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夢のなかの夢
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夢のなかの夢の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.09pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全11件 1~11 1/1ページ
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そもそも全20人 (うち1人は架空の人物) 100ページあまりの作品なので、読後それこそ一夜の不思議な夢の集合体ような印象です。 もちろん、タブッキならではの魅力的な表現は随所に出てきます。 《どこまでお連れしたらいいんで? と御者が訊ねた。夢の終点まで連れていってもらえませんか、とペソアは応えた。》 《満足気に足を組もうとして、膝小僧がむきだしなのに気づいた、セーラー・ズボンをはいていたのだ。自分が少年になっていることに気がついて、かれはとても上機嫌だった、南アフリカを旅する少年なんてすてきだな。》 (以上「詩人にして変装(なりすまし)の人、フェルナンド・ペソアの夢」) 《いいわ、とフロイト博士は言った。あなたにいいことを教えてあげる。わたしね、今日はある女性の患者の姿を借りてみることにしたの。それでこんな格好をしているの。わたしドーラよ。》 (「他人の夢の解釈者、ジークムント・フロイト博士の夢」) どの「夢」も、ひろくゆったりとした行間隔で4ページから6ページくらい。短編とも呼べない掌編集となっています。肩の凝らない、しかし不思議な魅力をもった作品です。 | ||||
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タブッキ好みの作家や詩人や革命家(なぜかみな男性)が見たかもしれない夢が20篇。 何年何月何日、彼はこういう夢を見ました。夢を見たことは事実として提示されている。有無を言わせないところがいい。多くは、夢を見たあとに、過去の自分を悔いたり(でももう手遅れ)、直近の未来に決定的な出来事が待ち構えていたりする。 ランボーは、切断された自分の片脚を抱えながら、セクシュアルな体験をする。アンジョリエーリは、シエナの大聖堂で猫になっている自分を発見し、スティーヴンソンは、気がつくと天翔ける帆船に乗っている。ロートレックは、女性たちに囲まれて、背が瞬間的に伸びるのを経験する(確かに、彼に見せてあげたいような夢だ)。……そして最後の最後は夢判断の、あのフロイト。まさか彼がドーラになるとは。 どの夢も、なぜかとてもリアルに感じられる。そのリアルさに、驚きを通り越して感動すら覚える。 | ||||
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現代イタリアの作家タブッキ(1943ー2012)が、歴史上の芸術家がかつて見ていたかもしれない夢を想像し作品化した連作短編集、1992年。 □ 夢にまつわる著述家というと、真っ先に思い浮かぶのは『夢判断』のフロイトと『夢の本』のボルヘスの二人。しかし、この二人では夢に関心を向ける動機、夢から先への進み方が全く異なっているように感じられる。 フロイトは、夢を性的なものと結びつけて解釈しようとする、夢を足掛かりにして人間の内部に向かって沈潜していこうとする。夢というもののなかに、夢見る当人の存在が高密度の一点として凝縮されてしまっている感がある。 それに対してボルヘスは、夢を人間の外部へと通じる秘密の抜け穴のようなものとして捉えているのではないかと思われる。人間の外部にある《永遠客体》へと通じていく回路として。それは、ボルヘスの文章を読んでいて感じる、人間のスケールを超えて時間的にも空間的にも遠くに高まっていく「高度の感覚」、その「高度」において人間が自己という一個性を消失して中空に発散していってしまうような感覚、に通じるのではないかと思う。 ではタブッキの本書。率直に言って、読んでいて想像の広がりが惹き起こされることはあまりなかった。「歴史上の芸術家がかつて見ていたかもしれない夢」の作品化という試みからして、夢へのボルヘス的なアプローチを期待して読んでしまったのだが、読後感はあの「高度の感覚」「消失と発散の感覚」とは異なるものだった。「夢」の内容が巻末「この書物の中で夢みる人びと」の略歴をなぞるようなものであったこと、いくつかの「夢」に露骨な性的描写が含まれていたこと、がその理由かもしれない。その意味では期待外れであったし、期待を裏切る面白さというのも感じることができなかった。 | ||||
