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おしどり探偵
おしどり探偵
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おしどり探偵



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おしどり探偵の評価: 3.78/5点 レビュー 23件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.78pt
Created with Highcharts 5.0.102件8.70%3件13.04%1件4.35%9件39.13%8件34.78%得点得点☆1☆2☆3☆4☆5


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全23件 1~20 1/2ページ
12>>
No.23:
(4pt)

きみは恥知らずな女だよw

トミーによる別のタペンス評には、「どうもきみの道徳観は情けないほど低いようだな」(P.198)ってのもあるw

 クリスティの長篇第二作で、トミー&タペンスものの第一作『秘密機関』は、子どもの頃に読んだあかね書房の抄訳版『冒険家クラブ』を含めると三度くらいは読んだのだが、その続篇で唯一の連作短篇集である本書を橋本福男による旧約版ではじめての再読。【注1】

 初期のクリスティはThe Sketchという週刊誌に短篇を断続的に集中掲載しており、1923年にはポワロものが25篇、1924年前半には後に『ビッグ4』としてまとめられる諸短篇、そして同年後半には本書の収録作品(「牧師の娘」と「鉄壁のアリバイ」を除く)が発表された。
 いずれも30頁弱、あるいは20頁強といったごく短い掌編で、ミステリとして読むと物足りないのは間違いないが、ミステリorスパイ風味のキャラ小説として読むのが、もっとも本書を楽しめる読み方ではないか。

 ポワロものでさえ、The Sketch版の短篇は謎解きよりも彼とヘイスティングスの掛け合いを楽しむべきだと思うが、本作でのトミーとタペンスの掛け合いは一層楽しい。タペンスのおきゃんぶりは、執筆された1924年が大正13年であることを念頭におけば魅力が増幅されるし、彼女に翻弄されることが多いトミーだって、決して受け身なだけではない。そもそも“探偵ごっこ”にお熱なのは、トミーのほうであるw
 それに加えて、彼らが使用人あるいは助手として雇っている15歳くらいのアルバートも、時に軽妙な掛け合いに参加するキャラの立った人物である。しかし再読するまで、彼の存在をころっと忘れていたのは、それだけベレズフォード夫妻の魅力が大きいということだろう。

 最初の事件(「お茶でもいっぱい」)のタペンスの活躍が印象的すぎた所為?で、実質的な“名探偵”は彼女だと思い込んでいた。ところがトミーの頭の回転の速さも大したものだったw
 それ以降の事件では、「桃色の真珠事件」「霧のなかの男」「サニングデールの謎の事件」「16号だった男」の謎解き役はトミーである。
 ちなみに「キングに気をつけること」「死のひそむ家」「鉄壁のアリバイ」はタペンスが謎解き。
 残りの作品はスパイ活劇風味の強い作品だが、活躍の主体はトミーである。

 とぼけたことに、スパイ風味の作品で彼は悪漢wに何度も拉致されるが、彼らに「君も相当のきもったまだな」(P.152)とか、「こいつ相当きもったまのふといやつだな」(P.207)と感心されるほど危機にまったく動じないw
 霜月蒼に“ごっこ遊び”と揶揄される点でもあるが、悪漢側が同じような台詞を吐いてくることを考えれば、著者はわかってて繰り返しているのだろう。
 そんなトミーも、タペンスが拉致された際には「やつれた顔をして」(P.374)いたわけで、うまくコントラストをつけている。

 最後にひとつ、個人的には新たに発見したことを書いておきたい。
 『秘密機関』で久し振りに再会したトミーとタペンスが、当時二人の歳を合わせても45にならなかったというのは有名なフレーズだが、二人の軽妙な掛け合いも大いに影響して、二人は同い歳だと思い込んでいた。
 ところが「トミーとタペンスの二人は結婚し~(中略)~それから六年たったのちも」(P.9)、タペンスとアルバートを指して「二十五歳を一日でもこしている者は一人もいない」(P.27)、「トミー、元気をだすものよ。三十二という年や、左の眉毛にしらがが一本~」(P.97)といった文章から、トミーが32歳、タペンスは24歳という可能性が高い……。
 六年前はそれぞれ26歳、18歳なので、合わせて45にならなかったことにも矛盾しない。
 なんと二人は八年も歳の差があったw

