冷血

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評判

冷血の評価:

3.76/5点 レビュー 109件。 B ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点3.76pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全144件 61〜80 4/8ページ
No.84
(4pt)

推理ふたつと抗議ひとつ

上巻は一週間と一日をかけてやっと読んだが、この下巻は三日間をかけて読み干した。

とまれ、毎日繰り返される「未来の死刑囚」への刑事たちの取り調べを統括する合田警部の主眼は、犯人たちのほんの一瞬の心の動きに移って行く。否、移って行かざるを得ない。死刑相当の犯罪の事実認定は明らかでも、犯意、計画性、殺意認定は、判決に必要だからである。

何故、2002年末に行われた犯罪の顛末が、2012年末に刊行されたのか。
ひとつ、どんな死刑囚であれ、犯行、逮捕、起訴、判決、死刑執行に至るまで、最短でも(一審で確定したとしても)、ここにあるように2008年までの6年間はかかるのであり、その総てを見せて刊行するまでは、これぐらいの(サンデー毎日の)連載開始が必要だったということなのだろう。
ひとつ、私だけの感想で他のレビューには一切出てこないが、犯人たちのまるで思いつきのような、「勢いで」「眼が合ったから」殺害に至るようことは、2003年から死刑執行の頃まで、イラクで同時並行で行われていたファルージャ掃討作戦に付随して無数に行われたイラク市民への殺害の場面でもあったのではないか、と思うからである。金銭目的でもなく、殺意もあったかどうかはわからない、年少の頃のトラウマを引きずり、「決着を着けたい」という想いで「やり過ぎてしまう」兵士たちは、ハリウッド映画で明らかにされているように無数にあっただろう。小説は、どこまでも内面に潜り込んで、それを我々に見せる。作者の意図はどうであれ(それを匂わす文は一切なかったが)、私はそこに、この小説の意義を見出すのである。

『新リア王』『太陽を曳く馬』の文庫化を飛び越えて、何故『冷血』が文庫化されたのか。
これも、作者の意図は知らず、私の単なる推察なのだが。
ひとつ、『新リア王』(2005年発行)は栄と優の原発論議をそのまま改訂を入れずに文庫化するのに躊躇する部分が、何処かにあった。『太陽ー』(2009年刊行)は、今年オウム死刑囚の死刑執行が行われるまで、やはり躊躇する部分があった。ということなのではいか。
ひとつ、それでも合田雄一郎を世間に出しておきたかった。それは即ち、もう一度、原発事故以降、関東平野で野菜つくりに精を出す合田を我々に見せたいために、この文庫化を急いだのではないか?つまり、合田雄一郎は、また書き始められているのではないか?

もうひとつだけ、云っておきたいことがある。作者とは預かり知らぬところで、文庫本編集者の書いた巻末の『晴子情歌』文庫本煽り文句に対してである。「『冷血』に繋がる圧倒的長編」という文字は、殆ど詐欺である。私は文庫本を読んでいないので確定的ではないが、全く「繋がらない」はずだ。次の重版のときには消去して貰いたい。

2018年11月22日読了
冷血(下) Amazon書評・レビュー: 冷血(下)より
4620107905
No.83
(4pt)

一週間かかった

第一章を読み終えるのに、毎日義務の様に読んで実に一週間かかった。読んでも、読んでも、ページを捲るのが身毒なって已めて終う。歯科医師一家四人殺害事件。犯人は2人の男。それだけは、嫌でも事前に情報が入る。

高村薫なのだ。始まりは、事件一週間前の被害者の娘の一人称の述懐。そして、2人の犯人の夫々の述懐と続く。ここまで読んだならば、何が待っているかは容易に想像がつく。一般のミステリーではない。高村薫なのだ。一人称述懐タイプの描写は詳細を極める。被害者の娘、中学一年生の歩(あゆむ)は徒らに純粋で生意気で聡明だ。実際、数学オリンピックをを目指す子供はそうなのかもしれない。犯人たちは、あまりにも短絡的に犯行を繰り返す。次第と運命の日に近づいてゆく。最近のゲーム世代の小説家のように、大量猟奇殺人鬼をキャラとして描いたりはしないのだ。

高村薫の粘菌のような描写が続く。読んでいられない。もう止めろ、と私の中の臆病が叫ぶ。もう辛抱が切れかけていた頃、突如スイッチが切り替わるように第二章「警察」に変わった。

