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ベルファストの12人の亡霊
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ベルファストの12人の亡霊の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全1件 1~1 1/1ページ
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かつて北アイルランドの独立のため戦った反政府組織の伝説の兵士ゲイリー・フィーガンは和平による恩赦後に、酒に溺れる日々を過ごしていた。 かつて殺した人々が、フィーガンの前に亡霊となり現れる。罪悪感にさいなまれるフィーガンに、12人の亡霊たちが復讐を懇願する。裏で糸を引きフィーガンの手を汚させた奴らを殺せと。 最初にフィーガンが殺した男は、旧友マッケンナである。和平後は北アイルド議会の議員を務めながら、裏では少女の人身売買に手を染めていた。マッケンナを処刑すると、彼のせいで殺された亡霊が一人消えてくれる。 次の標的は拷問のプロのカフォーラだ。サディスティックな性分を、武装闘争で正当化してきた人間の屑だ。無抵抗な捕虜には滅法強いが、反撃されると何も出来ない。この屑を救うためにフィーガンは二人を殺していた。 読み進めるにつれ、悪党が増えていく。この人物描写が凄い。 実在のモデルがいるのか、著者の卓越した洞察による物か、長期の暴力的な闘争でヤクザ者たちが頭角を現す様子に説得力がある。 フィーガンのかつての上長マギンティーは、非合法な資金集めや、暴力分子を統率するヤクザな能力に加え、政治的嗅覚にも優れていた。和平後は私腹を肥やす政党幹部に変貌した。 マギンティーもフィーガンの標的の一人であるが、現状の和平を維持する必要悪でもある。大儀のために小さな悪事を許容する別の勢力が、フィーガンに対して刺客を放つ。 資金力、暴力、政治力、暴力分子を抑える力。悪党どもが他人の持つ力を利用する入り組んだ駆け引きが、物語を複雑にする。 また登場人物の誰もが人に言えぬ過去を抱え、それがさらに話を複雑にする。 この小説は単なる復讐劇に留まらず、紛争の裏に巣くう悪党どもを丸ごと描いている。 残酷な対立に全ての人を巻き込む紛争の恐ろしさと、そこに暗躍する醜い悪党どもの描写が素晴らしい作品である。 | ||||
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