■スポンサードリンク
絆回廊 新宿鮫Ⅹ
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
絆回廊 新宿鮫Ⅹの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.14pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全77件 41~60 3/4ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
犯罪は、この数年間で、現実の方が小説の設定を追い越してしまっている。 というか、幾重にもウォールが張り巡らされ、高度に複雑になった犯罪を、人物の心模様を描きながら核心に迫っていく小説は、もはや追い切れなくなっているのではないか。 今回も、あれ以上、登場人物を増やしたら、筋を追うのが麻生幾の小説並みに難しくなってしまう。 「犯人が薄っぺらい」的な、この小説のレビューの数々を見て私が感じたのはそんなことだ。 新宿鮫はあくまで鮫島が主人公。 今回は、月日が経ち、人間が歳を重ねることの切なさ、残酷さがテーマだったのだろう。 「絆」と言われるつながりの中で、あらゆる舞台の状況が変わり、主役が交代している。 刑務所から出てきた犯人と、その息子。暴力団の親分と、当時の下っ端…。 自分は人生の主人公でいても、いつまでも社会の主役ではいられない。 歳を重ねた鮫島は、相手の気持ちや立場を思んばかるだけの経験を蓄積する一方で、刑事としての注意力が鈍り、桃井を失う。 そして晶は、スターダムにのし上がった故に狙われ、鮫島の元を去らざるを得なくなる。 理不尽としか言いようがないが、これも個人ではどうしようもないことだ。 大切なものを様々な形でもぎ取られていく、鮫島の切なさ。 この喪失感は、何かを失った者でないと共感できないだろうと思う。 そんな中で、ずっと社会からはみ出した存在として生きてきたトシミは、思いを遂げて幸福感に包まれる。 これを救いと言ってよいのかどうか。 あまりに小さな幸せなだけに、分からない。もっと人生経験が必要なのだろうか…。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
新宿鮫シリーズでは、ノンストップで疾走する『毒猿』と、丹念に登場人物の心情を描き込んだ 『風化水脈』が好きだ。対極にある両作品だが、徹底しているところが私を惹き付けた要因だと 思っている。 シリーズである以上、どうしても大好きな両作品と比較してしまうので、「絆回廊」はそれより 落ちる位置づけになってしまう。10作目ということで、かつてない大きな転換となるエピソード が織り込まれているものの、内容全体としては中途半端な感は否めない。 しかしながら、次回作ではどうなるのだろう?という含みをこれほど持たせたものは今まで無い。 まさかこのまま二人の関係がフェードアウトということも無いだろうから、次回作にはその辺り を、きっちりと描き込んだものを期待したい。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ネタバレあり。 今回鮫島が追う主人公の造形は、自分がどんなに泥を被っても自分に頼ってくる弱い「女」は守る,というスタンス。シリーズ最高傑作『毒猿』の主人公にも通じる、作者の好きなキャラクター。しかし、重要なことを誤解して大恩人を仇と勘違いしたり、徒らに暴れて刑期を長くするなど、あまり利口とは思えないので同情する気になれない。 鮫島が晶とついに別れたり、唯一の庇護者桃井を失ったりするシリーズの中でも重要な作品なのだからもう少し説得力あるエピソードにしてほしかった。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
桃井さんが亡くなったけど新宿署の人達が鮫島を独りではないとゆうことや、認めていると伝えてくれたことが嬉しかった。他の方はイマイチだったようですが、私はとても良い作品だと思いました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
