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ザ・ロード
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ザ・ロードの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.14pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全54件 1~20 1/3ページ
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自分が娘と旅をしているような感覚になる。絶望の中、たまに生き延び、でも確実に衰弱していく。読むのがツラくなるが、読み進めずにはいられない。グッと心を握られた。 | ||||
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灰で曇った空、冷たい雨と雪、薙ぎ倒された森、荒れた街、黒い海、溶けたアスファルトの道。この物語の世界の全てがよそよそしい。 そんな世界を善き者である親子が南を目指しひたすら旅をしている。 親子が安住できる場所はなく、常に飢えと寒さ危険と隣り合わせである。 このよそよそしく、タフな世界にあって、少年の底抜けの純粋さと、脆さの対比が印象的であった。 何故世界はこうも荒廃したのか、火を運ぶ者とは何なのか。想像力を掻き立てられる、素晴らしい作品であった。 | ||||
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序盤の装飾された文体による詩的な情景描写の連続は このまま最後までこれが続くなら読みにくいなあとうんざりしていましたが、 この世界の設定に馴染み始めるころにはすっきりとした簡潔な文章になり、 気づいた時には物語にすっかり夢中になっていました。 親子以外の登場人物や視点が広がり始めると、 物語は断然おもしろくなっていきます。 「血と暴力の国」のような激烈さや鋭利な文体に比べるとはるかに読みやすいですが やはりマッカーシーにしか書けない魅力がこの本にも詰まっていました。 すばらしい小説でした。 | ||||
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昔からSFが好きで良く読んでいます。これは核戦争の後、絶望の中を彷徨う父と子の話ですが子供の汚れないまるで天使のような性格が救いになっています。 | ||||
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終始ほのかな絶望感を漂わす物語。 年齢を重ねるごとに味が出る小説である。 | ||||
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先ず世界があった。 世界は"二度とはもとには戻せないもの。ふたたび同じようには作れないもの。"であり、そこにある"すべてのものが人間より古い存在"である。 唯一無二にして完全無欠、奇跡のような。その世界の有り様を「善」と呼ぶ。 すべての生命はその出自である環境に適応することが生存の条件であり、人間も例外ではない。人間が他の生命と異なるのは、その欲望が肉体という檻を破り無制限に肥大してしまったことだ。 生まれたての人間はニュートラルな存在であり、生き延びるためにはその微妙なバランスを常に「善」の側に加重し続けなければならない。愛する者を守りたいなら、その者にも「善くあれ」と教え込まねばならない。自らと愛する者へのたゆまぬ働きかけ、「善」への駆動だけが人間と世界の共存を成立させる。 しかしその不断の努力を怠った瞬間、欲望を抑え込むことに失敗した瞬間、人間はいとも簡単に「悪」へと転落し、その罪業は自らの母体さえも地獄に変える。人間は世界を道連れに自滅しながら、初めて取り返しのつかない無知を自覚する。もはやすべてが手遅れであり、無意味である。 "おそらく世界は破壊されたときに初めてそれがどう作られているかが遂に見えるのだろう。" シビレている場合ではない。 | ||||
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リドリー・スコットの『悪の法則』を観て衝撃を受けたので、脚本を書いたコーマック・マッカーシーの小説を読んでみた。 『ザ・ロード』は、多分戦争が原因で滅び、冷えていきつつある世界を、主人公の父と息子が、寒冷化から逃げるように南を目指して旅をするという話。 終末がテーマの映画や小説は数多あるが、これほど悲惨な終末世界の描写はなかなかないのではなかろうか。 そういう状況のなかで発生する葛藤は、善悪や生死の素因数分解をしているような感覚を味わえた。 | ||||
