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(短編集)

詩人と狂人たち (ガブリエル・ゲイルの生涯の逸話)



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詩人と狂人たち (ガブリエル・ゲイルの生涯の逸話)の評価: 3.88/5点 レビュー 8件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.88pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全8件 1~8 1/1ページ
No.8:
(4pt)

ミステリではないけどキャラクター文芸としては秀逸

訳者の力量なのか、原作者の創作傾向なのか不明だが文章や発言がわかりづらく、ダレるところもある。
また、ミステリとして扱われてるが、いわゆる本格ではなく犯人の動機に焦点をあてる変格もの。
ミステリとして読むと普遍的な説得力に欠けると判断せざるを得ないが、それを補って余りある物語の特異さと、詩人である主人公が彼独特のロジックで論理的に事件を究明していく様は、「詩人と狂人たち」というタイトルにふさわしいトリッキーで幻想的な物語になっている。
第一話と最終話につながりがあり、シリーズとしてスッキリしているのも、ちゃっかりロマンス要素を入れてるのも好印象。
詩人と狂人たち (ガブリエル・ゲイルの生涯の逸話)【新訳版】 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:詩人と狂人たち (ガブリエル・ゲイルの生涯の逸話)【新訳版】 (創元推理文庫)より
4488110126
No.7:
(5pt)

人物観察に重点を置いた

大変に面白かったので、低い評価が残念であり、自身の覚書ついでにレビューを書いておく。
文章は、翻訳小説だから(翻訳者の責任に帰する)というより、チェスタトンの豊かな比喩や諧謔表現を駆使した言い回しを読み解きながら読み進める必要があるため、当節の平易な文体に慣れた読者にはややとっつきにくいかもしれない。
内容は、『詩人と狂人たち』とタイトルにあるように、「自分は狂人の思考をトレースできる」と主張する詩人ガブリエル・ゲイル(探偵役)と狂人たち(犯人とは限らない)とのやり取りを描いている。8編の短編ミステリが収められているが、実際のところ、犯人よりも探偵役のほうが狂っているのではないか、いやとうとう狂った、奇天烈だ、とガース博士ら登場人物(と読者)に心配されながら、その真相が収まるべきところに収まるスカッと感がこの小説の読みどころではないかと思う。またその解明も、物理的に可能かどうかはもちろん、狂人たちがなぜそのような行動をとったのかの解明に重点が置かれており、つまりはタイトル通りだ。
こう書くと、ありがちなミステリじゃないかと思われそうだが、狂人の造形について今節の(ありえない)キャラクター作りとは一線を画しており、「自分もこういう心理状態の時が確かにある」、或は「こういう人、確かにいるな」と、思わずその人間観察眼に感心してしまうのも読みどころである。
詩人と狂人たち (ガブリエル・ゲイルの生涯の逸話)【新訳版】 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:詩人と狂人たち (ガブリエル・ゲイルの生涯の逸話)【新訳版】 (創元推理文庫)より
4488110126
No.6:
(3pt)

チェスタトンはずっと中村保男の訳で読んできたので少し戸惑った。

恐らく、これは自分自身が南條 竹則の訳に慣れていない所為もあるのであろうが、中村氏と比較して若干読みにくかった。
ブラウン神父シリーズ、ポンド氏の逆説、木曜の男とこちらは全部、中村氏の翻訳で読んできて、南條氏の翻訳はほとんど読んだことがなかったので読み終えるのにやや戸惑った。
個人的には、チェスタトンの短編集の中ではいまいちぱっとしないイメージがあり、唯一自分が好きだったのが、黄色い鳥と石の指だ。
石の指はチェスタトンお得意の逆説が光っており、ブラウン神父シリーズの中に収録されていても何の不思議もない出来。
鱶の影はこの作品、唯一の本格であり、しかも、足跡のない密室を取り扱っているのですが、少々無理矢理な感じがし、個人的にはいまいち好きになれなかった。

今度、ポンド氏の逆説が南條氏の訳で出るそうであるが、こちらも一応購入して、中村氏との訳と比較するつもりである。
詩人と狂人たち (ガブリエル・ゲイルの生涯の逸話)【新訳版】 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:詩人と狂人たち (ガブリエル・ゲイルの生涯の逸話)【新訳版】 (創元推理文庫)より
4488110126
No.5:
(2pt)

少し物足りない

一話一話は、あまり目新しくもなく。
もう一捻りありそうでない感じがもどかしい。
詩人と狂人たち (ガブリエル・ゲイルの生涯の逸話)【新訳版】 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:詩人と狂人たち (ガブリエル・ゲイルの生涯の逸話)【新訳版】 (創元推理文庫)より
4488110126
No.4:
(3pt)