久しぶりの合田雄一郎。私は単行本の「太陽を曳く馬」も読んでいない。「新リア王」から「太陽を曳く馬」に続き合田雄一郎も登場するこれらの文庫本化を飛び越えて、高村薫は何故こちらの文庫本化を急いだのか?本書を読んだところで、雄一郎の捜査のように「答」がひとつ出てくる見通しは何一つ無いが、また何故この物語が2002年に設定されているのかも、何一つ見通しは立たないけれども、ひとつ事実としてあるのは、第一章にきっちり7日掛かった私は、第二章はきっちり1日で済ませたということだ。もちろん、雄一郎の因縁の元妻が2001年の9.11で亡くなっていたことなどを見逃す粗い読書はしなかった。義兄との関係は、進んでいるのか?いないのか?それはわからなかった。

事件は、想定内の経過を経て犯人逮捕に向かう。これでやっと物語の半分。一切見通しは立たない。合田雄一郎シリーズ、いったい何処に向かうのか。

2018年11月12日読了
冷血(上) Amazon書評・レビュー: 冷血(上)より
4101347255
No.82
(4pt)

一週間かかった

第一章を読み終えるのに、毎日義務の様に読んで実に一週間かかった。読んでも、読んでも、ページを捲るのが身毒なって已めて終う。歯科医師一家四人殺害事件。犯人は2人の男。それだけは、嫌でも事前に情報が入る。

高村薫なのだ。始まりは、事件一週間前の被害者の娘の一人称の述懐。そして、2人の犯人の夫々の述懐と続く。ここまで読んだならば、何が待っているかは容易に想像がつく。一般のミステリーではない。高村薫なのだ。一人称述懐タイプの描写は詳細を極める。被害者の娘、中学一年生の歩(あゆむ)は徒らに純粋で生意気で聡明だ。実際、数学オリンピックをを目指す子供はそうなのかもしれない。犯人たちは、あまりにも短絡的に犯行を繰り返す。次第と運命の日に近づいてゆく。最近のゲーム世代の小説家のように、大量猟奇殺人鬼をキャラとして描いたりはしないのだ。

高村薫の粘菌のような描写が続く。読んでいられない。もう止めろ、と私の中の臆病が叫ぶ。もう辛抱が切れかけていた頃、突如スイッチが切り替わるように第二章「警察」に変わった。

久しぶりの合田雄一郎。私は単行本の「太陽を曳く馬」も読んでいない。「新リア王」から「太陽を曳く馬」に続き合田雄一郎も登場するこれらの文庫本化を飛び越えて、高村薫は何故こちらの文庫本化を急いだのか?本書を読んだところで、雄一郎の捜査のように「答」がひとつ出てくる見通しは何一つ無いが、また何故この物語が2002年に設定されているのかも、何一つ見通しは立たないけれども、ひとつ事実としてあるのは、第一章にきっちり7日掛かった私は、第二章はきっちり1日で済ませたということだ。もちろん、雄一郎の因縁の元妻が2001年の9.11で亡くなっていたことなどを見逃す粗い読書はしなかった。義兄との関係は、進んでいるのか?いないのか?それはわからなかった。

事件は、想定内の経過を経て犯人逮捕に向かう。これでやっと物語の半分。一切見通しは立たない。合田雄一郎シリーズ、いったい何処に向かうのか。

2018年11月12日読了
冷血(上) Amazon書評・レビュー: 冷血(上)より
4620107891
No.81
(5pt)

傑作!

待ちに待った著者傑作作品の久しぶりの文庫化で、読み始めたが、予想通りの面白さで、いっき読み、あいかわらずのくどいくらいの登場人物の心理描写表現だが、それが作品に重厚さを持たしている、読み応えの感動を読者に与えている。
冷血(上) Amazon書評・レビュー: 冷血(上)より
4101347255
No.80
(5pt)

傑作!

待ちに待った著者傑作作品の久しぶりの文庫化で、読み始めたが、予想通りの面白さで、いっき読み、あいかわらずのくどいくらいの登場人物の心理描写表現だが、それが作品に重厚さを持たしている、読み応えの感動を読者に与えている。
冷血(上) Amazon書評・レビュー: 冷血(上)より
4620107891
No.79
(4pt)

