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終わりの感覚
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終わりの感覚の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.07pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全22件 21~22 2/2ページ
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引退して静かに暮らす60過ぎの男が主人公である。ある日、見知らぬ弁護士から届いた手紙には、彼宛に日記と500ポンドを遺した女性がいると書かれていた。その女性は、学生時代の恋人ベロニカの母親で、日記は自殺した親友エイドリアンのものであった・・・男は、不思議な過去との再会に、青春時代を回想してゆく・・・。過去の時間に紡がれたサスペンスに読む者は翻弄され魅了されよう。記憶、老化、時間そして後悔についてのエレガントで落ち着いた、静かに破壊的な物語である。4度目の候補にして2011年度ブッカー賞受賞作。これは読ませる。 原題は「The Sense of an Ending」。 | ||||
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2011年ブッカー賞受賞作、新潮クレストブックス、土屋政雄訳と並べば、この小説を手にとらない理由はありません。 穏やかな生活に入った60代半ばの男性が青春時代を振り返ります。友人たちのこと、別れた恋人とのいきさつ…甘くて苦い日々。ところが主人公の男に意外な故人から1通の手紙が届いたことから話の流れが変わります。男性はその手紙をきっかけに40年以上も前に自分が関係したであろう出来事を調べざるを得なくなるのです。彼はかつての恋人に会いに行き、友人を訪ねますが、肝心のことは混沌としたままです。 こうして読者はスリリングな展開に引きずり込まれてしまいます。幾重にも張られた伏線、思いがけない展開、ラストに明らかになる驚愕の事実と、ミステリー小説としても素晴らしい出来栄えです。しかし、作者は別のテーマも提示しています。自分の過去を探ろうとすると、記憶は不確かであいまいなものだと気づかずにはおれません。果たして「私は自分の思っているような人間なのだろうか」との疑問すら浮かぶのです。ようやくたどり着いた自分の過去が他人の人生を狂わしていたと知ると味わうのは悔恨の念しかないでしょう。老いと若さ、愛と性、人生と記憶、そして死について作者は語ります。それが読む者の心に反響し、自らの半生を振り返ることを促します。何と巧みな仕掛けの小説かと驚いたときには作者の術中に嵌っていました。 英国を代表する作者の手になる優美で豊穣でサスペンスフルな小説です。小説の醍醐味を堪能できました。 | ||||
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