冷血

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評判

冷血の評価:

3.76/5点 レビュー 109件。 B ランク

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平均点3.76pt

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全144件 141〜144 8/8ページ
No.4
(5pt)

警察捜査のリアルな描写が読ませる上巻!そして下巻への2つの楽しみ・・・

高村薫の合田刑事ものが好きだ。
刑事小説の面白さと、重いテーマを追求する文学的側面が織りなす物語世界は、読み応え抜群である。
しかし、高村さんは『晴子情歌』以降、ミステリの比重がどんどん軽くなってきていると思う(『晴子情歌』は元々ミステリですらない)。
合田ものでも『照柿』からすでにその気配は感じられ、それが最もはっきりと表現されたのが前作『太陽を曳く馬』。
描き出されるテーマには強く惹かれるものの、宗教と芸術が絡んで難解さを増す文章のぶ厚さに、いささか辟易したのも事実である。
今回は、まだ上巻だけだが、まずは刑事小説、犯罪小説としてかなりの読み応えがある。
特に第二章からの、分刻みで刻々と描かれる捜査状況が読ませる。あたかも実際の捜査現場を見ているかのような細部のリアリティが凄い。
そして、合田は、まだ事件に対して客観性を保っている。しかし、ところどころ内面の葛藤が顔を出すあやうさもある。これが、下巻でどうなるか。
高村さんの主眼は、刑事小説、犯罪小説としての面白さだけにあるのでは、無論、ないから。
このあまりに酷すぎる事件。そこに引き込まれていく合田を通して、これから何が語られていくのか。何が待っているのか。

それに、もちろん、カポーティの『冷血』、がある。自分はカポーティを読んでいるので、どうしても意識せずにはいられない。
この文学史上の一大名作に、高村さんは正面切って挑んでるのではないかと思う。強い気迫を持つ高村さんらしい挑戦だと思う。
実話とフィクションの違いはあれど、この意識されやすい形の中で、どう高村文学が展開していくのか。追求し続けているテーマを表現し切れるのか。

2つの意味で下巻が非常に楽しみである。
冷血(上) Amazon書評・レビュー: 冷血(上)より
4101347255
No.3
(5pt)

肝心のところを残したまま下巻へと引き込まれる

久しぶりの高村薫さんの新作で楽しみでしたが、宗教・政治・親子といった身体的なものを形而上的に捉えようとしていた三部作から一転、上巻を読んだ限りではレディジョーカーやマークスの山を彷彿とされるような重厚な刑事小説に仕上がっています。

一章で被害側と加害側が交差しながら、どちらにも感情移入させにくい仕掛けを施しつつ、肝心の事件の夜を飛ばして、二章で客観的な刑事の視点に移す手法はさすがだと思います。そこから出てくる合田刑事に感情移入していくものの、合田刑事シリーズの古くからのファンとしては、久しぶりの旧友の変化にアジャストしていくところが二章かと思いました。

下巻で、合田刑事がどこまで空虚な事件の内情に迫るのか、そこから言語が先に走る嫌いのあった彼がどのような言葉を紡ごうとするのかとても楽しみです。
冷血(上) Amazon書評・レビュー: 冷血(上)より
4101347255
No.2
(5pt)

警察捜査のリアルな描写が読ませる上巻!そして下巻への2つの楽しみ・・・

高村薫の合田刑事ものが好きだ。
刑事小説の面白さと、重いテーマを追求する文学的側面が織りなす物語世界は、読み応え抜群である。
しかし、高村さんは『晴子情歌』以降、ミステリの比重がどんどん軽くなってきていると思う(『晴子情歌』は元々ミステリですらない)。
合田ものでも『照柿』からすでにその気配は感じられ、それが最もはっきりと表現されたのが前作『太陽を曳く馬』。
描き出されるテーマには強く惹かれるものの、宗教と芸術が絡んで難解さを増す文章のぶ厚さに、いささか辟易したのも事実である。
今回は、まだ上巻だけだが、まずは刑事小説、犯罪小説としてかなりの読み応えがある。
特に第二章からの、分刻みで刻々と描かれる捜査状況が読ませる。あたかも実際の捜査現場にを見ているかのような細部のリアリティが凄い。
そして、合田は、まだ事件に対して客観性を保っている。しかし、ところどころ内面の葛藤が顔を出すあやうさもある。これが、下巻でどうなるか。
高村さんの主眼は、刑事小説、犯罪小説としての面白さだけにあるのでは、無論、ないから。
このあまりに酷すぎる事件。そこに引き込まれていく合田を通して、これから何が語られていくのか。何が待っているのか。

それに、もちろん、カポーティの『冷血』、がある。自分はカポーティを読んでいるので、どうしても意識せずにはいられない。
この文学史上の一大名作に、高村さんは正面切って挑んでるのではないかと思う。強い気迫を持つ高村さんらしい挑戦だと思う。
実話とフィクションの違いはあれど、この意識されやすい形の中で、どう高村文学が展開していくのか。追求し続けているテーマを表現し切れるのか。

2つの意味で下巻が非常に楽しみである。
冷血(上) Amazon書評・レビュー: 冷血(上)より
4620107891
No.1
(5pt)

肝心のところを残したまま下巻へと引き込まれる

久しぶりの高村薫さんの新作で楽しみでしたが、宗教・政治・親子といった身体的なものを形而上的に捉えようとしていた三部作から一転、上巻を読んだ限りではレディジョーカーやマークスの山を彷彿とされるような重厚な刑事小説に仕上がっています。

一章で被害側と加害側が交差しながら、どちらにも感情移入させにくい仕掛けを施しつつ、肝心の事件の夜を飛ばして、二章で客観的な刑事の視点に移す手法はさすがだと思います。そこから出てくる合田刑事に感情移入していくものの、合田刑事シリーズの古くからのファンとしては、久しぶりの旧友の変化にアジャストしていくところが二章かと思いました。

下巻で、合田刑事がどこまで空虚な事件の内情に迫るのか、そこから言語が先に走る嫌いのあった彼がどのような言葉を紡ごうとするのかとても楽しみです。
冷血(上) Amazon書評・レビュー: 冷血(上)より
4620107891