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(短編集)

11 eleven



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【この小説が収録されている参考書籍】
11 eleven
11 eleven (河出文庫)

11 elevenの評価: 3.86/5点 レビュー 36件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.86pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全25件 21~25 2/2ページ
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No.5:
(4pt)

たぶんファンは絶賛だが

1話目「五色の船」が相当強いインパクトを与える。だから、2話目からの読後感に影響を与える。11話は決して統一された世界観の中にはない。1話目が多重世界の話なので、それぞれが多面的な人間や世界の一断面と強く感じられるのだ。うまい構成である。
 「追ってくる少年」と「延長コード」は、正直よくわからない。戸惑いだけの読後感である。すると次に「微笑面・改」なんて不条理ものが混じり、作品集をキリッと引き締める。
 「YYとその身幹」は語り口に工夫をしているものの、身の回りの犯罪聞き書きで、かなり異質。「土の枕」は、近代の奇談といったところで、不思議なリアリティーがある。
 読者によっては、作品の質にばらつきを感じる人もいるのではないか。
 好き嫌いのわかれる作品集だから、ファンは満点以外をつけたがらないだろう。
11 elevenAmazon書評・レビュー:11 elevenより
430902047X
No.4:
(5pt)

澁澤龍彦の再来

一読、澁澤龍彦の再来を思った。現実とファンタジーの微妙な交錯。

暴徒の短編は家舟に住むフリークスの物語である。
彼らは自らの異形の姿を見世物として暮らしている。
お父さんと呼ばれる団長格の雪之助は脱疽で足がない。
お父さんが自死を図ったときに草むらで、
濡れ紙を顔面に貼り付けられて捨てられていた
昭助兄さんは小人症でしかも怪力である。
座敷牢に閉じ込められているところを貰い受けてきた桜は
下半身をもうひとりの姉妹と分け合っていた。
手術を受けもう一人は死んだが、体一面に鱗の刺青を施して
蛇女に身をやつして、かえるの人間ポンプを演じる。
言葉はない。
清子さんは牛女である、鼻に穴をうがち縄を通し、
頭に角を埋め込み、乳をぶらぶらさせて牛をまねる。
物語の語り手である、和郎(かずお)は、腕がない。
肩から手が生えている。足で絵を書くのが得意だ。
テレパシーの能力がある。

この家族が自分たちの仲間を見つけた。
小説の書き出しはこうだ。
「下駄屋に生まれたというくだんのために、僕らは一家総出で岩国に出向いた」

くだんは漢字で書くと件。にんべんは人。そして牛。
人が牛に生ませた異形である。口が聞けて未来を予知する。人の死も予知する。
家族がくだんの元を尋ねると、くだんは軍隊によって連れ去られるところだった。
11 elevenAmazon書評・レビュー:11 elevenより
430902047X
No.3:
(4pt)

幻想、奇想

11本のノンシーリーズ短編を収録
幻想、奇想、めまぐるしいまでのイメージが溢れる作品ばかりだった

「五色の船」
「土の枕」
上記二本は以前に違うアンソロジーで読んだので、割愛


「延長コード」
電気スタンドに延長コードを繋ぎまくって、
屋外の様子を探訪する

幻想的な気もするし、
良く考えたら間抜けな感じもする
不思議な味わいだ


「追ってくる少年」
小姑と母の確執など、生活が滲み出るシーンと
幻想(妄想?)ともとれるシーン

掌編といった方がよいボリュームの作品なのに、
非常にイメージが豊かだった
ただし、結構グロいかも



「微笑み面・改」
顔の幻想が浮かんでいるといった題材の小説は結構あると思う
その顔をどう解釈するのか、または、しないのかが肝

本作では脳の錯覚、世界の多重性といったとこか


「キリノ」
桐野夏生の特集に寄せられた作品
青春風味だった
キリノと連呼したいだけでは、とも思える
チョッと痛快だった


「手」
幽霊屋敷もの


「クラーケン」
犬の出てくる小説
犬の描写シーンに限れば、けっこうかわいらしい

飼い主のシーンは・・・


「YYとその身幹」
猥雑な雰囲気の作品だった


「テルミン嬢」
SFだった

神経症を患う女性の治療が描かれる

ラストには、まさかの火星にまで話が広がる



11 elevenAmazon書評・レビュー:11 elevenより
430902047X
No.2:
(5pt)

