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玩具修理者/酔歩する男
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玩具修理者/酔歩する男の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.84pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全82件 81~82 5/5ページ
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わたしには、七歳違いの弟がいる。このまま、「ひとりっ子」として過ごしていくのか、と思っていた頃に現れた彼は、それまで占めていた、わたしの空間に突然入り込んできた「不法侵入者」のように、嫌な存在だった。主人公の「わたし」にも七つか八つ離れた弟がいる。弟を背負っている描写の場面は、わたしも昔、弟を背負って歩いた夏の記憶とシンクロする。標準より体格の小さい小学校ニ年のわたしには、漬け物石のように重く、ぐんにゃりとして――、そして、高い体温が、異性物のように気味の悪い存在だった。一度、背中におぶっていて、落としたことがある。この小説のように「壊れ」はしなかったが、後頭部に出来た瘤は、かなり大きくなっても残ってしまった…。もし、あの時、「壊して」しまっていたら、わたしも「ようぐそうとほうとふ」のもとへ持ちこんだかもしれない。部品が何であれ、もとのように動くように直してくれる「修理者」は、大変魅力的な存在だ。ただ、同時収録の『酔歩する男』は、やや難解。もう少し、文字と版型を大きくして、写真もしくはイラストを挿入して、『玩具修理者』のみの独立した作品として読みたい気がする。文庫やコミック、ビデオなど様々な媒体で装幀が違うが、わたしは、この破壊されたアンティックド-ルの表紙のものが一番作品世界を表していると思う。 | ||||
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この本に出会ったときの衝撃はいまだに忘れられない。ある日、学校から帰ると玄関に投げ出されている本書を発見。訝しく思うのも早々に読書モードに入ってしまう。時間の経つのも気にせず、黙々と読むこと2時間。読了後、茫然自失となってしまうのであった。それにしても凄い。表題作の玩具修理者は本当にデビュー作かと野暮な疑いを持ってしまう程の傑作。女の語る玩具修理者にまつわる過去を恐怖に徐々に支配されながらも聞く男。驚愕のラストは世界の崩壊を目の当たりにすることになる。二編目の酔歩する男もやはり傑作。誰にでもあるような間違いが、男の恐るべき過去に収束されていく過程は、玩具修理者同様世界の崩壊が待ち受けている。この本を読めば、現実がいかに脆いものかと否応なしに認識する!ことになる。こちら側にストレートに伝わってくる恐怖はこの作品ならでは。一度お試しあれ。ところで、何でこの本が玄関に投げだされていたのかはいまだに不明。不思議なこともあるものです。 | ||||
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