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フラッシュフォワード
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フラッシュフォワードの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.26pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全23件 1~20 1/2ページ
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尊敬する、ミステリー解説者の方がお気に入りの作品との事で読んでみました。元々SFものが好きではないので、⭐は一つ減らしましたが、好きな方なら⭐5つかもしれません。物理の実験の影響で未来を見てしまうというと良くある感じですが、全人類が見てしまうという点が興味深いです。また、原因となる実験自体は、現代でも、物理学の実験や医療で実際に行われているものの延長上にあり、更にこういう事が起こらないとも言い切れないものなので、少し怖くなります。 | ||||
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シーズン1で打ち切りになったドラマがおもしろかったので読んで見たが、こちらもおもしろかった! ドラマのことはほとんど覚えてないのだが、小説とは主人公からして違うし、話も別物だったと思う。 小説では2人の人物にスポットを当て、それぞれの受けたフラッシュフォワードによる影響、決断、行動を描いています。ミステリが好きなのでテオの話がおもしろかった。犯人も、なるほどね!と声に出してしまうような人物で良かった。 普段SFや翻訳物はほとんど読まないけれど、この本はおもしろかった。ミステリの翻訳物に挑戦するいい機会になった。 | ||||
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全人類の意識が2分間だけ30年後に飛んだフラッシュフォワード現象。未来はその通りになるのか? といった引きで物語は展開します。文体としては味がないので、ただどうなるか知りたくて読んだという感じですが、そこそこおもしろかった。理数系の部分は苦手なので読み流しつつ。有名作家のソウヤーなので、ほかのも気になりつつ、タッチに味がないのでちょっとすぐには手を出さないかも。翻訳者によったりするんだろうか。 | ||||
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「スタープレックス」に対しては文句ばかり浮かんできたので、ちょっと心配しながら読み始めた本書でしたが、これは楽しめました。ストーリーの展開が気になってほとんど一気読みしたし、読後感も悪くありません。「スタープレックス」と同じ評価4ですが、十分面白かったと評価します。 ストーリーは、あらすじに書かれているように、ヒッグス粒子を捜すための実験が失敗して、その代わりに全世界の人間の意識が2分間ほど21年後の世界に飛ばされてしまうというトンデモな事件の顛末の物語です。 アイデアは単純(凄いけど)ですが、その物語を読者に納得させるためにリアリティを持たせようとしたらなかなか大変な設定です。 作者は、登場人物の設定と想像力を働かせることで、それを可能にしています。 今までに想定されたこともない未曽有の事態が起こった時、世界はどうなるのか?そして、それは、その後の社会にどのような影響を及ぼすのか? そして、それに付随して語られるのは、予想もしなかった結果が起こった時、科学者にどのような責任があるのか?さらに、作者の特徴でもある、主人公たちとパートナーの関係は、本作ではどのように描かれるのか? 例によって、460ページほどの本編に、さまざまな情報が詰まっていますが、メインの話がはっきりしているので、関連して描かれる無数のエピソードにも無駄がなく感じられます。 また、主人公の一人は、2分間だけ確認されているその21年後の世界で殺されていることがわかったため、それに対してどうすればよいかということもサスペンスを伴なう大きなテーマになっています。果たして未来は決まっているのか?それとも? そういう点で、ソウヤーらしさが一杯詰まった長編と言えると思います。 そうそう、本文の中に、あの“ドナルド・トランプ”氏も登場します。名前だけですけれども。 本書で、積読のソウヤーの3冊は終了。大昔に読んだ「ゴールデン・フリース」と「さよならダイノサウルス」も再読したいけれど他の積読本を読むのが優先かな。未所有のソウヤーを読むのはいつの日か?それこそ、永遠の人生が欲しい? | ||||
