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海賊とよばれた男
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海賊とよばれた男の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.26pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全1156件 1121~1140 57/58ページ
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初めて百田尚樹さんの本を手に取ってみました。 さすが評判どおり、壮大なパノラマで、会社の存亡をかけた男の物語にとどまらず、国家を見据えた志ある男の姿を豪快な筆さばきで書き上げています。 こういった時代小説より人生論やビジネス論に感化させられるといったジャンルには、いずれの作家も司馬文学の影響を受けていると思いますが、本書では、冒頭よりアツい志しに対して強くこころを打たれてしまいます。 日本の明るい元気を取り戻すために、何かできることからやってみようと奮起させられる思いがこみ上げてきます。 本書はそういう”がんばり”のDNAに目覚めさせてくれ、グッと下から持ち上がり湧き上がってくるモチベーションを肌に感じずにはいられません。 ひとりひとりの”がんばり”が結果に結びつくこと、血縁ある家族のように信頼で結ばれた固いきずながひとつの道へとつながっていくことを力説しています。 今置かれている日本のさまざまな構造を顧みて、アツい志しを持って立ち上がっていきたいと思います。 | ||||
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事実をベースにした企業小説というと高杉良とか山崎豊子が有名で、実際に私も好きで読んできたが、百田尚樹のこの路線はかなり合っていると思う。熱い語り口は、熱い創業者の半生を語るのにぴったりで、すっかり引き込まれた。 わざわざ個人名や企業名を変えてあるわけだから、伝記などでは決してなく、ところどころ想像や妄想も混ぜ込みながらの作品と推察するが、そのあたりの展開力は正に百田尚樹の真骨頂だと感じる。事実を上手に脚色しながら一級のエンタテイメントに仕上げてあると思う。 | ||||
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よくぞこんな日本人が現実に存在してくれたものだ……。 「事実は小説より奇なり」。上下巻まで読み終わった今、あまりの波乱万丈の一生に、私の脳の中で、この言葉がぐるぐる渦巻いている。 もちろん、小説だから、脚色した部分もあるだろう、が、あくまで「事実」に基づいた「小説」である。 主人公・国岡鐵造のモデルとして、出光佐三という崇高な生涯を送った人物が実在していたことに、驚きと喜びを禁じ得ない。 社員を家族のように大切にし、国民の生活に奉仕しようとの至純にして至誠の生き方は、奇跡的である。 敗戦後の最も苦しい時代でも、一人の馘首も許さず、その一方では、国家権力とも石油メジャーとの大喧嘩も辞さない豪胆さ。 そして、鐵造の「信頼」に応えようと、意気に感じた社員たちが、働きに働き、不可能を可能としながら、大出光を築いていく物語は、痛快無比である。 それにしても、これほどの大人物を紹介し、見事に描き切ってくれた百田氏の精魂こめた仕事に、感嘆とともに感謝、感謝である。 名著「永遠の0」を読んだ時と同じく、何度も涙を禁じ得ない場面があった。 特に、私は、段落が切れる直前の最後の一行に、大好きな表現が多く、うならされることがたびたびであった。 たとえば、鐵造が、タンカー「日章丸」の船長・新田を、イギリスと係争中のイラン・アバダンヘの危険な航海に送り出す場面。 「万が一のときには−−」鐵造は言った。「沈むかもしれない」 新田はにやりと笑うと、髭を指で撫でた。(下巻159'ページ) 背景なしでは、ちょっと分かりにくいかもしれないが、簡潔な表現のなかに「侍」どうしの心の通じ合いを感じ、ぐっと来るのだ。 こうした心憎い描写が、随所に出てくるので、上下二巻、中だるみすることなく、ぐいぐいと読み通させるのである。 終章に出てくる、アンドレ・マルローとの対談で鐵造が語った言葉は、この物語を象徴するようで、深く感銘した。 「私は、人間を信頼するという考え方を広めていくことこそ、日本人の世界的使命と言っています」。 今、「世界の中の日本」が問わている。 「信頼」という深い次元で、「日本人の誇り」を取り戻し、使命を果たさなければならない。 この大傑作を一人でも多くの人に読んで欲しいと、切実に願う。 | ||||
