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(短編集)
11 eleven
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11 elevenの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.82pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全23件 1~20 1/2ページ
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戦時中、戦後の見世物小屋を舞台にした「五色の舟」は岩国にくだんを買いに行くという物語である。 ちなみに私はこの本を読むまでくだんや見世物小屋がどういったものなのかは知らなかったので検索をかけて調べた。 静謐な物語の中にあるSFの要素がいい塩梅であり読んでいながら感嘆の声を出さずにいられない。 これを書いている今日がちょうど作者の出身である広島に原爆が投下された日ということもあり、読み返してみた次第である。 | ||||
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作中「Y Yとその身幹」の感想 物書きが物語を書かない。 落丁か?とさえ感じた。 こんな不思議な作品に出会ったのは初めてだ。 推理小説ならば、伏線から想像し最後に答え合わせをする。 そこに裏切りの業がある。 だが、この小説は語らない。 読者に許されるのは想像まで。 行き場を失った想像は、次の想像へと無限に拡がる。 わずか20頁が、私の中で「物語」となる。 | ||||
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「五色の舟」は想像以上の凄さだった。見世物の一家がくだんを買いに行くという状況がまずすごいが、そこからSFに展開していく部分には息を飲んだ。その他の短編も面白い。 | ||||
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この作者の作品を読むのはこれが初めてだったが、独特の世界観で好き嫌いが分かれるかも。 私はなかなか楽しめた。 | ||||
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内田百閒の件(くだん)を久しぶりに思い出しました。件の話を読むのはあれ以来かな。あちらは件側から見た景色を描いています。興味があったら是非どうぞ。 初めての作家でしたが、平山夢明風でもあり夢野久作風でもあり、なんだか初めて読む気がしなかった。アメリカだと、ランズデールがこの種の見せ物一座の長編を書いています。 再読に耐える佳作だと思いました。 | ||||
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完成度の高い文章、世界に対する冷徹な慈愛、妥協を許さぬ美学。 久しぶりに、才能とそれを磨く不断の営みを感じる作品に出会えました。 決して難解でも複雑でもない、自然体で無心で読めば、魂の一番柔らかい場所に染み通ってくる。 こういう作品で知性や感性を磨く充実感を経験し、楽しむ人が、少しでも増えて欲しいです。 | ||||
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普段海外文学を読むことが多く、たまに読む日本文学は、太宰、三島、筒井康隆、村上春樹など、評価の定まった古い作家の作品ばかりで、現代の日本文学がどんな感じなのかよくわからないし、正直あまり興味もないのです。しかしながら信頼している評論家が本書を褒めていたので、たまには気色の違うものを読んでみようかなと思って購入してみたところあまりに面白くてびっくりしました。本作が異例の傑作なのか、実は私が知らないだけで現代日本文学にはこのレベルの傑作がゴロゴロあるのか、よくわかりませんが、とにかく食わず嫌いはやめて、いろいろと読んでみようと思いました。他の方のレビューを読むと、11編全て傑作と書いている人が多いようだけど、私は「五色の舟」が飛び抜けて素晴らしいと思います。 | ||||
