グローバリズム出づる処の殺人者より
- ブッカー賞受賞 (1)
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洋書はやはり翻訳家を選びますね。『ぼくと1ルピーの神様』を思わせる本書の魅力を存分引き出した先生の翻訳、まことにお見事でした。原題『ホワイトタイガー』よりもよっぽど味わい深い翻訳タイトルにも好感が持てますよ。なんたって民主主義が没する国の首相にあてた手紙なのですから。ちなみに、物語の時間経過とは異なるチャプター(1~7日目)立てには何かしら意味があるのでしょうか。まさか“地は混沌であって闇が深淵の面に”とか言い出さないですよね。 数字といえば先生、世界の4大○○○を主人公バルラムが思い出そうとして、必ず4つ目を忘れてしまうオチもなかなか意味深でした。バルラムが置かれた4つ目のカーストとなにか関係があるのでしょうか。さらにそのカーストが生業別に何千にも別れているとは驚きでした。ご主人アシュル様のピンキー奥様が起こした人身事故の迷惑料として渡された47万ルピー。こんな切羽詰まった時にもピンはねすることを決して忘れないインドという国、やはり侮れないですね。 クチバシを突っ込む?ようで申し訳ないのですが、この本が出版された時代はまさにグローバリズム勃興期、アメリカ企業がきそってインドにおいてアウトソーシングを活発化させた時期と重なりますよね。インド伝統のカースト制度が崩壊し、バラモンに代わってアメリカ人がその座に座ったといってもいいんじゃないでしょうか。そんなインドの皆さんが目指しているのが、アメリカではなく中国であるという事実がこれまたショックでした。同じアジアの我が国ではなくよりによって中国とは。法人税や営業許可、殺人罪の揉み消しまで全て賄賂でなんとでもなる国では、日本のようなきっちりしたシステムは土台合っていないのかもしれません。事故が起きても列車ごと埋めて無かったことにするダイナミズム? が必要なんですね。なんつって。 でもこの主人公バルラム、カズオイシグロの小説語り部を思わせるとぼけた口調もさることながら、白人の悪党のように冷徹になりきれないところにとってもアジア的な“情”を感じるのです。社員が引き殺した子供の家族をまるごと面倒みたり、自分が手にかけた主人の名前をビジネス・ネームに使ってみたりと、先生がよく訳していらっしゃるミステリ小説の登場人物ならそんなリスク絶対負わないですよね。中国首相に媚びを売るような悪ぶった態度も、どこか愛嬌があってにくめないキャラクターなんですよ。それもこれも、どこまでいっても惨めで貧乏な生活が骨の髄まで染みこんでいる“田舎ねずみ”だからこそ、読者の共感を呼べたのではないでしょうか。ね、先生。 | ||||
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2008年の作品です。権威ある文学賞を受賞したそうです。 著者のアラヴィンド・アディガさんは、インド生まれで、米国で英文学を学んだそうです。 驚きました。 邦題からして、B級ミステリー的な作品を想像して読み始めました。 重かったです。 貧しい、村人が、運転手になり、裕福な家族たちの為に仕事をする。 その生活の中で、 社会の矛盾が見えてきて、爆発する… 彼は、天使か、悪魔か、はたまた、単なる狂人か… インドには、驚かされる事が多いですが、この著作も、そのような驚きの1つになりました。 まだまだ、インド学習の旅は続きます… いやぁ、驚いた。 | ||||
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殺人を犯した男の告白という形式で書かれる 怒りと自信と自嘲の混じるような口調がいい。絶妙な翻訳だと思う。 ドキュメンタリーを繋ぎ合わせて作ったフィクションのようにも感じる。 インドは変わるのだろうか? | ||||
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この本を読む直前に、たまたまインドの選挙運動を追うドキュメンタリーを見た。そこでもカーストが取り上げられていて、結婚相手募集広告にも「同じカーストの女性(男性)を求ム」と書いたりするんだと知ったけど、どうも今ひとつピンとこなかった(頭が悪いせいかもしれないけど…)。だけど。この本を読んだとたん「菓子職人のカーストに生まれ、それを背負って生きる」ということがどういうことなのかを、すんなりと理解できた。仮にそこから逃れようと思うなら、ここまでしないといけないんですよ──という、そういう話なんじゃないかなぁ、この本って。器は小説だから文学作品っぽい扱いをされているけど、実は中身は新書に近いんじゃないかと思った。原題のような短いタイトルにシンプルな装丁(エアメール封筒の裏表にするとか)のほうが内容に合ってたかも? | ||||
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読み始めは、インドの実業家から中国の首相温家宝への書簡という形式に なかなかなじめず、またシニカルな文体にもなじめず、出だしの予感はかなり低め・・・。 しかし!そこを我慢して読み進めると、もうやめられない、止まらない。 グローバリズムにも(それ以前に経済にも)、世界情勢にも、インドにも 知識のない私には、たぶん肝心な部分が読み取れていないと思われるが、それでも この本には圧倒される面白さがある。 それがなんなのか? 独断と偏見で考えるに・・・ 出身の田舎の村の生活から、都会に出てお金持ちの運転手生活まで、物語の中心部分 ずっとが、現代の話であることを忘れるくらいの "むき出し感” 満載。 終盤、IT産業の街バンガロールが舞台になって、そうだった!現代の話だったっけ、と 思い出す程。 ソフィスケートされた現代日本から見ると、欲望も、憎しみも、格差もキョーレツで インドの太陽光線のように容赦がない。 ”社会主義”のはずのインドの地方選挙の実態もすごいが、大都会の高級マンションの 運転手部屋にはめまいがした。 作者はインド人の下僕根性を怒りを持って告発しているが、日本人の私から見ると お金持ちや政治家等、上に立つ人々の根性の方が驚くべき乱暴さである。 同じ時代の同じ国に何世紀分もの人間社会の営みや価値観が乱暴にぶち込まれてるよう な国、インド・・・。あっこれ小説だったっけ?小説であることも忘れてた。 | ||||
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