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(短編集)
わくらば日記
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わくらば日記の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.34pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全32件 21~32 2/2ページ
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他人の視覚的な記憶を幻視する超能力を持った少女・鈴音を主人公とする連作短編集。昭和30年代を背景に、病身で若くして亡くなった彼女の妹による回想として語られ、悲劇的なトーンで幕が開く。話の多くは犯罪譚である。ところが、第二話あたりからユーモアの豊かさが前面に出てきて、思わず吹き出してしまうような箇所も再々なのだ。悲劇は悲劇として直視しつつも、不思議な明るさとゆとりを失わない点がすばらしい。惚れ惚れするような表紙(とイラスト)もふくめ、愛蔵したい1冊。 | ||||
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朱川氏の作品のなかでも一番温もりを感じました。 作品のなかに過去に実際に起った事件がでてきますが、 この悲惨な事件にはさまざまな背景があって、時代といえばそれまでですが 妙に感慨深いものがありました。 姉さまの緊急時には必ず守ってくれるワッコちゃんですが、 ひょうきんなところもあって、それが魅力にもなっています。 人の暖かさ温もりといったものを感じられる作品です。 この作品や「かたみ歌」など昭和ノスタルジーものといえば 朱川湊人といえるぐらい定着したかと思います。 | ||||
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昭和30年代のまだ貧しかった日本を舞台にした、二人の姉妹が主人公の5つの短編集だ。妹の和歌子には、美人だが体の弱い姉がいて、人や物を見ると、その人や物の周りで過去に起こった出来事を遡ってみることができる不思議な能力を持っている。 この不思議な能力により、この二人は普通では経験できない、忌まわしい事件に関わったり人間の心の内側を覗くことになる。5つの短編には異なるエピソードが描かれているが、何れも人間の善意・優しさと、現実の厳しさや残酷さが描かれていて、暖かくそして少し哀しい気持ちになる。 常に別れの予感を感じさせる本書は読んでいてちょっと辛い部分もあるが、最後のシーンにあるように、美しいものが現実には過ぎ去ってしまっても、一人ひとりの心の中ではきっとその人が生き続ける限りは永遠なのだろう、だからこそ今を大切に生きるしかないのだろう、と思った。 なお、タイトルの「わくらば」というのは耳慣れない言葉なので辞書で調べてみたところ、漢字では「病葉または嫩葉」と書いて、「病気におかされた葉」と「木の若葉」の二つの意味があるそうだ。 | ||||
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その場所で起こった事やその人の体験した事が透視できる、という不思議な能力を持った 病気がちの美少女。それゆえ巻き込まれる様々な事件や出来事を妹の回想で綴る物語。 親しくなった警官を通じて、殺人事件や猟奇事件の犯人探しや真相追及というミステリー 的要素もあるのだが、この著者が得意とする昭和三十年代の風物描写や、穏やかな語り口 で、不思議な懐かしさを感じさせる作品だ。姉妹が散歩でよく行く東京・千住の「お化け 煙突」(表紙にも描かれている)の風景が読後も印象に残る。続編も今から楽しみ。 | ||||
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最初に気づいたことは、1960年代生まれの著者が、こんな昔の人の言葉使いや、生活環境をよく再現したものだなあということ。 自分の子供のころを振り返りながら、とても懐かしい気持ちにさせられました。 切り絵か版画のように見えるイラストも素敵です。 ただ 1つ残念なことは、この本は、2004年から2005年の間に「野生時代」という雑誌に掲載された短編連続小説(日記?)の内の、5話を1冊にまとめたもので、この1冊で、わくらば日記は完結しません。 何箇所かで、この話は またあとでしましょう、といった表現がありますが、結局 話を聞けないまま、この1冊は終わってしまいます。 わくらば日記の完全版を待ちわびています。 | ||||
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母様が素敵だ。礼儀を重んじ、茜ちゃんを「人の信頼を裏切ることは、人の命を奪う事の次に悪いことです」と柔道四段の腕前で投げ飛ばすところが好きだ。あとは、100枚の年賀状かなあ。大好きな人に毎年年賀状が届くように書き溜めたなんて、今の若者にできるか!昭和の時代は今のように豊かではなかったかもしれない。でも、宝石のような心を持った人達がたくさんいて、またそれを受け止める優しさもそこいらじゅうに転がっていた。まっすぐに生きようと思える、素敵な小説です。 | ||||