満点を付けないのは、あくまでもこのシリーズにはこの上があるはずだと思うし、過去にもあったから。 でも、十分に楽しんだ。 読みながらほろりと来たなんてことは何年振りだろう。これこそがシリーズものの醍醐味だと思う。 泣けるサスペンス。 今作では、僕は泣きました。 展開がやけにすいすい進むので、重厚感は少し無いけれども、それでも、これは確かに「鮫」だった。 僕の好きな「鮫」の物語だった。 でも、もし、新宿鮫のこれまでをあまり読んでないのだったら、もったいないからこの作品は後に取っておいた方がいい。 ずっと読んで来てここに至った時、泣けるんです。 たとえば、副署長のあの言葉などに。どんな言葉かって? 是非、読んで共感して下さい。是非。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
新宿鮫シリーズ10作目となった「絆回廊」は、良くも悪くもシリーズのターニングポイントとなる作品になったと思う。 これまで鮫島を支えてきた二本柱を取っ払ってしまうという作者の判断には、寂しさと不満を感じる読者も多いのではないだろうか。 ただ、鮫島が33歳で新宿署に着任した当時、退官までまだ10年あると言われていた桃井警部の退官がいよいよ間近に迫ったと言うことは、それだけ鮫島自身も年齢を重ねたということに他ならない。 晶の年齢についてははっきりと書かれていた記憶がないが、二人が出逢った頃、20代前半だったとすれば、彼女も充分すぎるほど大人の女の年齢になった計算になる。 シリーズ初期の頃の関係のまま、これ以上話を進めるには無理があると判断し、作者はこの作品で鮫島を取り巻く環境に思い切ってリセットをかける道を選んだのだろう。 前作の「狼花」が少々生煮え感の残るできだったのに較べ、今回の「絆回廊」は話の厚みも緊迫感もたっぷりでとても面白かった。 だが、犯人の樫原が二十年以上も抱えていた「恨み」については、少々こじつけの感が否めなかったのが残念だった。 ここがきっちり納得できないと、話の展開に不満が残ることとなってしまうので、もう少し詰めて書き込んで欲しかったと思う。 少々尻切れトンボ気味のラストともども、今後の展開に期待して続編を待ちたいと思う。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
え?終わり?これで終わり? 「to be continue」だから、いいの? シリーズだから、これでいいの? 馬鹿にしないでくださいませ、でございますです! じゃなかったら、定価500円にしてくださいませでございます。 古本屋の105円コーナーで買えたら、買っても良いんじゃないでしょうか? 1日読み、読み捨て本としては、もちろん「水準」には達していますが、それにしても、なんなんですか? 日本人作家のこの、とくに構成に対する「推敲」や「工夫」のウスサさは? マーケット? 人気作家で、人気シリーズで、ファンがついているから、作家の気が向いて年に2〜3冊の数をだせば、固定的に売れる?そのほうが、売り上げを読める?あまり1冊にこだわっている時間なんかない? (引退してしまえ!編集者も!) そりゃそうだろうけど、それでいいんですかね? 「新宿鮫」ですよ。「新宿鮫」なんですよ。 だったら、他の仕事して金を稼ぎながら、「新宿鮫」だけは、プライドかけて、何年待たせても伊達じゃあないなと思わせるまで、じっくり書いてください。 少なくとも私は、同時代のライバルだけでなく、オールタイムのライバル(チャンドラーとか、鬼平には遠く及ばないまでも…)と比較しても、「新宿鮫」はお気に入りのシリーズでした。まだまだ将来性はあると思っておりましたのでございます。 でもでも…。 大沢さん、ほんとうに、飽きたのなら、『鮫』もうやめてもいいですよ。 と、結果的に思いました。 (ああぁ、ま〜た腹が立ってきた。) | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
おもしろかったです。 いくつもの筋が絡み合い徐々に緊迫が高まってゆく見事な構成。蘊蓄とドラマ部分のバランスもよく(大沢作品はどっちかに偏ることがあり、そうなるとぜんぶ読むのがつらい)、新宿鮫シリーズぜんぶは読んでいませんが、完成度という点ではかなり高いのではないでしょうか。 ああ大沢在昌の雰囲気に浸りてーという気分の夜に手に取って間違いのない一冊。 それにしても今後どういう展開になるのか、、、。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