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CERNの加速器を使った実験をした結果(正確には加速器だけが原因ではない)、地球全体に影響を与える事象が発生した。全人類が意識を失い、なぜか21年後の未来を2分間だけ垣間見てしまう事態(フラッシュフォワード)に陥る。未来は固定されているのか、自由意思で変えられるのか、まさしく地球全体を巻き込みながら物語は進む。米国でドラマ化されている(私は未視聴)が、確かに映像化すると映えそうな作品だ。この作品は、自分だったらどのように行動するか考えさせられる。さて、人類は勝手なもので、フラッシュフォワードが起こる条件が整った時に、意図的にフラッシュフォワードを発生させる。ここで、主人公のロイドが見た未来は神の領域とも思える驚くべきものだ。前半は淡々とした展開だったのが、一気にフィクションとしての面白い展開となる。やはりソウヤーは面白い。未訳の作品がまだまだあるので、早く出して欲しい。 | ||||
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一時期はまって読みまくっていたロバート・J・ソウヤー。今は新刊入手できるものはごく少なくなっていますが、ドラマ化の人気もあったのかこの作品は未だ入手可能のようです。 ドラマ化されたからといって、ソウヤーの作品としてベストというわけではないのですが...少なくとも、視覚イメージがわきやすく、そのイメージが誰にとっても抵抗(キモチワルイというような)がない、という点では随一です。他の多くの作品と異なり、恐竜もネアンデルタールもおかしな形状の宇宙人も出てこないので… SFという分野の中では、ハードSFにも痛快活劇にも個人的にあまり興味がないのですが、その要素を持ちながらも、唯一に近いほど楽しんだのが私にとってはこの作家です。思弁やら世界観やら、どうしてもそういうものにこだわってSFを読みたがってしまうタイプの、ある意味頭でっかちと自覚しているような人間にとっても、エンターテインメントとして十分堪能できたのです。 特にこの作品は、先に書いた通り普通の人間模様に近い形でストーリーが進むため、多少の安易さに目をつぶれば非常に読みやすい作品です。このまま過去の人になってしまうのは惜しい作家だと思うので、SFエンタメの読書リストに加えておいてほしいと思います。 | ||||
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海外ドラマのフラッシュフォワードとは違いサスペンス的な要素はほとんどなかったのですが、原作はドラマとは違った面白さがありました。 ただ海外ドラマのフラッシュフォワードが中途半端な終わり方だったので何か違う結末を期待していたのですが、原作は海外ドラマに比べわりとシンプルなストーリー展開でした。 登場人物の数も少なく海外ドラマのような複数の人間の未来の複雑なからみあいがないです。 とは言えドラマとは違った面白さがあったので星3つにしました。 | ||||
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欲しかった本が見つかってよかったです。 対応も早く、満足です。 | ||||
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一種の「タイムマシンもの」である。 「タイムマシンもの」と言うと、興味は、(1)タイムトリップの原理、(2)タイムパラドックスの解消、というところに尽きると思う。本作品ではそこに、(3)未来を垣間見てしまった人々と見損ねた人々の意識や行動はどうなるか、という要素を加えて新機軸を打ち出している。 現実に存在するヨーロッパ素粒子研究所CERNに勤務する量子物理学者を主人公に持ってくることで、リアリティーのある描写が続く。日本人女性が登場することや、複数のカップルの恋愛・結婚・離婚がからんでくることもSFとしては珍しいふくらませ方だと思う(後者は、かなりアメリカンな味付け)。 (1)はヒッグス粒子研究の実験と自然現象の相乗効果ということで理論的には片付けられてしまう。 (2)のパラドックスは元々は無い。ビジョンとしての未来しか存在しておらず、しかも未来は変更可能だということが次々と反証が上げられていく。 (3)についてが重要で、むしろ哲学的な内容になっている(主人公は哲学的考察をけなすシーンがあったりするのだが)。主人公の同僚研究者がその弟の言われる言葉がずっしりと感じられるあたりが最大の読みどころだった。 未来を垣間見たひとたちの断片情報を集めて、未来像を共有情報とする場面では、未来の歴史が語られている。「オゾン層は大幅に減少していた」というリアルなものから、「ジョージ・ルーカスは〈スター・ウォーズ〉九部作をまだ完成させていなかった」というものまで。著者の知識と偏見が満ちた内容は楽しい。この数ページは継続的にウォッチして予言として検証してほしいものだ。 終章で主人公の存在が体験する未来のビジョンが有名なシーンを彷彿とさせるは、やや興ざめではあった。 | ||||
