夢のなかの夢
※タグの編集はログイン後行えます
【この小説が収録されている参考書籍】 |
■報告関係 ※気になる点がありましたらお知らせください。 |
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点0.00pt |
夢のなかの夢の総合評価:
■スポンサードリンク
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
現在レビューがありません
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
そもそも全20人 (うち1人は架空の人物) 100ページあまりの作品なので、読後それこそ一夜の不思議な夢の集合体ような印象です。 もちろん、タブッキならではの魅力的な表現は随所に出てきます。 《どこまでお連れしたらいいんで? と御者が訊ねた。夢の終点まで連れていってもらえませんか、とペソアは応えた。》 《満足気に足を組もうとして、膝小僧がむきだしなのに気づいた、セーラー・ズボンをはいていたのだ。自分が少年になっていることに気がついて、かれはとても上機嫌だった、南アフリカを旅する少年なんてすてきだな。》 (以上「詩人にして変装(なりすまし)の人、フェルナンド・ペソアの夢」) 《いいわ、とフロイト博士は言った。あなたにいいことを教えてあげる。わたしね、今日はある女性の患者の姿を借りてみることにしたの。それでこんな格好をしているの。わたしドーラよ。》 (「他人の夢の解釈者、ジークムント・フロイト博士の夢」) どの「夢」も、ひろくゆったりとした行間隔で4ページから6ページくらい。短編とも呼べない掌編集となっています。肩の凝らない、しかし不思議な魅力をもった作品です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
タブッキ好みの作家や詩人や革命家(なぜかみな男性)が見たかもしれない夢が20篇。 何年何月何日、彼はこういう夢を見ました。夢を見たことは事実として提示されている。有無を言わせないところがいい。多くは、夢を見たあとに、過去の自分を悔いたり(でももう手遅れ)、直近の未来に決定的な出来事が待ち構えていたりする。 ランボーは、切断された自分の片脚を抱えながら、セクシュアルな体験をする。アンジョリエーリは、シエナの大聖堂で猫になっている自分を発見し、スティーヴンソンは、気がつくと天翔ける帆船に乗っている。ロートレックは、女性たちに囲まれて、背が瞬間的に伸びるのを経験する(確かに、彼に見せてあげたいような夢だ)。……そして最後の最後は夢判断の、あのフロイト。まさか彼がドーラになるとは。 どの夢も、なぜかとてもリアルに感じられる。そのリアルさに、驚きを通り越して感動すら覚える。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
現代イタリアの作家タブッキ(1943ー2012)が、歴史上の芸術家がかつて見ていたかもしれない夢を想像し作品化した連作短編集、1992年。 □ 夢にまつわる著述家というと、真っ先に思い浮かぶのは『夢判断』のフロイトと『夢の本』のボルヘスの二人。しかし、この二人では夢に関心を向ける動機、夢から先への進み方が全く異なっているように感じられる。 フロイトは、夢を性的なものと結びつけて解釈しようとする、夢を足掛かりにして人間の内部に向かって沈潜していこうとする。夢というもののなかに、夢見る当人の存在が高密度の一点として凝縮されてしまっている感がある。 それに対してボルヘスは、夢を人間の外部へと通じる秘密の抜け穴のようなものとして捉えているのではないかと思われる。人間の外部にある《永遠客体》へと通じていく回路として。それは、ボルヘスの文章を読んでいて感じる、人間のスケールを超えて時間的にも空間的にも遠くに高まっていく「高度の感覚」、その「高度」において人間が自己という一個性を消失して中空に発散していってしまうような感覚、に通じるのではないかと思う。 ではタブッキの本書。率直に言って、読んでいて想像の広がりが惹き起こされることはあまりなかった。「歴史上の芸術家がかつて見ていたかもしれない夢」の作品化という試みからして、夢へのボルヘス的なアプローチを期待して読んでしまったのだが、読後感はあの「高度の感覚」「消失と発散の感覚」とは異なるものだった。「夢」の内容が巻末「この書物の中で夢みる人びと」の略歴をなぞるようなものであったこと、いくつかの「夢」に露骨な性的描写が含まれていたこと、がその理由かもしれない。その意味では期待外れであったし、期待を裏切る面白さというのも感じることができなかった。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
青土社の1994年刊行の本を2013年に岩波書店から文庫化した本だそうです。短編集ということで読みやすいかなと思って購入しました。タブッキは初めてだったのですがカバーの絵(ピエール・ビュヴィス・ド・シャバンヌの「夢」)の昏く夢幻な感じが妙にマッチしていて、何かインスパイアされるものがあるような感じを受けました。変なたとえかもしれませんがスコッチウイスキーをピスタチオやスモークチーズをつまみに飲んでいて、オレンジ風味のビターチョコレートがいきなり出てきて、それが妙にしっくりきたといった感じです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
有名な芸術家、著述家たちの夢を創り出し物語にした作品集。それぞれの人となりを現すように創作された夢の話は、想像の世界ではあっても、ビビッドに描写されていて、とても楽しめる作品になっている。久々に良い作品に出合いました。 | ||||
| ||||
|
その他、Amazon書評・レビューが 11件あります。
Amazon書評・レビューを見る
■スポンサードリンク
|
|