大沢在昌の作品の出来には(私的には)結構むらがあり、 『心では重すぎる』や『ザ・ジョーカー』の様な☆☆☆☆☆もあれば 『魔物』や『パンドラアイランド』の様な今一歩の作品も少なくない。 従って、新作が出ても読んだり読まなかったり…。 それでも、やはり新宿鮫シリーズは別格で、“'I”から欠かさず読んでいたが 果たして“X”はどうなのか? はっきり言って、残念な出来である。 鮫島の行動や言葉にさして熱いものは感じられず、“晶”との会話もままごとじみている。 “桃井”はあっさりと姿を消す…。 そもそもあの孤高で、反骨精神にあふれ、タフな、そして熱くて熱い心を持った鮫島はどこに行ってしまったのか? さらに、なんといっても鮫島と対決する犯人?達の魅力が薄い。 たとえ狂気に満ちた犯人であってもその存在感は重く輝いていた。 例えば『毒猿』にしても『無間人間』にしても… それに比べ本作に登場する殺人犯もやくざもゲイも中国人も何と魅力のないことか… また、新宿歌舞伎町の風俗を描くことで世情を問うと言ったテーマ性も希薄だ。 新宿署の面々に同情すら買うようになってしまった鮫島は果たしてこれからどこに向かうのだろうか? | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
冒頭のモノローグで長期刑を終えた人物が、自分と妻子を裂いた警察官の殺害を企てているのが判り、やがて鮫島が知ることになる。 そして話は暴力団から、「金石」という警察をも怖れないグループが絡み、タイ、カンボジア、中・朝国境の麻薬ルートを織り込みながら目まぐるしく場面展開していく過程で、個性ある登場人物たちが躍動する。 そこには予期せぬ人物も現われ、鮫島は勿論だが、桃井の存在感が際立ち興味津々なのだ。 とはいえ、3/4辺りまでエンジンを全開させずに引っ張っていく所作は、その後の怒涛の100頁で充足された感はあるものの、重要人物の退場は惜しすぎる。 だからこそ、藪や取分け、印象の薄かった署長や副署長の科白に目頭が熱くなるのだ。 そして、かつて一匹狼だった鮫島を、ここへきて署員全員が絆回廊の中心に位置付けるようになり、新宿鮫の新たなスタートが始まる、と信じたい。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
一気に読み終えた。 この至福の時間を与えてくれた作者に感謝する。 そして、また鮫島に会える日を楽しみにしている。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
あっというまに10を読み終えた。4ヶ月くらいかかったがシリーズすべて10冊読み終えた。やはりこの作品は1−9を読んでから読むのが絶対にいい。9までの積み重ねがいたるところに潜んでいる。これは読んだ人にしかわからない。さすがに節目の作品だけあって読み応えがあった。他の人のレビューでもたくさんネタバレがあるのだが、本当に楽しむためには絶対に事前にレビューを読んではいけない。このレビューもしかり。 個人的には一番大切な脇役を失ってしまったと感じる。そこのところは本当に残念。その人に代わる、匹敵するキャラはもう生まれないのではないかと本当に思う。このあとの新展開に期待。きっと新しい新宿鮫が生まれることと思う。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
2011年発表の本作品は、「新宿鮫」シリーズの第10作になります。 思い起こせば、第1作が発表されたのは、1990年、その年の「このミステリーがすごい!」というランキングでも第1位となり、引き込まれて読んだのを記憶しています。 当時、「これでこの作者は10年は食っていける」という趣旨のことを述べた評者がいましたが、10年どころではなく、20年もの間、このシリーズは続いています。 第4作「無間人形」(1993年)では、直木賞を受賞し、このシリーズがメジャーとなっていったのは、読者としては嬉しい限りでした。 今回のストーリーの主軸は、「長六四(ながむし)」【長期刑のこと】を終えて出所した大柄の男が警察官殺害を目論んでいることを、鮫島が麻薬の売人から情報として掴むことから始まる。その大男は一体誰なのか、捜査を進める鮫島に立ちはだかるのは、謎の犯罪組織「金石」、また、署内では麻薬犯罪対策課との軋轢も生じる。 そんな折、恋人の晶の率いるバンド「フーズ・ハニイ」に麻薬の内偵が入ったとの情報がもたらされるが…。 5年ぶりの新作ですが、読み始めてすぐに、大沢節のストーリー運びにのめり込んでしまいました。 