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(短編集)
アシェンデン
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【この小説が収録されている参考書籍】
アシェンデンの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.32pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全22件 1~20 1/2ページ
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スパイ小説の超古典。作者は第一次世界大戦時に大英帝国のスパイとして暗躍。フィクション化されて、いくらく誇張があるにせよ、登場人物のスパイや暗殺者も怪物ぞろい。最後はロシア革命で終わるが、そこで描かれるロシア人が傑作。また、革命前の西ヨーロッパでのロシア・ブームの描写が見事。 ロシア革命が成功したのは、それが大戦前の世紀末ヨーロッパの没落感と連動していたからだと、ぼくは思うが、リアリスト・サマセット・モームはどうもその没落感を楽しんでいる気配がある。自称リアリスト、実はニヒリスト。人間とは卑小なものだとモームは得々としている、安全地帯(?)でね。 | ||||
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モームの作品はどれも退屈しないでどんどん読める。 ロシアのウクライナ侵略でプーチンがKGBに居たということで、読んでみたくなった作品。 中でも「売国奴」の章が一番おもしろかった。 私はモームと相性がよいようで、もっとモーム作品を読んでみたくなり、「要約すると」と「お菓子とビール」を注文した。楽しみである。 | ||||
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全く問題なし | ||||
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たぶん、一般受けはしないだろうが。これは、なかなかいい。こういうのを読むことは老人の冬場の夜の愉しみのひとつなのだ。満足です。 | ||||
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My most favorite among Maugham’s novels. Though criticized as too common to be artistic literature, Maugham placed high importance on legibility and story-telling. This is Maugham’s spy novel at his best based on his experience as intelligence agent. | ||||
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モームはあくまで「通俗」と言われるし、この作品を読んでも確かにそう思うのだが (「8 ジューリア・ラッツァーリ」の結末の女の科白などは、いかにもという感じ過ぎて ちょっと萎えた)、それでいて思わず感心してしまうような面白さが本書にはあった。 筋立てはそこまで凝っているというほどではなく、むしろ軽妙で皮肉な「人間観察」 のほうが表に出ている作品が多いのだが、とくに最後のロシア革命に舞台を求めた 挿話など、ハリントン氏とアナスタシーア・アレクサーンドロヴナの2人ともキャラが立ち 過ぎていて、読みながら何度も吹き出してしまった(ただこれも、いささか通俗がかった アメリカ人やロシア人のイメージを、意図的に誇張した面白さという気はするのだが)。 第一次大戦当時の各国事情やロシアの革命事情に触れた部分なども、「エンタメ」 に徹した作品にはあまりないような知的な面白さがあったが、モームには作品化され なかったスパイ体験がこのほかにも数多くあったはずというのは、確かにもったいない話 ではあると思う。 | ||||
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モームの言葉に 「人は物事の中心ではなく、その周辺にいるのだと心得るべきだ」 というようなのがある。 スパイの仕事は、必要以上に知らされることはなく、知っていても話せないことばかりだから、 当然物事の中心にいることはできない。 自分が関わったミッションの全貌など知る由もなく、ただ自分の役目を静かに果たし、その成り行きを知ることもない。 007シリーズのように、陰謀の中心に常にボンドが巻き込まれ、その全貌がボンドを中心に集約され、 世界の救済がボンドの肩のみにかかる、というようなファンタジーとは対極なのである。 そんなスパイの日常を淡々と、スパイ活動よりその周辺で起きたちょっと面白い話をエッセー風に連作した 小説である。 スパイ小説が、モームの一番モームらしいところを発揮された作品。 味わいがあります。 | ||||
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若いころモームのスパイ短編は読んだが、感心した覚えがまったくない。ところが、著者がまとめたアシェンデンのこの連作短編はストーリー、人間観察ともめっちゃ面白い。哲学的でさえある。ヒッチコックの「間諜最後の日」に使われているのだが、この映画からモームを思い出し再読し始めて現在に到っている次第。 | ||||
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ペーパーバック: 352ページ Vintage Classics; New Ed版 (2000/9/26) ISBN-10: 0099289709 のレビュー Vintage およびPenguin から出版されている Collected Short Stories Volume 3 (Vintage Classics) と内容がダブっている。ただし、あちらに収録の Sanatorium (1938)は未収録。 一方、 13. The Flip of a Coin はむこうに収録されてないらしい。(現物では未確認) なぜ、こんな変則的なコレクションにしたのか? では、内容。 スパイ・サスペンスとしても楽しめます。こんなことをわざわざ書くのは、最初の部分がいつものモーム調だから。上流階級の社交生活、根無し草の人間がたむろする多国籍社会を皮肉に観察する。 その後、諜報機関の任務が描かれ、サスペンスに富んだ作風を見せる。 わたしが一番楽しんだのは、 14. A Chance Acquaintance 苦いユーモアや冷静な人間観察ではなく、ドタバタ調の自虐的一品。殺したいほど話し好きで善良なアメリカ人とシベリア鉄道の車内に閉じ込められたアシェンデン(=作者)のイライラを見事に描く。 もっとも、アシェンデン=作者と見てしまうのは早計かもしれない。作者自身の体験としての興味はあるものの、独立したフィクションとして楽しむのが正解だろう。 | ||||
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人間観察がテーマのモームらしい、気の利いた連作短編集。凝りすぎず、くだけすぎずの英文は、教材としても良いけれど、 (昔読まされましたねー)大人として読み直すと、かなり面白い。 | ||||