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何回か読んだ後でも、たまにパラパラと開いてそこに書いてある文章を読み返しています。 小説でありながら、全編がとても美しい詩を思わせます。 美しい文章だけではなく、物語もとても完成度が高いと思います。 たいていの物語は一度読んだきりですが、この本はこれから何度も読み返していこうと思います。 | ||||
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何らかの理由で人類の文明が荒廃した世界で生きる親子二人の逃避行。 父親は息子に色々と言い聞かせるが、時には綺麗に生きられない時もある。 それでもなお、全うに生きようという意志が彼らの運んでいる火なのではないだろうか。 | ||||
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情景描写の文章が逸脱なので、話にぐいぐい引き込まれた。 読み進んでいくうちにわかると思うのだけど、これSF小説だと思った。 でも、単にSFだけではなく、生き残るためのサバイバルであり、父と子の 物語でもある。 父と子の会話のやりとりが結構好き。 誰がいっているのか、説明せずにわかるので、文字の位置が工夫されているのが良かった。 | ||||
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夫が持っていた本を奪って一気に読みました。 人が壊してしまった地球で、アメリカをひたすら南に旅する話です。 父はショッピングカートを押し、息子はナップザックを背負い、大事なものは息子の背中にあります。 なにかが起こってしまうとき、カートは置き去りにせねばならないから。 子を持つ人は要注意で、読了後、子に頬ずりをし過ぎて鬱陶しがられます。 | ||||
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モノクロームの世界を行く親子連れ=しとしとと雨が降り注ぐ灰色の世界:「」で括らないお互いの会話はまるで頭の中の独り言のようで寂寥感をいやますばかりだ…先のない二人の行く末が辛くてなんどもページを繰る手を止めてしまった。やがて訪れた海…父にとって息子は明日を生き抜く輝きだが、人々が孤立し自然界すら死に絶えたような世界で果たして息子に未来はあるのだろうか?いや人類にとっても… | ||||
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おかしなことにアメリカの現代ゾンビドラマ『ウォーキングデッド』が重なる。WDの演出家たちは、本作と本作の映像化「ノーカントリー」を見たに違いない。父と幼い息子の設定、アポカリプスの時代設定等が重なる。もちろんあとがきにもあるように、日本の『子連れ狼』もどこかでつながっているような気がする。 父は息子を命がけで守り、時に人間的な決断に迫られる。息子はどこまでも神が愛した子のように純粋で、人間に最後は良心があることを我々読者にしらせてくれる。 最後の最後、誰もが涙するだろう。枯れるほど出る人もいるだろう。その涙の意味を考えながら、マッカーシーの次なる世界へと 私たちは旅するのだ。 | ||||
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純文学のすごさが実感できる作品なのは間違いない。 絵画で喩えると、子供が描いた絵のような印象である。 レンブラントのように整然とした印象ではなく、 ゴッホを思わせる荒削りな作風であると言える。 難しい語彙や難解な表現は一切なく、 日常で使用する平坦な言葉で構成されている。 句読点が存在しない文体には余裕が一切感じられず、 追い詰められた男の心情が痛いほど伝わって来る。 子に「善き者たれ」と訓示を垂れる父親ではあるが、 人間として強いわけではなく他人を見殺しにする。 実にリアルな人間像を描ききっており、読者の感情移入を誘う。 世界の終焉を生き延びる親子の旅は悲惨だが、 現代に生きる私たちの生活もまた、薄氷を踏むような危険と隣り合わせである。 たまたま運が良いから、平穏に暮らせているに過ぎない。 ほんの些細なきっかけで、昨日までの幸福が砕け散るかもしれないのだ。 だからこそ、この物語を「お話の中の出来事」で片付けられないのだろう。 ただ、この物語を愛せるかどうかは、愛するに値する家族がいるかいないかで違って来ると思う。 物語の子供は従順だが、そうではない子供を持つ親はたくさんいる筈だ。 この父親のように身を削ってまで家族に尽くしても、その愛情が裏切られることがある。 恩知らずな家族の世話に明け暮れている人が読んでも「所詮は作り話」と、思うだけかもしれない。 そういう意味では、現実の方が悲惨で残酷なのだ。 | ||||