 【注1】あかね書房の推理・探偵傑作シリーズは、挿絵が劇画のコマ割り風なのが印象的だった。『なぞの038事件』(靴に棲む老婆)とか、『あかつきの追跡』(あかつきの死線)とか、このシリーズで初めて読んだ古典の名作も多かった。あかね書房の本では、他にマガーク少年探偵団シリーズも何冊かは持っていたが、挿絵は学研の学習の名探偵荒間宗助で有名な山口太一だった。あれらの本はいつ処分してしまったんだろ……。
おしどり探偵 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)Amazon書評・レビュー:おしどり探偵 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
415130052X
No.22:
(2pt)

昔読んで気に入っていたミステリを電子版で読みなおしています

訳が「薄い」って言うのか、重い内容のお話ではないけれど、それにしてもあまりにもふやけた印象の訳でがっかりしました。あと、( )で元ネタをバラすのもやり過ぎ。ああ元ネタはアレね、ニヤリ… という楽しみもスポイルされた気がして、なんだかなあ。
おしどり探偵 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)Amazon書評・レビュー:おしどり探偵 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
415130052X
No.21:
(2pt)

このシリーズは、クリスティーの中では2番手です。

何冊か、タペンスものを読みましたが、ポアロやマープルに比して、作品の質が良くないです。
おしどり探偵 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)Amazon書評・レビュー:おしどり探偵 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
415130052X
No.20:
(1pt)

翻訳がひどい

アガサクリスティのせっかくのパロディや本歌取りが全然生かされていないし、詩の訳もひどい。推理小説は、やっぱり日本語で読むのは限界があるのか。
おしどり探偵 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)Amazon書評・レビュー:おしどり探偵 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
415130052X
No.19:
(5pt)

21世紀の現代語訳版なので読みやすいです。

個人的には1972年に創元推理文庫から出版された一ノ瀬直二翻訳の『二人で探偵を』のタイトルの方が好みで大事に保管していますが、久しぶりに読み返そうと思い、どうせならと21世紀以降の2004年の坂口玲子による新訳版であるところの本作をKindleで読んでみました。
さすがに現代語訳の文章になっており読みやすい。
本格的なサスペンス推理小説とは趣が異なり歴代の探偵をコメディー化しており、休日にのんびり寝転んで読むのに相応しく、読書後は幸せな気分になれる作品です。
普段ライトノベルしか読まない若い読者にも、推理小説の「古典」への入門書として読んで欲しいと思います。
短編集ということで本作だけでも楽しめますが、この『トミーとタペンス』のシリーズは内容が僅かに連続しており、出来ることならば第1作目の『秘密機関(一ノ瀬訳では『秘密組織』)』から順番に読み始めれば、シリーズ全5作を余すことなく楽しめると思います。
おしどり探偵 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)Amazon書評・レビュー:おしどり探偵 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
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No.18:
(4pt)

これはこれでおもしろい

推理というより行き当たりばったり的に事件を解決することが多いが、これはこれで面白かった。
おしどり探偵 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)Amazon書評・レビュー:おしどり探偵 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
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No.17:
(4pt)

ミステリの女王がオアソビで書き下ろした、現代に通じるライトミステリ。

クリスティーの創造した名探偵の中で、名前しか知らなかったトミー&タペンスものを初読。短編集だが、一作目から脱力させてくれた。ミステリマニアだが全然経験も技量もない若い夫婦が探偵社を開業し、シャーロック・ホームズを初めとしたさまざまな名探偵にならって推理を展開すると言う趣向。本格ミステリからはほど遠く、気軽に読めるコメディタッチのミステリーで、好奇心の塊みたいなタペンスに振り回されるトミーと言う構図が実に微笑ましい。このシリーズ5作品しか書かれてないのだが、長く書かれなかった時期に各国からあの2人は今どうなってるのかと問い合わせが殺到したらしいが、その人気は一作読んだだけで理解出来る。今作のラストで危機一髪のピンチを脱したタペンスが、もう仕事はするなと言われて反発し、やらなきゃならない大仕事があると言って懐妊を発表。思わず祝したくなったのは私だけではあるまい。
 ミステリの女王がオアソビで書き下ろした感じだが、現代に通じるライトミステリ感覚は素晴らしい。惜しむらくは2人が模した名探偵達のほとんどを知らなかった事で、私にわかったのはホームズ、フレンチ、ポアロくらいだった。それだから満点評価しないわけではないが、知らなくても十分面白いので知ってたらなあ、と思っただけの事である。
おしどり探偵 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)Amazon書評・レビュー:おしどり探偵 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
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No.16:
(3pt)

