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冒険の国
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冒険の国の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.80pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全10件 1~10 1/1ページ
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桐野夏生さんの本を読むのは、 『東京島』 『グロテスク』 『OUT』 に続いて、4作目です。 処女作であり、 後書きに著者ご本人が登場しているのが印象的でした。 「読み返すと冷や汗が出るほど拙い」「思考も浅い」 「自分の作品ながら、通読するのも辛いほどだった」 とありましたが、人気作となった上記3作と比べたら、 確かにそうですね。 それよりも気になることがあるのですが、本書の題名はなぜ 『冒険の国』 なのでしょうか? 気になってしょうがないのですが、 作中からも、後書きからも、題名に関連したそれらしきものは 見つかりません。 ひょっとして、処女作だから『冒険の国』とつけたのでしょうか? | ||||
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桐野夏生さんの初期作。 1988年に12回すばる文学賞に応募した作品なのだと言う。 桐野夏生さんと言うと受賞してきた賞などからミステリのイメージがあった。 しかし本書は純文学である。 ディズニーランドの開発で変わりつつある街に住む家族・・ ライフサイクル上では終わりに向かいつつある家族で他の地域の人達に 馴染みきれない姿がある。 著者は携帯やCDも無い時代が理解してもらえるだろうかとあとがきに書いてあった。 しかしむしろ少子高齢社会である今の日本を先取りしていたようにも思えてならなかった。 また過去を引きずる主人公・・結局明確な答えは出てこないのだが・・ 明確な幕引きはせず余韻が残る感じが文学っぽいなと思った。 | ||||
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こんな小説を出版したらダメだろう。 練り込み不足だし、尻切れトンボ。 「I'm sorry mama」ぐらいの後半の展開を期待したが まったく裏切られる内容。 作者はいろいろ思いの詰まった作品らしいが 桐野らしさは見られない。 駄作 | ||||
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桐野夏生の「幻の処女作」である本作は、ありふれた日常の不安を描いた桐野作品の根幹をなすものだろうと思う。小説家の処女作のなかにこそ、その小説家のすべてがあるとすれば、この作品も桐野作品のすべてが詰まっているといっても過言ではないだろう。 本作について、ここに登場する人物は、作者の言葉を借りれば「取り残された人々」だ。その人間たちは、ただの日常を暮らしているだけだが、なぜかある暗さを持っている。人間が持つそもそもの暗さなのか、それともバブル時代の終わりの始まりの暗さなのかはよくわからない。しかし、この暗さは、時代が変わってもなお残る暗さだ。物語の象徴であるディズニーランドはまだ建設されたばかりだ。平成22年現在、スカイツリーは建設中だ。今後、スカイツリーの建設を象徴的に描く小説がきっと書かれるだろう。 物語は、なにも解決しないまま、すべてが暗示的に終わるが、それは後の桐野作品のすべてに通じるものであるだろう。 | ||||
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バブル時代突入直前の混沌とした時代に生きる人々の心情を鮮やかに描いた作品。 作者らしく、バブルの波に乗ろうとする活力のある華やかな人々ではなく、波に乗り遅れ、 あるいは乗ることさえ諦めた、既に落ちている人々の茫漠とした不安感がリアルである。 時代背景は違えども、格差社会と叫ばれる現代においても充分に価値のある作品だと思う。 | ||||
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五つ星以上を進呈したい。作者が直木賞でなく芥川賞を目指してもよかったのにと思わせる作品。 初期の作品ほど作者が持っている本来の良さが案外純粋に素直に表現されている場合が多い。この作品もそうだと思う。 主人公(私)の十代の青春期から三十一歳の現在までの苦渋に満ちた半生を振り返って、いまだに彼女の心のしこりになり、一時は彼女自身を破滅させかけさえした重大な事柄が、彼女自身と彼女の周りの重要人物の心理の動きと併せて、濃密に描かれている。サスペンス要素をも加味したすぐれた心理小説である。 背景になっているバブル前夜の光景、地上げという言葉などは、バブル時代を体験した年代の者にはとても懐かしい。自家用パソコンやインターネットや携帯電話の無かった時代の人間関係、特に恋愛の味の濃さが今の若い人に分かるだろうか。二時代以上前を描いた小説の多くから追体験してみてほしい。 | ||||
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現在の桐野作品と、どうしても比較してしまうので、淡々としたストーリーに退屈さを感じてしまいます。 作者としては、処女作としての思いがあるのでしょうが・・・ | ||||
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デビュー以前の作品にあたる本編を、作家自身はあとがきで「浅い」と振り返っているが、人間の暗部だとか、人物同士が奏でる不協和音だとかをエンタテインメントに昇華するという作家の真骨頂がすでに発揮されている。バブル前夜、東京ディズニーランドが出現し、従来の階層分布ががらりと変貌を遂げつつある千葉のニュータウン。主人公の美浜はこの土地で生まれ、この土地が別の色合いを帯びていくのを目の当たりにしてきた。しかし、彼女自身の時間は、ボーイフレンドが自ら命を絶った20歳のときから止まっていた。そして、少年の兄と11年ぶりに再会し、彼女の暗い青春はふたたび動きだす。封印してきた過去が次第に明らかになっていく時の「きしみ」と、町の住人たちがバランスを崩していくときの音とが重なりあう。やがて訪れるバブルのうねりはこうした些細な音を一切かき消しながら日本全土を蹂躙していくのだろうという暗い予感が読後に残る。 | ||||
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江戸川乱歩賞受賞作「顔に降りかかる雨」より前に書かれた「幻の処女作」に加筆、修正されたもの。 タイトルとは裏腹に舞台はバブル直前の浦安。 ディズニーランドを横目に、地上げ屋なるものが登場し始めるこの街で、ファミリータイプの新築マンションに住む魚市場勤めの母、昔はチョイワルだったけど今はさえない無職の父、30を越した独身姉妹が住む。 主人公は妹の美浜。彼女は結婚願望もキャリア志向もなく、20歳のときに謎の自殺を遂げた恋人を引きづったままダラダラと暮らす。彼女の日常にかかわる独居の老女、昔の恋人の兄、同じマンションの美人妻。これらと彼女の家族が入り組み、美浜の心を乱していく。 最近のイタくて読むのがつらい桐野作品と比べれば、優しいタッチだが、それでも日常の残酷さ、過去との決別の困難さがぐいぐい押し出されてくる。 | ||||
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バブル前夜、未曾有の好景気を目前に控えながらも、その波に乗れそうにないまま日々の暮らしをおくる家族の話。主人公の住まうマンションの部屋から見えるきらびやかな発展の象徴としてのディズニーランドが、登場人物たちのメランコリーを際立たせます。 相変わらずというか、ブルーな人を描くときに桐野夏生は卓越した手腕を発揮する。 「バブルは過ぎ、時代に取り残されることに、さほどの意味はなくなった。現在、ほとんどの人間が、取り残されているのだから。」(「あとがき」より) しかし、こういう小説がどうしても琴線に触れてしまう人は、現在も多いのではないでしょうか。 1988年、某文学賞の最終候補に残りながら、惜しくも受賞を逃した作品の文庫オリジナル。いまや大メジャーとなった著者があらためて加筆・修正をほどこしているので、小説としての結構は整っています。 | ||||
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