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上下巻の大作ながら、一気読み。 物語の主人公は日本の石油王と呼ばれた出光興産創業者の出光佐三氏である。 裸一貫から日本を代表する企業である出光グループを作り上げるサクセスストーリーであるが、 その波乱万丈の“熱い”物語に、血肉が踊るほどの感動を味わうことができた。 人を信じるがゆえに、馘首をしない、出勤簿なし、定年制無し…という破天荒な社風は、社員を家族の一員として信頼していく佐三氏(作品内では国岡鐵三)の信念に、武士道を漂わせた明治男の頑なな正義が見える。 こうした社風は平成にまで受け継がれ、出光興産は唯一の民族系石油会社として存続をしてきている。 百田尚樹の作品は、『錨を捨てよ』や『ボックス』、『風の中のマリア』や『聖夜の贈り物』、前作の時代小説の『影法師』にしかり、1作ごとに作風を変え、様々なカテゴリーへのチャレンジを意図的に行ってきているが、今回の作品は、ノンフィクションを十分に意識した企業小説、立志伝、評伝として、そのチャレンジが成功した出来になったと思う。 まさに“百田ワールド”。 『永遠の0』を読んだ人ならば、思わずニヤリとするサービス精神にも感心するだろう。 | ||||
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戦後は石油を扱えず、ラジオ修理から漁業まで何でもやって 食いつないでいた国岡商店に、やっと念願の石油を扱える日が やってきた。 世界石油市場を牛耳る「セブンシスターズ」(メジャー石油 会社7社の総称)を相手に獅子奮迅の活躍を見せる国岡商店。 ただひとり、メジャーに飲み込まれずに民族系石油会社として 気を吐く。 イランの石油国有化の動乱の際、わずか1万8千トンのタンカーで 孤立したイランから石油を輸入し、世界を驚かせた。 世界初の13万トンタンカー「日章丸」を建造し、四国に石油コンビ ナートを建設した。 次々と世間の耳目を集める働きをするが、それは商人として 「儲け」を意識したものではなかった。 戦中から統制経済と戦い、自由競争を求めた国岡鐡造にとって 国民の生活向上に資するかどうかが、最も大切な判断基準だった。 最後まで初志を貫き、一代で大石油会社を作り上げた鐡造の人世観と 経営観を見事に描き切った一冊。 | ||||
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戦後、全ての資産を失いながらも社員こそが資産であるとして、ひとりの社員も 馘にせず会社の再生を果たした経営者、国岡鐵造。 信念を持って会社経営にあたった、出光興産の出光佐三をモデルにした、胸を 熱くする一冊だ。 神戸高商を卒業したが、小さな商店の丁稚から仕事を始め、良き理解者を得て独立、 散々辛苦をなめながらも1000人の社員を擁するまでに成功した国岡。 貴族院議員にも推された。 しかし、それも敗戦によってすべてが泡のように消えた。 仕事も資産もなく、残ったのは続々復員してくる社員だけだ。 どん底から這い上がる、国岡商店の活躍と底力、是非読んでいただきたい。 痛快無比! | ||||
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この本は熱い。何より、主人公の国岡鐵造(出光佐三)が熱い。世界の石油メジャーにも同業者にも屈せず、統制経済の時代に当局やGHQと堂々と渡り合い、銀行にファンを作って融資を引き出す。非上場で定年も出勤簿もない、という家族経営スタイルを懐かしき日本的経営と捉えては物事の半分しか見えない。同業他社の誰よりも働く虎のような社員がいれば定年なんかでは辞めさせたくないだろうし、そういう虎たちを採用し育てる手腕と、何よりも随所に光る先見の眼があったればこそなんだろう。 この本では米英系の石油メジャー「七人の魔女」は悪役を与えられている。国内油田の発見とともに産声をあげた日本の石油産業だが、石炭からのエネルギー革命に従い日本は石油輸入国となり、第二次大戦では石油を求めて戦い、石油を絶たれて敗れる。そうして支配した日本だから、メ米系メジャーとしてはそこに石油を売り込もうとするのは自然なことだ。何しろ原油を支配している強みは動かせない。こうして日本の石油元売り市場にメジャーの楔が打ち込まれる。 しかし世界は変わろうとしていた。資源ナショナリズムの先陣を切って石油産業を国有化したイランと帝国主義時代と変わらぬ軍艦外交を展開した英国。ここにこの本のクライマックスである日章丸事件の幕が切って落とされる。イランの横暴と見るか、資源ナショナリズムにも一分の理があると見るか、世界の石油会社が手を拱く中、主人公は敢然とイランに日章丸を派遣する。