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Reader Store版で読了。 「綺譚集」以来「津原泰水は怖い」と思っていまして、あまり手が出ませんでした。 比較的最近の「ヒッキー……」や「エスカルゴ……」や「たまさか……」があまり怖くなかったので手を出してみると…… やっぱり怖い。 研ぎ澄まされた名文が怖い。 「五色の舟」に秘められた怒りが怖い。 良い本です。読んでください。 | ||||
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本書冒頭に収録されている【五色の舟】。この短編ひとつだけで、世に溢れる何万冊の小説に匹敵しうる。ずっとずっと読み続けている本の一冊であり、綺譚集と並んで極上の一冊。 批判を恐れず言ってしまえば、正直、この本の良さが分からない人とは、本の話などしたくはない。 | ||||
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ずっと手元に置いておいて、ことあるごとに読みたい、そう思わせる一冊でした。作者のセンスに陶酔してしまう。ベスト10と書きましたがベストと言ってもよいくらいです 綺譚集もよかったのですが、どちらがいいかと訊かれればこちらの方が好きと答えるかな。『YYとその身幹』『琥珀みがき』がかなり好みに嵌ったので 『YYとその身幹』無駄のないストーリー。行き着くべきところにお話が流れて行く印象。黄金比という言葉が作中に出てきますが、私にとってはこの作品の構成こそがまさにそれ。目に見える数学的な美しさに心奪われる、出来事を勝手に補完しない、そんな質の主人公こそが魅力を最大限に語り得る物語 『琥珀みがき』ラスト一行を読み終えた瞬間、痺れるような感覚が身体中を走り抜けました。ちなみにこのお話のことを作者は、耳で聴かれるべき物語、とあとがきで語っています。 | ||||
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2011年に出た単行本の文庫化。 「五色の舟」「延長コード」「追ってくる少年」「微笑面・改」「琥珀みがき」「キリノ」「手」「クラーケン」「YYとその身幹」「テルミン嬢」「土の枕」の11本の短篇を収めている。1999-2010年に書かれたもの(1篇は過去作の改稿)。 怪奇譚とSFの狭間にあるような作品が多く、読んでいるうちに異世界へ引き込まれるような気分になる。 「五色の舟」の異様で柔らかくノスタルジックな雰囲気がたまらない。 「琥珀みがき」の最後の一文も印象的。 磨き込まれた短篇ばかりで、読後感が圧倒的だった。 | ||||
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ジャンルはSFのようであったりホラーのようであったり 純文学のようであったり、あるいはそれらが混ざり合って 全く別のもののようであったり 着地点の見えない緊張感を11回も味わうことのできる短篇集 中でも冒頭に収録された「五色の舟」は 設定の奇抜さ、物語性、読後感、どれも抜きんでており 帯にある「オールタイムベストSF第1位」の面目躍如といったところ | ||||
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怪しい悲しみとも怪しさがもたらす無常観ともいえる、四谷シモン作の人形の顔が表紙。 津原泰水氏、自らの装丁だという。 この表紙に誘われて購入しました。 読み終えて、なるほどと、感心しました。 表紙は、この短編集の内容を、まさにあらわしているとも思えました。 | ||||
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津原氏の小説は『ブラバン』しか読んだことがなく、こういう作風の方だったのか、と驚きながら読了。面白い。 文章にはエッジがきいていてスラスラ読みやすい、が、語られている物語の内容は玄人好みという感じ。 台詞の言い回し、若干乱暴に投げ捨てるように終わってしまう話の流れなど、現代風だなあ・・・と思うが、冒頭の「五色の舟」には見世物屋と「くだん」が登場するなど、古めかしい題材・舞台もあって、読者の年齢を問わない感じ。 ホラーっぽかったり、SFっぽかったり、ミステリっぽかったり、ひとつのジャンルでは語れない11の短篇、ほとんどに毒があって後味悪い、が、一見無関係そうな短篇同士に、共通の名字があったり、うっすらと繋がっているっぽい題材があったり、で、時々ニヤリ。 読了後、無性にこの作者のSFが読みたい!と思った。 なので次回の津原泰水は『バレエ・メカニック』に決定。 ただし、続けて読んだら胃もたれしそう、読後の印象が強すぎる短篇集。 日常に退屈して、気を失いそうになっている方、気付けにどうぞ。おすすめです。 | ||||
