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狂う(彼女はもういない)
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狂う(彼女はもういない)の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.42pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全5件 1~5 1/1ページ
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「狂う」というタイトルなので犯人である語り手のひとりよがりな身勝手な理屈にいらいらしても仕方がないのかもしれない。狂った人間に対してまともな理屈が通る訳はないのだから。動機がそもそも受け入れられないのもこれも無理からぬことだと諦めるしかない。なにせ「狂って」いるのだから。 そうはいってもさすがは西澤保彦氏なのでむかむかしつつもミステリとしてはとても良くできているので一気に読んでしまった。しかしながらさすがにこのラストはちょっと無理があるんじゃないかと思ってしまった。意外な結末という意味ではやはり西澤氏は郡を抜いているとは思うけれど。 今までも何度か手にとったことはあるけれど裏表紙の数行の作品紹介を読むたびなんだか読む気が失せてしまっていた。「殺す」と対をなす作品だというので(文庫版の表紙とかお揃いだし)とりあえず読んでおこうと思ったけれど読後感は更に悪かった。 ただ杉江松恋氏の解説がなかなか素晴らしくて気は晴れた。タカチやタックの活躍する安槻シリーズに関しても触れられていて興味深く読ませて頂いた。 もしあまり西澤作品を読んだことが無い方であれば個人的には安槻シリーズを先に読むことをお勧めしたい、と老婆心ながらに付け加えさせて頂きます。 | ||||
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金持ちの主人公は連続強姦殺人を企てる. その真の目的と結末は? 犯人目線から描かれるミステリーであるが,その目的は最後に明かされる. 序盤から繰り返される犯罪シーンの残虐さもミスリードの一環だろう. 元同級生の所在にまつわる真相と相まって,かなりの意外性を演出している. この計算はなかなかおもしろい. 一方で,刑事たちの推理のパートはやや説得力に欠け,物足りなさを感じる. こちらにもう一捻りあれば,より完成度が高くなったように思う. | ||||
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この作品を手に取るきっかけとなったのは、YouTubeで観た「ビブリオバトル」動画です。 「ビブリオバトル」とは、数人が集まり、一人一人が、自分が読んで感銘を受けた書物を、他の参加者たちに、どれだけ説得力を持って読むことを薦められるか、を競う知的ゲームです。 言ってみれば、かつて、NHK「週刊ブックレビュー」にあったコーナー「私のお薦めの一冊」を、点数を付けることによって、話術の巧みさを競うゲーム形式に変えたもの、と言った感じでしょうか。 その動画の一つに、ある女子大生が、この作品を強烈にプッシュしていたものがあり、興味を持って読んでみました。 うむむ。確かに、ページをめくる手を止められなくなり、一晩で一気読みしてしまいました。無論、動画の中で女子大生が語っていた「驚愕の結末」まて゜早く辿り着きたくて、と言うこともありますが、それを割り引いても、作者の筆力は、中々のものだと思います。 ただ、多くの方が指摘しているとおり、最初にトリックありき、で、そのトリックを活かすためにキャラクターを作り、ストーリーの中で、彼らを駒のように動かしている、そうした感じは否めません。 複雑な生い立ちを持ち、屈折した心理を持つ主人公など、人格描写により、ぐっとその内面を深く掘り下げられたはずなのに、結局、「厨二病をこじらせた、変態中年おじさん」になってしまっています。 そのおじさんが、これまた、ダメダメな甥っ子を「あいつは、まだガキだ!」などと評するものだから、もしかして、これは笑う箇所!?と勘繰ってしまいました。 主人公が、たとえ、非道な行為をしたとしても、彼の性格に切なさを漂わせるところがあったり、「レクター博士」のように並外れた知性があったりしたら、読者として、感情移入出来るのですが、そうではないものだから、ラストも、意外ではあっても、決して、心を動かされるものではありませんでした。 これは、僕の勝手な推測ですが、作者は、この小説を、レイモンド・チャンドラーの「ロング・グッドバイ」へのオマージュとして書いたような気がします。 二つの小説に共通したテーマは、「友情への、ほろ苦い決別」です。ただし、この作品では、「ほろ苦い」などという、生やさしいものではありませんが。 他にも、「整形」「謎の過去を持つ男」など、いくつかの共通点があります。 この小説の主人公の真の悲劇は、自身の性癖に気付いていなかったことでしょう。 肉体は女性を求め、精神は男性を愛する、と言う、不思議な性癖。 ゆえに、主人公とヒロインは、恋愛感情ではなく、「同性としての深い友情」で結ばれていたのです。お互いに意識することなく。 ネタバレになりそうなので、これ以上は書きません。 しかし、仮に、この小説が、「ロング・グッドバイ」へのオマージュとして書かれたものとするならば、作者は、とんでもない離れ業を用いたものだなあ、と感心するばかりです。 | ||||
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タイトルにもなっている「狂う」。 まさにその通りに、鬼畜な所業に手を染めていくわけですが、 終わってみれば、その動機は至って陳腐。 もっと、他に方法はあっただろうにと。 全体的に悪くはなかったですが、特別良くはなかったです。 しかし、ラストの真相はなかなか衝撃的でした。 もともとのタイトルは「彼女はもういない」で、文庫化にあたりタイトルを変更したそうですが、 読み終えてみると、当初のタイトルの方がしっくりくる気がしました。 | ||||
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高校の同級生名簿から、かつてバンドを組んでいた女生徒の住所が消えた。 そこから主人公の憎悪の炎が上がり、凶行へと駆り立てられていきます。 殺人鬼と化した主人公の行為は、描写もグロテスクに過ぎます。 プロットからすれば無差別かつ残虐な行為にも必然性はあるのでしょうが、 大前提となる動機、そして行為への過程は、飛躍し過ぎの感があります。 もちろん、殺人鬼の心情は一般の理解など超越しているのでしょうけど。 他の方も言及されていますが、ラストは衝撃です。 その切れ味は大きな驚きと重い余韻をもたらす抜群の鮮やかさです。 ラストを読むと、途中のあれもこれも布石だったことがわかります。 ただそれはストーリーがラストありきの流れに偏っていて、 無理筋や飛躍が見えてくることと表裏一体かもしれません。 それにしてもあんな落とし方でくるとは…。 そう本を閉じて表紙に目を落とす。 タイトル…とても秀逸ですね。なるほどなあ。 西澤さんの他の作品もぜひ読んでみたいと思いました。 | ||||
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