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朱川さんのえがく、”昭和”が大好きです。 全編に漂う、”何もないけれどもとても満たされている”雰囲気が、 読む人すべてに伝わる、素敵な本です。 中でも”流星のまたたき”という話が印象に残りました。 切ないラストに涙しました。 この作品は登場人物一人一人がとても丁寧に描かれていて、キャラクター設定がしやすいと思うので、テレビドラマに最適なのでは?! いずれにしてもこの話はまだまだ続きそうです。 早く続きが読みたいです。 | ||||
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不思議な力を持つ姉、愛情たっぷりにその物語を語る妹。 姉の力そのものが、あまりに現実離れしたものであるために、最初は少し幼稚な展開になっている部分もありますが、すらすらと読める噛み砕いた文体は、いつの間にか朱川ワールドへ引き込んでいってしまいます。 晩年に差し掛かった妹が、少女時代の出来事を回想しながら話す形をとったこの小説は、昭和30年代のレトロな雰囲気があふれた、あったかい気持ちになるものでした。「姉さまは」という語り口がなんとも言えず、優しげで、品のよさを感じさせます。物語の内容には、グロテスクな事実もあるのに、終始穏やかな空気を感じるのは、この語り口のせいでしょう。 二人の父のこと、「姉さま」の晩年にいたるまでなど、まだまだ語られていない謎の部分が残されて終わっていますので、きっと続編はあるのでしょうね。楽しみに待ちたいと思います。 | ||||
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朱川さんお得意の昭和ノスタルジー。 今回は不思議な力を持つ美少女とその妹が遭遇する事件簿です。 姉様は人のためにこの力を使い、 どんどん命を縮めていきます。 姉様の優しさと人々の温かさは心に染み入り、 ずっとこのお話の世界に浸っていたいような良い雰囲気の作品でした。 特に姉様の初恋の話は美しかった! 同じく朱川さんの「かたみ歌」を読んだときにも感じたのですが、 朱川さんの書く恋のお話には 現代の若者達の恋にはない“奥ゆかしさ”があります。 忘れていた気持ちを思い出させてくれるような素敵な読後感でした。 ラストは続編の存在を匂わせるようなものでした。 大いに期待してもいいと思います。 | ||||
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昭和30年代を舞台に物語は主人公の語り口調で、ノスタルジックな雰囲気を醸し出しています。 細かい描写のおかげで、その時代のことはあまり知らない私にも、時代風景が目に浮かぶようでした。 礼儀にうるさく家庭を支えるお母さんに、人情味あふれる刑事さんなど昔の日本人の優しさと強さを持った人達が出てくるのもこのお話の魅力! 殺人事件など、悲惨な事件が出てくるのにもかかわらず、物語は妙に優しさとはかなさ、そして切なさにあふれ、特に物事を優しい方向から見ようとしているのが良かったです。 | ||||
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辞書をひく。「病葉(わくらば)」病気などで変な色のついた葉、夏に枯れかかった葉。ヒロインのお姉さんの透けるような白い顔立ちが目に浮かぶ。老境に入った主人公が昭和30年代の「あの頃」を回想する、という形で物語が紡がれていく。TBS系列「向田邦子新春ドラマスペシャル」における黒柳徹子のナレーションが持っている雰囲気が濃厚に立ち込めるようだ(と、思うのは私だけかも知れないが)。各篇が持っている凛としてやさしく切ない全体の雰囲気と、挿入される殺伐とした生々しい事件があまりそぐわないような気がする。できれば全篇、北村薫の「私と噺家師匠」シリーズのような事件に留めておいて欲しかった。お姉さんの初恋の回のような話をもっと読みたい。 | ||||
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朱川さんの本は初めて読みました。 直木賞受賞者ですが、そういった先入観ナシに読めました。 主人公の語り口調による物語の展開は、とても世界に入りやすかったと思います。昭和30年代を知らない私ですが、その情景が目に浮かぶようでした。 登場人物もとても魅力的だと思います。主人公の目線から彼らの印象が描かれていて、また主人公の成長とともに、彼らを見る目が変わっていくのも面白かったと思います。 つづきが気になります。 ココロにどかんとくるような感動や、衝撃はないのですが、なんだか「染み入る」ようなカンジで・・・ 生まれてもいない時代のことなのに、なんだか懐かしさをおぼえました。 | ||||
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