■スポンサードリンク
日本の黒い霧
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
日本の黒い霧の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.45pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全123件 81~100 5/7ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「アメリカが、日本の民主主義(それもアメリカの政策の枠内でだが)の行き過ぎを是正したのは、日本を極東の対共産圏の防波堤とはっきり意識したころにはじまる。」「アメリカは日本国民に絶え間なく共産勢力の恐怖を与えつづけなければならない。これまでの占領中のさまざまな事件が、この一つの焦点に向かって集中されているように、今後も(実質的にはまだ日本はアメリカの占領中なのだ)、この種の陰謀はアメリカの努力によってつづけられるであろう。」……帝銀事件や松川事件の無理やりな犯人でっちあげも、「追放」からレッドパージへの転換も、朝鮮戦争へ向かう助走の中で生まれたことがうかがえます。歴史はきっと繰り返すから、このような見方を知っておくことは役に立つと思います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
『BILLY BAT』(浦沢直樹)に下山事件が描かれていたので興味を持ち、読みました。上巻では、下山事件を含む昭和二十年代の六件の事件が取り上げられています。どの事件もその背後には米国の極東戦略とGHQの内紛があった、と松本清張は推理します。仮にこれを著者の推理に基づくフィクション小説とするならば、犯人のボロもアラも見え過ぎの、出来の悪い推理小説ですね。しかし逆に、そのボロもアラも、「大人の事情」によってうやむやにして、力ずくで押し通すことができたと想像すると、占領下日本という異常な社会のリアリティが感じられます。占領地の住民など、人間の数には入らないのですね(それは今でも?)。みじめなものです。教訓は、もう戦争には負けちゃいかん、ということです。そもそも負ける戦争を始めちゃいかん、ということです。宮本武蔵の教えのとおりです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
松本清張さんの戦後史を見る目は鋭く、数々の事件とその背後に見え隠れするGHQの存在を鋭い洞察力と筆致で描いている秀作です。「帝銀事件の謎」では、犯人がある程度推測できていたのに、それに斬り込むことができず、別の平沢貞道を犯人に仕立てていく様子など、731部隊の残像とGHQの威光から、事実が捻じ曲げられている社会状況が見事に描かれていると思いました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
歴史的な数々の事件を解明的に、描き、燻りだした傑作。ある程度の読み手がわの、社会性も求められる作品.もしかして、清張先生しか書けない類の本ではないか?と、密かに思っています。黒くて良く見えない事件の数々、正に日本の黒い霧です、考えさせられてしまう、内容の深い銘書、多くの人々に読んでほしいものです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
松本清張の大ファンである。しかし、それは、彼の推理小説に限る。日本のいろんな事件を扱ったドキュメンタリーとなると、眉に唾をつけたほうがいい。推理小説家としての類まれなる才能が、つまり、この上なく面白い物語を語る無類のストーリー・テラーとしての才能が、ドキュメンタリーを扱うとなると、逆効果になる。つまり、面白くしようとするあまり、事実を公平に見なくなってしまうのだ。何かそこに面白い謎があるのではないという先入観で見てしまうのだ。確かに、下山事件は、清張の推理の通りだとすれば、面白い。自殺だと面白くも何ともない。面白い話のほうが、読者を引きつけるということは、当時、『他殺説』をとった『朝日新聞』の売れ行きが伸び、『自殺説』をとった『毎日新聞』の売れ行きが落ち込んだということからも分かる。毎日新聞の担当記者は、責任を取らされて、社を追われた。(この間の事情を井上靖が『黒い潮』で描き、これを原作として、山村聡が同名の映画をつくった)。 しかし、当然ながら、真実かどうかは、面白いか面白くないか、つまり、いかに読者を引きつけるかどうかで、決められるものではない。大体において、真実とは、退屈なものである。しかし、いくら退屈だからと言って、事実を歪曲してまでも、それを面白いものに変えてしまうのは、邪道というものであろう。