帰郷者



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初公開日(参考)2008年10月
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長編小説

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帰郷者 (新潮クレスト・ブックス)

2008年10月31日 帰郷者 (新潮クレスト・ブックス)

母ひとり子ひとりの家庭で育ったペーターは、祖父母の家で占い本の断片を見つける。それは兵士が故郷へ帰還する物語だったが、肝心の結末部分が抜け落ちていた。失われたページを探すうち、思いがけず明らかになった、死んだはずの父の行方、ナチスにまつわる過去―。戦争に翻弄された人々の罪、そして償い。その波間に生まれた、いくつかの愛。世界的ベストセラー『朗読者』の著者が積年の思いを注ぎ込んだ、渾身の傑作長篇。 (「BOOK」データベースより)




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帰郷者の総合評価:6.67/10点レビュー 6件。Cランク


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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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No.6:
(1pt)

素材が混ざらない、サラダみたいな作品……

期待していました。「朗読者」に圧倒されたので。
しかしこの作品で作者は、多くのエピソードを詰め込もうとし過ぎて……結果、エピソード同士が有機的なつながり方をせず、独立して並んでいるだけ・・のように感じられました。
主人公も、その母親も、父親も、恋人も、……なんとも共感しにくい人物ばかり。
タイトルや帯から想起されるロマンティックなものを期待していると、痛い目にあいます。
一番最後に突如現れるエピソードに至っては、嫌悪感さえおぼえ、いつまでも後味の悪さを残しました。。
帰郷者 (新潮クレスト・ブックス)Amazon書評・レビュー:帰郷者 (新潮クレスト・ブックス)より
4105900722
No.5:
(3pt)

難解な文章が読みづらい

ラストが思いがけず、はっとさせられましたが、
そこに至るまでの難解な文章には少々辟易しました。
それがこの作家の持ち味なのでしょうが、「朗読者」のような雰囲気を期待していたので、
少し残念でした。
帰郷者 (新潮クレスト・ブックス)Amazon書評・レビュー:帰郷者 (新潮クレスト・ブックス)より
4105900722
No.4:
(5pt)

始まりは、萩尾望都の様(ほめています)。魔的でヘッセの『デミアン』以上の傑作

語り手(=ぼく=ペーター・デバウアー)のモノローグで始まり、透明感があって綺麗で、萩尾望都に似ている。ストーリーは大きく広げられ、しっかり話の終わりはまとめられかつ余韻を残し、その余韻がストーリーを<新たな>始まりへと導く。終わらない『オデュッセイア』、素晴らしい。幾重にも厳重に薄紙を貼りあわせたような美しいうすぼんやりした世界にどんどん分け入っていって、その都度大きく姿をかえていく展開を美しいと思う。一番最初に読むとき、始まりは非常にノスタルジックであり叙情的詩的であるが心細い。これが二度目に読むとき、すっかり変わっている。

子供のころは、いつもスイスの(父方の)祖父母のところで(ぼくひとり)休暇を過ごしていた。旅の終着点である湖畔の大きな町の駅は、線路がそこで行き止まりになっている頭端式の駅だった。祖父は背が高くて力強く、目の色は黒、もじゃもじゃの白い口ひげをはやし、頭ははげていた。ぼくが祖父の背を追い越しても、祖父はぼくにとって大きな人だった。そしてたとえ散歩用の杖で体をささえなくてはいけないとしても、ぼくにとっては力強い人でありつづけたのだ。・・・ぼくが八歳の夏、母にはぼくの乗車券を買う金がなかった(語り手は母一人子一人の境遇、父親の顔を知らない。1945年生まれ、父親は亡くなったと言われている)。どうやったのかはわからないが、母は長距離トラックの運転手を見つけ出して・・・ぼくが祖父母のところまで行けるように話をつけていた。(本文より)

