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地のはてから
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地のはてからの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.34pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全47件 41~47 3/3ページ
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北海道に移民した女性の話というので、垣根涼介さんの名作「ワイルドソウル」の女性版かと思いながら読みました。 主人公のとわが、義兄から意地悪をされないように、毎日走り続け、それを見た校長先生の奥さんに、男の子より早いと褒められるところでは、将来オリンピックに行くような選手になるのでは?と期待したり、 奉公に出されたとわの我慢強いことが認められて、きっとこの後、すごい商売人になるのでは!とはやる気持ちで先を読み進めたり、 全く冴えない旦那さんを知り合いの女に「惚れてるんだね」とからかわれたところでは、今に二人はお互いを認め合う素晴らしい夫婦になれるんだろうと安心したり、 だけど乃南アサは、最初から夢も可能性もなかったことを読者に思い知らせるのです 事件や輝かしい未来がなくても、それぞれの人生であり、生き抜いてい行かねばならないことを、現代人に突きつける。 たった一度だけ愛した人との思い出さえも、体中が震えるくらい泥まみれにしてしまう、だけどそれが人生なんだ、ほんの一握りの人を除いて自分たちに課せられているのは、歴史に名を残したり、人から注目されることもなく、ただ生き抜いていくことなんだと強く励まされる作品 「ワイルドソウル」とは全く違ったけど、すごく胸にこたえる作品でした。 | ||||
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乃南さんの本は、大好きでいつもあっと言う間に 読んでしまうのですが、今やっと下巻を読みはじめる ぐらい1ページ1ページに心が痛みを増しました。 とわと同じように場所は東京でしたが、祖母も 奉公に出ていました。 祖母は長女で下の4人の子守りの後の 奉公で、孫の私に一言、母親がそうする しかなかったから仕方なかった、でも 辛かった、と私に話してくれて、 まさにこの作品と祖母がリンクして、 祖母はこんな気持ちでいたのかと 想像したら、辛かったです。 ただでさえ、女性が低い立場にある 時代に男性に振り回される女性や息苦しい 生き方しかない女性達の苦痛と現実がせまって くる作品です。 まだ少女だった祖母は、何を想い、生きてきた のだろうかと思いまた1ページ読もうと思います。 | ||||
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これほどまでに“どっしりとした”小説は久々。 大正時代、福島の田舎から北海道開拓団の一員として家族ごと“地の果て”知床に移り住み、 苦難に苦難を重ねて生きていく主人公「とわ」とその家族を描いた小説です。 確かにテーマは重たく、悲惨とも言うべき暮らしぶりが描かれている小説ですが、 「石にしがみ付いてでも生きて行く事」という作者の強いメッセージが 読後に重々しく迫ってくる素晴らしい作品です。 主人公「とわ」の少女期の淡い恋心や、家庭を持ってからのめまぐるしく展開する 様々な出来事、そして恋い焦がれた相手との思わぬ形での再会…など、 アクセントを付けるために用意されたいくつかのプロットが絶妙に配置されていて 飽きる瞬間がありません。 …「草食系」とか「オシャレ」とか、様々な価値観が混在する“便利社会”の現代に生きる我々への、 作者の強烈なメッセージ。「生き抜く」という意味・意義を、ここまで叩きつけてくれる小説は稀です。 若い方々にこそ是非読んでもらいたい小説。名作です。 それにしても主人公「とわ」の語る福島県田村地方の方言が、何とも言えず良い雰囲気です。 言葉そのものに温かみを感じずにはいられませんでした。 | ||||
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とても苦しい、とても厳しい話しでした。 読むほうも気持ちに余裕がないと凹みそう。 2世代の女性(母、娘)を中心に書かれています。 二人とも『生きていく』という力強さがあるけど、かといってポジティブとか、前に向かって頑張ろう!とかではなく その時代はこんなもんなんだよと、淡々としていて、だからこそそれが生々しい。 今の時代に生きている私達から見て、良いことが全然ないんじゃないかと思える厳しさだけど 彼女達は毎日を生きている。 私は、とわと三吉の淡い恋をとても楽しみにしていて、いつ三吉が出てくるのか楽しみにしていました。 でも、私の想像とは大きくかけ離れた再会。 衝撃的過ぎて涙が出ながらも、でもそれもリアルなのかな あんなに爽やかだった三吉が、変貌してたのも「時代」 それにしても、『ニサッタ、ニサッタ』でのあの素敵なおばあちゃんがとわだったなんて こんなに厳しい生活をしていた祖母からもあんなにぐうたらな孫ができるなんて けど、それもリアルか 読みながら、高村薫さんの『晴子情歌』を思い出しました。 そこまで重たくはないけど | ||||
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狭い世界の中で、与えられた過酷な環境で生きるため、食べるためだけに必死で生きて行く。 これほどまででは無いでしょうが、一昔前の日本人はこういう風に生きていたんだろうな、 と感じます。 明日食べることを心配するしかない生活から、少しずつ違う世界も 知っていく主人公とわ。 上巻は少女時代を描いています。 | ||||
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ただ生きるために必死な人生を歩むとわの半生の後半。 とわ自身がしっかりしすぎるのか上手く生きていけるからか、 なかなかゆっくりとした幸せをつかむことが出来ません。 とっても魅力的に描かれているアイヌの男性との恋の 結末を、成就しなくてもいいのでもう少し違った形に して欲しかったな、と個人的には思いますが、 それはそれで作者の意図なのでしょうね。 とにかく読み易い文体であると同時に、とわの行く末が気になってどんどん ページが進む物語です。 | ||||
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これほどの辛さは他にはないであろうという暮らしの中で、少女の人生が始まり、娘となって、少しは、ここで幸せな思いを味わうのかと思いきや、過酷以外の何物も知らず、女となり、ひたすらに現実を受け止めて、苦労の末に40代となっている主人公の日々に、いつしか寄り添い、一緒に歩むかのような読み進み方であった。劇的な盛り上がりのないまま、辛いことだらけなのに、何故か励まされ、最後には清冽な印象を深く読者に持たせるその筆者の技は相当な上手さである。 | ||||
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