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フレームシフト



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【この小説が収録されている参考書籍】
フレームシフト (ハヤカワ文庫SF)

フレームシフトの評価: 4.17/5点 レビュー 6件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.17pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(3pt)

神は生命の進む方向についておおざっぱな計画を立てた後,わたしたちの成長ををじっと見守っている

本書はソウヤーの他の傑作「さよならダイノサウルス」「ターミナルエクスペリメント」「フラッシュフォワード」といった作品に比べると,あっと驚くようなSF的な驚きは少なく,どちらかと言えばハリウッド映画的な展開を見せます。
 それでも,国民自身で民間の保険会社と保健契約を締結しなければ,その高額な医療費を支払えず,貧しい人々は病気になっても病院に行けないという,アメリカにおける保険制度の問題点を浮きぼりにしており,そこを本書は物語にうまくとけ込ませることに成功しています。
 健康保険に加入することで,自身の医療費の一部を負担するだけでよいという現状があたりまえの,カナダ人であるソウヤーや,社会保障に力を入れる日本人にとっては,アメリカの保険制度のあり方は,力のある政治家が変えようとしてもなかなか変わらないことが不思議です。どうやらアメリカは極端なまでの民主主義国家で個人を尊重する社会のため,社会主義的な制度にはアレルギー反応を示すようです。

 また,本書の大きなテーマの一つはDNAです。
 本書タイトルのフレームシフトとは,「フレームシフト突然変異」という生物学用語を指します。
 遺伝子の一つであるヌクレオチドが挿入されたり欠損したりすることで遺伝コードが変わってしまうことをいうらしい。
 本書では,主人公自身が親から引き継いだ遺伝病だけに限らず,その妻が持つ特殊な能力についてもこのフレームシフト突然変異によって解明しようとしている点が面白い。
 物語が進むにつれて,これが前述のアメリカにおける保険制度と絡んできます。
 更に,人間ドラマとして,親子の心の繋がりについて,たとえそれが生物学的な親と子でなくてもDNAとは関係なく成り立つ家族関係についてもふれられています。

「神は生命の進む方向についておおざっぱな計画をたてたが,すべてが動き出した後は,定められた進路に沿ってわたしたちが独自に成長し発展していくのをじっと見守っている。」
 科学の進歩によりDNAを発見した我々にとって,人間はDNAによって生まれながら運命が定められているように見えてしまいがちだが,実はそこまでは神によるおおざっぱな計画であって,その後の発展や人類の未来は,我々自身の考え方次第なのです。
フレームシフト (ハヤカワ文庫SF)Amazon書評・レビュー:フレームシフト (ハヤカワ文庫SF)より
4150113041

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