事件を徹底的に検証し、結局、自殺説を導き出した佐藤一の労作(『下山事件全研究』)と比較すれば、清張説は、まるで、推理小説家志望の若者が読者をうならせようとして面白おかしく創作したフィクションとしか思われない。ついでながら、『帝銀事件』においても、清張説は面白おかしく創作したフィクションだと私は思う。 なお、松本清張は、この作品を発表したあと、これだけあからさまにアメリカ軍の謀略を暴いたからには、アメリカ政府は、必ずや自分を暗殺せずにはおかないだろう、と本気で心配し、街角で外国人を見ただけで、逃げていたという話を聞いたことがあるが、ああいう立派な人でも、こういうとんでもない勘違いをすることがあるんですね。アメリカ政府が、日本人の書いた『推理小説』など、いちいち気にかけたりするものか。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
この本では、大抵陰謀の黒幕がGHQということになってますが 佐藤一さんの批判本で触れられてる通り、現在、その論考は、事実関係においてほぼ否定されたと考えて間違いないでしょう。 佐藤さんの批判本は、たしかに感情的にすぎ、その点からの批判はあったと思いますが、事実関係に於いては 誰も再批判できない妥当なものであったと記憶してます。 なぜ未だに、「日本の黒い霧」がこのようにレビューで絶賛されているのか理解不能です。 私も松本清張のファンなのですが、少なくともこの本に関しては氏の汚点であったとしか思えません。 ましてや、ここで多々見られる先行レビューのように、滔々と米国支配だの、日本の黒い闇が明かされてないだのと言った 論調は笑止千万としか言い用がないのですが。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「下山国鉄総裁謀殺論」(松本清張著、文春文庫『日本の黒い霧』所収)は、敢えて小説の形はとらずに、事実の部分と推理の部分とを書き分けた、と松本清張自身が述べている。この戦後のアメリカ占領下に起きた怪死事件の裏に蠢く大きな謀略に肉薄しようとする清張の執念たるや凄まじい。 この作品と『下山事件 最後の証言』(柴田哲孝著、祥伝社文庫)を併読することによって、さらに好奇心を満足させることができるだろう。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
この本は、(書かれた時代なりに)良い本である。小生が、若いころに、我流ながら”アメリカ理解”の一助になったと思う。今回、40年を経て自分の手元に入り、満足している。 この本とは、別に”電力関係法令”では、ガッカリした。小生は、公益事業をしての電気事業法と、いくらかの”その解説”を期待していた。 だが、期待に反して、それは主に「電気事業」への周辺法が中心であった。自分の「内容への確認を怠った」と、反省するばかりである。 Katsu | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
本書は 『征服者とダイアモンド』 『帝銀事件の謎』 『鹿地亘事件』 『推理・松川事件』 『追放とレッドパージ』 『謀略朝鮮戦争』 『なぜ「日本の黒い霧」を書いたか』 の各章からなる。 『帝銀事件の謎』は次のように結ばれている。 「帝銀事件はわれわれに二つの重要な示唆を与えた。 一つは、われわれの個人生活が、いつ、どんな機会に『犯人』に仕立て上げられるかも知れないという条件の中に 棲息している不安であり、 一つは、この事件に使われた未だに正体不明のその毒物が、今度の新安保による危惧の中にも生きているということである」 新安保とは1960年の安保改定のことである | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
本書は 『下山国鉄総裁謀殺論』 『もく星号遭難事件』 『昭電・造船疑獄事件』 『白鳥事件』 『ラストロヴォロフ事件』 『革命を売る男・伊藤律』 の各章からなる。 『下山国鉄総裁謀殺論』の背景はこうである。 太平洋戦争後、日本を占領統治していたGHQは、次々と日本に自由の風を吹き込んでいた。 日本人はそれを砂が水を吸うように吸収してゆく。労組もそのひとつだった。 一方、国内や海外から軍人の復員が続き、その雇用の受け皿となったのが国鉄だった。 国鉄の人員はたちまち膨れ上がった。経営の合理化には整理解雇しかない。 しかしそこに立ちふさがったのはアメリカが持ち込んだ労組だった。 アメリカはまたその頃、日本の共産化も懸念し始めていた。 この時、初代国鉄総裁の座についたの技術畑出身の下山定則であった。 下山はGHQの指示に沿って解雇をすることに忸怩たる思いをいだいていた。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