このシリーズは、「新宿」という巨大な街の裏で、本当に刑事と犯罪者の間の戦いが、このストーリーそのものではなくても、これに近いことが起こっているのではないか、と思わせるほど、現実味のある筆づかいであるというのが特徴。 第9作まで通読されている方なら、必ずや満足できる作品になっていると思います。 なお、未読の方は、ネットでの検索にご注意を。 「新宿鮫」で検索すると、上位に辞書的に使えるある有名サイトが出てきますが、今回新作を読むにあたり、頭の整理をしようと見てみたら、本作品の結末で明らかになるある重要な事柄が、さらりと記述されていました。 ここを読まなければ、もっと楽しむことができたのに…と、後悔することしきりです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
大沢氏のファンで特に「新宿鮫」シリーズは発売と同時に購入しています。 今回は久しぶりの「新宿鮫」シリーズということで非常にワクワクしながら読むすすめたのですが、何かがいつもと違います。 縦横の人間関係が複雑に絡みつつ一つの解決口に向かってゆくところは今までと同じで引き込まれるのですが、全体的に説明が多い気がして登場人物に感情移入するタイミングを見失いがちになります。 また、本シリーズのなかでは鮫島にとって最大の試練が降りかかるのですが、それが重なり合うことでそれぞれの重要性が軽くなっている感じもします。 ラストシーンに関しても今までの様なすっきり感というよりも喪失感のほうが大きく、これは主人公も読むほうもお互い年を取ったせいかもしれません。そのせいか、今までの躍動感みたいなものがあまり感じられませんでした。 はじめての方はもしかすると本作よりも以前の作品から入ったほうがいいかもしれません。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
前作『狼花』以来5年ぶりの待望の最新刊となる『新宿鮫』シリーズ。 本シリーズが始まって20年の歳月を迎えたが、本作は10作目となり、ひとつの区切りを迎えたせいかシリーズの中でも重要なターニングポイントを迎えた作品となっている。 今回は長期刑を終えて出所した伝説のアウトローが警察官を殺す事を知った鮫島が阻止するために捜索するなかで中国残留孤児二世の犯罪集団である『金石(ジンシ)』との攻防などを描いたスリリングな内容である。 今回の登場人物も犯罪を見逃してくれるかわりに鮫島に情報を与えて捜査に協力するクスリの売人・露崎、22年間の服役中ただひたすら復讐の想いを遂げて来た伝説の愚連隊・樫原茂、恩人である樫原に力を貸す栄勇会若頭補佐・吉田敏夫、樫原を慕うゲイバーのママ・笠置敏美(トシミ)、『金石』と関わりを持つ中国人実業家・陸永昌(ルー・ヨンチャン)、鮫島と晶の関係を嗅ぎまわる週刊誌記者・下里宏一、といった一癖もふた癖もある人物が錯綜するのも本作の特徴である。 今回のメインゲストとなる伝説の愚連隊としてケンカの達人でもある樫原茂にどこか花形敬を思わせるところがあり、また前作で警視庁を退職した香田元警視正が内閣情報調査室の関係者として再び鮫島の前に登場したのは嬉しかった(鮫島とは対立するもののやはり本シリーズには欠かせない大切な人物だ)。 しかし、上記に述べたように節目となる今回は、鮫島自身や『新宿鮫』という物語自体にもひとつの転機を迎えた内容となっており、鮫島と晶の関係にひとつの節目を迎える一方、ある展開に対して私自身、『相棒 -劇場版II-』を鑑賞した時と同様のかなりの衝撃を受けて残念な気持ちだった。 また、今回の結末の唐突さにも若干すっきりしないものの(この展開は次回に持ち越す予定なのか?)、これからの鮫島を取り巻く関係が今後どのようになっていくのか次回作が気になるところだ。 追伸…ちなみに私は本作を読む時は、鮫島を真田広之氏(注:その昔、本作の初めての映像化である作品で主役を演じていた当時)のイメージで読んでいるのですが、みなさんは誰をイメージして読んでいるんでしょうか? また現在だったら、どの俳優が鮫島にふさわしいのか気になります。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
