逆さまゲーム
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タブッキのシュールな作風はクセになります。初期の11作品を収めた短編集。 「逆さまゲーム」はこの短編集を総括・象徴するような作品。旧知の女性マリア・ド・カルモが亡くなったという知らせを受けたため故地リスボンへと向かう主人公。道中、思い出の中のマリアの言葉が次々と浮かんでくる。生前、彼女が若い主人公に語った言葉は、どれも真摯で感動的で、彼の胸にささるものばかり。 ところがリスボンでマリアの夫に実際に会って話を聞いてみれば、現実の彼女の人生は、主人公がマリア本人から聞き知っていた人生とは似ても似つかないものだった。では、主人公の思い出の中のマリアは一体誰なの……?と読者は困惑するばかり。何なの?この眩暈 (めまい) のような読後感は? 「カサブランカからの手紙」:「オ・ビキーニョ」という名前のレストラン兼ナイトクラブに職を得た可愛い少年が、そこでの出来事を妹に手紙で知らせるという体裁の短編。この少年はまだ若いのになかなか器用で店の中では重宝されている。ホールの給仕からこの店の花形カルメン・デル・リオのメーキャップまで担当しているというからすごい。 レストラン兼ナイトクラブのこの店はカルメンという花形女性歌手の華麗なステージで持っているいるようなものだが、その彼女がある夜、楽屋でメイクの最中に病気になり出演できなくなる。もしステージに彼女が姿を見せなかったら客席は大騒ぎになるだろう。 とっさの機転で少年はみずから女装しカルメンに扮してステージに現れ美しいボーイソプラノで数々の歌を披露する。これが大当たりで、少年は客たちから熱烈な喝采をもって迎えられる。興奮した客からハグやキスまでされる。これを機に少年は身も心も女性へと目覚めるのだった。もともと心が女性だったんですね、きっと。 「芝居小屋」は主人公の男が単独で、たった一人の観客のために毎週芝居小屋にてシェイクスピアを演じるという不思議なお話。なんだかアラビアンナイトのおとぎ話に出てきそうなストーリー。最後にあばかれたこの男の正体は有名な俳優だった……。え?そんな有名な俳優がどうしてこんな猿芝居みたいなことやるの?と読者を思いっきり幻惑させたまま物語は静かに幕をとじる……。 「土曜日の午後」:私的にはこの作品が一番面白かった。まるでミステリーなのだ。母、息子、幼い娘の3人家族の何でもない日常が淡々と語られていくのだが、何かストーリーじょう非常に大切な事柄が意図的に隠ぺいされているため、読み進めば読み進むほど謎が深まるばかりという小説の仕掛けがすごい。幼い娘 (ネーナ) のやることなすことがいちいち可愛い。 「小さなギャツビイ」は、文豪フィッツジェラルドへのオマージュ。文豪の作品や生涯に多少知識のある人には楽しめる内容。 「ドローレス・イバルーリは苦い涙を流して」:これもかなりミステリアスな作品だが、読み進むうちに漠然とながらストーリーらしきものが浮かび上がってくる。語りだしのアットホームな雰囲気とは異なり何だかポリティカルな物語。 「空色の楽園」は、ある富裕層の家に夫人の秘書として雇われた若い女性の物語。これもドラマの骨格が100%明かされてはいないものの、最後まで読むと意外なオチがついていて面白かった。 「声たち」なにやら「お悩み相談コールセンター」らしき部署に勤務する女性カウンセラー (?) の日常。 悩みを抱えているらしい若い女性や男性からの電話に対して、プロの受け答えをする女性の奮闘が興味深く面白かった。 「チェシャ猫」アリスという女性に一度はフラれた通称「チェシャ猫」あるいは「ネコぼう」と呼ばれる男の子が、久しぶりにアリスから「ぜひ会いたい」と電話 (留守録) をもらったところから始まる。が、列車に乗って、彼女の指定した待ち合わせの駅に着いてみれば……ん?何なのこれ?読後に感じたのはやはり良い意味での眩暈 (めまい) 。 「行先のない旅」:この作品も主人公ディーノが旅路の果て (?) に見出すのは目的地ではなく、眩暈 (めまい) 。しいて言いあらわせば、ディーノという芸術家 (詩人ディーノ・カンパーナ) の詩的境地を「行先のない旅」という短編小説の形で語りなおしたと言えばいいのか。 「オリュンピアの一日」:古代オリンピックにおけるひとりの若いアスリートの輝かしい競技の1日が語られているものとばっかり思って読んでいたのに、気がついてみれば、現実の話と見えたものが、知らない間に話のどこかで夢の出来事にすり替わっていた……。これも読後に待っているのは良い意味での眩暈 (めまい) 。 これがタブッキだ!! | ||||
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以前から読みたいと思っていたタブッキの小説です。中も綺麗で嬉しいです。 | ||||
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自分の常識が覆される感覚が味わえる本です。読んでみないと何とも表現が難しいのですが、一気に読む人にお勧めです | ||||
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こんにちは タブッキのインド夜想曲が好きでこの本も買いました。 タブッキらいしい本だと思います。ぜひ外国文学に興味をもたれた方におすすめです。 白水ブックにリクエストです。 「ボンベイストリート」もUブックで、創刊してくれないでしょうか?クリスチャンチャンドラの名作です。 | ||||
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僕は世界中の短編を知悉しているわけではない。しかし大体の小説に描かれるのは、何物かに取り付かれて滅んだり、あるいは上昇したりしてゆく主人公たちの姿、「逆さまゲーム」そのものだ。政治家、ショービジネスのスター、、、栄光を極めたものたちが挫折してゆく。 ここでは20世紀の大戦の時代、イタリアやポルトガルを舞台とした様々な人たちのあるようでなかったような物語が展開される。タブッキ読むならこの本から。 | ||||
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