夫婦探偵ならではの物語

退屈な日常に飽きて、刺激を求めるタペンス。トミーの上司のカーターの依頼を受けて、二人は探偵業を引き受けることに。
二人の軽妙なやり取りと架空の名探偵気取りで物語は進展してゆき、二人が時には相手を騙したり、協力しながら事件を解決していく。
14の事件からなる短編集だが、際立った出来ばえの作品はなく、何の変哲もないオチだったり、ノックスの十戒に反していたりと、拍子抜けする作品が多い。敢えて挙げると、「怪しい来訪者事件」、「婦人失踪事件」、「大使の靴」が面白い。
ハードボイルド的な場面も多く、とぼけたイメージのトミーが窮地に追い込まれても泰然自若としているのが印象的。

「お茶でも一杯」
失踪した女性を探してほしいという依頼に対して、24時間以内に解決すると大見得を切るタペンス。
「桃色の真珠事件」
真珠の意外な隠し場所。ある事柄に不信感を持ち、犯人に気づいたトミー。読者が推理するのは難しい。
「怪しい来訪者事件」
冒頭のシガレットケースに関するエピソードがうまく活かされている。トミーの機知、タペンスの気づきによって、窮地を逃れる。
「キングに気をつけること」
冒頭の新聞紙に関するエピソードがうまく活かされている。同じ○○を作るよりも、そのまま入れ替えた方が簡単では?
「婦人失踪事件」
探検家から夫人が行方不明になったので、探してほしいとの依頼を受ける二人。失踪の意外な理由が面白い。
「眼隠し遊び」
盲人探偵を気取り、危機一髪の状況に。ちょっとした細工のおかげで命拾いする。暗号は意味不明。
「霧の中の男」
『証拠とは、感覚によって頭に伝えられた印象にすぎない』
トミーは3つの勘違いに気づき、犯人を突きとめる。
「ぱしぱし屋」
警視庁のマリオット警部の要請を受けて、にせ札製造の潜伏調査をすることに。ギャングとの駆け引きの話だが、何の変哲もないオチ。
「サニングデールの謎の事件」
事件を取り巻く状況はなかなか魅力的だが、真相は予測の範囲内。真相通りに推理できない理由は、警察がエヴァンズに被害者の写真を見せていないなんて、ありえないことだと思うからだ。
「死のひそむ家」
タペンスの昔の経験が活きる。推理には、専門的知識が必要。
「鉄壁のアリバイ」
同時に2つの違った場所に居たという女性の謎。そのアリバイを崩す話だが、ひょっとしたら、アレかなと思っていたら、その通りだった。
「牧師の娘」
幽霊騒ぎの調査依頼から、文字謎遊びの問題を解いて、事件解決。日本人読者には推理不可能。
「大使の靴」
税関で間違えて持っていかれて、すぐに戻ってきたカバンの謎。すり替えの理由は予想通りだった。
「16号だった男」
本作品の締め括りの話で、カーター主任から探偵業依頼の際に話のあった、16号の男との対決。
ホテルに入ったタペンスと16号の男が消えてしまうが、意外な二人の居場所をトミーは突きとめる。
おしどり探偵 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)Amazon書評・レビュー:おしどり探偵 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
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No.15:
(1pt)

クソつまらない。

クリスティの作品の中で最もつまらなかった。
この夫婦は嫌い。
中でも嫌なのは夫婦の会話の中に不必要に「おバカさん」という言葉が出てくる点。
よく夫婦でいるな、と思う程。
こういうのが仲の良さだとはちっとも思わない。
事件もしょぼくてつまらな過ぎ。
5つ星だったので買ってしまいましたが、他人様の感覚をあてにするものでは無いと思いました。
テンポが良いと言うよりは、浅いという印象を持ちました。
おしどり探偵 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)Amazon書評・レビュー:おしどり探偵 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
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No.14:
(5pt)

クリスティが生んだベストカップル、明るく楽しく大活躍!

