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(短編集)
1950年のバックトス
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1950年のバックトスの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.18pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全11件 1~11 1/1ページ
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23本を収める短編集。 寓話的というか、ショートショートのような味わいだ。内容はホラー、ミステリ、ほのぼのとさまざまで、著者の引き出しの多さを感じさせられた。落語調で書かれた「真夜中のダッフルコート」など、なかなかのものだ。 印象に残ったのは、「百物語」。いい話なのかと思ったら、最後に恐怖のどん底に突き落とされる。 それから「万華鏡」。こちらはホーかと思いきや、ほのぼのした結末。 こういう読者の予想を裏切るような展開が上手い。 | ||||
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北村薫さんの作品は、日常ミステリーの「円紫師匠」シリーズと「詩歌の待ち伏せ」シリーズしか読んでいなかったのですが、こういった「普通」の小説もいいですね。なかには叙情的すぎてよくわからないのもありますが、名品ぞろいです。 蛇足ですが、私のごとき関東の人間にとって、大阪の「茨木」も「イバラキ」と読むことがわかって、雑学もアップ。 | ||||
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超短編も含む23編を集めた短編集。 うーーーん、なんというか、いまいちぴんと来ません。『紙魚家崩壊』もそうだったが、全般的に奇妙な味に分類されるであろう短編が多いからか。 たぶん結局、個人的に、話が途中状態で宙ぶらりんでおわる(ようにみえる)話があまり好みでない、ということかも。 一方で、表題作の「1950年のバックトス」は面白かった。これはちゃんとしたお話なんですよね。応援の親たちの振る舞いがなんとも微笑ましい。謎の伏線も多数張ってある。舞台転換の直前までは、なんでそういう伏線なのかわからなかったのが、おばあちゃんの一言で一気に解けて納得する。よくできた短編ミステリなんですよね。しかも感動の挿話付き。北村薫らしい楽しい一品になっています。 他の作品とのギャップが大きくて、なんとなく消化不良な気分です。まあでも、表題作を読むためだけに買っても惜しくない、のも確かです。 | ||||
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「人生の時間を彩る23篇」とオビにあるとおり、北村薫さんが切り取ったさまざまなシーンが ちりばめられている。 もったいない、もったいないと思いつつも、読むのをやめられずページを繰った。 語り口もさまざまで、読み飽きない。 落語調のサゲがあり、ぞくっとくる恐怖があり、しみじみとした秘めた思いがあり、 駄洒落のオンパレードあり……。 北村薫さんの世界にどっぷりひたる幸せを堪能した。そうとしか言いようがない。 個人的には、私は、「凱旋」「ふっくらと」「小正月」「林檎の香」「ホタテステーキと鰻」のような しみじみとした話が好き。でもやっぱり、本のタイトルに採るだけあって、 「1950年のバックトス」がいちばん胸にしみた。時をへて巡り会う奇跡とでもいえようか。 切なくもあたたかい気持ちにさせられた珠玉の一篇。 | ||||
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二十三篇の、様々な内容の短編集。 表題作「1950年のバックトス」も読み応え十分ですが、「万華鏡」の出来は素晴らしいです。 「万華鏡」は、小説の登場人物に恋するという、ありそうな内容ですが、結末部分が秀逸で、 その余韻の味わいに、ゾクゾクとする感覚が湧き上がるのを、禁じ得ませんでした。 「恐怖映画」は、ある現実主義者の話ですが、示される現実主義とは、案外脆いものなのかも? あくまで、収録されている作品から受ける印象ですが。 「凱旋」も傑作です。 戦時中の、ある辞世の句を取り上げ、色々な角度から解釈を加える、深い内容の作品です。 それぞれの作品はごく短いのですが、その分、すっと物語に入り込む事が出来ます。 しかし、それぞれの作品には、「独特の」余韻があり、抜け出すのが容易ではありません。 それらは「温かい」余韻という言葉は適当ではなく、しかし、けっして殺伐とはしていません。 「独特の」余韻としか、表現しにくい、不思議な感覚です。 眼ではなく、心で読む、珠玉の二十三篇です。 | ||||
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孫の翔太の顔を見にやってきた節子おばあちゃん。ちょうど 翔太の野球の試合があり、一緒に見に行くことになった。野球の ルールなど知らないように見える節子さん。だが、彼女には意外な 過去があったのだ!表題作を含む23編を収録。 さまざまな短編がちりばめられた作品。日常の中のちょっとした 恐怖を鮮やかに描いたもの、時を越えてよみがえる懐かしい日々を 描いたもの、家族のふれあいを描いたものなどなど・・・。特に 印象に残ったのは表題作の「1950年のバックトス」と「包丁」だ。 前者は時を越えた感動があった。後者は包丁にまつわる話を、日常に 潜む怖さとからめて描いている。ほかにも興味深い作品がいろいろある。 どの短編も作者の文章力や表現のうまさが光っている。バラエティに 富んだ内容で、いろいろな味が楽しめる作品だった。 | ||||