戦争前、戦争後の事件に興味があって購入しました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ですが帝銀事件でわざわざ民間人を相手に人体実験をする必要がありますかね? それも前に起こった2つの銀行は失敗してるのはなぜ?1つはちゃんと飲ませたのに??? GHQ関係や731部隊関係が関わっているのは濃いかもしれませんがもっと他に何か違う意図があったのではおもわされます | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
松本清張は現在の銀座のバーでホステスのお尻を触るしか能がないエンタメ作家とは違って松川事件や下山事件、帝銀事件に積極的に発言し下山事件研究会を組織して独自に真相解明にものりだした。松川事件で冤罪被告の救援に老齢ながら身を賭して活動した作家・広津和郎につぐ貢献である。松本のこうした政治的社会的な言動にはベストセラー作家への嫉妬もあり同業者からの批判もあった。さていわゆる「帝銀事件」には旧731部隊関係者が関わっていたのではという疑いが捜査関係者にも根強く松本もうたがっている。この731部隊の本部が現在の国立第一病院(旧陸軍病院)内にあったことは殆どしられていない。現在は早稲田大学文学部校舎の裏側である。ここから豊島区池袋の椎名町帝国銀行は近い。南池袋に下宿していた私は早大文学部から歩いて帰ったことがある。さらに近くの原町には731部隊の石井軍医中将が戦後隠れるように住んでいた住まいがある。この辺は戦前細菌戦研究の拠点だったのである。そしていつだったか現在の国立感染症研究所を建てるために地面を掘ったら多数の人骨が出てきたというニュースは記憶に新しい。731部隊の人体実験の犠牲者である。私は学生運動に従事したときはまだ学内に宿泊出来たので寝ていたら悪夢にうなされたことがある。他の学友からも同じ体験をしている。幽霊が出た話はないが。地下に731部隊の人体実験の犠牲者が埋められたいたのだから霊が夢にでてきたのかも。国立感染症研究所にはおばさんが勤務していたが故人。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
本巻で取り上げられている事件はどれも戦後日本においてのみ完結できるものではなく、戦前の日本人の活動、GHQ、さらには中国やソ連と密接に関係しているものばかりであり、その霧の黒さ故にある種のロマンをかきたてる。しかし、戦後日本に発生したこれら怪事件にこれらの要素が絡んでいるのを指摘したのは筆者の推理力と胆力の賜物であり、これぞ言論人の仕事なのだろう。 個人的には、戦前戦中に日本人が中国で行った両極端の行為が戦後の事件に影響を及ぼしているという視点が面白かった。すなわち、731部隊で生物・化学兵器の人体実験を行った関係者の関与が考えられる帝銀事件や、逆に戦前戦中に中国や米国のスパイとして中国で活動した左翼が拉致監禁された鹿地事件である。特に後者は戦後日本におけるソ連のスパイ活動の手口が詳細に描かれており、インテリジェンスに関心がある方にとっては必読の箇所となっている。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
実は松本清張の本を読んだのはこれが初めてだった。通俗的なミステリー作家だと思っていたのだが、いい意味で裏切られた感がある。本書は占領時代の日本で発生した幾多の怪事件を取り上げ、その真相について推理を行っている。ミステリー作家ならではの手堅い名推理に満ちており、この作家の思考力と知識量に驚かされた。当時のGHQ内のG2とGSの対立や、形成されつつある冷戦という安全保障環境、日本で活動する米国の情報機関、GHQによって利用された戦前の日本の遺産というものを完全に理解した上で本書は書かれている。筆者の取材力は見事の一言に尽きる。 私は占領時代の日本についてほとんど知識を持ち合わせていなかったので、本書から多くを学ぶことができた。GHQがどのような存在だったのか、米国によって占領されているということがどのようなものなのかを示すエピソードが本書には満載である。本書は実際に発生した事件を基にした推理小説としても楽しめるほか、歴史物としても楽しめる希有な書物だと思う。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
若い人はまず砂の器の原作者として注目し、他の本を読んでみようかと、 これに行き着いた人も多いのではないか。 この本にはまず大きく下山事件が書かれている。今でもたびたび メディアにこの事件名が出て来るので、どういう事件か知らなかった 若い人が読むといい。(下巻の帝銀事件、松川事件も) しかし、松本清張は推理作家であるから、資料に基づいて 推理を駆使しているはずで、ノンフィクションとはいえ、 100%の真実論文というわけではないはず。 例えば下山事件なら、この本で事件を学んだ後、他著者の本を読んだり、 松本説に批判・別説の本もさらに読んだら、もっとよいでしょう。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
