただろうにと思えてならなかったが、読後ふと思ったのが案外これは作者自身の自己投影ではないかということ。俺が大学研究者の世界に身を置いたならこんな風にしたたかに立ち回ってやるぞ―松本清張と言う人はそんな自己劇画さえ出来るような稚気溢れる人だったような気がするのだが、果たしてどうであろうか。
残念なのは、冒頭の入学試験紛失のエピソードが大して重要な役割を果たしていないことと、清張作品全般に言えることだが文章がきっちりしすぎていること。全く無駄のない、折り目正しい文体は清張作品の大きな魅力ではあるが、この手の作品にはもう少し諧謔味が欲しい。そうであるなら更に作品の普遍性が高まったような気がする。もっとも、こんなことを言うと、それは俺の意図と違うぞとあの世においでの著者に怒られそうだが。
ドタバタ色が強すぎて「砂の器」のような真面目な作品を好む読者には受け入れがたいかもしれないが、個人的には全清張作品の上位に入る傑作。おすすめ。
松本清張全集 (16) 地の骨Amazon書評・レビュー:松本清張全集 (16) 地の骨より
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No.2:
(5pt)

学者に期待される人間像

私立大学の裏口入学について記された作品。

日本では医大への入学で、必ずしも公正とは言えない現実が明るみに。

そして、学者には、私生活でも社会から尊敬されることが期待される。

この作品で描かれた内容は永遠の命題。
本作には時代を超えた普遍性がある。
松本清張全集 (16) 地の骨Amazon書評・レビュー:松本清張全集 (16) 地の骨より
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No.1:
(5pt)

松本清張全集(16)

個人読書履歴。一般文学通算30作品目の読書完。1973/07/15
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