クリスティが創造した探偵役の中では、ポアロ、マープルに次ぐ知名度を持ち、2015年にも英国BBCで2度目のドラマ化がされたトミーとタペンスが活躍する短編全15作を収録しています。

ふたりが登場する短編は他にないため、そのすべてを読むことができます。ただし、事前に長編『秘密組織』を読んでおかれることを強くお勧めします。というのも、本書の登場人物、人間関係、背景設定などは『秘密組織』を受け継いでおり、さらに時間的な経過も合わせてあるためです(詳しくは後述の「トミーとタペンス登場作品全リスト」をご参照ください)。

また、トミーとタペンス物に触れる際には、そもそもがコミカルな物語であって、本格派の謎解きやリアルな設定を求めすぎても意味がない、という前提を了解しておくことが肝心です。その点も含め、まずは『秘密組織』を読んでみて、それで気に入ったのなら大丈夫、迷わず本書を手に取ってください。ふたりが繰り広げるやりとりはいっそうリズム感を増し、扱う事件も殺人、盗難などの一般的な犯罪から、犯罪組織の摘発、さらにはふたりのホームグラウンドである国家的な諜報戦までと多彩になって、楽しさも倍増しています。口先で何と言おうと、心の奥では厚い信頼と熱い愛情で結びついたふたりは、まさにクリスティが生んだベストカップル。その魅力に惹かれるまま、15話をあっという間に読み終え、すぐにも読み直したくなること請け合いでしょう。

以下、収録作のレビューを目次順で付します。なお、プロローグ部分にあたる冒頭2話を除いた各話は、捜査の素人であるトミーとタペンスが、せめてもの教本として、発表当時に著名だった名探偵たちの手法をまねたという形式のパロディになっています。しかし、元の探偵について知らなくてもいっこうに差し支えはありません。もちろん元ネタを知っていれば、その分面白さは広がりますが、現在では名前が残っていなかったり、そもそも邦訳がほとんど出ていない探偵もいます。さらに言えば名前だけ借りている程度に留めている作品も少なくないので、あまり気にせず、フレーバー程度に受け取っておけばいいでしょう。

アパートの妖精
本書全体のイントロダクションとなる一編。ふたりの現状を巡るトミーとタペンスの会話がとにかく楽しく、一気に彼らの世界に引きずり込まれます。

お茶をどうぞ
とある筋からの依頼で、変名を用いて探偵事務所をすることになったふたり。そこへ持ち込まれてきた最初の事件を描きます。失踪した女性を探してほしいという依頼ですが、そこにはとんでもない裏が隠されていて……

桃色真珠紛失事件
名家で起こった宝石盗難事件を扱います。ホームズのライヴァルたちの中でも著名なソーンダイク博士の名が出てきますが、パロディ度は低め。それよりも全然自信がないのに名探偵を気取らなければならずに四苦八苦するトミーと、根拠不明確な自信でぱんぱんのタペンスの対比が光っています。

怪しい来訪者
ふたりが探偵事務所を開くことになった直接の理由が絡んだスパイ・スリラー物。なかなか物騒な敵を相手に、トミーとタペンスは機知とコンビネーションで対抗します。普段は慎重派で、いささか頼りなさげにすら見えるくせに、修羅場になると一転肝が座って好男子ぶりがアップするトミーの魅力を十二分に味えます。

キングを出し抜く
奇妙な文言の新聞広告を目に留めたタペンスが、渋るトミーを引きずって自ら事件へ飛び込んでいく話です。キングで云々というのはコントラクト・ブリッジでの駆け引きにかけてあります。エースという絶対的に強いカードではなく、2番目に強いキングで勝負するにはどうするか、といった意味合いです。