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主人公は二人。カナダ出身の研究者ロイド・シムコー。日本人女性ミチコは婚約者だ。 そしてもう一人はロイドの共同研究者テオ・プロコビデス。 二人が試みようとしているのは、ビッグバンの十億分の一秒後の宇宙の再現だ。これにより素粒子に質量をあたえるヒッグス粒子が発見されるのではないかと期待がかかっている。成功すればノーベル賞ものだ。 そして実験開始の瞬間・・・・。 目の前のすべてが変わってしまう。いったい何が起こったのか。 次第に彼らの実験によって全世界の人類の意識が数分間だけ21年後の未来に飛んでいたことが判明する。 意識が飛んでいる間も、現実の世界では動くものが静止しているわけではなく、自動車は意識を失った人を乗せたまま壁に衝突し、着陸態勢にあった飛行機は墜落し、階段を歩く人は階段から転げ落ちていた。 そしてミチコの前夫との間に生まれた最愛の娘もその悲劇によって命を失う。 ロイドは婚約者ミチコとは別の女性と過ごしており、テオは何者かに殺害されているらしいことが明らかに。 「未来と現在と過去は、いずれも現実であり、いずれも動かしがたい」というのがロイドの考えだが、果たして本当に未来は、変えることができないのか。 ソウヤーの作品はいずれも面白いですが、本作は特に凄いなあと感じさせられました。 本作は知的好奇心をくすぐらせるSF小説としての面白さはもちろんのこと、前半がロイドと悲劇を乗り越えようとするミチコの物語でもあり、人間ドラマとしての面白さがあり、後半はロイドよりもテオが主役となり、犯人探しのミステリーとしての面白さがあります。 まだ翻訳されていない新作が多くあり、ソウヤーの今後の作品もとても楽しみになります。 | ||||
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ABCで放送された内容とは違う展開で、原作の方がより科学的な視点で書かれており興味を持って読むことができました。科学的な描写は表現力が豊かでとても説得力があります。深い知識を持って書かれたことが伺えます。ラストはかなり飛躍してしまった感じを受けましたが展開がスピーディーでハラハラします。この作者の別の小説も読んでみたくなりました。 | ||||
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原作は全く異なっていたのですね! ドラマはサスペンス要素が、原作はSF色が強いです。 どちらもそれぞれ楽しめました。 ドラマはシーズン1で打ち切りなんて消化不良な終わり方でしたが、 原作は完結しているので安心して読めます。 | ||||
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ABCで放映されたドラマを観たあとに本を読んでみました。ドラマよりも難しい用語がおおく、SF小説好きにはたまらない作品だとおもいます。逆にSF小説好きでないと、難しい言葉に翻弄されるかもしれません。そんな方は、読み飛ばしてもいいのかも。 いずれにしても、ドラマとは違った部分も多いので一読する価値ありです。 | ||||
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まず、面白い。 SFとミステリーの融合は、アシモフのお得意でしたが、 本作も、「フラッシュフォワード」という、人類が一斉に観るビジョン があったとしたら・・という、アイデアを、量子力学の理論を駆使して、 いかにもありあそうな理屈で説明する、一級のエンターテインメント に仕上がっています。 ラストの2031年の「その日」の章までは、途中、なんか、ダレる ことも多いのですが、それはラストのどんでん返しの伏線。 CERNを舞台にした、もっともらしい、疑似タイムトラベルを、地球規模 人類規模の思考実験で展開した物語です。 まあ、国連で、再実験を訴えたり、妙に日本びいいきだったりするのも 鼻につくところも少なからずありますが、それは「物語」の面白さを そこなうものではありません。 | ||||
