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暗い抱擁
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暗い抱擁の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.07pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全14件 1~14 1/1ページ
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原題(The Rose and the yew tree「バラとイチイ」)はエリオットの詩からとられています。 The moment of the rose and the moment of the yew-tree Are of equal duration. バラの一瞬もイチイの一瞬も同じ時間 ヒロインであるイザベラの過ごした時も、イザベラを愛した男の過ごした時も同じ時間なのですが、互いに全く違う情景を見ていました。 その、お互いに違う情景を、ナイフのように切り結ぶ一瞬があるのですが、それについて二人の男が全く異なる評価をします。 他のレビューにもあるように、イザベラは本当に何を考えているのかわからない人で読むのがしんどいところがあるのですが、その一瞬の情景に、二人の男の魂の在り方と、イザベラが何を愛するかが映し出されます。謎すぎるイザベラの行動の意味がそこに集約しますので、読み飛ばさず頑張ってください。その価値はあります。 邦題と表紙の写真は内容とかなりずれているため、あまりとらわれずに読み進めてくださると幸いです。 | ||||
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まるでロマンス小説のような題名に変えてしてしまって、非常にもったいない。 小説の内容はもっと本質的なものをテーマにしているからだ。 世に染まらぬ崇高な魂の存在と、それを知らぬ普通の人々、それに気づき自己を変えられていく者など、相変わらずクリスティーはスゴい。 | ||||
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【ネタバレあり!?】 (1件の連絡あり)[?] ネタバレを表示する | ||||
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【ネタバレあり!?】 (1件の連絡あり)[?] ネタバレを表示する | ||||
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人間をここまで描いた作品はそうはないでしょう。愛の複雑な様子に納得。 深い本です。 | ||||
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とても分かりにくい小説でした。他の人達の解釈を知りたい! とりあえず私の解釈はこんな感じ↓です。 ネタバレです。 ゲイブリエルとイザベラが愛してあっていたのかというと、どうなんだろう…ゲイブリエルは惚れたのかも知れんけど…という印象。 でも別に愛じゃなくてもいいよね。 イザベラは、セント・ルーの安定した幸せから離れ、自分を変える為の人生の相手としてゲイブリエルを選んだのだと思う。 愛情だとか環境だとかそういう外的なものじゃなくて、与えられた環境に満足せず、何かを強烈に求め、失うことを恐れない、行き方というか生のあり方というか。 だから最後にゲイブリエルを庇う「選択」をしたことが、彼女の人生の勝利だった。 彼女は勝ちました。 ゲイブリエルは、ピサの宗教画の話があったように、これまでずっとお空の高いところにいる人から選んでもらえないっていう僻みに近いような鬱屈があって、だから行動も姑息だし、わざわざ見返りを求めるような偽悪的なところがある。 天国の住人でも、貴族でも、あこがれてるのにどうせ仲間に入れてもらえない入れないという不幸を感じている。 彼にとってイザベラは天国の入り口みたいなもんなんですよ。 認められたいって思ってるんだけど捻くれてるし妙なところで潔癖だから、籍は入れないし試すように酒に溺れたりしてる。 でもそのイザベラが自分を庇って死んだから、彼はもうその愛を確信するしかない。 天国の門が自分にも開かれていたことを認めるしかない。 他の方が「キリスト教的愛」について言及されてましたが、この辺なんじゃないでしょうか。 つまり、神の愛を確信した人間はよい人間とならざるを得ない。 だから、ゲイブリエルの英雄としての人生はイザベラの死から始まったのです。 | ||||
