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美しい家
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美しい家の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.80pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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1980年頃に世間を騒がせた「イエスの方舟(作中では「花畑ハーレム」)」事件をモデルとしたノワール風小説。ただし、「イエスの方舟」の実態を暴くという意図はなく、「イエスの方舟=擬似家族」という見立ての下で"家族問題"を考察した作品である。子供の頃に「スパイ学校」に通っていたという曖昧な記憶を持つ娘と偶然出会った作家の中谷の視点の章と、「花畑ハーレム」出身の友幸の視点の章とのカットバックで構成される。 前半は、中谷に関しては、(「スパイ学校」問題は別として)"4年も書けない"作家としての悩み、離婚を初めとする家族問題(特に元妻に引き取られた娘との関係)、夜の闇に溶けて行ってしまった姉への追慕の念などが綴られているだけ。一方、友幸に関しては、(背景が未だ分らない読者にとっては)意味不明の言動のみが綴られているだけで作者の意匠がサッパリ分らなかった。ようやく中盤辺りで、友幸が「花畑ハーレム」出身で、かつての首謀者(作中では教授、友幸が洗脳されている事が良く窺える)を誘って、元のハーレム仲間で「黄金の国」を目指した旅を計画している事が分かる。成程、中谷も友幸も"社会・家族から隔絶"した人間であって、"本物の家族"を求めているという訳だ。そして、中谷は自身の作風を、「ミステリに分類されるが、書いているのは人間ドラマ」、と述べる。一方、作中の登場人物達は中谷の代表作を、「もっと人が死ぬかと思った」、と評する。噴飯ものである。本作がこの両評の通りの創りになっているからである。本作が、作者が中谷に仮託して、日頃の自身の悩み・思惟・疑問などを試行錯誤・紆余曲折しながら書き散らした一種の思考実験である事が良く分かる。作者は本作を、"家族問題"をテーマとした濃密な人間ドラマと考えているらしいが、作者の思考実験を押し付けられても読者は困惑するだけ。特に、後半のストーリー展開は幼稚過ぎて、大人の読書には耐えない。 そして、結局は、「人生で一番大切なのは(戸籍を問わない)家族」、という至極当り前の事を言っているだけという長い物語の割にはお粗末な内容。作者の手前勝手だけが目立つ駄作だと思った。 | ||||
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