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娘は娘



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【この小説が収録されている参考書籍】
娘は娘 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

娘は娘の評価: 4.33/5点 レビュー 6件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.33pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全6件 1~6 1/1ページ
No.6:
(5pt)

メアリー・ウェストマコット名義の作品はもっと読まれていい

本作はアガサ・クリスティーがメアリー・ウェストマコット名義で発表した6作のうちの1作である。
母娘の愛憎、女性の生き方と幸福といったテーマで、ストーリー自体は、はっきり言うととテレビドラマのレベルである。
しかしそこはさすがにクリスティー、軽妙な会話とリズミカルな筆致で、読者を飽きさせることなく一気に読ませる。

クリスティーがメアリー・ウェストマコット名義で執筆した6作は、もっとスポットが当たってもよいのではないだろうか。
評者が読んだのは2018年7月25日3刷だが、2004年8月31日が初版なので、14年間で3回しか刷っていないことになる。少なすぎると感じる。
6作の中で有名なのは『春にして君を離れ』だが、『春にして〜』以外にも佳作はある。もっと読まれていいと思う。
娘は娘 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)Amazon書評・レビュー:娘は娘 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
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No.5:
(2pt)

こいつらはバカなのか?

ウェストマコット名義作品はこれで三作目。ファンの方には申し訳ないが、どの作品も登場人物の行動や心理が理解できず、共感もできず、したがっておもしろくなかった。

たとえば本作の主人公(母親の方)の婚約者は、母親の連れ子(娘)とまったく相性が合わず、大喧嘩ばかりしている。こんな事態になったらその母親と結婚してもうまくいくわけないんだからさっさと諦めた方がいいと思うんだが、グダグダと関係を続けて、結局大破局を迎える。

その当の母親も、娘と婚約者の二者択一を迫られて婚約者を振ったことをいつまでもグジグジと悩んで、以後の人生をすさんだものにしてしまう。あげく、婚約者を捨てるに至ったのは娘のせいだと信じて、娘の不幸を半ば無意識に期待する。そんな、すんだことをいつまでも悩んでいても何も良いことないのに。早く忘れて次の一歩を考えた方がよっぽど生産的ではないか。

前向きに生きられない、考えられない人もいるだろうし、それに同情はするが、そんな人たちのウジウジ、グジグジを読まされても、いらいらが募るばかりでおもしろくない。なんでこんな不愉快な話に付き合わされなくちゃ行けないのか、というのが正直な感想。

後半、本人たちが己の愚かさにやっと気づいてからは少し読めるようになったのと、友人と家政婦さんが良いキャラなので★2つ。
娘は娘 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)Amazon書評・レビュー:娘は娘 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
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No.4:
(5pt)

クリスティーの普通小説はもっと読まれるべき!

アガサ・クリスティーのメアリ・ウェストマコット名義による非ミステリの一冊。殺人の起きないクリスティーなんて、と最初は読むのを躊躇うのだけれど、いざ読み始めると一気に読了してしまうのが、このウェストマコットのシリーズだ。本書もそうしておずおずとページをめくっていたら、やめられない、とまらない、になった。
それでしみじみ思うのは、クリスティーの小説の魅力は、ミステリの場合においても殺人事件の謎そのものにあるのではなく、それを取り巻く物語にこそあるのだろう。語り口、プロット、心理的切れ味、どう呼んでもいいけれど、それは盛られる器を選ばない。恋愛小説でも、その魅力は減じない。何を今さら…といわれそうだが、非ミステリを読むと、そのことにあらためて気づかされるのである。
本書は50年代に書かれた母娘の物語。それぞれの恋愛模様を追いながら(これがミステリでは殺人事件に相当する物語の推進力になるのかな)、ふたりの長きに渡る確執を余すところなく描いた小説であり、譬えるならテネシー・ウィリアムズの戯曲のような痛々しさを伴って澱みがない。どうなってしまうのだ、と胸を鷲づかみにされながら、ぐいぐいと大団円まで引っ張られる。
甘っちょろいといえば、ハーレクインロマンスのような甘っちょろいところもあるような気がするけれど(読んだことはないのだが)、その甘さと意地悪さの匙加減がほどよくて、心地よく陶酔できた。クリスティーとは思われないほどの生々しさでセックスや麻薬についても取り上げられ、まるで「今」の小説を読むようであった。
ウェストマコットのシリーズは、もっと読まれてよいと思う。
娘は娘 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)Amazon書評・レビュー:娘は娘 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
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No.3:
(4pt)