婦人失踪事件
これは非常に優れた、ホームズ物のパロディです。型が決まっていて真似しやすいホームズとはいえ、ここまで上手く書けるのはさすがクリスティ。トミーとタペンスのやりとりも振るっていて、楽しさという点では本書中でも一、二を争います。エラリー・クイーンが編んだ『シャーロック・ホームズの災難』にも採られています。

目隠しごっこ
「怪しい来訪者」の続きとなるスパイ組織との対決、第2回戦です。トミーとタペンスが盲目探偵の真似事をする序盤、胡散臭い依頼が寄せられる中盤、持ち前の機知で敵と相対する終盤と、見せ場盛りだくさんのエンターテインメント作品。敵のいかにも時代がかった大仰な仕掛けが楽しいです。

霧の中の男
トミーが有名どころの中でも有名な探偵、ブラウン神父に扮する話ですが、クリスティとチェスタトンは用いる文体があまりにも違うのでパロディともパスティーシュとも言いがたいところがあります。が、作中に漂う、異様な雰囲気は魅力的。怪奇幻想物も書いていたクリスティならではの筆致が光ります。

パリパリ屋
偽札を作っている犯罪者集団に対して潜入捜査を行う物語。多作を誇り、映画「キング・コング」の脚本でも知られるエドガー・ウォレスの雰囲気になぞらえ、軽快で洒落っ気のあるストーリーが展開します。今回はややタペンスの出番が少なめですが、その理由も、ラストのトミーの台詞で明らかになります。

サニングデールの謎
ゴルフ場で起きた殺人事件を、新聞記事を手がかりに解き明かしていく本書中屈指の本格ミステリ。モデルにされているのは、安楽椅子探偵の嚆矢として著名な隅の老人で、本家が実はあちこち出歩いていろいろ調べているのに対して、こちらは正真正銘の安楽椅子探偵ぶりを発揮、見事なパスティーシュを楽しませてくれます。

死のひそむ家
田舎の屋敷を舞台にした毒殺事件を扱います。A・E・W・メイスンが創出した、ポアロの原型ともいわれるフランス人探偵アノーの名前が出てきますが、これは冒頭でトミーがちょっと真似る程度。何人も犠牲者が出てしまう悲惨な事件のせいか、あまりおふざけはなく、ふたりの掛け合いもややシリアス志向になっています。

鉄壁のアリバイ
来ました、来ました、全クリスティの短編中でも最大級の問題作が! この話はシリーズが完結した後、とある雑誌のクリスマス特別号に掲載されました。人を許す時季であることを踏まえた英国風のジョークなのか、遊び心満載の実にヤンチャな作品です。もちろん、わざとやっているので腹を立てたりするのは無粋というもの。

牧師の娘
今回の依頼主は、タイトル通り牧師の娘。裕福だった叔母の遺産を受け継いだものの、あてにしていたお金が見当たらないという話を聞き、トミーとタペンスが宝探しに挑みます。手がかりは叔母さんが書き記した謎めいた詩。前話同様、クリスマスシーズンに発表されていますが、こちらは正統派のハッピーなお話が待っています。

大使の靴
犯罪性の薄そうな出来事から大きな犯罪を暴き出すという、「赤毛連盟」タイプの作品。英国本格ミステリの書き手として高い評価を得ていたH・C・ベイリーが創造した探偵、レジー・フォーチュンの名が出てきますが、これもそこまでなぞってはいません。話の展開が上手く、クライマックスの仕掛けが効いています。

16号だった男
フィナーレを飾るのは、これで3度目となるスパイ組織との対決。名うての工作員を相手に、トミーはポアロの叡智を借りて挑みます。クリスティ自身による自作のパロディというのも貴重ですが、それ以上に忘れがたいのはなんといってもエンディング。ふたりの新たなスタートをもって、本書は素敵な幕引きを見せてくれます。

■本書の章構成について

1:雑誌での初出時
本書に収録されている15作は、1923年から1928年にかけて雑誌で発表されました。特に1924年9月24日から12月10日までの12週間、週刊誌The Sketch Magazineで一号も欠くことなく、集中的に連載されています。ただし、雑誌での作品数は14作で、タイトルが異なる場合も多く、発表順も現在の目次順とはだいぶ異なっていました。以下、初出順にその際のタイトルと本書のどのエピソードの原型になったかを記します。