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古くは1995年から今年にかけて各誌で発表された23編を集めた短編集です。 底冷えさせるホラーの佳品(「百物語」「雁の便り」「包丁」)もあれば、幻想の世界に遊ぶ小品(「万華鏡」)もあり、また女性らしい心の機微を飾らず描いた絶品(「雪が降って来ました」「林檎の香」)もあるといった具合に、ここに収められた作品の顔ぶれは実に多種多様です。 分けても北村薫の面目躍如といえるのは、先達の著した書籍との特異な出会いによって生まれる作品の数々です。 「凱旋」は伯父が遺した手記にあったある詩編をめぐる物語です。 「我死なば鯉幟をば立てよかし 凱旋したることのあかしに」という歌の「凱旋」という言葉に込められた言葉の解釈一つで物語の印象ががらりと変わるというこの短編は、日常にささやかなミステリーが潜む様を描くのに巧みな北村薫らしい一編です。 そして私が最も気にいったのは「アモンチラードの指輪」です。 俊平の祖父はワイン業を営んでいました。ある日彼は知人から、ある小説に出てきた「アモンチラード」という酒のことを聞かれます。このことがきっかけとなってやがて祖父と祖母の間にささやかな、しかしぬくもり溢れる絆の物語が生まれるのです。 俊平の祖父に尋ねごとをしたその知人が読んだ小説の名は明確には触れられません。しかし、「アモンチラード」という言葉で真っ先に思い浮かぶのはあの「アモンチラードの樽」ではないでしょうか。古今東西のミステリー小説に通暁している北村薫のことですから、エドガー・アラン・ポーの残酷な復讐譚「アモンチラードの樽」を念頭に置いてこの「アモンチラードの指輪」を書いたとする私の想像は突飛ではないと思います。 ポーの怪奇譚が遠因となってこんな小粋な夫婦愛の物語が誕生したのだとしたら、それこそ北村マジック。 そんな素敵な想像のひとときを与えてくれたこの一冊を、私は大いに楽しみました。 | ||||
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北村薫さんの作品は、短編ミステリーを2編しか読んでいない私。 なので、この1冊はとても得をした気分になりました。 収録されている23編は、ミステリーだけでなく、ほのぼのとしたり、 思わず笑ってしまったりと、いろいろ味わえるのです。 1995年から2007年まで、小説新潮初出を中心に構成されています。 年月による味わいの違いも楽しめます。 やはり表題にもなっている『1950年のバックトス(2006年初出)』は、ピカイチです。 女子プロ野球が戦後まもなくに編成されていたなんて初耳でした。半世紀を超えた再会は心にしみます。 他に、大人になった主人公に合わせた実物大で、昭和30年代の町を再現した『昔町(2000年初出)』、 駄洒落好きの主人公とその旦那さんを描いた『洒落小町(2001年初出)』、 カーナビの「声」の仕事をする30代の女性の心の動きを追った『林檎の香(2007年初出)』 が、好きな作品です。 短編ばかりなので読みやすく、北村薫さんが初めての読者でも、その魅力が味わえると思います。 | ||||
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「人生の時間を彩る23篇」とオビにあるとおり、北村薫さんが切り取ったさまざまなシーンが ちりばめられている。 もったいない、もったいないと思いつつも、読むのをやめられずページを繰った。 語り口もさまざまで、読み飽きない。 落語調のサゲがあり、ぞくっとくる恐怖があり、しみじみとした秘めた思いがあり、 駄洒落のオンパレードあり……。 北村薫さんの世界にどっぷりひたる幸せを堪能した。そうとしか言いようがない。 個人的には、私は、「凱旋」「ふっくらと」「小正月」「林檎の香」「ほたてステーキと鰻」のような しみじみとした話が好き。でもやっぱり、本のタイトルに採るだけあって、 「1950年のバックトス」がいちばん胸にしみた。時をへて巡り会う奇跡とでもいえようか。 切なくもあたたかい気持ちにさせられた珠玉の一篇。 | ||||
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ふっと背筋が寒くなる話、なつかしい香りのするノスタルジックな話、家族の心の絆を描いた話など、全部で23の掌篇、短篇が収められています。いまいち話の面白味が分からない掌篇がいくつかありましたが、全体の雰囲気は、緑茶の香りを漂わせた品のあるもの。怖い話にしても、心にしみじみしみてくる話にしても、北村薫印ともいうべきしっとりとしたたたずまいが息づいているように思われました。 なかでも、ぶっちぎりで気に入った短篇が、表題作「1950年のバックトス」。冒頭、母親が見守る少年野球の話が、ある人物の登場からこっち、ぐんぐんと素敵な話に変わっていくんですねぇ。それはまるで、さっきまで真っ白だったスケッチブックの紙の上に、青い空が広がり、生き生きとした絵が描かれていくのを眺めているかのよう。エンディングの光景に、目頭が熱くなりました。 「包丁」の、ひやりとするホラーの味。「昔町」の、なつかしいノスタルジア。「雪が降って来ました」の、ほっこりしたあたたかみ。この三つの短篇、掌篇も、なかなかいい味わいだったな。見開き二頁に、都筑道夫、宮部みゆき、秋月りすの名前が出てくるところにおおっ!となった「真夜中のダッフルコート」も、北村薫のくつろいだ筆致が楽しかった。そのほかの収録短篇は、以下のとおり。 「百物語」「万華鏡」「雁(かり)の便り」「恐怖映画」「洒落小町」「凱旋」「眼」「秋」「手を冷やす」「かるかや」「百合子姫・怪奇毒吐き女」「ふっくらと」「大きなチョコレート」「石段・大きな木の下で」「アモンチラードの指輪」「小正月」「林檎の香(か)」「ほたてステーキと鰻(うなぎ)」。 作品の初出は、「小説新潮」をはじめとする月刊誌ほかに、1995年〜2007年にわたって掲載されたもの。玉石混淆の小品集でしたが、表題作と出会えた、それだけで読んだ甲斐があった一冊。 | ||||
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1990年代中盤から今に至るまでに発表された短編がまとめられた一冊。 いろいろな趣向があり、著者のテクニックの妙が溢れている。 また長い期間にかけて発表された作品なので、 やはり一冊の中で作品の匂いも微妙に変わっているのが面白い。 | ||||
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