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他のモーム作品とは趣が異なっているが、面白いという点では全く変わりがない。 いつの間にか話に引き込まれていき、あっという間に読み終えてしまった。 無駄だと思えるところや、つまらなさを感じる章は皆無で、その点この作品内でロシア文学というかロシア人についても述べているが、 そのモームのロシア人像とはちょうど真反対である。 ただ一つ感じたのが、最後の終わり方(各章の順番は出版社ごとに違っているようだが)はモームには珍しいなと感じた。 悪い意味でもいい意味でもなく、ただ単純に驚いた。 | ||||
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This book is based on Maugham's experience of having worked in the English Intelligence Department during World War I and we may be pretty sure that the main character Ashenden points to Maugham himself. You know, when one relates about one’s experience, one is likely to make oneself out more important than one really was, and claim to have done things one did not do, and the likelihood is especially strong in the case of writers, who are generally supposed to have uncommon exhibitionism. But Maugham is much more concerned about other people’s mental attitude and behaviors than about himself. What an acute power of observation Maugham has! Maugham wrote an innumerable number of long and short novels, but the theme which in all those novels Maugham was concerned to bring to light is one and the same one: “Man is a jumble of vices and virtues, of goodness and badness, of selfishness and unselfishness, of fears of all kinds and the courage to face them, of tendencies and predispositions which lure him this way and that. Man is made up of contradictory, even mutually exclusive, qualities, and they may exist in the same man and somehow or other form a tolerably plausible harmony.” In this book also, this same theme is depicted as vividly and interestingly as in any other novel of his. These are stories of spies who are to all apperances human. Talking of his writing style, like many other works of his, here are no flowery periods, fantastic turns of phrases or high-flown images. It is a civilized prose, natural, discreet and pointed. There is no attempt to surprise by an extaravagant vocabulary. | ||||
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When war breaks out in Europe, Ashenden, a celebrated multi-lingual writer, is recruited by the British Intelligence Department to work as an agent in Geneva. In this hotbed of intrigue, the British writer's deep understanding of human nature comes in handy in recognizing and manipulating agents on both sides. Rank amateur though he is in the game of spying, Ashenden shows great cunning and ruthlessness in his pursuit of a dangerous terrorist and in making preparations for arresting a traitor. In recounting his wartime experiences, Maugham seems a bit secretive about the agent's missions, but he focuses on portrayal of characters who get in touch with Ashenden: a successful diplomat who strips his soul nakedly by confiding his melodramatic entanglement with a lowly show girl; a Russian female revolutionary who eats scrambled eggs every morning with dogged persistence; and an unbearably talkative American businessman whose strange obsession with taking back his washing when in danger costs him his life. All of which makes this classic collection worth reading. | ||||
