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(短編集)
砂の碑銘
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【この小説が収録されている参考書籍】
砂の碑銘の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全3件 1~3 1/1ページ
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本書は1976年9月実業之日本社から初出版されました。1979年4月には角川書店で文庫化されています。その後、飛天文庫、集英社文庫からも再出版されました。2015年1月30日、角川書店でkindle化されています。 「砂の碑銘」 志鶴子は、露木が約束した喫茶店“花”に来なかった事を快く思わなかった。元はと言えば、お礼にと言って招待してくれたのだ。志鶴子は、露木が電車で痴漢に間違われた時、その冤罪を証明した。そのお礼がしたいと言って、待ち合わせした場所が“花”だった。初めて会う男には用心していたが、露木は、志鶴子が幼い頃、聞いた事のある方言を使っていた。だから、同郷かと思い懐かさもあり、待ち合わせに応じたのだ。数日後、露木が来なかった理由が分かった。それは、露木が刃物によって殺されていたからである。その時の志鶴子のアリバイを、調べに来た、刑事から知ったのである。勿論、志鶴子の犯行では無いが、アリバイは、証明出来なかった。そんな時、父の部屋で、喫茶店“花”のサービスマッチを見つけた。父が何故、それを持っているか疑問に思った。だが、もし露木が同郷なら、父と面識があるかもしれない。露木の死の真相と、露木と父の関係を知るためには、志鶴子の出生の秘密を探る必要があった。そして、その秘密を解き明かすための旅へ出る。長野県の山奥にある、すでに廃村になった村から始まる。そこから、遥々アメリカ、サンフランシスコまで旅をする。さらに、自然の宝庫、ヨセミテ渓谷と向かう。トラベルミステリーの趣がプンプンします。ところが、風光明媚な旅なのだが、志鶴子が行く所、行く所で死者が出るのだ。そして、最後に志鶴子は、自分の血統を知る事になる。人を死に追い込む悪魔の血統だった。志鶴子に知られない様に、秘密にされていたものだが、志鶴子が、その謎に近づく度に、一人一人死んでいくのだ。 「殺意の航跡」 清子は、その恋を諦めようと思った。妻も子供もいて、恋してはいけない男だった。それも、父の会社の部下だった。両親も、絶対に認めてくれない。しかし、その恋に終止符を打つと、この世で生きている意味が無い。そして、今の世と別れる事にしたのである。清子から電話を受けた、母親は、重大な事が起こっているのを感じた。それは、清子の最後の別れの挨拶だった。すでに、死ぬのに十分な睡眠薬を飲んだと言う。説得している場合では無かった。すぐに、警察に連絡して、先に清子のいるホテルへ向かってもらった。連絡を受けてホテルへ向かった警官だったが、清子が、別名で宿泊していたため、部屋を特定出来なかった。取り敢えず、女性一人でチェックしている部屋を片っ端からあたり、ようやく部屋を見つけた。母親と一緒にホテルへ着いた、姉の美津子は、片桐がいるのを見つけた。丁度、ホテルから出るところだった。片桐は、同じ会社にいて美津子が、今、一番大切にしている恋の相手だ。今は、呼び止めて話をしている場合では無い。未練は、あったが清子の部屋へ向かった。だが、部屋へ着くと、警官たちの顔色から最悪の事態を悟ってしまった。覚悟を決めて部屋へ入った美津子と母親は驚いた。その苦悶に満ちた顔で死んでいるのは、清子ではなかった。でも、よく見ると、美津子は、その死んでいる女を知っている。同じ会社で、悪評高いオールドミスの瀬川靖子だった。それと同時に、何故、片桐も同じホテルにいたのかも分かったのである。 | ||||