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届いた本はすべて状態良好。不満は一切ありません。丁寧ですが無駄のない梱包でした。完璧。 | ||||
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様々なの愛の形、愛し方が描かれていてさすが人物描写が上手いアガサらしい小説のひとつで、読みごたえあります。 また、イザベラ以外の登場人物のからみ、動きはイギリス社会を理解する上で非常に面白いし、イギリス的です。 しかし、、、メインの人物たちのからみは。。。。奥が深すぎて難しい。。!? それとも文化圏の違いで私が理解できないのか。。。 同じ女性だけど、イザベラには全く共感できません。 どなたかも書かれていましたが、イザベラが一番のミステリーかも。 同性としてこんな人いるのかなという感じがしましたが。なぜ彼女のような人物を描いたのか。 愛の形の一つとしてクリスティは描きたかったのか。 そう、対照的な愛の形のある一つとして。 もしこれがキリスト教文化圏、つまり欧米人にうけるとなると、やはり文化的背景・思想に裏打ちされたものなのでしょうか。 純粋な愛に見える自己犠牲は実は愛ではなく状況に陶酔した自己満足の自己犠牲であることは理解できる。 でも、その逆で全くの無私の自己犠牲は純粋なまっすぐな愛に見えて、実は単純に自分のやりたいことを貫いただけでは? ある意味それは西欧的博愛主義の愛のおしつけでは? また、自分が愛していたと思った相手は実は自分が都合よく理解していた相手で、本当は相手をちゃんと見てなかったとか。 本当に人を知るということを、恋愛感情を持ってるときは出来てないのかも。 もしくは、愛しているという激しい情熱だけでは、人はやはり理解できない。相手を幸せに出来ないのかもしれない。 「愛」というだけでも、かなり綿密に計算されてかかれています。そこはクリスティーらしさが光っています。 また、愛だけではなく、自分という人間をどう受け止め、認め、どう生きるか。 そして、どう死ぬかは結局その人がどう生きるかであった、そういったこともふんだんに含まれているように思います。 イザベラの一人勝ちという印象がぬぐえませんでした。キリスト教精神の博愛というよりは、 自分を一番良く知っていて、悩まない人間が幸せなのかなという気がしました。 皆さんはどうでしょう? 個人的にはすごーく難しい小説と感じました。こんなにうだうだ書いてしまうところもやっぱりミステリーだから?! また数年後読んだら印象が違うかしら。 | ||||
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こういう男を見ると きっと一部の女性の方はきっと 「イラッ」ときてしまうかもしれませんね。 この本に出てくる男は いわば「女の敵」という言葉がぴったりの男です。 つまり、一言で言えば 「自分本意」なやつなんですよ。 自分こそ一番、自分至上主義。 そのため政治界に立候補しておきながら その栄光を水の泡にする行動を 平気でやってのけるんですよ。 そしてその末には 将来が約束された 女性との駆け落ち。 だけれどもそんな自信満々な 彼にも唯一わからないものがあったのです。 それはその女性の心。 そう、女性の最期のときまで わからなかったのです。 この作品も人間というものの おろかさ、儚さを描いた作品です。 ハッピーエンドなんていう代物はありません。 だけれども、女性には 学べる要素が たくさん詰まった作品でもあるんですよ。 そう、ある夫人の描写なんていうものが それです。 気分の優れないときは 読まないことをお勧めいたします。 | ||||
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探偵ものでないので、なぜだろうと思いながら読み終わって、 解説を読んでわかりました。「アガサクリスティ」の作品でないことを。 「メアリ・ウェストマコット」の第4作とのこと。 The Rose and the yaw tree. というのが原作名とのこと。 内容からすると、こちらの方がピンと来ます。 作り、心理描写は、アガサクリスティものだという理解で読んでいて、違和感はありませんでした。 死に対する態度、人間に対する態度など、アガサクリスティの本質的なところがより強調されているような気もしました。 | ||||