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青土社の1994年刊行の本を2013年に岩波書店から文庫化した本だそうです。短編集ということで読みやすいかなと思って購入しました。タブッキは初めてだったのですがカバーの絵(ピエール・ビュヴィス・ド・シャバンヌの「夢」)の昏く夢幻な感じが妙にマッチしていて、何かインスパイアされるものがあるような感じを受けました。変なたとえかもしれませんがスコッチウイスキーをピスタチオやスモークチーズをつまみに飲んでいて、オレンジ風味のビターチョコレートがいきなり出てきて、それが妙にしっくりきたといった感じです。 | ||||
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有名な芸術家、著述家たちの夢を創り出し物語にした作品集。それぞれの人となりを現すように創作された夢の話は、想像の世界ではあっても、ビビッドに描写されていて、とても楽しめる作品になっている。久々に良い作品に出合いました。 | ||||
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タブッキは何となく敬遠してきた作家だったが、この本は面白かった。 ほぼ実在する人物の見たであろう夢に、逞しく想像を廻らし、如何にも成る程と感じさせられた。 タブッキの他の書も読みたくさせる一冊だった。 | ||||
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タブッキは独特の作風ですが、特に、この人の夢の中まで、想像してしまう、と、言う、まるで推理小説なみの、 しかし、どこかロマンを感じさせる作品。 私は好きです。実は買い直しですが、それこそ、寝る前のひとときにいかが? | ||||
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夢を見た人たちの事をよく知っていたら、ああ成程な、と 思える内容だと思います。何せ夢の中という設定のせいか 生殖器に関する描写が散見されるので、人によっては苦手に感じる と思います。個人的には受け入れられましたが・・・。 ジャコモ・レオパルディの夢がメルヘン調で美しく性描写も無く楽しく 読めたので好きな本になりました。 | ||||
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表現が露骨で顔をしかめて読む文面が多々あった。 文体としては美しく参考になった。 | ||||
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マヤコフスキー、チェーホフ、ヴィヨン、コウルリッジなど、各界の偉人達がある特別な夜に夢を見たとしたら、こんな夢だったのではないかという20のショートショートな夢物語。最初の一話だけは架空の人物が主人公というのがお洒落。 最初に良く知っている人の話を読むことをお勧めします。例えば絵に詳しい人であればロートレック、カラヴァッジョ、心理系の人であればフロイト、音楽好きな人であればドビュッシーなど。ダイダロスに詳しい人はさすがに少ないのでは。 個々の物語の題名も、「他人の夢の解釈者、ジークムント・フロイト博士の夢」など、なかなか粋です。 それぞれの話は事実に基づいているらしい精神分析的な寓意であり、偉人達の夢を勝手に物語るというのはテーマとして素晴らしく面白い。が、如何せん短すぎて深みに欠ける。また本の表題は、「夢のなかの夢」なのではあるが一度目覚めるだけで夢から覚めてしまう。ということは彼等の人生そのものも夢だったのか、あるいは彼らの人生は夢に過ぎなかったということであり、実際、夢だった方が良かった人もいるような気もするし、この本の表題自体が若干失礼な気がしないでもない。 最後に「この書物のなかで夢見る人々」として、全員のプロフィールを簡単に紹介しているが、これも皮肉っぽいところが何故か興味を引く。 幻想的なジョークのお好きな人にはお勧め。 | ||||
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これは詩人や作家、画家たちが「見ただろう」夢をタブッキが「物語る」本である。 ラブレー、ゴヤ、ランボー、ドビュッシー、ロルカ、 そして「詩人にして変装の人、フェルナンド・ペソア」の夢がある。 彼らそれぞれの作風に、多少なりとも触れた経験があれば尚たのしめるが、 彼らの名をひとつも知らない人こそ、読んでしかるべき物語なのかもしれない。 そこから彼らの作品へと導かれることが可能でもある、 それほどタブッキは彼らの架空の夢を「物語る」ことに成功している。 作風に触れた、とまで言えないが ジャコモ・レオパルディの「シルヴィアへ」という詩に私は魅了された経験を持っていたので、 「詩人にして月に魅せられた男、ジャコモ・レオパルディの夢」で まさに「シルヴィア」が登場したとき、私は涙をこらえていた。 レオパルディは夢のなかでシルヴィアに会っていた 「シルヴィア、いとしいシルヴィア、かの女の手を取りながらレオパルディは呼びかけた。 また逢えるなんて夢のようだ。でもどうして銀のからだをしているの?」 | ||||
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