やがてイランは米英に屈服させられるが、その間に得た利益と信用で国内に石油精製施設と中東輸入ルートを築いていくのだから、この人の先見性と胆力には瞠目する他ない。 主人公は石油産業が誕生し、成長していく時代を生き抜き、この物語もオイルショックやイラン革命の辺りで終わる。イラン革命の後もイラン・イラク戦争、湾岸戦争、イラク戦争、最近の最近のイラン制裁と石油を巡る戦いは続き、こちらは本書の時代と変わらぬ相克の歴史が続くのだが、国内の石油市場は違う。国内消費が減退し、ガソリンスタンドが安売りに奔走し、かと思えば一転して価格高騰に見舞われる時代。国岡鐵造なら、出光佐三ならどういう手を打つのだろうか、としばし黙想して、この本を閉じた。 | ||||
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小学生の頃に読んだ、『少年少女20世紀の記録11 黒部ダム物語』 (前川康男、あかね書房)に収録されていた『マンモス・タンカー物語』 が、佐世保の旧海軍工廠で出光興産「日章丸」3代を建造するお話 だったので、とても懐かしくて手に取りました。 面白かったです。 | ||||
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どうしても「永遠の0」と比べてしまいます。 主人公の経営者としての素晴らしさは分かりますが、 「永遠の0」が☆5つだとすると こちらは☆3つでしょうか。 「永遠の0」と同じような感動を本書では得られませんでした。 | ||||
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第2次世界対戦前後にはこれほどの日本男児がいたのかと感動すると共に、言い知れぬ焦りを感じました。「日本のため」と正論を突き通し続けた國岡鐵造(出光佐三氏)のように、組織に埋もれず、事を成し遂げるためには手段を選ばぬような男に憧れを感じました。 本書は出光興産の成り立ちの他、石油連盟や旧通産省(商工省)、欧米・中東諸国、セブンシスターズといった、石油をめぐる当時のプレイヤーたちの思惑やその結果についても詳細に記述してあるため、現在の石油流通業等について学びたい人にお勧めです。 | ||||
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不世出の(手垢のついた言葉だが)経営者の本でその意味では類書が無い。 人間尊重経営、大家族主義、民族主義、自主独立、人を信じて国家、企業、社員にを導いた経営者の伝記です。だが官僚主義的な業界からは「和を乱す」と言われたことも多々あったようです。 本書に書かれていることは、ほとんど実話(会話などは別)ですが「本当にそんなことが出来るの?」というような内容が満載です。驚くべきことは、主人公の指示に部下が喜んで従う事実です。部下が本気で無いとできないような指示の連発です。 これほどの信頼を部下から勝ち取る理由(意味)を本書から理解できます。面白いだけでなく、有益な本です。 上巻は書き出しが戦後から始まり、次に戦前の回想に移る。この展開も面白い。クライマックスの日章丸のイラン出港と成功は下巻だが、どうなるか楽しみだ。 | ||||
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本書は出光興産の創始者である出光佐三をモデルにした小説である。小説といっても、著者によれば書かれた内容は事実であるとのことであり、実に驚くべき男たちの姿が描かれている。本書を購入してその面白さにまず一気読みしたが、それだけでは勿体ない内容なので今度はじっくり読み直したがやはり素晴らしい内容であった。 物語はまず第二次大戦直後から始まる。戦争ですべての事業基盤を失った国岡商店の店主の国岡鐵造は、通常ならば会社を閉じるか人員整理を実施するところであるが、「ひとりの馘首もならん」と宣言する。そこから国岡商店が生き残るための凄まじい戦いが始まる。百姓、漁師、瓦礫撤去などあらゆることを実施するが、ラジオ修理を手掛りに復活への道を辿っていく姿はどんな経済小説よりも面白い。 しかし本書の主人公はやはり「人」である。従業員は家族と宣言して首切りも定年もないという国岡には素晴らしい人間が集まってくる。資金がなくて独立して事業を興すことができない国岡に対し、自分の資産を売って大金を提供し、会社の存亡の危機の時には「一緒に乞食をやろう」と激励した日田重太郎との関係は涙なしには読めない。武知、東雲といった素晴らしい部下も国岡を支える。血も涙もないと思われがちな、銀行や保険会社といった金融機関の支店長や重役たちでさえ、国岡鐵造という男に魅せられ、通常では考えられない支援を行う。 下巻の製油所建設では「人の心がひとつになったとき、合理や計算では考えられないことが起きる」とアメリカ人の技師長のポッターが述懐したように、奇跡的なスピードで工事が進んで行く、胸が熱くなるようなシーンが描かれる。 現在の日本は閉塞感が漂っているが、我々は国岡が工場建設に携わった下請労働者たちについて東雲に語った「これが日本人の力だ。 こういう日本人がいるかぎり、日本は必ず復興する。いつの日か、もう一度、欧米と肩を並べる国になる日が来る。いや、その日はもう遠くない」という言葉を思い起こすべきかもしれない。熱い勇気が湧いてくる小説である。 | ||||