高村文学の一つの到達点

一家四人惨殺事件とあって、高村ファンとして読まなければならないが、長くページを開かなかった本だ。
警察小説で、事件が発生して、手掛かりから犯人を追い詰めていくのが定石だが、そんなありきたりの筋書きではない。止むに止まれず犯行を犯したわけでなく、ましてや殺人の動機があったかなかったか。でもそんなことは著者は意に介さない。己が培ってきた筆力、取材力、を駆使して高村ワールドを構築していく。セールス的には成功とは言えない本だったのだろうが、十分よ見応えがある本であった。
冷血(下) Amazon書評・レビュー: 冷血(下)より
4101347263
No.78
(4pt)

高村文学の一つの到達点

一家四人惨殺事件とあって、高村ファンとして読まなければならないが、長くページを開かなかった本だ。
警察小説で、事件が発生して、手掛かりから犯人を追い詰めていくのが定石だが、そんなありきたりの筋書きではない。止むに止まれず犯行を犯したわけでなく、ましてや殺人の動機があったかなかったか。でもそんなことは著者は意に介さない。己が培ってきた筆力、取材力、を駆使して高村ワールドを構築していく。セールス的には成功とは言えない本だったのだろうが、十分よ見応えがある本であった。
冷血(下) Amazon書評・レビュー: 冷血(下)より
4620107905
No.77
(4pt)

【マークスの山】▶︎【照柿】から【冷血】を読もうとしてる方へ

書評については多くの方々がしているのを参考にして下さい。

照柿までは再読ですが私は表題の通りの流れで合田雄一郎シリーズを読んだのでその感想を。
合田さんカッコいいぜーー!ハードカバーも読もうかな!って口です。(レディジョーカーも昔読みましたが合田さんの印象ほとんどない)

結論から言うと今までは話の中心にいた合田さんは本作では傍観者の様な位置付けの印象でした。
事件に切り込むでもなく、猟犬のように嗅ぎ回るわけでもなく、ブレーキが壊れたようにただただ巻き込まれていくわけでもなく。
マークスの山、照柿で魅せられた熱量というか狂気のような鋭さは全くなく、誤解を恐れずに言うとコレ合田さんでないとダメ?ってくらい拍子抜けです。

何でも受け止めてしまう感受性のサンドバッグな合田さんが好みな方なら有りですが、剃刀とか猟犬な合田さんが好みの方ならオススメはしません。

合田シリーズを抜きにすれば、高村薫としては楽しめますが、合田さんラブの人が期待すると肩透かし食うかも。
冷血(下) Amazon書評・レビュー: 冷血(下)より
4101347263
No.76
(4pt)

【マークスの山】▶︎【照柿】から【冷血】を読もうとしてる方へ

書評については多くの方々がしているのを参考にして下さい。

照柿までは再読ですが私は表題の通りの流れで合田雄一郎シリーズを読んだのでその感想を。
合田さんカッコいいぜーー!ハードカバーも読もうかな!って口です。(レディジョーカーも昔読みましたが合田さんの印象ほとんどない)

結論から言うと今までは話の中心にいた合田さんは本作では傍観者の様な位置付けの印象でした。
事件に切り込むでもなく、猟犬のように嗅ぎ回るわけでもなく、ブレーキが壊れたようにただただ巻き込まれていくわけでもなく。
マークスの山、照柿で魅せられた熱量というか狂気のような鋭さは全くなく、誤解を恐れずに言うとコレ合田さんでないとダメ?ってくらい拍子抜けです。

何でも受け止めてしまう感受性のサンドバッグな合田さんが好みな方なら有りですが、剃刀とか猟犬な合田さんが好みの方ならオススメはしません。

合田シリーズを抜きにすれば、高村薫としては楽しめますが、合田さんラブの人が期待すると肩透かし食うかも。
冷血(下) Amazon書評・レビュー: 冷血(下)より
4620107905
No.75
(5pt)

高村薫の最高傑作

高村薫の最高傑作である。

犯人達のどうしようもなく悲惨な人生。彼らの「冷血」が最後には霞んでしまい、社会や被害者遺族の「冷血」がよりクローズアップされているのも、かえってリアリティがある。現実というのは混沌として説明のつかないもの。それをそのまま描こうとしている姿勢が素晴らしい。

合田は若干素敵すぎて、そこが若干非現実的だけれども、作者も人間だし、少しの希望くらいは持たせてあげたいから、それもよし。

文章に無駄がなく、どこまでも削ぎ落とされた緊張感とリズム。ここまでの日本語の書き手は現代の日本文壇に見当たらない。
圧倒的なディテールに裏付けられたリアリティ。月並みだが、神は細部に宿るもの。ここまで描写を積み上げられる作家も見当たらない。
そして、矛盾と混沌の世界を目の前にして、底のない内省と独白でどうどう巡りな合田氏。それでも垣間見える幽かな光。噛み合わない言葉と気持ちはもちろん、どこまでも切ないし、救いもないけど、それが現実というもの。ハードボイルドの真骨頂である。

