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天地明察
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天地明察の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.20pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全338件 321~338 17/17ページ
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『天地明察』は大変楽しく読みました。渋川春海と彼を取り巻く人間模様、改暦にかける情熱など、読んでいて爽快でした。 但し、天文学や数学、暦学への理解不足を諸処に感じたのが残念でした。更に中国の暦についての認識不足は免れません。 授時暦は天下の名暦ですが、食予報においては宣明暦が優れていました。だから第一回目の競争は上手くいかなかったのです。また実際のところ、中国の暦ではマテオ・リッチの後輩のイエズス会の宣教師等が中心となって明朝末期に編纂が開始され清朝初期に頒布された「時憲暦」以前、「食」を分秒単位で当てることはできませんでした。それを可能にしたのは西洋天文学です。本書にも僅かに『天経或問』を入手して西洋の視点を取り入れた記載がありますが、大和暦が宣明暦と授時暦と食予報で優位に立てたのは、マテオ・リッチが中国で紹介した西洋天文学の知識を渋川春海が取り入れたのが大きいと思います。 とはいえ、天文学や数学に相当通暁した専門家でもなければ、この本に書かれた内容の全てを完全に正しく書くのは困難でしょうし、専門家がこの爽快な人間模様を描き出せるとも思えません。むしろ難しいジャンルに挑戦した作家の勇気を称えたいと思います。もし可能なら改訂時に学術的な視点からの解説を専門家に補ってもらえたら、読者としては嬉しいです。 | ||||
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久々に感動を味わった気がします。 主人公の生き様に感動し、 良くこれだけのネタを一つの小説に盛り込み、 なおかつ、これだけ判りやすく小説にできたものだと感動。 もちろんストーリも素晴らしい。 裏表紙が「天文分野之図」だったら もっと嬉しかったかな? | ||||
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本屋大賞を受賞し、書店員さんたちの選考理由を聞いているうちに、どうしても読みたくなり手に取った。 ページが進むほど、どんどんのめりこんでしまった。 碁の名家に生まれ、礼儀正しく愛嬌があり人に好かれる春海。 非凡な才能を持ちながら己に飽き、算術に、天文に、そして改暦に奮闘し、 妻をはじめ愛する人たちとの死別、何度となく挫折を味わいつつも、 関わった多くの人の想いを胸に刻み、長年かけて改暦を成し遂げる。 まさに胸がすく、思いだった。 ドラマッチックな展開があるわけではなく、野心家でもなく、くじけそうになりながらも ただひたすらな春海だからこそ、春海の喜び、悲しみに自分も一喜一憂し、涙した。 壮大すぎて江戸初期の一大事業はとても想像できない。 文中の算術も天文学も正直全くわからない。 でも学者たちの熱い想いがひしひしと伝わってくる。 こんなに学問にワクワクさせられたことはない。学問がすべてにつながっている思いがした。 春海は関から「勇気百倍」をもらった。春海は読者に「勇気百倍」を与えてくれた。 本屋大賞1位納得です。 | ||||
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基本的に歴史小説をあまり読まない方なので、 難解な言葉に苦労しつつ、現代小説と違って、 イマイチ情景が思い浮かびづらい所があったのですが、 この主人公の不器用ながら、様々な人の思惑にも流されつつ、 その中でも、人に好かれ、自分のやるべき道を見つけて行く。 苦しみながらも、基本は好きな事に没頭して 大きいことを成し遂げて行くと言うのは、 とっても幸せな人生を歩んだ人なんだなと印象を受けました。 一つだけ、特に後半から歴史事実を端的に述べる文章が入って来て、 小説から現実に引き戻される感じがしたのですが、、 これは歴史小説としては通常のことなのでしょうか、、 歴史小説初心者の私には、何だか不思議な印象が残りました、 | ||||
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暦を改める作業をしていく囲碁界の若き担い手。最初から最後まで優しい人柄に感激した。周りを取り巻く人も温かくラストまで一気に読みほした。 難解な話で話題性が乏しいであろう世界に光を当てたこと、彩りを付けたことは著者の才能であると確信する。 | ||||