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ドラマを見終わってからこちらの原作を読みました。 結論から言うと、読んでよかったです! ◆ドラマとの大きな違い ・主人公がロイド・シムコーとその相棒のテオ ・ロイド以外の人物はほとんど原作には出てこない (マークもジャニスもケイコも出てこない。 ロイドの相棒テオはサイモンぽいですが、ドラマでいうとディミトリ的境遇で ヴィジョンを見なかった為、自分の殺害を防ごうとする。テオの弟の名前がディミトリオスで、 あだ名もディムでした。共通事項はこれくらいかな?) フラッシュフォワードという現象に影響される人々という事以外、 原作とドラマはほとんど別の物語です。 が、どちらもおもしろい! ドラマは主人公がFBI捜査官という事もあり、 「誰が、何の為にブラックアウトを起こしたか?」という謎解きメインですが、 原作は「誰が?何で?」は思ったよりあっさりとわかる。 どちらかというと未来を知った事で影響される人々の心情の描写、 うまくはられた伏線の回収がおもしろく読めました。 後半の456ページあたりからは、 一瞬どん引きしましたが…(笑) そっちの方向にいっちゃうの?って。 けれど、読み進めて納得。 どん引きしていたせいか思わずウルウルしちゃいました。 (それでもエンディング間近は好みがわかれそうな気もします) ものすごいSFしてますが、 読後の感想は「いのちっていいなぁ、愛っていいなぁ」でした(笑) フラッシュフォワードのドラマ。 つづきが打ち切りになって寂しかった方も、 楽しめると思います♪(わたしがそう/涙) ドラマではサイモン、ディミトリが好きだったので、 どことなく彼らを彷彿とさせる人物がいたのでさらによかったです。 (こっちがオリジナルなんでしょうけど☆) | ||||
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『フラッシュフォワード』というタイトルは「フラッシュバック」をもじっているんですね。 それはともかく、「時間論」というものに興味があってこの本を読んでみました。 この本の中で『交流解釈』という仮説が「多世界解釈を否定する論拠」として紹介されていて(P225〜228)、 この『交流解釈』は欧米ではわりと有名らしいのですが日本ではほとんど知られていないとのことで、実際私も知らなかったこともあって「なるほどなあ」と思いました。 でも残念ながらこれで「多世界解釈」や「決定論」をひっくり返せるほどのものではありませんでした。 また、小説全体が欧米キリスト教文化圏特有の強い「人間原理」に基づいて構築されているところもいささか鼻につきます(チンパンジーとヒトとを分けて、チンパンジーには「意識」がないからフラッシュフォワードしなかった、とか)。 そのせいでどうにも「越えられてない感」が残ったのですね、読み終えたあとで。 SF小説にそこまで厳密な科学性を要求するのも酷な気もしますし、また「読み物」としてだけなら☆4つでもよかったんですが、でもやはり最終的な評価は厳しく☆3つです。 ---------------------------------------------------------- 「交流解釈」について追記します。 該当箇所はハヤカワ文庫版のP225〜228で、多世界解釈を粉砕する仮説理論としてこの交流解釈が登場します。 交流解釈の概要 たとえばシュレーディンガーの猫がまず箱の中から「提示波」を出し、観測者が箱の中を確認すると「確認波」を出す。 この波は宇宙のあらゆる場所で打ち消しあうが、箱の中の猫と観測者の目を結ぶまっすぐな経路上においてだけお互いを強め合って量子交流を作り出す、というもの。 ただし、そこで発せられる各波は「時間を越えた」現在・過去・未来の全時間的方位に向けて発せられるものでなければ相対性理論との矛盾を克服できないので、当然「そのような波である」と仮定されている。 …とするとこの理論は自由意志と決定論の問題に抵触してくるのだが、どう考えても「決定論より」のこの理論になんとか「自由意志」なるものを持たせようとして、しばしば「観測する人間の『意識』」という「人間原理」が持ち出されることになる。 だから「猿以下の(意識を持たない)動物はフラッシュフォワードを体験しなかった」という前提でこの小説は書かれる必要があったのだろう。 しかし箱の中の気の毒なシュレ猫の死は、それを見つけて「お、餌がある」と喜んだハイエナの『意識』とだって当然「量子交流」でダイレクトに結ばれていると思う。 | ||||
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大ヒットドラマの原作本として再出版された本作。 巻末には「訳者あとがき」でドラマについても触れられ、原作者のソウヤー氏が、ドラマにカメオ出演したともあります。 この原作本とドラマでは、タイムスリップした時間設定がだいぶ異なりますし、原作本には登場しないFBI捜査官がドラマの主人公となっているので、この原作本を読んでも、ドラマを見る楽しみが半減することは無いでしょう。 また本文中には、難解な物理用語や物理理論も出てきますが、そこを飛ばして読んでも問題は無いと思います。 原作本の主人公の一人、ロイド・シムコーの恋人が、ミチコ・コムラという日本人エンジニアだという点は、日本人読者には少し嬉しいポイントかもしれません。 | ||||