”探偵”さんが天才過ぎて・・・

短編なので、どれも流れが早いです。
牧歌的な場面が描写されてるな~と油断してると、
次には死体が転がってる記述になるので、軽く衝撃を受ける。
そして、”探偵役”が自分が犯人かの如く、瞬時に謎解きを始めるので面食らう。

なにかの解説でこれに言及してたことで、読んでみようと思ったのですが、
それが何か忘れてしまって、どこが着目すべき点だったのかも失念。
ちゃんとメモしとかないと駄目だなぁ~という顛末でした。

にしても、文体が堅すぎてめちゃくちゃ読み進めるのが辛かったです。
もちょっと訳しようはなかったのでしょうか。
詩人と狂人たち (創元推理文庫 M チ 3-8)Amazon書評・レビュー:詩人と狂人たち (創元推理文庫 M チ 3-8)より
4488110088
No.3:
(4pt)

チェスタトンの思弁や「ブラウン神父」シリーズを味合うための貴重な作品

「ブラウン神父」シリーズに先立って発表されたチェスタトンの短編集。主人公を務めるるのは天才詩人・画家にして、狂人を自称すると共に狂人の理解者を標榜するガブリエル・ゲイル。8つの短編が収められているのだが、各編はミステリの短編と言うよりは、作者の思弁を披露するための題材と言った趣きが強い。

ゲイルの逆説的振る舞いや言辞は、後のブラウン神父を彷彿とさせるものがあるが、上述した通り、纏まったミステリの短編を提供すると言った意図は薄いようである。一見奇矯に見えるゲイルの言動を通して、現代(当時)社会の皮相なものの見方の批判、神秘現象・迷信の様な非科学的なモノに対する合理的批判兼科学万能批判、と言った精神を披瀝したかった様に思われる。全編を通して、色彩豊かな風景描写が多いのも特徴で、詩人と言うゲイルの設定に合わせたものかも知れないが、物語の幻想性を高めている。

例えば「石の指」の奇想には驚くが、構成はミステリ的ではなく、真の合理的精神を持ちながらも、"神の摂理"は信じる、あるいは"表面的に見えるものは真実ではない"、と言った作者(=ブラウン神父)の思索が込められている様に思う。作中「鱶の影」、「紫の宝石」はややミステリ的趣向があり、「ブラウン神父」シリーズが本作の延長上にある事を示している様に感じられた。全体構成も趣向が凝らされており楽しめる。チェスタトンの思弁や後の「ブラウン神父」シリーズを味合うための貴重な作品。
詩人と狂人たち (創元推理文庫 M チ 3-8)Amazon書評・レビュー:詩人と狂人たち (創元推理文庫 M チ 3-8)より
4488110088
No.2:
(5pt)

正統とはなにか

この著者の書いたもので読んだものを挙げるとこれ以外では
「正統とはなにか」という本を10代の時に読んだ。
思想についてなんだけど単純に書かれていて読みやすいものだった。
あらゆる西洋思想と言われているものを調べ疑い、結局自分が求めて
いたのは最初に自分が立っていた場所、つまりプロテスタントの思想
だった、という話。
放浪の途上での発見が存分に発揮されていて人の心の奥深くにある
ミステリーを描くことに成功している。
詩人と狂人たち (創元推理文庫 M チ 3-8)Amazon書評・レビュー:詩人と狂人たち (創元推理文庫 M チ 3-8)より
4488110088
No.1:
(5pt)

ブラウン神父に飽き足りないあなたに

私の精神的危機を救ってくれた作品なので思いで深い。(その分、客観的になりきれない所があることは自覚しているのでこのレビューはある程度割り引いて読んで下さって結構です。)
 「人間の想像力は果てを知らずときにその枠組みを逸脱する。」
 この作品に収められた短編群のストーリーはいずれも、ある観念・論理に捕らわれてその道を踏み外した(orしかけた)人々(狂人たち)を、正気と狂気の境界に踏み止まった“詩人”であるガブリエル・ゲイルがその渕から救う(or癒すor弔う)というものである。想像の果て、思考の果て、論理の果てに狂気の口に飲み込まれそうになった者たちにとって、ゲイルの言葉は優しく重みをおびて響くに違いない。
 探偵小説に場を借りた、思想・哲学小説。(←彼の作品は押し並べてそうであるが…)
詩人と狂人たち (創元推理文庫 M チ 3-8)Amazon書評・レビュー:詩人と狂人たち (創元推理文庫 M チ 3-8)より
4488110088

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