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祝本屋大賞受賞!昨年末以来本作を勧め回ってきましたがメジャー制覇の今その必要もなくなり嬉しくひと安心(笑)時代小説の風情が無いうんぬんより小説を読む喜び・読後の高揚感を感じて頂きたい一作です。 受賞作の宿命として映像化は必至でしょうがこの作品の熱と力を大事にして頂きたいところ。個人的には春海=佐々木蔵之介、関=野村萬斎あたりを想像して読んでましたが… とにかく今から読む方が羨ましくなる作品です。よくある小説が描く、はかなさやら切なさとは違う『強いなにか』が心に残ります。 | ||||
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戦国時代が終わり、 平和になった江戸で文化が 一斉に花を開いた時代。 新しい暦の作成に人生をかけた 人物がいた。 新しい囲碁の登場、 新しい算術の登場と合わせて、 生き生きとした変化の時代が 描かれています。 | ||||
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冲方氏の作品とは3年ほど前に「ばいばいアース」を読んで以来しばらくご無沙汰していたが、本書は初の時代小説ながら実在の人物をモチーフにした作品で、新聞の書評でも評価が非常に高いため手に取ったところ、抜群に面白い傑作だった。 まず取り上げたテーマが秀逸だ。主人公の渋川春海は江戸幕府4代将軍家綱の時代の囲碁指南役だが、本職ではない数学と天文に尋常でない興味を持ったことをきっかけに、約22年の歳月を費やし遂には日本独自の太陰暦を制定するに至るという壮大な設定だ。 主人公の春海の脇を固める登場人物も皆魅力的だ。囲碁のライバルの本因坊道哲、数学の天才の関孝和、老中酒井、会津藩主保科正之、そして初恋の相手「えん」といった個性的なメンバーが、各々の立場から春海と暦の完成に関わっていく。特に印象的なのが和算の創始者関孝和を始めとする当時の日本の算術家たちで、この時代に算術を究めようとする塾のようなものがあり、そのメンバー達がお互いに問題を作成しあって、技術を競い合うという様子は興味深いものであった。 そして完成した太陰暦をいかに正式に国の暦として採用させるかというその過程も実に面白い。幕府と朝廷の間の政治力学の狭間でこれを実現していく緊迫した終盤は実に感動的であった。気弱な青年であった晴海が子個人的に人間として成長していく過程もまた魅力的で、500頁近い長さを全く感じさせない面白さであった。 本書で新しい分野を開拓した冲方氏が今後どのような作品を生み出していくのか実に楽しみだ。 | ||||
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ジャンル外ではいまだ無名であり、従来作のファンであれば「なぜ??」と感じる、冲方丁の時代劇。しかもアクション要素なし。 ヨーロッパ中世劇などであればいざ知らず、なぜ純和風時代劇を、と不審に思いながら読み始めたのですが… そんな詮索は蹴っ飛ばして読みふけることのできる大傑作。 年少の読者さんは、お父さんか学校の先生にお願いしてでも買って、読んでください。 江戸前期の政治史はもちろん、主題となる天文学および数学、さらには囲碁や宗教まで様々な文化が密接に絡み合い、 およそ知的好奇心のある日本人であれば、誰が読んでも興味深く楽しめる作品であると思います。 そして何より重要なことに、物語として面白い。 登場人物たちの奮闘に時に笑い、時に涙し、文字通り一喜一憂。 近年のウブカタ作品のなかでは最も読後感のさわやかで、気持ちの良い「息吹」を感じました。 ウブカタ氏の生み出したライトノベル、またアニメ脚本・コミック原作などには今まで何度となく撃沈されてきましたが、 新分野となる時代小説でも遺憾なくその筆力と知識量が発揮されております。『俊英にして鬼才』なる売り文句は伊達ではありません。 | ||||
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すばらしい作品です。 近年のエンターテインメント作品の中でも秀逸。 他のレビューにあるように、登場人物に重厚さがないのは、ひとえに、主人公、渋川春海の性格ゆえだろうと思います。陰りがなく、ひょうひょうとしていながらも、熱をもって改暦のために粉骨砕身した春海の姿勢が、本来なら重厚な、重々しいものとなるはずだった本書に清々しい気を通していると感じます。そして、春海をはじめ、彼をとりまく人々の非凡さと英断、徹底した謙虚な姿勢には主人公に感じるものとはまた違った感動がありました。 さらに、「暦」という日本独自のものを題材にしている点、そしてなにより、物語の「おもしろさ」が、読むスピードをゆるませません。p.500近い長編ですが、「飽き」というものがありませんでした。 一人の人間が、「天地」というあまりにも巨大なものに勝負を挑む姿勢に涙しました。あまりにも、熱く、激しく、美しく、潔い・・・そういう勝負です。 合戦も斬り合いもありませんが、まさしく「命」を掛けた真剣勝負が繰り広げられています。 是非、彼らの真剣勝負の世界に身を投じてみてください。 | ||||