親子関係の難しさ

この作品までは堕落はせずとも
これに近い関係になった
母親、もしくは娘さんは
いるのではないでしょうか。

自らの生活を
娘のために犠牲にしてしまって
それが仇になり
娘は引き離されたとたんに
堕落してしまう…

これに近い経験を
したことがありますので
この心情って痛いほどよくわかります。
言えることはどんなに親子であっても
他人なのです。
距離はやはり必要なんだな、
と感じました。

幸いにも堕落しきった
娘のほうには
彼女の気持ちをとてもよく知っている
元交際相手が堕落の根源から
彼女を救い出してくれます。

そして娘の思い込みで
自分の大切な人を
引き離されてしまった
母親に関しても
本当に彼女が必要とするような
人に出会います。
でも母親のそれに関しては
未来につながったのかもしれませんね。

こういう間の難しさを
味わった人にとっては
すごく同感だと思える作品でしょう。
そうでない人も、親になる人には
非常に参考になるかもしれませんよ。
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No.2:
(5pt)

アガサクリスティの3つの立場

アガサクリスティの3つの面がみごとに3人の女性として描かれているように思われる。

まず、未亡人の母親。
再婚をめぐる心の葛藤。
死別ではない、アガサクリスティからは、一番遠い性格のように見受けられる。

未亡人の母親の娘。
わがままだけど、反面大人びた考えの持ち主。
最後は、幸せを選択できるところは、一番アガサクリスティに似ているかもしれない。

未亡人の母親の友人。
著名人で、仕事上はアガサクリスティに一番近い役回り。
考え方、発言も、公式のアガサクリスティの言いたいことを代弁している。

それでも、未亡人の母親の性格の中に、ひょっとしたらアガサクリスティらしさが
織り込まれているような気がしたのは、設定のうまさだろうか、表現のうまさだろうか。

自分が選ぶアガサクリスティのベスト10に入れたい。
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No.1:
(5pt)

繊細なタッチでドラマティックに描かれた、女同士であるがゆえに起きた愛と憎しみの物語

「女系家族の中では男親が孤立する」とはよく言われることだが、同性としての母と娘が、堅く、強い絆で結ばれているのは、どうやら、洋の東西を問わない、人類共通の真理のようだ。しかし、デリケートで、言いたいことも言い合えない女同士のいさかいは、一旦こじれると、まことにやっかいだ。すれ違いがすれ違いを生み、お互いへのわだかまりは限界を越え、ときには修復不能となる。この作品は、そんな母と娘の、デリケートな女同士であるがゆえに起きた、愛と憎しみの物語である。夫の死後の16年間を、一人娘セアラのためだけに生きてきた、子離れできない41歳の母アン。母の溢れるような愛情を一身に注がれて育った、母離れできない19歳のセアラ。そんな母と娘の女同士の絆は、何者も入り込む余地がないほどの深いものに見えたのだが、突然現れた母の婚約者によって、あっけなく乱される。外部からの異分子の侵入に、激しい拒否反応を示す娘。そんな娘にいらだちを隠せない婚約者。優柔不断で、争いを好まない母は、そんな二人の和解に期待を繋ぎ、女らしい術策で、逃げの一手、現実を直視しようとしない。ここまでが、いわば、この物語の導入部だ。この再婚問題を契機に、母と娘の関係に大きな亀裂が入る中盤以降の展開は、繊細なタッチでドラマティックに描かれ、読者の集中力をそらさない。すれ違いがすれ違いを生み、知らぬ間に、お互いがお互いを傷付け合い、母と娘の間には、越えがたい深淵がひろがる。本人すら気付かない、あるいは、気付くことを拒絶する深層心理のなかで、母と娘の間に、一体、何が起こっていたのだろうか?
娘は娘 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)Amazon書評・レビュー:娘は娘 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
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