津原泰水は罠師である。またしてもその罠にひっかかってしまった。

綺譚集フリークの身としてはこれが最高傑作と謳われるのをよしとしたくないんだけれども、個々の作品の出来はこちらの方が断然上。
言わば荒削りな中に毒性にも似た熱量が文脈から零れていた『綺譚集』と違い、精巧であり緻密な造花を思わせる『11 eleven』のそれはとても冷ややかで、零れ落ちる寸前に凝固しこちらを睨んでいるかのよう。

だからこそ『綺譚集』は一編一編から洩れた熱量が、一冊から放たれるアトモスフィアへと至り、類稀なる短篇集としての風格へと転じていたわけだが、
一方の『11 eleven』は暴力的な威風を感じさせることなくただ頑丈な砦としてそこにある。半ばスタイリッシュとも思しきその佇みを信頼し、門を潜ってみると、天井にも壁にも抜け穴ひとつきりなく息詰まる空間に情念が渦巻いているのを見る。逃げようかと案ずる暇もなく、壁の冷たさに肝を震わしながら奥へ奥へと進むしかないのだ。

さながら……、
極彩色と至上の甘みで惹きこむラフレシアの如き、血塗られた『綺譚集』。
灰色の砂地に身を潜め、疑似餌を揺らめかしながら獲物を待つ深海魚の如き、静謐なる『11 eleven』。

いずれにせよ、津原泰水は一流の罠師である。その罠に嵌れば苦痛である。苦悶である。
だがその罠から解き放たれたときの、虚しさといったらない。
そうしてまた新たな罠が捕えてくれるのをひたすら待つのだ。罠の感触を幾度も味わい、反芻しながら。
11 elevenAmazon書評・レビュー:11 elevenより
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No.1:
(5pt)

『11』は必ず予感に応えてくれる。 

津原泰水の最新短編集『11』を読んだ。茫然としている。今まで腐るほど小説を読んできたが、これほどまでに水準の高い短編集には久しく出遭っていなかったからである。「珠玉の」などという紋切り型の賛辞を突き抜けている。圧倒的な完成度だ。そして、めちゃくちゃに面白い。あなたが小説好きなら、『11』を読んで絶対に損はしない。ものすごく得をする。そう自信をもってお薦めできる。

ミュージシャンズ・ミュージシャンという言葉がある。プロの音楽家にファンが多いプロの音楽家のことだ。津原泰水は、間違いなく「今の日本の文学界における、ミュージシャンズ・ミュージシャン」である。プロの小説家にファンが多いプロの小説家だ。総ひのき造りのような香り高く美しい文体で、奔放にして卓抜なアイデアが、複雑精妙な構成によって語られるのである。津原泰水ならではの「三位一体」である。しかも、『11』の収録作品は、約10年間の作品群から選び抜かれているのだ。津原泰水のエキスを、ぎゅっと凝縮したような短編集なのである。

11編の収録作品について簡単に触れておきたい。「五色の舟」は見世物を生業としている一家と、真実のみを語る怪物くだんの話。「延長コード」では家出少女の奇妙な収集品が彼岸と此岸を結びつける。「追ってくる少年」は無惨な事故の後日譚。「微笑面・改」は彫刻家とモデルの間の愛憎劇。「琥珀みがき」は少女が磨かれて大人の女になるストーリー。「手」は"好奇心が猫を殺す"話。「クラーケン」は犬好きも犬嫌いも息を呑む作品。「YYとその身幹」は完璧な美女についての考察。「テルミン嬢」はナノマシン医療と音楽が結合した可憐にして雄大なSF。「土の枕」は民話のように凝縮された戦争の物語。

そして「キリノ」は、作家の桐野夏生の特集に寄せられた痛快無比な「小説」である。

最後に。Amazonのこのページに掲載されている書影の印象的な人形は、四谷シモンの作品である。瀟洒な装丁は、著者の津原泰水自身によるもの。この美意識に「何か」を感じたなら、本書『11』は必ずその予感に応えてくれる。 11 eleven
11 elevenAmazon書評・レビュー:11 elevenより
430902047X

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