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マルドゥック・スクランブルのあの冲方 丁が時代物? 嘘でしょう?というのが書店で初めてみたとき感じたこと。 SFアクション作家じゃないの?時代物の歴史考証とかできてるの? あのアクションは生かされてるの?もしかして、町田康みたいな感じになってんじゃないの? 杞憂だった。 マルドゥック・スクランブルほどのスピード感はないものの、渋川春海という暦学者の日本にあわせた暦づくりの 生涯を、まさに時代を駆け抜けたスピード感で書いている。 おもしろい。文句なしにおもしろい。久しぶりに次へ次へ読み進めたくなる、時間を忘れて読みたくなる本に出会った。 妻となる「えん」や、和算学者「関孝和」らとのエピソードもおもしろい。 おすすめの1冊。 ただ、冲方 丁には時代物の作家にはなってほしくない。 | ||||
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読み終わって、読んでよかったと思いました。生き生きとした登場人物たち、主人公の挫折と苦悩、それでも手放すことのない希望。粘り強く生きる凄さをページから感じます。 ハリウッド映画のようなスピード感あふれる作品がよく読まれる昨今ですが、この作品は長く心に残るものになると思います。こんなすばらしい物語を描き出した作者に心から感謝します。 | ||||
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優秀な作品だと思います。 軽妙で清々しい小説です。 多くの個性的なキャラクターが登場するので、人物像の掘り下げに難があるのは致し方がないでしょう。キャラに陰りや重みが少ない分、軽快でスピーディーな展開が楽しめます。 キャラ造形が軽いとはいえ、この小説には他の数多の娯楽小説を画すアンカーが装備されています。 アンカーとはつまり、この小説の通奏低音たる「”天意の前に仕方なく慎む”を良しとせず、観念=科学でもって天意に挑む」一貫した態度です。 観念を彫琢・開拓する天才関孝和よりも、観念を天から引き摺り下ろし、地面に打ちたてた希代の芸人渋川春海を小説の具として使ったのは「明察」だったと思います。 願わくば、山鹿素行とそのシンパの立場をもっと前面にだしていただければ、アンカーがもう少し重くなったのではと残念です。 主人公は愛らしく素直で実直、出てくる人物は殆ど「いい人」で話の展開が速い、といえば敬遠したくなる読書人もいるでしょうが、まあ読んでみてください。 おもしろいですよ。 | ||||
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地元在住の作家が、本屋大賞にノミネートされたと聞き、早速手に取りました。私はこれは本格小説だと思います。淡々と描かれているようですが、登場人物たちの熱い思いは十分伝わってきます。関孝和の稿本を前に柏手を打った主人公の気持ちが切なく伝わってくる。「食」を外した時の落胆、地球の軌道が楕円であると直感した時のエクスタシーはいかばかりだったのか。重厚で、懐かしい読み味です。というのも、途中何度か新田次郎の新作を読んでいる様な錯覚に襲われました。学生時代新田次郎を片っ端から読んでいたのですが、同じ雰囲気を感じました。主人公を見つめる作者の暖かい眼差しや物語冒頭の主人公のの軽やかな登場の仕方、己の才能を誇示しない登場人物たちの清清しさ、大事を成就させた主人公の謙虚な態度、登場する女性たちとの恋愛の初々しさがそう感じさせたのでしょうか。新田次郎と違うところは主人公のライバルたちまでも、敵役ではなく、素敵な人物として描かれているところでしょうか。 この殺伐とした世の中で、この主人公や登場人物の生き方は多くの人々の人生の指針になると思います。 | ||||