最後の論告要旨と判決は、意外にも、犯人の動機や事件の原因について、よくある司法当事者の「無理な作文」に陥らず、ぎりぎりのところで、ありのままの現実と折り合いをつけた印象。安易な批判ではなく、司法組織に対するリスペクトすら感じられる。そこにも、作者が託す一縷の希望があるのか。成熟した世界観さらに良し。

読み終えてから、高村薫は死刑制度に批判的と知ったが、そんなこと最後まで気づかなかった。それほどまでに抑制された文章。自意識垂れ流しにどこまでも無自覚な底の浅い二流三流作家たちとは二味三味違う、円熟期の一流文筆家の作品。久しぶりに読書という行為に心から満足を覚えた。

作家の長年の努力と汗が、ついに天才の領域に入った感がある。

このような作品に出会えたことを幸せに思う。

カポーティーの「冷血」も読んだが、どちらも独立した意義のある傑作であり、比較することにあまり意味は感じない。
冷血(上) Amazon書評・レビュー: 冷血(上)より
4101347255
No.74
(5pt)

高村薫の最高傑作

高村薫の最高傑作である。

犯人達のどうしようもなく悲惨な人生。彼らの「冷血」が最後には霞んでしまい、社会や被害者遺族の「冷血」がよりクローズアップされているのも、かえってリアリティがある。現実というのは混沌として説明のつかないもの。それをそのまま描こうとしている姿勢が素晴らしい。

合田は若干素敵すぎて、そこが若干非現実的だけれども、作者も人間だし、少しの希望くらいは持たせてあげたいから、それもよし。

文章に無駄がなく、どこまでも削ぎ落とされた緊張感とリズム。ここまでの日本語の書き手は現代の日本文壇に見当たらない。
圧倒的なディテールに裏付けられたリアリティ。月並みだが、神は細部に宿るもの。ここまで描写を積み上げられる作家も見当たらない。
そして、矛盾と混沌の世界を目の前にして、底のない内省と独白でどうどう巡りな合田氏。それでも垣間見える幽かな光。噛み合わない言葉と気持ちはもちろん、どこまでも切ないし、救いもないけど、それが現実というもの。ハードボイルドの真骨頂である。

最後の論告要旨と判決は、意外にも、犯人の動機や事件の原因について、よくある司法当事者の「無理な作文」に陥らず、ぎりぎりのところで、ありのままの現実と折り合いをつけた印象。安易な批判ではなく、司法組織に対するリスペクトすら感じられる。そこにも、作者が託す一縷の希望があるのか。成熟した世界観さらに良し。

読み終えてから、高村薫は死刑制度に批判的と知ったが、そんなこと最後まで気づかなかった。それほどまでに抑制された文章。自意識垂れ流しにどこまでも無自覚な底の浅い二流三流作家たちとは二味三味違う、円熟期の一流文筆家の作品。久しぶりに読書という行為に心から満足を覚えた。

作家の長年の努力と汗が、ついに天才の領域に入った感がある。

このような作品に出会えたことを幸せに思う。

カポーティーの「冷血」も読んだが、どちらも独立した意義のある傑作であり、比較することにあまり意味は感じない。
冷血(上) Amazon書評・レビュー: 冷血(上)より
4620107891
No.73
(5pt)

難行苦行

苦しい、苦しい、ああ苦しい。「読書」ということが、これほど辛いものだとは思わなかった。
上下2巻を読み通すことが、心体ともにまるで修行しているような状態になる。
神聖さを伴う、厳しく辛く、逃れられない、最後まで行き着かねば終わらない苦行。

何せ、上巻ですでに犯人は捕まっているのに、その後延々と下巻が続くのだから。
この作者の作品は、ただの謎解きに終わらない。キャラクターの活躍だけにも終わらない。
ロシア文学に通じるような、慎重で丁寧な心理描写、分析、詰まる所は人間の根源にまで及ぶ。

ふだん、日常生活においては、その場にいる皆が気持ち良く過ごせれば、それでいいと
思っている自分には、この作者の著作を読むということは、
鈍った筋肉すべてを全身全霊、全力でフル稼働させているようなものなのだ。