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正義だけれど、可能性の低い困難な局面を強行突破する。この痛快さこそ本書の中心である。 現実に妥協し、大局に流され、本音と建前は違うと呟かなくてはいけない人は必読。快感を覚えること間違いなし。 新渡戸稲造の著・武士道に「勇とは裁断。道理に任せて決定し、ためらわず行うことなり」という一文がある。 まさに主人公は、侍である。 すべてを失う!という厳しい場面で、逃げないどころか「成功するか?リスクが無いか?儲かるか?」というような「世間の大人」の基準でなく「何が正しいかという道理だけ」で決定し行動していく。 本書のクライマックスの日章丸出港で部下の船長が「大義のためなら死んでも結構です」と言う行動をとる。これは主人公と部下が利益でなく道理を基準にしているということを示している。 | ||||
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「日章丸事件」という本書のクライマックスが描かれた下巻から先に読んでしまったため、少し冷めてしまった。 これは、言わゆる「一代で成功した経営者物語」に過ぎないのでは? この手の本は巷間に多数あるし、好きな人も多数いる。まあ、それが悪いとは言わないが、珍しくもない。 本書は筆者の腕力で読者をグイグイ引っ張っていくため、類書と異なる面白さはあるが、そのテーマを考えてみたら少し引いてしまった。 # たぶん映像化されるんだろうなぁ....。 | ||||
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出光興産を題材としたノンフィクション・ノベルであるが、エンターテインメントとしても十分に読みごたえがある。さらには、思わず目頭が熱くなるようなエピソードも多数盛り込まれており、小説としての出来も素晴らしいと思う。 出光興産創業者の豪放な生き方を、史実にもとづき、丹念に追っていくこの物語。上巻は、西暦1855年から1947年までの、激動の時代を舞台に描かれている。 度重なる大戦(日清戦争・日露戦争・第一次世界大戦・日中戦争・第二次世界大戦)という、興味の尽きない歴史的状況の中で物語は進んでいくが、そうした時代背景への興味を凌駕するほど、主人公・田岡織造の人物造形が良い。幾多の困難を乗り越え、大事業を成功させた主人公ではあるものの、決してそれはモンスター的な実業家ではなく、人間臭さが溢れる人物だったのである。 儲けるな、事業は国のため、消費者のためにやれ。こうした信念のもと、出勤簿・タイムカード・首きり・定年、そのすべてをなくして企業経営を行なった主人公。それでも不屈の精神で、欧米オイルメジャーや我が国政府と堂々と渡り合うことができたという事実、これは今の時代、大いに見習わなければならない逸話であろう。まさに、我が国経済界にとっての財産なのではないか。長期低落傾向の我が国経済を立て直す道標となるかもしれない。 目先の利益のみに汲々としてしまっている現在の経済界のトップの人達に、是非とも読んでもらいたい小説だ。人間尊重という理念がなければ、会社運営は成り立たない。このことを肝に銘じて欲しいものだ。 人は何のために働くのか、そして、人間は社会の中でどうあるべきなのか。こうした処世のすべを、あたためて考えさせられる小説だった。 | ||||
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日章丸事件を中心として、セブンシスターズとの対決を克明に描いたこの下巻。日章丸が経済封鎖を打ち破り、イランのアバダン港に辿り着くまでの記述は、臨場感が溢れ、まさに圧巻だった。特に、コロンボの沖で初めて行き先を聞かされた乗組員たちが、危険をものともせず、一様に快哉を叫ぶその場面には、感動と同時に勇気を与えられた。体全体が震えてくるような感激で、自分も乗組員の一人になったような気分だった。 激動期を駆け抜けた主人公・田岡織造の人間性もさることながら、創業前に出会った重田重太郎(田岡に七千万円を寄付した人物)や、さらには最初の妻(子供が産めないことを理由に離婚したものの、死ぬまで田岡の事業を応援し続けた)といった人々の存在もなかなか素晴らしい。