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モームが書いたスパイ小説ということで気になっていたが、シリアスな内容ではなかった。 スパイの皮を被ったモーム小説と呼ぶべきだろうか。俗っぽくてユーモアにあふれている。 月と六ペンス、人間の絆を読んだことのある人は、似たような登場人物や言い回しを楽しむことができる。 もちろん、モームが初めての人にもおすすめだが、スパイ小説だと思って選ぶとギャップを感じるかもしれない。そのギャップを楽しもうとモームが言っているかのようだ。 16の短編が連続していて、それぞれは読み切りになっている。登場人物も少ないから読みやすい。 真偽の程はモームだけが知るところ。表紙写真のモームがニヤリと笑っているように見える。 | ||||
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モームは旅行を好んだそうです。30歳になるとパリで暮らし、シチリアにも訪れています。やがて劇作家として一本立ちしました。1914年、40歳のときに第一次世界大戦が起こると、ベルギー戦線の赤十字野戦病院に勤務。やがて諜報機関にまわされ、スイスのジュネーブに滞在しました。表向きは作家活動をする反面、作中のアシェデンのように諜報活動をしていたそうです。1915年、健康を損ない諜報活動をやめると、アメリカに渡り、さらにタヒチ島などの南洋の島を訪れています。翌年にアメリカから日本、シベリアを経由し、ペトログラートへと向かいます。ロシア革命の渦中のペトログラートでは、MI6としてケレンスキーと接触し、資金援助をします。ドイツとの単独講和阻止のために送り込まれたのですが、単独講和を唱えるボリシェビキが戦争継続派のケレンスキーの臨時政府を倒し、失敗に終わりました。 以上はリアルなモームの実体験ですが、本書を読んでいると、上記のシチュエーションが次々と繰り出されてきます。序文で、スパイ活動など末端の歯車にとっては退屈きわまわりないので、あれこれと脚色を加えた事が書かれていますが、そこはモームの筆力、どこまでが事実でどこまでが創作なのか分かりません。 ただ20世紀前半のむしろ古典の域に入る作品なので、ハリウッド的なテンポのよい構造ではありませんが、それがむしろ新鮮でもあり味が出ていました。ジェットコースター小説に食傷気味な方でしたらゆっくり楽しむ事ができるのではないでしょうか。 | ||||
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英国情報部員と言われているサマセット・モームのスパイ小説である。主人公アシェンデンは作家で、人間の心理の機微に通じているところを情報部幹部の大佐Rに見込まれ、海外での諜報活動の一端を依頼される。 スパイ小説と言っても、時は第一次世界大戦時、場所は中立国スイスのジュネーブ等を舞台とする、何とも古き良き欧州の香りがたっぷりの小説である。プレイヤーも、アメリカ・ソ連といったハードボイルド系は姿を見せず、殺人シーンも全くない。 中には、英国大使の悲恋経験話などスパイとは無関係の作品もあり、やはり全てを書くことに対しては英国政府の待ったが掛かったのではないかと想像される。とにかく、読み出せば一気に読んでしまう娯楽大作と言えるだろう。 | ||||
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文豪といわれるモームの作品ですが、エンターテイメント度が高い作品に仕上がっています。 実際に第一次世界大戦時にスパイだった作者をモデルにしたスパイスリラーです。007風のアクション活劇を期待すると見当違いですが、ジョン・ル・カレ風の落ち着いたスリラーを読みたい方にはお薦めできます。 主人公はあくまでスパイという全体の中の歯車に過ぎないので、事件の全貌が明らかにされないケースが多いのですが、歴史の大きなうねりに翻弄される市井の人々の姿が、巧みに描かれています。他のモームの作品も読んでみたくなりました。 | ||||
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第一章の書き出しを見てください。発端からしてドライでぶっきらぼうな書き出しです。しかしこのドライさはjohn le carreの乾きとは異質です。ドライながらも、筆致にはもったいぶった仰々しさがなく、全体としてこみ入ったプロットもありません。全体として「軽い」のです。そう、le carreもmaughamもSISでの経験があるので、そこで強く意識されているのは事実の脱色です。というのは余り生々しい情報を開示するわけには行きませんから。著者maughamの取ったアプローチはスパイの日常の状況の描写とそこでの人間の心理のあやです。主人公の役割は、戦争によって引き起こされたどうしようもない男女の感情のもつれの探求であり、そのずれの政治目的のためへの利用です。舞台は、1914年からの大戦中の大陸、それも交戦国には出て行けませんから、必然的に中立国、スイス(ジュネーヴ、ルッセルン、ベルン)、フランスとイタリアでの活動が中心となります。そして主人公の偽装は小説家のままですから、中心となる場所は、ホテルでの滞在と乗り物ということになります。作品の中には、ドンパチはほとんどおきませんが、しかし主人公の活動が引き起こしてしまう人間の悲劇と喜劇はしっかりと示唆されています。何人もの不思議なパーソナリティが登場しますが、書物の性格上、外国人(ドイツ人、メキシコ人、ロシア人、アメリカ人、イタリア人)が多くなります。全体の中で異彩を放っているのは、ロシアが舞台となるbehind the scenes以降の作品です。ここでは主人公は特別の役割を与えられて革命のさなかのペテルスブルクに送り込まれています。特に最後の3篇は10月革命をにらみながら進行します。しかし主人公が従事する作戦はその概略が示唆されるだけで、もっぱら、主人公を取り囲むアメリカ人のビジネスマン、元恋人のロシア人との人間関係の関わりが描写の中心となります。love and russian literatureは不思議なことに、主人公の個人的な体験を振り返りながらのユニークなロシア文学論となっています。「I am fed up with them...turgenev, dostoevsky, chekov and intelligentia, i hanker after people.. whose word i can rely on. I am sick of fine phrases, and oratory, and atttitudinising」つまるところここにイギリス人モームのロシア観が凝縮されています。 | ||||
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情報部の体験に裏打ちされた16篇のストーリーはどれも魅力的。劇作家モームらしく無駄のないプロット、現実的な人間観察、率直な心情描写が心地よく感じられます。この本は河野一郎さんの訳ですが、この全集の翻訳はどれも見事で、旧漢字に少し慣れるだけで、無理なく読みこなせるのがうれしい。 | ||||
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モームの作品だからスパイ小説といってもギャビンライアルみたいなドンパチがあるわけではないが、内容は、モーム自身が英国スパイの経験があるところから引き出されているものであるから、ちょっとしたことまで味わい深く、読ませる。 | ||||
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