祖父は歴史が好きで、読書によって歴史への愛を示し、歴史の話や戦争や闘い、英雄行為、審判や判決、誤審についての話をよくしてくれた。祖母は詩が好きでいくつも暗誦している詩をぼくに教えてくれた。祖父がなくなったとき、生涯の思い出を綴った文章が残され、それを読んでぼくはようやく彼らのことを知った。祖父も祖母も自分たち自身についてはほとんど語らなかったのだ。祖父母は「喜びと娯楽のための小説」の編集の仕事を自宅で二人でしていた。出版者は祖父母の裁量にまかせていた。それらの小説をぼくは読ませてもらえなかった。綴じた見本刷りの余りを雑記帳として家に持たせてくれたときも、読むんじゃないよと言い含められた。
そのうちに、ぼくは禁じられていた見本刷りの裏面を読むようになった。ぼくが読んだ最初の小説は、ロシアの捕虜収容所を脱走し、故郷への途上で多くの危険をくぐり抜けるドイツ兵を描いたものだった。そこには二人の男と一人の女という文学のテーマのひとつがあった(戦争から帰ってみれば、妻はすでに別の男と結婚していた、さてどうするかということなど)。しかし、その見本刷りが印刷されていた束をぼくはもう使いかけていて、最初の方のページはもう破って捨てた後だった。つまり、ぼくが読みたいその小説の結末の部分は、すでに捨ててしまっていたのだ。ぼくはその小説の終わりを読みたいと思ったが、結末の部分はどうしても見つけることができなかった。祖父母はぼくが大学生になり国家試験を受ける年に亡くなった。ぼくはその小説(帰還する兵士カールの話、帰郷小説という分野)を読んでいくうちに、その話がギリシャ古典の『オデュッセイア』をもとに書かれていると気づき、そののびのびとした作風からも彼に親しみを感じる。と同時に、そういう知的水準の高い人がどうして通俗的な『喜びと娯楽のための小説』のために書いたのか疑問に思う。それはシベリアへ行った経験が書かれているのでもなかった。多くの事実誤認があったからだ。けれどもそこには事実が書かれており、ぼくは再会の行われたクラインマイヤー38番地へ行き、その著者と思しき名前フォルカー・フォンランデンを知りさらに調べていく。
そのうちに、ぼくの勤めている出版社にアメリカの有名な法学者の著書が届き、その内容と名前から、そのひとが実は自分の父親でありフォルカー・フォンランデンであるのではないかという考えにとり憑かれる。そして確かめるためにNYに渡り、自分の父親と確信する彼に接近することに成功し、彼のプライベートゼミに招待されるほど取り入れられる。が、しかしそのプライベートゼミが行われる人里はなれたホテルでゼミ一行は正体不明の男たちに捕まり監禁されてしまい、行動のすべてを盗聴盗撮され監視下におかれる。そしてぼくはそれが教授の指令によって行われていることを見抜き、ビデオカメラの前で教授に決別宣言をして、ドイツに帰ってしまう。

<『帰郷者』は、そこで終わってしまうのだが・・・ここからは余談です>

私は、シュリンクという作家の特徴のひとつは、癖球(くせだま)を投げることだと思う。知っているはずのことや、言うべきことを読者に言わなかったりする。事実とはちがうことをちらっと言ったりする。ここが隠された物語をさぐるための鍵になっている。
語り手は小説の中で、帰郷小説(カールの話)の作者に関する様々な情報や証言を集めていく。同時に語り手の父親に関する情報も読者に提示する。そのひとつは、「黒味がかった緑の目をしていること。目の片方が下がっていて、目元の印象が斜めであること」。帰郷小説と同じ語彙、似た思想で本を書いていたNYの教授(ド・バウアー)の目は青だったし、目も斜めではなかった。だから、父親ではなかったと気づいたはずだ。それなのにずっとあたかも父親であったかのような語りをしている。
NYの教授は語り手の父親ではなかったが、帰郷小説の書き手であったのではないだろうか。語り手の父母にも二人の男と一人の女という図式があったとも考えられる。つまり、詐欺師ヴェンツェル・シュトラビンスキーは、端正な顔立ちと立派な姿態、黒いマントによって伯爵と間違えられる。NYの大学教授が詐欺師であったなら、ほかに伯爵=オデュッセウスがいたはずなのだ。それこそが語り手の父親なのだろう。
しかし、ド・バウアー(フォルカー)達のような優れた人たちが自分の生涯を捧げてその息子を守り育てるなどということをする語り手の父親とはいったいどんな大物だったのだろうか?語り手の父親からすれば、私たちからは超人のように思えるド・バウアーですら僕(しもべ)の一人でしかなかったようだ。
片方の目の目じりが下がっていて目元の印象が斜めである人物・・・http://de.wikipedia.org/wiki/Karl_Hanke、http://www.schlesisches-museum.de/index.php?id=2785 カール・ハンケなのだろうか?彼は隠された王国の王族だったのか?物語の最後を迎えると、この『帰郷者』という話自体が、『オデュッセイア』であり、心細い境遇の語り手は、王子であったとイメージがうかびあがる。フォルカーの女友達の証言で、彼はウィーン生まれのユダヤ人、父親は弁護士で母親は精神分析医というものがあったが、後から考えればただものではないスイスの祖父母の正体もそうだったのかも・・・。軽やかで楽しげで魔的で魅力的なフォルカーは詐欺師なんていうような小物ではなく昔で言えば、大魔法使い、大魔道師だと目を見張る。
読み返す時、この物語は魔的になり不思議な『オデュッセイア』になる。現在にも昔と同様に大魔道師や錬金術師や騎士団がいて、秘密の王や后や王子が在り、隠された王国が存在するのかもしれない。これを読むと、世界の見え方が少し変わる。

