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(短編集)
アシェンデン
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【この小説が収録されている参考書籍】
アシェンデンの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.32pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全25件 21~25 2/2ページ
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第一章の書き出しを見てください。発端からしてドライでぶっきらぼうな書き出しです。しかしこのドライさはjohn le carreの乾きとは異質です。ドライながらも、筆致にはもったいぶった仰々しさがなく、全体としてこみ入ったプロットもありません。全体として「軽い」のです。そう、le carreもmaughamもSISでの経験があるので、そこで強く意識されているのは事実の脱色です。というのは余り生々しい情報を開示するわけには行きませんから。著者maughamの取ったアプローチはスパイの日常の状況の描写とそこでの人間の心理のあやです。主人公の役割は、戦争によって引き起こされたどうしようもない男女の感情のもつれの探求であり、そのずれの政治目的のためへの利用です。舞台は、1914年からの大戦中の大陸、それも交戦国には出て行けませんから、必然的に中立国、スイス(ジュネーヴ、ルッセルン、ベルン)、フランスとイタリアでの活動が中心となります。そして主人公の偽装は小説家のままですから、中心となる場所は、ホテルでの滞在と乗り物ということになります。作品の中には、ドンパチはほとんどおきませんが、しかし主人公の活動が引き起こしてしまう人間の悲劇と喜劇はしっかりと示唆されています。何人もの不思議なパーソナリティが登場しますが、書物の性格上、外国人(ドイツ人、メキシコ人、ロシア人、アメリカ人、イタリア人)が多くなります。全体の中で異彩を放っているのは、ロシアが舞台となるbehind the scenes以降の作品です。ここでは主人公は特別の役割を与えられて革命のさなかのペテルスブルクに送り込まれています。特に最後の3篇は10月革命をにらみながら進行します。しかし主人公が従事する作戦はその概略が示唆されるだけで、もっぱら、主人公を取り囲むアメリカ人のビジネスマン、元恋人のロシア人との人間関係の関わりが描写の中心となります。love and russian literatureは不思議なことに、主人公の個人的な体験を振り返りながらのユニークなロシア文学論となっています。「I am fed up with them...turgenev, dostoevsky, chekov and intelligentia, i hanker after people.. whose word i can rely on. I am sick of fine phrases, and oratory, and atttitudinising」つまるところここにイギリス人モームのロシア観が凝縮されています。 | ||||
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情報部の体験に裏打ちされた16篇のストーリーはどれも魅力的。劇作家モームらしく無駄のないプロット、現実的な人間観察、率直な心情描写が心地よく感じられます。この本は河野一郎さんの訳ですが、この全集の翻訳はどれも見事で、旧漢字に少し慣れるだけで、無理なく読みこなせるのがうれしい。 | ||||
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モームの作品だからスパイ小説といってもギャビンライアルみたいなドンパチがあるわけではないが、内容は、モーム自身が英国スパイの経験があるところから引き出されているものであるから、ちょっとしたことまで味わい深く、読ませる。 | ||||
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モームの作品だからスパイ小説といってもギャビンライアルみたいなドンパチがあるわけではないが、内容は、モーム自身が英国スパイの経験があるところから引き出されているものであるから、ちょっとしたことまで味わい深く、読ませる。 | ||||
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1928年の作品、古いなあ。モームって「月と六ペンス」のサマセット・モーム?文豪と呼ばれてる人だよね、そんな人が書いたスパイ小説、おもしろいのかなあ。などと、あんまり良い印象を持たないまま読み始めたのが、いつのまにかすっかりハマッてた。読み終わった後は、さすがは文豪、違うなあ。などと勝手なことを思う始末。自分の体験を元に書いた小説ということだそうで、同じスパイ小説「007」シリーズのような波瀾万丈な物語ではないけど、どの短編もしっとりと味わい深い。まだ未読のかたにはおすすめです。私のようにイメージだけで読まないでいるのは、もったいないですよ。 | ||||
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