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フレームシフト



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【この小説が収録されている参考書籍】
フレームシフト (ハヤカワ文庫SF)

フレームシフトの評価: 4.17/5点 レビュー 6件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.17pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全5件 1~5 1/1ページ
No.5:
(4pt)

DNAに立ち向かうミステリーSF

著者はSF作家だと多くの人は認識していると思う。一方でミステリー作家だと思っている人も少なからずいるだろう。適切なのはミステリーSF作家という肩書きだろう。本作品はどちらかというとミステリーの要素が強い。主人公のピエールがネオナチに襲われる(未遂に終わったが)のだが、なぜ狙われなければならなかったのか。ホワイダニットを追い求める。物語ではテレパシー能力を持つ女性(妻となる)が登場したり、人のクローンが生まれたり、SF的要素もしっかりとある。DNAを研究するピエールが遺伝性疾患に係っていることが、ホワイダニット解決する手がかりのひとつとなっていく。そして第二次世界大戦中にユダヤ人を大量殺戮したナチスの犯罪者を探すストーリーがピエールと関係しだしてからは、冒険小説のようなアクションも見せる。作品を振り返ると、エンタテインメント要素はてんこ盛りだ。読んでいて楽しいわけだ。
フレームシフト (ハヤカワ文庫SF)Amazon書評・レビュー:フレームシフト (ハヤカワ文庫SF)より
4150113041
No.4:
(4pt)

2011年現在、賞味期限は切れていない模様

SFとミステリを融合した作品を発表している著者が、1997年にヒトゲノムをテーマに発表した作品。

ヒトゲノム・センター勤務の若き遺伝子学者、ピエール・タルディヴェルは、妻のモリー・ボンドと6月の夜、大学のキャンパスを歩いていたところ、刃物を持った見知らぬ男に襲われる。
妻の機転で、難を逃れたピエールだったが、男がネオナチと知り、なぜ自分が襲われたのか、独自に調査を開始するのだったが…。

本作品は、SF文庫として、刊行されていますが、ミステリとの比率は半々、といったところで、ミステリ文庫として刊行されていても、違和感はない作品となっています。

ミステリとしての興味は、ネオナチがなぜ、何の関わりもないピエールを襲ったのか、という謎。
そして、SFとしての興味は、遺伝子の突然変異を示す「フレームシフト」という題名のとおり、遺伝子工学を巡る、ストーリー展開にあります。

本作品発表後の2000年、アメリカはヒトゲノム解析の初期調査が終了したと発表し、遺伝子工学の新時代が到来したことを告げました。
その後、DNA解析の技術は飛躍的に進歩し、2011年6月放送のNHK「クローズアップ現代」では、一個人から採取した細胞から全遺伝子情報を解析する時間は、1時間20分、解析費用も50万円程度になっており、「パーソナルゲノム」がビジネスとして成立する時代が到来していると伝えています。

本作品は、ヒトゲノム計画の達成前に書かれていますが、当然著者は未来も予想して書いているので、発表後10年を経過した2011年の視点を持って読んでも、古びた感じはしないどころか、逆に「今、まさに旬を迎えている」と感じました。

望めば、誰でも安価に自分の遺伝子情報の全てを入手できる日が近い将来訪れる、とされている今、主人公の遺伝子学者ピエールを巡る物語は、ある種の「社会派」ミステリになっているのかもしれません。
フレームシフト (ハヤカワ文庫SF)Amazon書評・レビュー:フレームシフト (ハヤカワ文庫SF)より
4150113041
No.3:
(5pt)

とにかく面白い

ソウヤー節が炸裂するSFミステリー。
「遺伝子」というガジェットは、病気や戦争、あるいは犯罪に翻弄される登場人物たちの「運命」を象徴しており、人類の起源と行く末という壮大なテーマを読者に問いかけます。
それでいて読みやすく、夢中になって一気に読める作品です。
フレームシフト (ハヤカワ文庫SF)Amazon書評・レビュー:フレームシフト (ハヤカワ文庫SF)より
4150113041
No.2:
(5pt)

きわどいテーマを書ききった、サスペンス、ミステリ、SFの傑作

理由なく暴漢に襲われる不可解なイントロから、一気に時代を逆行して第二次世界大戦時の収容所のエピソードに飛び、読者は翻弄されてしまう。ストーリーは遺伝子研究者の生活を追いながら、どんどん展開していく。
 生命保険会社とのやりとりや憤り、カナダ出身であることからアメリカで異邦人扱いされる主人公、ちょっと首を傾げるような主人公の妻の特異な能力などが効果的な複線としてよく効いている。また過去の犯人探しに当たる部分では人物が入り乱れて二転三転するサスペンスの様相を呈したりと、気を緩めることが出来ない。
 過去の掘り起こしや倫理人権問題など、戦争や遺伝子研究を巡るきわどいテーマを扱いつつ、堂々と書ききった感じがする。読後に爽快さと満足感を感じる会心作だ。サスペンス、ミステリ、そしてSFとして非常によく組み立てられた楽しめる作品だと思う。
フレームシフト (ハヤカワ文庫SF)Amazon書評・レビュー:フレームシフト (ハヤカワ文庫SF)より
4150113041
No.1:
(4pt)

ソウヤーの異色作

ソウヤーの他の作品に比べると、あまりSF色が強くなくかえって、サスペンスといった感が強い。また、使われている題材であるヒトゲノムや遺伝子レベルでの差別など、この時期非常にタイムリーなのはまちがいない。とはいってもソウヤー作品のなかでもこの主人公は魅力的であり、頭脳、行動力、前向きな考えは、一つ間違えれば荒唐無稽な物語に、現実味をあたえ、読者を引き込むに充分である。  爽やかな感動と勇気と生きる力が読後感得られるであろう。
フレームシフト (ハヤカワ文庫SF)Amazon書評・レビュー:フレームシフト (ハヤカワ文庫SF)より
4150113041

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