そうした人物たちとの関係を描くことによって、主人公に寄せられる信頼の大きさを表しているのであろう。やはり、人からの信頼を勝ち取るには、強い信念と理想が必要なのだ。そう当然のごとく、考えさせられる小説であった。 黄金の奴隷たる勿れ、人は決して金では動かない。この信念のもと、様々な苦難にぶち当たりながらも、それを乗り越えていく主人公。これには、あまりにも理想主義に過ぎるのでは、とも批判もあろうが、実話をベースにした小説、そして実在の人物をモデルにした小説であるだけに、十分な説得力を持って胸に響いてくる。絵空事ではない、実話なのだ。自分自身も、是非こういう人間でありたいものだ、とつくづく思わされる。 TPPの問題や竹島・尖閣諸島の問題への対応を巡って、我が国政治が揺れている昨今、経済人だけではなく、すべての政治家に読んでもらいたい作品だ。 今の時代、日章丸事件という実話を、小説というかたちで世に発信した、その著者のセンスに心から賞賛を送りたい。 私の中では、『永遠の0』を超える作品だと思う。 | ||||
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文字通りの波瀾万丈、事実は小説よりも奇なり、を地でいく物語で退屈のしようがないのは当然なのだが 氏の著作「永遠のゼロ」レベルの「エンターテインメント」を期待するとやや「はずれ」てしまうかも。 上下分冊の分量だが、三分の一程度の紙幅が日本・戦前の軍国主義化、開戦から敗戦に至る(出光と直接は関係ない)史実を ほぼ抑揚無くなぞっていく部分が多く途中のパートがかなり退屈。 ・・・で、「次は次は」とページを繰る手が止まらない・・・みたいな感じは無く。この手の「歴史小説」が好きな向きには 面白いのかもしれないが、どうしても現代人・個人的な感覚で「この程度で海賊か?」とも思ってしまった。無念。 | ||||
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偉大な人物の歴史を学ぶことは 教養として最上級のものであり、心震わせるエンタテインメントでもあると思います。 そういう意味でも、この「海賊とよばれた男」は間違いなく至高の本といえるでしょう。 出光佐三氏をモデルとした国岡鐵造の一生はまさしく英雄のそれです。 こんな人物が実在したのかと、念を押して聞きたくなるほど驚き、感動しました。 幾度と世界を驚倒した日本にとっても誇るべき史実です。 重苦しいことを言いましたが気軽に読んでみてください。 このビジネスのサムライ達を知ることは決してマイナスには働きません。 驚きと感動、そして勇気を与えてくれるものでしょう。 | ||||
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非常にテンポが小気味よく展開。 このテンポの快適さと人物の描き方が百田さんは抜群にウマイ! いつのまにか感情移入をしてしまい、応援してしまう。 出光さんの自伝も読んだんだけど、全然「海賊の…」が面白い。 面白さでは、自伝を自伝小説は超える。 その理由の1つは敵味方を作って、鐡造をヒーローに仕立て上げる手法。 外国(人)、メジャー石油、役所、石油団体…数々の悪キャラが鐡造たちを輝かせる。 でもそんなことどうでもイイ。 本を読みながら何度も何度も流した感動の涙の数が、 理屈抜きで、この本の素晴らしさを証明している。 ぜひ読んで欲しいデス。 | ||||
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いやー面白かった。夏にクーラーの効いた部屋で熱い男達のドラマを見る。 これ程の楽しみはそうないはずだ。 特に下巻からは一気に読んだ。 よくこれ程の困難を乗り越えたものだし、石油をテーマにした事で様々な視点が生まれ、 小説としても、近代史を語る視点としても、優れた仕上がりになっている。 ただ一つ気になる点がある。 本書は出光興産の創業者 出光 佐三をモデルにしているが、本書では会社名も主人公名も実名では描いていない。 あくまで小説なのでノンフィクションではないのだが、実名で登場する人物も多数いる。 なので、どこまで本書の内容が事実なのか少々混乱してしまう。 出光 佐三をwikiで調べてみると、本書の内容と大方合っていた。 他の方のレビューを見てもこれに言及している人はいないので、私が気になっただけかもしれない。 ただ私個人的には完全にノンフィクションにしてもらうか、山崎豊子のようにテイストを得て別の世界を作るかしてもらうほうがいいと感じた。 | ||||
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