この小説の最後の段落は次の言葉で締めくくられる。

ぼくはときおり、オデュッセウスに憧れを覚える。ヴェンツェル・シュトラビンスキーから詐欺師の悪知恵と嘘を学び、しびれを切らして実人生に飛び込んでいき、冒険を求め、それをのりこえた男。自分の魅力で母を手にいれ、楽しげに「喜びと娯楽のための小説」を書き、ゲームのような軽やかさでさまざまな理論を考案した人物。しかし、それがヨハン・デバウアーやジョン・ド・バウアーへの憧れではないことを、ぼくは自覚している。それはただ、自分の父親についてぼくが創りあげたイメージ、ぼくが自分の心をむすびつけたイメージへの憧れにすぎないのだ。(本文より)

シュリンクは再び詐欺師とオデュッセウスを混ぜて(?)読者を煙に巻いてしまう(笑)。それにしてもイメージは衝撃があり鮮やか。垣間見えた魔の気配は忘れられない。まるでヘルマン・ヘッセの『デミアン』。そのうえ内容たっぷり。これだけ書いてもネタバレにならない程。お勧めの一冊、です。
帰郷者 (新潮クレスト・ブックス)Amazon書評・レビュー:帰郷者 (新潮クレスト・ブックス)より
4105900722
No.3:
(4pt)

騙すのは誰か?

筆者のかつてのミステリーにもあるが、シュリンクにとって「騙す」ということは長くからあるテーマだ。
世界中でベストセラーになった「朗読者」もまた「騙す」ことが題材になっている。
積極的に騙すのだろうが、「言わなかった」ことが「騙す」ことになるのだろうが、いずれも「騙す」ことになる。
前者と後者にはモラル的な違いがあるのか、自分が決して被害者だけでないられない中、何を拠り所にするのか?
こうした問題を本書でも扱っている。そして、またもや主人公は「騙された」と思っている男である。
「朗読者」では、主人公は自分のまだ救いを見つけられないで終わるが、本書では「騙され(傷つけられ)たこと」に対する一つの決着が主人公の中にうかがえる。
おそらく多くの読者が読み進む上で苦労するのが、主人公が虜になる私小説のベースになっているギリシャ神話「オデッセイ」の物語と、
かなり哲学的な要素を含む法律論議だろう。ここは、それぞれの理解レベルで読み進むしかないが、この主人公が最後に何を見つけるのかを
知りたいならば、がんばって読み進むことを薦めたい。途中を端折ると、やはりその意味合いが理解出来ないだろうと思うからである。
ところで、日本でもシベリア抑留になった人はいたが、高い文学性のある作品として「帰還物語」がジャンルになった事はない。
だが、戦後の帰還でなくとも、自分を探す旅に(実際にあるいは精神的に)出かけた者が、決して前と同じ所には戻ってこないというのは
どの時代にも言えることである。今の時代では、巻末に登場する得意な状況でないかぎり極限の体験をする人がすくないが、
終戦の1年前に生まれ、戦後(戦前の思い出を持つ大人に育てられ)を生き、日本人は経験することがなかったが
東西の分裂を経ているドイツ人のかなり最近までの原体験が実はここにはある。
ベルリンの壁が崩壊して、筆者は旧東ドイツ側で教鞭をとるが、当時ベルリンにいて、この主人公と似たような体験もしただろう。
秘密警察の存在など、1989年の後もまだしばらく東ベルリンの人々は互いを信頼しきれない状況だったことも伺える。
巻末の展開が「有り得ない状況」という評があったが、日本にずっといるとそうした印象があるかもしれないが、欧州では実のところ充分に考えられる状況だろうと思う。
また、自分を知りたいし非日常の中で暮らしたいというオデッセイへの憧れは、現代の日本でもあるだろう。最後に本を読み終えた後、私は主人公の父が子供の頃に書いた作文をもう一度読み返してしまった。
筆者の女性像というのも、今回の作品では「朗読者」よりも多くの女性が登場することから、新しい発見がある。長編であるし、難解な部分も多いが、完読するに値する書だと思う。
帰郷者 (新潮クレスト・ブックス)Amazon書評・レビュー:帰郷者 (新潮クレスト・ブックス)より
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No.2:
(3pt)

死んだとされていた父捜しの話。

読み進んでいくうち、何が真実なのかわからなくなってくる。母の話、自分の昔の記憶、祖父母と思っていた老人たちはいったい誰?サスペンス仕立てで読ませる!後半のその結末が・・・いまいち。
父とされていた人物がそうではなく、自分の過去の行動を誰でもその状況にあればとる行動として理解させようとするが、その設定自体に無理がありはたして、それほどの人物がそんな自己弁護をはたしてしようとするのか?”朗読者”の読後感の残像を引きずる読者はちょっと幻滅するかもしれない。
帰郷者 (新潮クレスト・ブックス)Amazon書評・レビュー:帰郷者 (新潮クレスト・ブックス)より
4105900722



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