発表順_タイトル__掲載誌___本書で該当する短編
01_The First Wish__The Grand Magazine 1923年12月号___牧師の娘
02_Publicity__The Sketch Magazine 1924年9月24日号___アパートの妖精、お茶をどうぞ
03_The Affair of the Pink Pearl__The Sketch Magazine 1924年10月1日号___桃色真珠紛失事件
04_Finessing the King__The Sketch Magazine 1924年10月8日号___キングを出し抜く
05_The Case of the Missing Lady__The Sketch Magazine 1924年10月15日号___婦人失踪事件
06_The Case of the Sinister Stranger__The Sketch Magazine 1924年10月22日号___怪しい来訪者
07_The Sunninghall Mystery__The Sketch Magazine 1924年10月29日号___サニングデールの謎
08_The House of Lurking Death__The Sketch Magazine 1924年11月5日号___死のひそむ家
09_The Matter of the Ambassador's Boots__The Sketch Magazine 1924年11月12日号___大使の靴
10_The Affair of the Forged Notes__The Sketch Magazine 1924年11月19日号___パリパリ屋
11_Blindman's Buff__The Sketch Magazine 1924年11月26日号___目隠しごっこ
12_The Man in the Mist__The Sketch Magazine 1924年12月3日号___霧の中の男
13_The Man who was Number Sixteen__The Sketch Magazine 1924年12月10日号___16号だった男
14_The Unbreakable Alibi__Holly Leaves 1928年12月発行___鉄壁のアリバイ
《雑誌情報》
The Grand Magazine……ホームズ譚で知られるThe Strand Magazineを立ち上げ、英国の南極探検支援でも知られる出版界の大立て者、ジョージ・ニューネスが作った雑誌。クリスティをはじめ、本書の元ネタを提供しているバロネス・オルツィやエドガー・ウォレスなども寄稿していました。
The Sketch Magazine……クリスティが短編デビューし、最初期のポアロ物を25作発表した、上流、貴族階層向けの週刊誌。トミーとタペンス物はポアロ物の連載終了を受けて始まり、その終了でクリスティのThe Sketch Magazineにおける活動も終わりとなりました。
Holly Leaves……週刊誌The Illustrated Sporting and Dramatic Newsのクリスマス特集号。翌1929年版では「六ペンスのうた」(『リスタデール卿の謎』収録)が掲載されています。

2:単行本発行時
本書が編まれる際、クリスティは全体的に手を加え、配列を現在の目次順にし、章を細かく分割して、全23章としました。

01_A Fairy in the Flat
02_A Pot of Tea
03_The Affair of the Pink Pearl -partI
04_The Affair of the Pink Pearl -partII
05_The Adventure of the Sinister Stranger -partI
06_The Adventure of the Sinister Stranger -partII
07_Finessing the King
08_The Gentleman Dressed in Newspaper
09_The Case of the Missing Lady
10_Blind Man's Bluff
11_The Man in the Mist -partI
12_The Man in the Mist -partII
13_The Crackler -partI
14_The Crackler -partII
15_The Sunningdale Mystery -partI
16_The Sunningdale Mystery -partII
17_The House of Lurking Death -partI
18_The House of Lurking Death -partII
19_The Unbreakable Alibi
20_The Clergyman's Daughter
21_The Red House
22_The Ambassador's Boots
23_The Man Who Was Number 16

3:早川版発行時
早川書房が本書の日本語版を出版するにあたり、最初のハヤカワ・ミステリ版では、原書そのまま23章の構成で翻訳されました。しかし、ハヤカワ・ミステリ文庫に収められる際にpartI、partIIに分かれていた話を1つに統合し、さらに同じ事件を扱っている“Finessing the King”と“The Gentleman Dressed in Newspaper”、及び“The Clergyman's Daughter”と“The Red House”も1話として再編、全15話としました。クリスティー文庫はこの章構成を引き継いだ上で、タイトル、本文を改訳しています。

