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さよなら渓谷
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さよなら渓谷の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.58pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全51件 41~51 3/3ページ
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すでに他の人の書評を読んでしまった後に読み始めたので、 「尾崎俊介」と「かなこ」の関係については、最初からわかっていた。 むしろ、なぜそうなっていくのか、その描写に期待を込めて読んだといってもいい。 人間の業の深さをえぐりだすような作品なのかどうか。 どういう状況で、そんな選択をすると作者は考えるのだろうか? 女性読者としてはすっきりしない読後感だ。 はっきり言って、それほどの深みのある作品ではなかった。 読んだ後にかなり強い「もやもや感」があって、 それを「考えさせられる作品」と表現してもよいのだが、納得がいかないところも多い。 登場人物たちは皆よどんで暑苦しくやりきれない雰囲気を出していて、 さわやかな渓谷の風景描写と対照的なのが、いいのか悪いのか。 変に心に残って「こんな温泉地はいいなぁ」とか思ってしまう。 最後の「かなこ」の行動と俊介の気持ちなどは、「静かな爆弾」と同じで、 描ききることを避けてしまった作者の「逃げ」という気もする。 記者の渡辺の心情をもうちょっと掘り下げて、 男性特有の心理をあぶりだしてくれたら良かったと思う。 | ||||
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ストーリーがしっかりしているので、最後まで楽しめました。途中のどんでん返しには驚いたが、それもありだと思った。というより、納得させられてしまう力量がこの文章から伝わってきた。 吉田氏の作品は次回も必ず読ませて頂きます。 | ||||
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レビューを読むと賛否両論のようですが、わたしは面白く読みました。 はっきりいってそれは、わたしが全くの部外者だからです。 もし被害者や加害者そのどちらか、または近親者に同じ様な境遇の人がいたら そうではなかったと思います。 なので、これを単純に物語として読んだ場合限定ですが、切ないな、深いなと思いました。 被害者がいくら過去を消そうと思っても、噂はずっと付いて回る。 加害者は”何故あの時あんな事をしてしまったのだろう”と後悔ばかりが残る。 その後の生活が平静であればあるほど、 汚点となって、消すことが出来ないのはどちらの立場でも同じだと思いました。 主人公・俊介は、自分の罪を一生背負って生きていくしかないし、 誰といても癒されない被害者の女性はさみしかったから、 なんとかして自分の居場所を見つけたかった。 そういう点で、この二人の選択は、仕方がない事だった気がします。 この物語は、マイナスの二人を足して、何とか「0」にした感じがしました。 でも決して「1」や「2」にならないという、つらい結末です。 | ||||
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「悪人」が衝撃的だったので、楽しみでもありつつ、「でも二番煎じになるのでは?」と過度な期待はしていませんでしたが…、ぐいぐい引き込まれ、一気に読み上げました。 幼児殺人事件をきっかけに、過去の集団レイプ事件を紐解いていく(紐解かれていく?)様は、類似した実際の事件とリンクして、読み手に 文章以上の想像力を与えます。 描写力も素晴らしいですよね。私の中では、各場面の風景や家の間取り等、イメージがハッキリ出来上がりました。 もう少し長編であってもいいですね。内容の深さに対して、ちょっとまとまり過ぎた感もあります。(それだけ面白く感じたということでしょうが) 後読感がスッキリしないところも、個人的には好きです。 「何が幸福で、何が不幸かなんて、他人には理解できない。当人たちも本当のところは、解らないのかも…」 と、考えさせられました。 私の母も読んでいましたが、「これからのあの二人の事が心配だ…」と。 ただ、書店のポスターや帯にある「どこまでも不幸になるためだけに、私たちは一緒にいなくちゃいけない…。」という文章から受ける印象は、恋愛小説っぽくも感じ、本の本質とはちょっとズレているのでは?と思います。 | ||||
