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そこでゆっくりと死んでいきたい気持をそそる場所
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そこでゆっくりと死んでいきたい気持をそそる場所の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全3件 1~3 1/1ページ
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記憶の混濁、そして過去の断片的な羅列・・・決して物語としての体裁を保っているとは思えない作品が多い。しかし、それが奇妙なほどに高い次元での実験性を感じさせて、さながら高度なロジックを駆使するミステリィ的な快楽を得ることもできる、かも知れない。ただし、それは飽くまでも読者を選ぶものだ。難解であることは間違いない。「singes/signes」の実験的な語りは、ほとんど動きのない展開の中で、しかし静かで、密やかなスリルに満ちている。また「逢引」では、やはりこのひとが詩人であるということを強く感じさせつつも、物語的な興味でも読者を引っ張ることの出来る大変な力量の作家でもあると思い知らされる。個人的には、最後に収録された表題作に強く惹かれている。『詩』というものを、そのまま『物語』化することによって、より一層に深く『詩』を理解するに至る過程・・・モーリッツの銅版画を用いた装丁といい、『詩』=『死』の誘惑に駆られる、ある意味では危険な傑作である。 | ||||
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今回の短編集の中では「虻」にやられた。眠るときの姿勢。仰向き、横向き、俯せ、どれもしっくりこなくて繰り返す。この「不自由」を意識しだすと、人は眠られなくなる。なぜなら眠りとは死のシミュレーションだから。眠りに落ちる瞬間は死と一緒で自覚出来ない。「不自由」な姿勢のまま意識がなくなることの恐怖がそこには潜在し、「不自由」を意識すればするほど眠ることが出来ないという呪縛。この、なんでもないような挿話が松浦寿輝の世界を象徴している。現実と虚構の混濁、夢とうつつの往復。 ただ、今回の短編集は好き嫌いが分かれるだろう。小説世界として虚構性が完結するのではなく、“作者”がこれまでになく介在してくるというポストモダン的な作品集となっている。同時期に記された「あやめ 鰈 ひかがみ」「半島」とはまったく違った方法論であり、ある意味、一見(いちげん)ではなく松浦ワールドに魅せられた常連に向けたサービスとも、あるいはまったく逆に著者本人の愉楽、ペダントリー、自己愛とも受け取れる。 著者所有のフィリップ・モーリッツの銅版画をフィーチャーした装丁が松浦寿輝の世界とマッチして、とても良い仕上がりである。 | ||||
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松浦寿輝は長編もいいが短編がはるかにいい。 長編は松浦の世界にはまり込みすぎるので、後の回復がしんどい。 短編は余韻を味わう余裕を持てる。 作者は今回の作品でも過去の作品と似たムードながら、小説の 面白さを引き出そうといろんな努力をしている。「幽(かすか)」 「花腐し」などを読まれた方には、まず本書の書名をゆっくり 眺めてから楽しんで頂きたい。最初の物語に出てくる銅版画は 文字だけでもぞくぞくとしてくる。 | ||||
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