■トミーとタペンス登場作品全リスト

長編4、短編集1の合計5冊。このシリーズの最大の特徴は、トミーとタペンスのふたりが発行された年に合わせて、実際に年を取っていくことでしょう。20歳前後の恋人同士から始まり、結婚し、子供が生まれ、孫がやってくるのを待つ年代まで、彼らの人生が綴られていきます。しかもデビュー作『秘密組織』はクリスティの第2作であり、最終作『運命の裏木戸』は最後に書いたミステリー。従って、トミーとタペンスの人生は、クリスティの作家としてのキャリアともほぼ重なっています。是非発売順に読んで、この二重の意味を持つ魅力を味わってください(なお、以下のリストでは、シリーズの発売順、邦題、本国での発行年月、発行時のクリスティの満年齢を記載しています)。

1_秘密機関__1922/01___31歳
2_おしどり探偵(本書。短編集)__1929/09___39歳
3_NかMか__1941/11___51歳
4_親指のうずき__1968/11___78歳
5_運命の裏木戸__1973/10___83歳
おしどり探偵 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)Amazon書評・レビュー:おしどり探偵 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
415130052X
No.13:
(5pt)

トミーとタペンス 、夫妻としての門出的な作品

本作を含めて、トミーとタペンス シリーズは、5冊あります。

そして、それらを全て読了してみると、彼ら、ペレズフォード夫妻の歴史を垣間見ることができます。

その中で本作は、シリーズ2冊目に相当し、唯一の連作短編集となっています。夫婦になってまだ間もない頃の二人の活躍が15編にわたって描かれています。

アガサ・クリスティーの作品と言いますと、エルキュール・ポアロや、ミス・マープルが有名ですが、本作の主人公、ペレズフォード夫妻も彼らに引けを取りません。むしろ、彼らの中で最も行動的なのが、トミーとタペンスと言っても過言では無い程です。

最近、NHKで、トミーとタペンスのドラマが放送されていましたが、これを機に、シリーズを読破するのも面白いかもしれません。
おしどり探偵 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)Amazon書評・レビュー:おしどり探偵 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
415130052X
No.12:
(5pt)

秘密機関,NかMか、運命の裏木戸,親指のうずきの5作品の1つ

タペンス&トミーが活躍します。
特に、タペンスは、とても溌剌として、前向きで、困難に立ち向かう姿がすばらしい。
アガサクリスティがこうなりたかったという性格の女性を描いているようだ。

都市をとってからの2人もすごいが、若い時代もすごい。

もっとたくさん2人の物語があるとうれしかった。
本筋に関する事項が、他の作品における小説家、発掘などの経験のある事項とは違い、
情報局のような経験のないものだからなのだろうか。
おしどり探偵 (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-36 クリスティー短編集4)Amazon書評・レビュー:おしどり探偵 (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-36 クリスティー短編集4)より
4150700362
No.11:
(4pt)

こちらがどきどき

かなり危ない探偵業です。
時には猿轡までかまされ、
時には炎に包まれそうになり…
こちらの命が何個あろうが足りないぐらいに
ドキドキ、ハラハラさせられます。
基本は殺人がらみではなく
組織犯罪が多いです。
そしてさらにいえば1個だけ
いわゆるハズレ(笑)が
まぎれており、
それは調査記録には含まれておりません。
そのハズレは以外に面白いですが
女性の人は読むのを避けたほうが
よいかと思います。
著者の遊び心ですけどね。
おしどり探偵 (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-36 クリスティー短編集4)Amazon書評・レビュー:おしどり探偵 (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-36 クリスティー短編集4)より
4150700362
No.10:
(4pt)

こちらがどきどき

かなり危ない探偵業です。
時には猿轡までかまされ、
時には炎に包まれそうになり…
こちらの命が何個あろうが足りないぐらいに
ドキドキ、ハラハラさせられます。

基本は殺人がらみではなく
組織犯罪が多いです。
そしてさらにいえば1個だけ
いわゆるハズレ(笑)が
まぎれており、
それは調査記録には含まれておりません。

そのハズレは以外に面白いですが
女性の人は読むのを避けたほうが
よいかと思います。
著者の遊び心ですけどね。
おしどり探偵 (1978年) (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:おしどり探偵 (1978年) (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
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No.9:
(5pt)