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吉田修一は一時期、毒にも薬にもならないようなさらっとした おしゃれ(?)な文章を書いていた、ように記憶している。 が、ここにきて、ストーリーをガチッと決めて、最後に読者に アッと言わせるような作品を書き始めた。純文学から、卒業し ているように見えるが、文章のうまさは変わらない。 今回の作品は、個人的にはかなりおもしろかった。 被害者が堕ちるところまで堕ちたところで加害者と接点を持つ。 設定に無理はあるかもしれないが、被害者・加害者の心が救わ れる展開を期待してしまい、ページをめくる手が止まらない。 | ||||
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かなこと俊介が一緒に居る理由・・・不幸になる為。二人で幸せになってはならず、どちらかが相手を残し死ぬことも許されない。世間から隠れたように暮らしていた二人。その二人の隣家で起きた子殺しを取材していた雑誌記者の渡辺は犯人の母親と微妙に絡んだ俊介の過去を調べていくうち、信じがたい現実を目の当たりにする。かなこと俊介は15年前に起こったある事件の憎んでも余りある加害者とその後の人生を失くしてしまった被害者だった。何故二人が一緒に・・・?かなこのついた嘘で警察の取調べを受けても、何の抵抗も抗議もせず「かなこが、かなこがそう言ったんですか?」と言ったきり、全てを認めた俊介。拘留中、かなこを訪ねた渡辺が聞いた二人の過去・・・。最後、俊介を訪ねた渡辺の問い「あの事件を起こさなかった人生とかなこさんと出会った人生と、どちらかを選べるなら、あなたはどっちを選びますか?」ただ見つめ返す俊介の瞳の中の光が後者を意味していたら・・・決して幸せにはなれない辛く哀しい愛がそこにある。 | ||||
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舞台となるのは老朽化した平屋家屋の並ぶ市営団地。 母子家庭で幼児殺人事件が起こり、母親が逮捕。 ある記者が事件の真相を調べていくうちに、 事件のあった家の隣りに住む夫婦のとんでもない秘密が浮かび上がる・・・。 彼女の場合、犯罪被害者であっても同情されるのではなく、汚いものを見るように見られてしまう。 誰かと知り合い、恋をするたびに自分が犯罪被害者であることがいつか知られてしまうのではないかとおびえて暮らす。 誰かと寄り添って生きていくのは幸福だと思ってきたけれど、そうすることでどんどん不幸になっていく人もいる。 不幸な人ほど幸せになれそうな予感があるのにそうはせず、むしろ幸せのチャンスを自ら望んで切り捨てる。 そんな生き方しかできなくなってしまった悲しさが切ない。 二人の幸せはどこにあるのだろう・・・。 テーマが重く、読みごたえもあるのに短くまとめちゃったようなのが残念。 もっとずっしり重たい長編にしてもよかったのに・・・。 | ||||
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とても読みやすい文体、内容にもかかわらず、 途中何度もページをめくる手を止めて、 いろいろと考えさせられました。 表面的な印象だけで、 他人をああだ、こうだと批判したり、断罪するのは、 なんて愚かなことなんでしょう。 過去の体験によって、 癒えない心の傷を抱えている方には、 ほんとうに頑張って幸せになって欲しいですね。 | ||||
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個人的には「悪人」を超えた秀作だと思います。圧倒的な表現力、描写力、悪人のレビューでも書きましたが、読んだ後に誰かと内容について語り合いたくなる本です。深い! | ||||
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幼児殺害事件…。そこから隣人の過去があばかれて行く!?☆大学時代のレイプ事件の加害者と被害者という設定からして後味が悪いです。そして、人が思いもよらぬ衝撃の事実!?☆それぞれの立場からやるせない過去が告白されて行くのですが、加害者がその後も罪の意識を持っているという点では救われました。「不幸」「幸せ」とななんだろうと考えさせられます。相手を幸せに出来ない、そして相手を不幸に落とそうとする辺りからもう自分自身を不幸にさせていますよね。☆ラストは、救われるものがあったかな。☆個人的には『悪人』よりも考えされられる事が多く良かったです。 | ||||
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最近は新作が出る頻度も増えて嬉しい限りだが、やや社会派なネタによってきているような気がする。誰もが思い浮かべることができる事件を中心に話は広がりを見せる。 どうしても変えることが出来ない事実と、つぶされそうになりながらもギリギリのところでつぶれきる事は出来ない強さ。 誰しもが幸せを手に入れる権利を持っているが、幸せにならなければならない義務はない。ただ、人は生まれながらにして形がないそれを、そうあって欲しい何かを求め続ける。 | ||||
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