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避雷針の夏
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避雷針の夏の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.55pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全1件 1~1 1/1ページ
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【注意:多少ネタバレを含みます】 他の方のレビューにもある通り、 この作品に出てくる登場人物は基本誰一人として好感が持てない者の集まりである。 もちろん作者もそれを狙って書いているのだろうが、序盤はまだ主人公(?)である梅宮の 『紳士を装いながらも常に誰かのせいにして面倒から逃げ続ける姿勢』など、 いわゆる「あー、こんな人いるいる」や「あー、あるある」という 身近な例の共感からくる嫌悪感や恐怖を覚えることができるのだが、 それ以降――序盤終わり辺りから出てくる人物全員が人間の”負”と”悪”の側面『のみ』を抽出し強調したような 造形をしているため、「いや、さすがにこんな奴いねーよ」や「ないない。さすがに盛り過ぎ」といった 二、三歩引いた視点でその人物たちの言動を見るようになってしまうため、 現代日本を騙った別世界を見ているような気分になってしまった。 一部(本当に一部)例を挙げると、 『祭りの夜、町隅にある一軒家に押しかけて女性を暴行したあげく放置して帰る男衆』 『その出来事を無かったことにしようと↑の被害者の女性を脅迫する警察&町議』 『猫の生皮を飼い主である少女の前で剥ぎ取る親父』 『↑そのショックで失神する少女。恐慌状態に陥る現場で平然とその少女と猫の死体をスマホで撮り去る者ら』 『憂さ晴らしに町中の猫の手足を切断しダルマにして周る青年』 『とある家に押しかけてそこの娘を襲う計画を、↑の青年と共にノリノリで立てて実行する若者たち』 『とある女学生をイジめる過程でアレルギーがある食べ物(命に係わるレベル)を無理矢理口にさせようとする学生ら。それで不登校になっても助けるどころか「学校をさぼるとはなにごとだ」と激怒する両親』 等々。 こういった事象を平然と起こす者ら『しか』出てこないため、 途中から読んでいて「嫌な町だなぁ。こんなとこ住みたくないなぁ」とかそういったことではなく 「ここはどこでいつの時代なのよ? 本当に現代日本?」という感想しか覚えなかった。 いくら何でも『他所が介入しにくい田舎町だから』『村八分にされてる存在だから』で物事を片付けすぎである。 クライマックスに至る流れも、 この人間の”負”と”悪”の側面(あと酒と勢い)に頼り切った過程しか踏まないため無理筋にしか見えず、 なんの説得力も現実感もなかった(本来その無理筋に説得力を持たせる役割であるところの少女らについても、具体的にどんな計画を立ててどんな動きをしてきたのかという肝心な部分がほとんど描写されないため、「結局なんだったんだ」としか思えなかった)。 エピローグもほんの6ページ程で、しかも只の事後報告で終わってしまうため読後感も悪く、 総じてただただ不満とフラストレーションが溜まる作品だった、と残念ながら言わざる終えない。 | ||||
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