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いつイザベラという、やや謎めいた感じのする女性の本心が わかるのかとひたすら読み進めましたが、 とうとう最後まで、彼女という女性が掴めないままでした。 まだゲイブリエルの方の気持ちは、理解できなくもないのですが 彼女の方は全く理解できませんでした。 ゲイブリエル初め、その他の人々は存在しそうな人々ですが。 それに比べてあまりにもイザベラが浮世離れし過ぎているというか、 非現実的な人物造形で。 なぜクリスティーが、このような女性像を創り上げたのだろう? としばし考え込んでしまった程です。 しかしテーマが「キリスト教的博愛をテーマに描く至上の愛」の ようなので、やはりイザベラという、果たして実在し得るのか?と 思ってしまうような女性が、 この物語では実在していたと素直に読むべきなのでしょう。 イザベラの人物造形に、リアリティーを求めてはいけない小説なのでしょう。 しかし、やはりイザベラのこのような人物象や、 ほとんど彼女の内面の吐露のようなものが見られないため、 大変に彼女への感情移入が難しく、 感動もできませんでした。 言うなれば、まるでどこかの教会で、 ある聖女の物語を聞かされたような気分です。 私にとっては、イザベラ自身が一番のミステリーでした。 やはりキリスト教徒の人々の方が、すんなりと感動できる話の ような気がしました。クリスティー自身も気に入っている作品のようですし。 かなりキリスト教的色彩が濃い小説のような印象を受けました。 | ||||
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人の心の何と計りがたいことか。そして、人の心の真相が、見る人によって様々に違って見えることの不思議さ、不可解さ。本書を読み終えて、まずそう思いました。 殺人事件などが起きる訳ではありませんが、人の心はミステリといった意味合いで言えば、『春にして君を離れ』同様、何とも味わい深く、強烈なミステリです。事故によって、身動きがままならなくなった男性、ヒュー・ノリーズ。彼が、コーンウォールの町で過ごした時に出会った人たちの行動や言動を、傍観者の立場から書き記していった第二次大戦下での記録。その記録の中から、ジョン・ゲイブリエルという男と、ファム・ファタル(運命の女)の役割を担うひとりの女性の姿が、生き生きと眼前に描き出されていきます。 なぜ、その時、そういう行動をとったのか? 本人にも定かでない、しかし、そうせざるを得なかった心の不可解さ、計りがたさが、ヒュー・ノリーズの記録を通して、読者の前に提示されます。この辺のクリスティーの筆致の精妙さ、おぼろげだったものが徐々に形を整えてくるプロットの力強さは、実に読みごたえがあるなあと唸らされました。ラスト一行に込められた意味深さ、その衝撃も、かなりのものがありました。結構くるものがありましたね、このラスト一行は。クリスティーが、メアリ・ウェストマコット名義で発表した1947年の小説。 原題は、The Rose and the Yew Tree 「薔薇とイチイの木」。 | ||||
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「春にして君を離れ」に続いて、読み終わった。第一印象は、この本のテーマは、すごく深くて難しいということだった。 「人は、人をどれだけ理解しているのか、どこまで理解できるのか」という深淵なテーマが横たわっている。「春にして君を離れ」の、「自分は自分をどれだけ知っているのか、理解しているのか」というテーマと対をなす作品として書かれたのかも知れない。この物語の語り手であるヒュー・ノリーズが語る、ゲイブリエルという男性とイザベラという女性。話の大部分は、ノリーズによって淡々と語られ、最後のゲイブリエルの2回の語りの中で、物語は一気の結末を迎える。と同時に、読み手は再び導入部のプレリュードに戻らざるを得ない。ノリーズの語りが淡々としすぎていて、結末までたどり着くのが危うくなりかけた。この作品は、最後まで読んで、初めて、価値がわかる作品であることは強調しておきたい。 | ||||
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クリスティの長編はすべて読破したと自負していた私ですが、こんな恋愛小説があったとは知りませんでした。もう、素晴らしいとしかいいようがないです。あらすじを書いてしまうとおもしろみがなくなってしまうと思うのであえて何も書きませんが、絶対お勧めします。一人の女を心から愛してしまったために全く変わってしまった男の人生を、その女を愛していた別の男の視点から描いた作品です。あとがきに書かれているとおり、最初の「つかみ」が絶妙すぎる。それに引っ張られて最後のページまで一気に読んでしまいました。最後の数ページでは思わず涙が出てしまったほど。多分何回も読み返すことになりそうな深みのある作品です。 | ||||
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