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網走発遥かなり



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網走発遥かなりの評価: 3.60/5点 レビュー 10件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.60pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全10件 1~10 1/1ページ
No.10:
(3pt)

自分で持っていた

「乱歩の幻影」が映画化されるというので9月ごろからそのタイトルのアンソロジーを探していたのだが先週になって網走発遥かなりの中の一遍だということを知りそれなら自分の本棚にあるじゃないかと再読
この話だけを映画にすると尺が余るので里美家三代記も並行して描かれるのだろう
網走発遥かなり (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:網走発遥かなり (講談社ノベルス)より
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No.9:
(4pt)

江戸川乱歩とかつての「東京」

完全改訂版と聞いて、再読しました。連作短編集ですが、創作の順番は以下のとおりだそうです。
(1)「網走発遥かなり」
 湧網線内の列車で起こる不可解な事件。まるで舞台劇のような、これが映画であれば一つの舞台中、幾とおりかのシーンがカット割を変えて繰り返し描かれるのでしょう。人工的ですが論理はすっきりと構築されています。
(2)「丘の上」
 舞台は、東京、成城学園。まるで黒沢明の「天国と地獄」のような街。しかし少なくとも現代においてはそのようには感じられません。大丈夫かと思わせながら、最後にしっかりと辻褄を合わせてきます。
(3)「化石の街」
 東京。私はこの短編がこの中では一番好きです。何故なら長編「火刑都市」へと繋がる都市小説として優れているからに他なりません。
(4)「乱歩の幻影」
 これはパズラーとしてよりむしろ江戸川乱歩とかつての東京を描いたノンフィクションとして楽しめました。
 巻末の作者による「改訂完全版に寄せて」は、あの人工的な、あまりに人工的な「島田荘司」ミステリ傑作群がリリースされた時期の混沌が描写されていてとても興味深かった。また、何故連作短編集となり得たのか?その経緯も描かれています。後々の東野圭吾の作品へも底辺で繋がっていることを思えば、誰も島田荘司のミステリという名の<絵画>を真似することはできない。
 「乱歩の幻影」が映画化され、本年(2024年)公開されるそうですね。見てみたい。
 □「網走発遥かなり 完全改訂版」(島田荘司 講談社) 2024/1/17。
網走発遙かなり 改訂完全版 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:網走発遙かなり 改訂完全版 (講談社文庫)より
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No.8:
(5pt)

島田荘司、最初の短編集

あまり、周知されていないことだが、『網走発遙かなり』は島田荘司の最初の短編集だ。読み進めていくうちに、島田荘司がこれほど深く、完璧に江戸川乱歩をこの時点で研究し尽くしていることに驚いてしまった。

この『島田荘司全集 V』の後書きでは、『占星術』『斜め屋敷』と連続して乱歩賞を逃していて、そのショックから立ち直りつつ、作品を作り出しているのが感じられる。特に、『斜め屋敷』は、二次通過までで候補に入らなかったので、余計にショックだったろうと予想できる。

それでは、どんな面子が『占星術』を見落とし、どんな作品に賞を与えたかを見てみた。

1980年第26回江戸川乱歩賞の選考メンバーは、五木寛之・海渡英祐・斎藤栄・南條範夫・三好徹だ。もうメンバーを見ただけで、『本格』を理解できない面子なのが解る。特になんで五木寛之が江戸川乱歩賞の選考ができるのか不思議で仕方がない。

受賞したのは、井沢元彦の『猿丸幻視行』だ。いかに眼力がないかは一目瞭然だが、当時まだ新人だった島田荘司には、辛かったろうと思う。

その後、『漱石と倫敦ミイラ殺人事件』と『夏、19歳の肖像』は、1985年1月と1986年1月の直木賞の候補にもなったが、受賞できなかった。既に島田荘司のカタチは完成していたにもかかわらず、文壇がそのレベルに逆に到達していなかったのが感じられる。

さて、ここから島田荘司の世界に徐々に世界が追いついていくことになる。悩みながらも疾走する天才の姿に感動してしまう。
網走発遥かなり (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:網走発遥かなり (講談社ノベルス)より
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No.7:
(4pt)