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2009年4月、ヨーロッパ素粒子研究所(CERN)で、ある大規模な実験が行なわれる。その瞬間に全世界の人々の意識が数分間だけ21年後の未来へと飛んでしまう。 研究所の科学者であるロイドは、今の婚約者ミチコとは似ても似つかぬ女性との未来の生活を目の当たりにした。ミチコはといえば、今はまだ生まれていない自分の子どもをみつめている自分を発見する。 一方、ロイドの同僚であるテオは、何ひとつ未来の自分を目にすることはなかった。それは21年後のその瞬間の直前に、彼が何者かによって殺害されていたからだった…。 未来の自分をほんの一瞬だけ見てしまったとき、そしてそれが決して自分が期待するようなものではないと分かったときに、ひとはどういう行動に出るのでしょうか。 未来は固定されて決して取り替えがきかないものであるのだから、これからの努力が実ることは決してないと諦念を抱くのか。 それとも目にした未来はひとつの可能性でしかなく、これらからの行動次第でいくらでも変更がきくのだと考えて、より良い未来を志向して努力を継続するのか。 タイム・トラベルSFではタイム・パラドクスをいかにキレイに整理できるかということが常に課題となりますが、このSF小説ではそれはあまり大きな問題ではないような気がします。 むしろ、「諦念」と「努力」のはざまで、登場人物とともに読者自身がどちらを選択するべきなのか、その解を求めることこそが一番の課題のような気がします。 ロイドとテオという主要人物二人に対して作者のロバート・J・ソウヤーは、「諦念」と「努力」それぞれにふさわしい結末を与えます。それを読んだときに何かが自分の中で生まれる気がする、そんな物語として私は十分堪能することができました。一気呵成に読めるエンターテインメント小説ですが、それだけのものとするには惜しい気がする一冊です。 | ||||
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最近再読しました。 おもしろい!1回目の印象より、深いです。 2001年にこの本を買って一度読んだときは、ふーん、科学実験の事故で意識が未来に 飛んじゃうんだ。普通にSFしてておもしろいね。って感じでした。 5〜6年経って、1読目よりはそれなりに人生経験を積んでから読んだら、 今回は、主人公たちの立場になって考えていろいろ考えさせられました。 最愛の人の娘を自分が指揮した実験が原因で亡くしてしまう。あるいは 自分が殺人事件で殺されることを知ってしまう。夢がかなわないことを知らされてしまう。 もし仮に自分がロイドの立場だったら、テオの立場だったら、 ミチコの立場だったら、とかいろいろ考えちゃうとSF的にだけじゃなくて 人間ドラマとしても深いものがありますよ。 事件の発端になってるヒッグス粒子も現在の時点ではまだ見つかってないようですね。 舞台になってるCERNのLHCって装置は今年から実験始めてるみたいで2009年までには 発見されるかもしれないですね。 ところどころに散りばめられてるミニ未来予想図もおもしろいです。 とくに2019年にアメリカの大統領がアフリカ系アメリカ人の男性だが、女性の大統領はまだでていない、とかの予想。 ソウヤーさんの予想は当たるのかな。外れるのかな。 | ||||
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量子力学SFと言うと、コペンハーゲン解釈に基づき、 並行世界の存在を認めるものが多いが、 本作はそれに反論する交流解釈が語られ、 私は胸の痞えが降りました。 「宇宙消失」に怒り狂った人は是非とも本作を読んで溜飲を下げて欲しい。 宇宙は唯一つしか存在しない。 観測者が観察出来る未来は、過去と同じように既に決定されているのだ! 主人公の科学者(理論担当)は、人間に自由意志なんて存在しないと 言いきってしまう。 別の選択の未来なんて存在しない。 唯一の未来に向けて、既に決定している選択を体験するのみであるのだ。 そんな主人公がヒッグス粒子発見の為に、 高エネルギーを発生させたその時、 世界中の人類の意識は21年後の未来の自分に 転移されていた。 2分弱で、現代に意識は戻るが、 飛行機、自動車等を操縦していた者は、 現代に帰った時、多くの者が事故死した。 現代に観察者がいたとしたら、全ての人類が2分間気絶したように 見えたであろう。 主人公は現在ラブラブファイヤーしている日本人娘と 結婚してない未来を体験してしまい、とまどうが、 生きていたのでマシである。 もう1人の主人公(金物担当)は、 未来のビジョンを見ずに、単に気絶しただけである。 そして、彼が殺害された未来を見たものも現れた。 未来は変更可能なのか?否か? | ||||
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