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間違いなく一般受けはしないだろう。 わかりやすい感動はなく、夢のような幸せに包まれた物語もない。 ただ、現実の非情さ、無常さがどの作品にも浮き出ている。 生きていく、生きるというのは、必ずしも綺麗ではなく、醜い。 そんな慰めを感じとることもできる。 しかし僕らは綺麗なものにこそ夢を見るのだ。 | ||||
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イレブンってサッカーものなのか?とか、それにしては この表紙は何?とかって気になっていたうちに、 ちょっと忘れていて、年末恒例のミステリーランキングで 比較的上位に入っていたので、「おっと忘れてた」と買いました。 この人の本は初めて読むし、短編集というのは実は それほど好きな方じゃないのだけれど、 11ってそういうことなんですね。 意外に間違ってないかもと思ったのは、 あたかもサッカーの一流チームのように、 それぞれが全く異なる個性の文章で(1人の人が書いたの? と思うくらい語彙も文体も句読点も改行も違う)、 それぞれに違う風味のストーリーが11本 並んでるわけです。 それぞれの感想まではちょっと及びませんが、 幻想的だったり、SF的だったり、怪奇もの風だったり、 現代的だったり、掌編風だったりととにかく飽きませんでした。 だからといって次にこの人のを読むかと言われたら、 やっぱり評判がよければ、っていうくらいになってしまうのですが、 いつもと違う読書がしたい人はかなりの確率でこれまでに 味わったことのない文章に出会えます。なにしろ 11種類ですから。 | ||||
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もはやこちらとあちらを隔てる意味すら感じない、生者の冷たい体温(あるいは死者の温かな質感)にかたどられた十一の綺譚。短編集としては("伯爵"シリーズを除けば))"綺譚集"以来7年ぶりとなる新刊だが、作を追うごとにその「見えざるものを重ね視る」視点は精度を増している。 かつて自分が破壊した女の顔が、現実の世界に浮かび上がり侵食する"微笑面・改"では、当の男がその怪を淡々と受け止め記しているところが妙に恐ろしく、その立ち居地からは冒頭で書いたような自分が「こちら」で相手が「あちら」の存在であるという認識は全く感じ取れない。他にも"追ってくる少年"や"手"といった作品を読んでいると忽ちにして現実と錯覚の境はあやふやなものとなっていき、そこで一言「しかしそんなことを云えば、人生そのものが、我々が認識している宇宙全体が、脳の錯覚に過ぎない。」などと言われてしまえば、たちまち自分というモノの脆さや、認識に対する恐怖が湧き上ってもくる。 一方で、まるで変拍子のような、躓きさえも計算された軽妙な語り口で展開される"キリノ"、穏やかゆえに、逆にその寂寞として温かく底なしに深い精神の泥沼が強い印象を残す"琥珀みがき"、さらには凡庸な人間からすれば「心の闇」としか表現できない微妙な感覚の交錯や、それに因って起こる死にまつわる顛末を題材とした"クラーケン"や"YYとその身幹"などは、そこに印され共鳴する情感が、居たたまれないほど強烈な余韻を残す。津原氏の「言葉」を扱う天才的な感性と筆の力が紡ぎ出す"テルミン嬢"は、超言語ともいうべき作用を核に、どこかSF的なニュアンスを持ちつつも、その枠組みを超えた独創的な世界観を感じさせる物語。再読となった傑作"五色の舟"も同様に、土の匂いのする幻想怪奇小説とSF的な昂揚感が入り混じった独創性を放つ。 持たざる者からすれば、ほとんど絶望を覚えるほどの感性と技巧が生み出す物語は、そのどれもが紛うことなき超一級品。常人には到底見ることのかなわない世界を視、それを欠片なりとも共有させてくれる本当の天才。先の短編集と比べて明らかに幅を増した作品群が、そのコアに在る作者の才をより強烈に感じさせます。 | ||||