奇想・天を動かすの原型

タイトルの網走発という単語からこの時期連発されていた吉敷ものに代表される鉄道アリバイものかなと思われる人もいるかもしれないが、そういった吉敷鉄道もの本格推理を期待すると肩透かしをくらう短編連作集。あまり本格推理的な展開はなく、乱歩へのオマージュが濃厚な幻想譚とも言うべき作品集になっている。なので、読む人によってはっきりと評価が分かれる作品である。個人的には吉敷ものや御手洗ものみたいな趣向を期待していたのであまりピンとこなかったが、島田氏の文学的な才能を堪能できる異色作と言えるだろう。
本作を読んだ島田ファンなら分かると思うが、本作はその後出版される吉敷ものの最高傑作と言われる長編「奇想・天を動かす」の原型になっている。2作を読み比べてみるのもいいかもしれない。
網走発遥かなり (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:網走発遥かなり (講談社ノベルス)より
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No.6:
(3pt)

乱歩へのオマージュか

誘拐事件、不思議なピエロ、乱歩にまつわる物語。
なんともいえない奇妙な話が続き、それが北海道での事件に結びついていく。

最初の方の誘拐事件とかピエロの話とか、主人公の精神が麻痺していくような様子の描きかたはさすが、とも言えるし、まるで乱歩の小説の様でもある。
ちょっと夢を見ているような気にさせられる、これらの物語は、乱歩自身が登場することで、より乱歩色を高めていく。

ややとっつきにくい感じではあるが、底流にあるのは、作者の乱歩へのオマージュだろうか。ここまで物語にしてしまうのはさすが。

最後の北海道の事件への結びつきは、少し強引だったかもしれない。
網走発遥かなり (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:網走発遥かなり (講談社ノベルス)より
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No.5:
(3pt)

奇妙な味の趣

週刊文春1987年 国内9位

誘拐事件、宝探し、乱歩にまつわる謎とき、といった一見バラバラな短編が、ラストの網走の不可能犯罪で個々の登場人物がつながっていく といった連作形式になっている。それぞれが、なんとも奇妙な味の趣があって、ものがたりに入り込んでいきやすい。とくに「乱歩の幻影」については、なんともいえん説得感があってどこまでが虚構なのか判然としなくなってくる。こんな話のもっていき方があるんだなぁと思う一方で、連作として見たときに強引というか無理やりな感が残ってしまう。

島田氏の作品は、初めて読了したのだけれど、他の作品を読んでみたくなる気にはさせてくれるかな。
網走発遥かなり (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:網走発遥かなり (講談社ノベルス)より
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No.4:
(3pt)

奇想天を動かすの原型かな

連作小説というのでしょうか。短編という形をとっていながら、人物などがつながっており、それはラストの話で終結します。なかなかサスペンスドラマという感じでした。

このラストの話などが、北海道のローカル線とかピエロとか、なんだか後に出版された島田の代表作の一つである「奇想天を動かす」の原型みたいに感じました。

奇想〜 とは違うのですが、設定というか雰囲気や話の感じが、そう思うのだ!(^ω^)

危ないおっさんに息子を誘拐されたと思い、誘拐見たいな真似事をする必死な奥さんが心に残りました(^ω^)
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No.3:
(3pt)

短編だけど、登場人物を覚えておく必要あり

短編集なんですけど、繋がってます。
なんで、最初のお話から、登場人物を覚えておかないと、
一々、戻って確認するはめになります。最後は、結構面白かったです。
推理・サスペンス… う~ん、ジャンルも難しいところです。意外性の結末ではありましたけど。
網走発遥かなり (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:網走発遥かなり (講談社ノベルス)より
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No.2:
(5pt)

今無き湧網線に想いを馳せて

別々のストーリが最後でまとまるというのは良くありますが、本作品はそれだけではなく、今は無き湧網線に心を想いやってください。色々な路線が廃止された北海道の大地を舞台にした名作です。ラストの詩も心に残ります。
網走発遥かなり (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:網走発遥かなり (講談社ノベルス)より
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No.1:
(3pt)

成城と網走を舞台にした連作短編集

成城と網走を舞台にした連作短編集です。叙述トリック作品として紹介されている本もありましたが、敢えて叙述トリック的なしかけを見つけるとすれば、登場人物が後の作品に出てくるなど、らせん状に世界観が広がっていくことくらい。しかしこれとて『殺人小説大募集!!』や『人喰いの時代』ほどの効果は挙げていないと思います。それぞれの短篇から受ける感想が紡がれるように1冊の本としての印象が出来上がっていく、その先に形成される東京論、日本の昭和史の空気、といったものを味わうのが本書の楽しみ方のような気がします。1つだけ紹介するなら『化石の街』でしょうか。
メモを片手に東京をあちこち歩きまわるピエロの目的とは?(良い意味で)拍子抜けするほど意外な真相と、そこから浮かび上がる「東京論」など、不思議な導入とテーマ性を併せ持った島田荘司らしい佳作です。
網走発遥かなり (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:網走発遥かなり (講談社ノベルス)より
4061814230

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