タペンス&トミーの活躍

タペンス&トミーが活躍します。
特に、タペンスは、とても溌剌として、前向きで、困難に立ち向かう姿がすばらしい。
アガサクリスティがこうなりたかったという性格の女性を描いているようだ。
都市をとってからの2人もすごいが、若い時代もすごい。
もっとたくさん2人の物語があるとうれしかった。
本筋に関する事項が、他の作品における小説家、発掘などの経験のある事項とは違い、
情報局のような経験のないものだからなのだろうか。
おしどり探偵 (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-36 クリスティー短編集4)Amazon書評・レビュー:おしどり探偵 (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-36 クリスティー短編集4)より
4150700362
No.8:
(4pt)

パロディ

 トミーとタペンスが探偵事務所を開く、という話。若々しいトミー、タペンス、アルバートのかけあいが楽しい作品です。さまざまな探偵たちのパロディがあり、それも楽しめます。
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No.7:
(5pt)

トミー&タッペンスシリーズの最高傑作!

私にとってはクリスティの中でのベスト1と言っていい作品です。パロディあり、夫婦愛あり、謎解きありの盛りだくさんの作品です。トミーとタッペンスが、シャーロック・ホームズ、ブラウン神父、そしてポアロなど様々な探偵の真似をしながら探偵事務所を開設するという設定が最高に面白い。もう現在では評価されなくなっているミステリ作家の探偵も登場するが、それも含めて、当時のイギリスの社会の様子が非常によくわかるところが、この作品のいいところです。
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No.6:
(2pt)

「影なき男」の方が面白いです。

夫婦で探偵っていう設定すきなんですが、この短編集は期待しすぎない方がいいでしょう。
様々な有名な探偵達のパロディもあり、面白いところもあるのですが。
「隅の老人」のパロディが頻繁に出て来るので、読んで無い人はなんのことやらっさっぱり分らない。
是非、この機会に「隅の老人」を読みましょう。
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No.5:
(4pt)

若いふたりの溌剌とした探偵稼業が楽しめます

アガサ・クリスティーのミステリの探偵キャラ。灰色の脳細胞を使って推理するポアロ。セント・メアリ・ミードの村の噂話に耳を傾けながら、謎を解きほぐしていくミス・ジェーン・マープル。幻想世界からやって来た謎の男、ハーリ・クィン。そのほか、パーカー・パイン、バトル警視などいるけれど、私が一番好きなのはトミーとタペンスのコンビです。本書は、トミーとタペンスがふたりの探偵事務所を持ち、活動していく中で正体不明の人物を見つける任務を英国秘密情報局から依頼されるところから話が始まる連作短編集。平凡な毎日に退屈し、スリリングな冒険を望んでいたふたりのこと。飛びつくように依頼を受けて、退屈な日常よさらば、嬉々として探偵業に飛び込みます。溌剌、生き生きとしたふたりの活躍、特にタペンスのお茶目で好奇心旺盛な言動を楽しみながら、わくわく、わくわく読んでいきました。トミーとタペンスのコンビ探偵のシリーズ。これから読んでいく方は、若かったふたりが年を重ねて行くのを見守るように読み進めて行くと、また違った感慨も湧いてくるでしょう。『秘密機関』『おしどり探偵』『NかMか』『親指のうずき』『運命の裏木戸』と、ふたりの活躍年代順に読んでいくと、シリーズものとして一層親しめますよっ。
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No.4:
(5pt)

クリスティが生み出した最も愛すべき探偵夫婦

クリスティ、といえば、ほとんどの人が「そして誰もいなくなった」とかポアロを真っ先に口にする。トミー&タッペンスといっても知る人は少ない。彼らの軽快なのトークは微笑ましく、しょっちゅう展開される男女の見解の相違についての論争は、いつの時代も変わらない。最も読者に近い探偵たちは様々な事件に遭遇するが、やたらにわか探偵らしい言動を見せたり時には驚くような推理も披露する。娯楽、というには充分な楽しみが味わえる作品である。「秘密機関」を読めばその楽しさが倍増することは間違いない。
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