この本に感心された方は、佐藤一さんが書いた「松本清張の陰謀」も読んでほしい。佐藤さんの本は、「日本の黒い霧」が結果的に日本共産党の武装闘争を隠蔽する役割を果たした、と書いている。こういう見方もあるのかと思った。萩原遼は、「正論」2006年6月号で「北朝鮮にはめられた松本清張」という論考で「北の詩人」を批判している。有名作家だからと言って素直に書いていることを信じちゃいけない。 この本の歴史的価値は、高いと思うが、そこで占領時代の日本研究がストップしているのは問題だろう。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
上巻のハイライトは何といっても「下山事件」ですが、この推理は下巻の「帝銀事件」「松川事件」と並んで有名ですね。朝日記者・矢田喜美雄氏の「謀殺 下山事件」とともに今では通説とされているようです。 GHQ内の対立構造や共産勢力への対抗策といった諜報の構図を推測したうえで、事件当日の下山氏の足取りと現場に残った手がかりを検分していきますが、事件の背景と現場を照らし合わせていくこの構成は、自分のような当時を知らない者にとっては輪郭が掴みやすく、検分で次々と明らかになる事実に固唾を呑んでしまいます。推察についても、この事実はこう読み取ることが出来るのではないだろうか― という清張氏の考えは決して一方に傾倒するような論調ではなく、丹念な取材の裏付けから論理的に答えを導き出しているので、推理のプロセスにも大いに納得させられました。 上下巻を通読すれば統治下から経済発展を迎えるまでの日本国家がどのように時代の波に呑まれていったかが解ります。権力や情勢という巨大で複雑な渦の中に石を投じた清張氏の姿勢にも感銘を受けますが、何より時代の犠牲となった人々を忘れないためにも本書を是非手に取って欲しいと思います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
本書の初出は文芸春秋1960年の連載です。時は東京オリンピックを控え高度成長 の助走をしていた時期です。私たちは今の日本の姿が起こるべくして起こった事実 の積み重ねの結果としてあると思いがちです。しかし本書を読むと当時の日本は米ソ冷戦下、 アメリカとソ連という二つの黒い霧が暗闘する混沌とした時代であったことが窺われます。 展開次第ではどちらに転ぶか分からない不安定な情勢を著者は鋭く感じ取り、 バランスよく題材を取り上げています。 前半の『下山国鉄総裁忙殺論』『「もく星」号遭難事件』『二大疑獄事件』は アメリカ占領下の日本の暗部を描き、後半の『白鳥事件』『ラストヴォロフ事件』 『革命を売る男・伊藤律』は日本に暗躍する共産スパイと日本の共産主義者の活動 を取り上げているのは、自分はイデオロギーで物を書いているわけではないという 彼の無言の主張なのでしょう。 冷戦が終わり多極化が進む現在、本書を読むと「今は昔」感は確かに禁じ得ま せんが、日本が二つの黒い霧を彷徨ったプロセスを知ることは「現在」を知り、 「未来」を展望するためには欠かすことのできない作業なのではないでしょうか。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ブッシュ政権による北朝鮮のテロ支援国家の解除がきまった。任期終了が目前にせまった今となっては、もう何もしてほしくないのに、不人気な政権がその末期におこなう駆け込み的な実績作りである。ここに至っては道徳の問題だ。一個人の欲望の前に国際関係にも同盟国の日本との関係にも重大な支障をおこす。クリントン大統領の末期の時もオルブライト国務長官が北朝鮮で歓待されて醜態をさらした。 本書を読んで連想するのが、国家による犯罪であり謀略である。翻弄される人間の悲しみと無力である。北朝鮮に肉親を拉致されたご家族の悲しみは如何ばかりとおもうが、拉致の全貌はなにも発表されていないし、ジャーナリズムも沈黙している。発表すると日本の側の失策と怠慢が明らかになるからだろうと、根拠レスであるが想像する。 このときに松本清張ありせば、拉致事件にどう迫るか、とおもうのである。本書の推理が当たっているかどうか。事件の真相が解明されるのは、今後百年単位の年月がたって世界情勢が様変わりしてからであろう。本書の推理をくつがえすような出版はまだ現れていない。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!