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動物も植物も都市も完全に焼け尽くされ、厚い雲と灰と埃だけが支配する冷たい世界をただ南へ歩き続ける父と子の物語。「ブラッド・メリディアン」と同様の文体で描いたディストピアSFだが、あまり凝った文章ではないので読みやすい。 男の子は8~10歳くらいか。読み進むと、核戦争が起こった数日後に産まれたことが明かされる。文明の世界を知らずに育った無垢な子供の言葉が、人間本来の善の部分を象徴している。 「メリディアン」に比べると当然アクションシーンが少なく、核の冬の中を行くので自然叙景の魅力も乏しいが、父子の切ない会話がいい。 生き残った人間は食人鬼と化し、親子を襲う。父が殺した男は、その後、仲間に食われてしまう。彼らを取り巻く状況は危険に満ち、冬に追われて雪の中を震えながら歩む彼らの運命はいつ尽きるとも知れない。肺を冒され咳とともに血を吐きながら、父親は「希望」である息子を守り生き残るために、廃墟の中に食料と衣料を探す。 ようやく海に行き着いたものの父親は力尽き、幼い息子がひとり残される。しかし幸運にも同じように“火を運ぶもの”であり“子供を食わない”善きファミリーに息子は出会い、旅がさらに続くことが示唆される。 極限の環境下でも人間であるための条件は何かを追求した小説だが、ストーリーとしては救いがあるようでもあり、またないようでもある。 父子の名前は最後まで記されない。父の屍の傍らで息子は泣き続け、ファミリーに引き取られるとき「父の名を呼んで別れの言葉を言う」が、それでも父の名は記されない。 神に名がないように、この物語の主人公に名はなく、土地にも道にも、そして川や湾や海についても具体名はいっさい記されず、それがこの物語を原初的、神話的なものにしている。 | ||||
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まず、彼の作品は本当に映画を目の前で観ているかのような臨場感と素晴らしい言葉の表現力がある。 とても悲しい物語なので読まない方がいいと。言われたことがあり読まないでいましたが、ずっと気になっていました。 本当に悲しい物語ですが、親子の愛や登場人物の内面を表現する言葉の言い回しが美しい。静か過ぎるくらいに穏やかで愛情に溢れている。残酷な世界と親子愛との対比がそれを強めている。 環境が劣悪でもこんな優しい子が育つものなのか?とも。不思議な感覚と感動と悲しみが味わえる作品です。 読むべき。 | ||||
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崩壊した世界を歩く父と子を圧倒的な筆力で眼前に映し出す。 言葉による表現だけで、こうも立体的な世界が立ち上がるとは。 文章の巧さは、読者の想像を容易にさせる。 また、詩的な文章は芸術的で美しい。 残酷で変えることの出来ない世界の中に、脆い人間の情念を対比させることによって、 物語を強烈にドライブさせるマッカーシーの常套手段は、今作でも特に堪能できる。 翻訳者の黒原敏行氏の日本語訳も本当に素晴らしいと思う。 マッカーシーの訳出していない著作の刊行も切に願います。 | ||||
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既に世界規模に波及したChigurhに立ち向かう父の叡智を見出すべし。 | ||||
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父と子の会話が、シンプルな世紀末の描写の中に繰り返されていく。 時に残酷に。時に美しく。 「血と暴力の国」の方が圧倒的に面白かったけど、これもまた良かった。 | ||||
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映画も本もロード物って、結構観たり読んだりする事が多いと改めて 感じさせられた。 作者の本を読んだのは此れが最初である。総じて文学からは足が遠のいて しまった。 世界が終末を迎える様な状況の中で、南へ向かう父親と息子の物語が 静謐な描写で綴られて行く。名前も年齢も二人の会話から推測するしか 無い。セリフにも「 」が付けられて無い。「 」の無い文章がこれ程 読み易いと初めて知らされた。 世界は飢餓状態で極限に達しており、人肉さえ食べるしか無いあり様で 人間が敵である以上、父親は非情にならざるを得ないが、息子には 其の非情さを理解する事は出来ても、受け入れる事が難しい。 そんな息子を心配する父親の心境も読み手の胸に迫る。 途中から父親の体調が悪くなっていく。此の辺りから物語の最後を 作者が如何に終わらせるのか、気になって一気に読み進んでしまった。 読後、久しぶりに泣かされた。 最後の6行に作者の心境と思える文章が吐露されており、その文章が 美しいだけに胸が痛くなる。 此の小説を読んで、すぐに「血と暴力の国」」をAmazonで 購入した。 | ||||
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