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本書は1976年9月実業之日本社から初出版されました。1979年4月には角川書店で文庫化されています。その後、飛天文庫、集英社文庫からも再出版されました。2015年1月30日、角川書店でkindle化されています。 「砂の碑銘」 志鶴子は、露木が約束した喫茶店“花”に来なかった事を快く思わなかった。元はと言えば、お礼にと言って招待してくれたのだ。志鶴子は、露木が電車で痴漢に間違われた時、その冤罪を証明した。そのお礼がしたいと言って、待ち合わせした場所が“花”だった。初めて会う男には用心していたが、露木は、志鶴子が幼い頃、聞いた事のある方言を使っていた。だから、同郷かと思い懐かさもあり、待ち合わせに応じたのだ。数日後、露木が来なかった理由が分かった。それは、露木が刃物によって殺されていたからである。その時の志鶴子のアリバイを、調べに来た、刑事から知ったのである。勿論、志鶴子の犯行では無いが、アリバイは、証明出来なかった。そんな時、父の部屋で、喫茶店“花”のサービスマッチを見つけた。父が何故、それを持っているか疑問に思った。だが、もし露木が同郷なら、父と面識があるかもしれない。露木の死の真相と、露木と父の関係を知るためには、志鶴子の出生の秘密を探る必要があった。そして、その秘密を解き明かすための旅へ出る。長野県の山奥にある、すでに廃村になった村から始まる。そこから、遥々アメリカ、サンフランシスコまで旅をする。さらに、自然の宝庫、ヨセミテ渓谷と向かう。トラベルミステリーの趣がプンプンします。ところが、風光明媚な旅なのだが、志鶴子が行く所、行く所で死者が出るのだ。そして、最後に志鶴子は、自分の血統を知る事になる。人を死に追い込む悪魔の血統だった。志鶴子に知られない様に、秘密にされていたものだが、志鶴子が、その謎に近づく度に、一人一人死んでいくのだ。 「殺意の航跡」 清子は、その恋を諦めようと思った。妻も子供もいて、恋してはいけない男だった。それも、父の会社の部下だった。両親も、絶対に認めてくれない。しかし、その恋に終止符を打つと、この世で生きている意味が無い。そして、今の世と別れる事にしたのである。清子から電話を受けた、母親は、重大な事が起こっているのを感じた。それは、清子の最後の別れの挨拶だった。すでに、死ぬのに十分な睡眠薬を飲んだと言う。説得している場合では無かった。すぐに、警察に連絡して、先に清子のいるホテルへ向かってもらった。連絡を受けてホテルへ向かった警官だったが、清子が、別名で宿泊していたため、部屋を特定出来なかった。取り敢えず、女性一人でチェックしている部屋を片っ端からあたり、ようやく部屋を見つけた。母親と一緒にホテルへ着いた、姉の美津子は、片桐がいるのを見つけた。丁度、ホテルから出るところだった。片桐は、同じ会社にいて美津子が、今、一番大切にしている恋の相手だ。今は、呼び止めて話をしている場合では無い。未練は、あったが清子の部屋へ向かった。だが、部屋へ着くと、警官たちの顔色から最悪の事態を悟ってしまった。覚悟を決めて部屋へ入った美津子と母親は驚いた。その苦悶に満ちた顔で死んでいるのは、清子ではなかった。でも、よく見ると、美津子は、その死んでいる女を知っている。同じ会社で、悪評高いオールドミスの瀬川靖子だった。それと同時に、何故、片桐も同じホテルにいたのかも分かったのである。 | ||||
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なんとも出来ない作品が2作品出てきます。 読後に覚える感覚、それは無力感に違いありません。 表題作はミステリーの形を成していますが どちらかといえば一人の人間の転落劇でしょう。 違和感を抱きさえしなければすべては 始まることはなかったのです。 ところが、違和感を抱いてしまったがゆえに… そしてすべてが見えたときには すでに手遅れだったのです。 「身をもって体験」してしまって すべてを自覚するのですから… もうひとつの作品もありますが これも無力感に襲われることでしょう。 もし、運命がいたずらさえ起こさなければ 一人の命は救えたでしょうに… 他のミステリーとは毛色が違います。 人間模様を楽しむ作品です。 | ||||
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