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渋川春海が主人公の長篇時代小説が評判になっていると聞き、読んでみた。 確かに面白い。しかし、登場人物一人ひとりが、やはりライトノベルの造形で、薄味である。それは 読みやすさを増しているのかもしれないが、私としては、こんな薄い人物ではなく、もっと屈折した 内面の描写につきあうことが小説を読む喜びだと思う。成長小説なのに、主人公の春海がいつまで たっても現代高校生並みの内面ではちょっとなあ、である(最初はそれでよいのですが)。 そこで、本棚から藤原正彦氏の関孝和評伝(『天才の栄光と挫折』所収)を取り出して、並べて読ん でみることにした。 これである。事実の持つ重みは、渋川春海と関孝和のドラマはもっと苦みに満ちたものだったことを 示している。真の数学者関孝和には、絶対及ばないことを知っていたはずの渋川春海の苦汁は、たと えばモーツアルトに対するサリエリのようではなかったのか。 時代を傑出した天才関孝和にくらべて、数学的力量においてはっきり劣る渋川春海を主人公にする ことが悪いわけではない。しかし、主人公を渋川春海にするならば、関孝和へのアンビバレンツを こそ、主題化すべきだったように感じます。そんな物語も、この作者ならば語れたと感じます。 もっと面白くなったはずなのに、という意味で僭越ながら星4つ。 | ||||
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関との算術勝負とか、ラストの改暦成就までの「布石」とか、えんとの恋物語とか、かなり様々な要素が絡み合って、濃い物語を形作っています。 ただ、その「濃さ」を、飄々とした春海の生き様が重く見せないで、むしろ軽快に生きているところがいいです。知的勝負の部分をさらりと、しかし本質の部分はきっちりと描きこんでいます。 このあたりの味付けが、著者ならではのところかと思います。 | ||||
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あらすじについては他の方が紹介されている通りのものです。 爽やかな青春立志伝といいますか、清々しい読了感のあるいい本だと思います。 これを気に入られた方に薦めるのは微妙な気もするのですが 天才の栄光と挫折―数学者列伝 (文春文庫) を読むと関考和サイドから見た本作主人公の姿を見ることができます。 ただ数学的には凡庸な政治力の男という評価で…ちょっと感じ悪いかもしれません。 でも凄く面白いですよ? 作者の沖方さんもきっと読み比べて欲しいんじゃないかと思います。 | ||||
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本書で使われている「明察」という言葉は、算術の解答が正しかった場合につけられるので、「大変よくできました」的な意味合いがあるのだろうし、本来の意味的には「事実を見抜いた」となるのだろうが、ボクはこれに、証明終了を意味する「Q.E.D.」という言葉をあてようと思う。なぜなら、誰かに認められるという意味よりも、自らが成し遂げたという充実感を、より強く持たせたいと思うからだ。 この作品の主人公となるのは渋川春海、本来の名を安井算哲という、本因坊道策と同時期の、将軍家お抱えの碁打ち衆の一人である。そうは言っても、囲碁の話がメインなのではない。彼が成し遂げる改暦と、それにまつわる人々の姿が主役である。 彼が活躍した江戸時代の初期、日本では宣明暦という、八百年余むかしに伝来した暦を使用していたらしい。しかしこの暦の一日は、実際の一日とわずかにずれており、そのずれは四百年で丸一日にもなってしまう。これでは実用上、色々と差しさわりが生じてしまう。 徳川の御世になったとは言っても、日本における権威は朝廷にある。しかし朝廷は、長い怠惰の間に暦に関する技術を失伝しており、それを隠すために暦を改めることを認めようとはしない。この状況に立ち向かうべく、数々の第一人者が期待したのが春海というわけだ。 だが、彼は才気煥発の天才にも描かれないし、抜群の行動力を持つ英雄の様にも描かれない。どちらかというと、慣れない二刀を腰に佩いた、やさしいけれど頼りなさげな人物に見えるし、それ以上に周囲に集う人々が綺羅星のような実力をもって輝いている。特に中盤は、保科正之の、武断の世から文治の世へと舵を切る名君ぶりが目立つ。 しかし、そんな彼だからこそ、天地を明察し、誰も切りつけることが叶わなかった権威の壁を破ることができたのだろう。なぜなら、改暦のためには様々なものがいる。算術の技術や天測の記録、お金や人材、そして物事を滞りなく進めるための人脈などである。数多くの第一人者からそれらのものを受け継ぎ、その想いを背負うことによって成長した春海が、碁打ちの本領たる先を見通す布石により、大逆転で事業を成し遂げる様は圧巻である。そんな彼を支えたえんとのエピソードも興味深い。 | ||||
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