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あやかしの物語を11編あつめた一冊。作者・津原泰水に関する知識は一切ないまま、この本が大変評判になっているので手にしてみました。 作者の筆が紡ぎだす言葉の数々は、優美で妖艶、流麗で奇怪。 第1編の「五色の船」は見世物興行をなりわいとする異形(いぎょう)の者たちが、人の顔をした牛「くだん(件=人+牛)」を買い求めるために岩国に向かう物語です。 登場人物たちの妖しい姿の所以(ゆえん)を細密に描写する文章にすっかり気圧されてしまいました。これは容易ならざる内容を含んでいると大いにたじろいだのです。 しかし第2編の「延長コード」で、気力を少し取り戻します。 17歳で出奔した娘が亡くなったと連絡を受け、父親は娘が厄介になっていたある家族のもとを訪れます。そこで娘の遺品として出て来たのは山のような数の延長コード。そのコードを使って父親がたどりついた娘の末路とは…。 第1編同様、これも確かに怪しい物語には違いありません。ですが、逐電以来つかみとれずにいた娘の姿を、父親が幻想の中とはいえようやく垣間見ることができたような気がして、ほんのり心が落ち着くのです。 とはいえ第3編「迫って来る少年」と第4編「微笑面・改」はまたしても底冷えする恐怖の物語です。さらにその先へと頁を繰って前進することを臆してしまいそうになります。 そこへもってきて、11編の中でもっとも私の心に寄り添う物語として第5編「琥珀みがき」が現れます。わずか6頁にも満たない掌編小説ですが、主人公ノリコが自らの来歴を琥珀の中に閉じ込めて来たという描写の美しさに、陶然と酔いしれたのです。 こんな具合に11編はいずれもが他編とは趣を異にしていて、次に現れる物語がどのように自分を震わせるのか、それは心地よい共振なのか、はたまた激しい震撼なのか、先が見通せないままの読書を続けることになります。 体力のない時に手にすると受け止めきれない物語が多く、壮健な読者にのみ許された一冊であるということを注意喚起しておきたいと思います。 | ||||
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1話目「五色の船」が相当強いインパクトを与える。だから、2話目からの読後感に影響を与える。11話は決して統一された世界観の中にはない。1話目が多重世界の話なので、それぞれが多面的な人間や世界の一断面と強く感じられるのだ。うまい構成である。 「追ってくる少年」と「延長コード」は、正直よくわからない。戸惑いだけの読後感である。すると次に「微笑面・改」なんて不条理ものが混じり、作品集をキリッと引き締める。 「YYとその身幹」は語り口に工夫をしているものの、身の回りの犯罪聞き書きで、かなり異質。「土の枕」は、近代の奇談といったところで、不思議なリアリティーがある。 読者によっては、作品の質にばらつきを感じる人もいるのではないか。 好き嫌いのわかれる作品集だから、ファンは満点以外をつけたがらないだろう。 | ||||
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一読、澁澤龍彦の再来を思った。現実とファンタジーの微妙な交錯。 暴徒の短編は家舟に住むフリークスの物語である。 彼らは自らの異形の姿を見世物として暮らしている。 お父さんと呼ばれる団長格の雪之助は脱疽で足がない。 お父さんが自死を図ったときに草むらで、 濡れ紙を顔面に貼り付けられて捨てられていた 昭助兄さんは小人症でしかも怪力である。 座敷牢に閉じ込められているところを貰い受けてきた桜は 下半身をもうひとりの姉妹と分け合っていた。 手術を受けもう一人は死んだが、体一面に鱗の刺青を施して 蛇女に身をやつして、かえるの人間ポンプを演じる。 言葉はない。 清子さんは牛女である、鼻に穴をうがち縄を通し、 頭に角を埋め込み、乳をぶらぶらさせて牛をまねる。 物語の語り手である、和郎(かずお)は、腕がない。 肩から手が生えている。足で絵を書くのが得意だ。 テレパシーの能力がある。 この家族が自分たちの仲間を見つけた。 小説の書き出しはこうだ。 「下駄屋に生まれたというくだんのために、僕らは一家総出で岩国に出向いた」 くだんは漢字で書くと件。にんべんは人。そして牛。 人が牛に生ませた異形である。口が聞けて未来を予知する。人の死も予知する。 家族がくだんの元を尋ねると、くだんは軍隊によって連れ去られるところだった。 | ||||
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