今回も期待を裏切らない苦行振り。
中間管理職となった合田君は、昔のように弾丸のごとく突っ走ることはなく、
妙に悟ったような言動も垣間見えるが、この犯人たちには完全にお手上げ。
ー 動機のない犯罪 ー これがどんなに人を不安にさせるものなのか。
読む側は合田君とともに、頭をフル回転させ、八方手を尽くし、考え付く限りの手段を講じ、
果ては自分自身の内面にまで下りて犯人の心に迫ろうとするのだが…

いやぁ、苦しい、苦しい、ああ、苦しい。
ふだん自分の心がいかに怠けていたのかが分かる。
表面的な優しさと人の好さと物わかりの良さで、案外世間は渡って来られるものなのだ。
そんな間延びした自分に、たまには修行。作者の寡作に助けられる。多作では身が持たない。

ミステリーか純文学か、事件は解決したか、謎は解けたか、にかかわらず、
たまには修行と思って紐解く種類の本なのだ。
冷血(上) Amazon書評・レビュー: 冷血(上)より
4101347255
No.72
(5pt)

難行苦行

苦しい、苦しい、ああ苦しい。「読書」ということが、これほど辛いものだとは思わなかった。
上下2巻を読み通すことが、心体ともにまるで修行しているような状態になる。
神聖さを伴う、厳しく辛く、逃れられない、最後まで行き着かねば終わらない苦行。

何せ、上巻ですでに犯人は捕まっているのに、その後延々と下巻が続くのだから。
この作者の作品は、はただの謎解きに終わらない。キャラクターの活躍だけにも終わらない。
ロシア文学に通じるような、慎重で丁寧な心理描写、分析、詰まる所は人間の根源にまで及ぶ。

ふだん、日常生活においては、その場にいる皆が気持ち良く過ごせれば、それでいいと
思っている自分には、この作者の著作を読むということは、
鈍った筋肉すべてを全身全力でフル稼働させているようなものなのだ。

今回も期待を裏切らない苦行振り。
中間管理職となった合田君は、昔のように弾丸のごとく突っ走ることはなく、
妙に悟ったような言動も垣間見えるが、この犯人たちには完全にお手上げ。
動機のない犯罪 ー これがどんなに人を不安にさせるものなのか。
読む側は合田君とともに、頭をフル回転させ、八方手を付くし、考え付く限りの手段を講じ、
果ては自分自身の内面にまで下りて犯人の心に迫ろうとするのだが…

いやぁ、苦しい、苦しい、ああ、苦しい。
ふだん自分の心がいかに怠けていたのかが分かる。
表面的な優しさと人の好さと物わかりの良さで、案外世間は渡って来られるものなのだ。
そんな間延びした自分に、たまには修行。作者の寡作に助けられる。多作では身が持たない。

ミステリーか純文学か、事件は解決したか、謎は解けたか、にかかわらず、
たまには修行と思って紐解く種類の本なのだ。
冷血(上) Amazon書評・レビュー: 冷血(上)より
4620107891
No.71
(4pt)

すべて迅速でした

迅速に届きました。帯に一部破れがある他は外観中身とも目につくような汚損はいっさいありませんでした。(上下巻とも)
冷血(下) Amazon書評・レビュー: 冷血(下)より
4101347263
No.70
(4pt)

迅速でした

迅速に届きました。帯に一部破れがある他は外観中身とも目につくような汚損はいっさいありませんでした。
冷血(上) Amazon書評・レビュー: 冷血(上)より
4101347255
No.69
(5pt)

さすがです

高村さん、さすがです。おどろおどろしさの中の、高村さんの表現の美学、素晴らしいです。
冷血(上) Amazon書評・レビュー: 冷血(上)より
4101347255
No.68
(5pt)

さすがです

高村さん、さすがです。おどろおどろしさの中の、高村さんの表現の美学、素晴らしいです。
冷血(上) Amazon書評・レビュー: 冷血(上)より
4620107891
No.67
(4pt)

上巻を繰り返す

上下巻に別れているのが非常に解りやすい構成だと思いました。。
冷血(下) Amazon書評・レビュー: 冷血(下)より
4101347263
No.66
(4pt)

ちょっと読みにくい

高村薫原作おもしろい
ですが、ちょっとなかなか読み進めるのに時間がかかる
冷血(上) Amazon書評・レビュー: 冷血(上)より
4101347255
No.65
(4pt)

上巻を繰り返す

上下巻に別れているのが非常に解りやすい構成だと思いました。。
冷血(下) Amazon書評・レビュー: 冷血(下)より
4620107905