久々の『新宿鮫』最新刊です。 『新宿鮫』の誕生から20年が過ぎ(鮫島や晶は一体いくつになるんだろう?)、このシリーズを十作目を迎えた今回も面白かったです。 出世作として作家・大沢在昌の名前を一躍世に広めた『新宿鮫』であるが、このシリーズにブレがないから今でもブランド力が強く、また中身も毎回それにふさわしい内容が描かれていますね。 ちなみに私は本作を読む時は、鮫島を真田広之(注:その昔、本作の初めての映像化である映画で主役をされていた当時)のイメージで読んでいるのですが、他の方は誰をイメージして読んでいるんしょうか? また今だったら、誰が鮫島にふさわしいのか気になります。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
久々の新刊なので前作までのストーリーはほとんど覚えてなかったのですが、途中途中に説明があり、だんだん思い出してきました。 他のレビューにもあるとおり、今回は鮫島の人間関係が色々変化します。書くとネタバレなのでこれ以上は書けませんが。。。 恨みのある警官を銃で殺そうとする大男がでてくるところから話が始まるのですが、大男の正体とは?恨みのある警官とは?そして謎の犯罪集団の正体とは? といった謎が最後まで話をぐいぐい引っ張って飽きません。 最後は読んでて涙ぐんでしまう展開になります。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
新宿鮫は何歳になったのだろうか?「実年齢などまったく関係ないから小説なんだ。」というご意見もあろうが新宿とういう街に根ざしたリアリティーこそが本シリーズの持ち味に違いないので、さすがに10作ともなると多少の違和感も湧く。もちろん「サザエさん」のような平和で日常的な作品であれば、そんなことはちっとも気にならないのだが、日進月歩以上の速さで変化を続ける街の表情を描き続けるには、どうだろう? もちろん勤勉に第1作から発売日を待ち望んで付き合っている読者には、最新作は最高のご褒美であり、一気読みの繰り返しであることは言うまでもないのだが、やはり刑事、犯罪モノの常として、死んでほしくないキャラクターを「殉職」させざるを得ない展開は「太陽にほえろ!」の昔からわかっているつもりだが、一抹の寂しさが残る。 たったひとりで自らの復讐を遂げるために暴れる犯人とその息子、そしてそれをずっと支えてきた「純愛」など読みどころは満載であり、小説としてのレベルもやたら高いので、単行本で買って読んでもまったく損はしないが、シリーズとしての「そろそろ感」も禁じえない。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
5年ぶりなんだけれど話としては前作からそう月日が経っていない設定なので、すんなりと筋に入っていけた。それでも細かな道具だては時代を反映しているあたりが、今、の小説なんだと感心する。はじめに出てくる犯人の出所を待ちわびる語り役なんかは、なるほど、在りか、と変に納得してしまった。 新宿鮫では犯人役が極悪人とは描かれないことも多い。毒猿なんかもそうだが、今回もある意味で本当の悪人は出てこない。それが、かえって悲哀を感じさせるのかなと思う。鮫島や晶たち登場人物の持つ矜持が、今度も丁寧に描かれていて、やっぱりどこまでいっても鮫島はかっこいい。今回は大事な人を亡くすという絶望がラストにあるが、これからの展開に少しだけ希望の光が見えなくもない。 昔NHKで新宿鮫を番組にしたときは、舘ひろしが鮫島役だった。舘ひろしもずいぶん歳をとったし、今なら誰がいいんだろう。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
新宿鮫です。久々の、新宿鮫です。 やはり、いままでより面白いものを期待するのが、 読者として当然でしょう。 ところが、私が今回なんとも納得できなかったのが、 悪役の魅力のなさ、です。 今までの「木津」君とか「真壁」君とか、魅力がありました。 悪として、一本通っている、というか。 ところが今回の犯人さんは、自分の思い込み・勘違いから スタートしているので、ただの「おばかさん」という感じで、 少しも同情できないし、感情も入っていかない。 シリーズの中で一番面白くなかったのが、その点です。 そして、他の方も書かれているように、薄っぺらい感じが 否めません。 なぜか。 それは、私自身が「新宿鮫シリーズ」に何を求めているか 分からなくなってきたからかもしれません。 もともと、ありえない・荒唐無稽なところが 新宿鮫のおもしろさだったのに、今はリアリティも求めている 自分がいて、よく分からなくなってきてしまいました。 初期の、作者の突っ走り感とともに、何も考えずに自分も 怒濤のように読み進めて突っ走っていた頃が 楽しかったなあ。 でも、もし次回作が出たら、読みます。必ず。 大沢さん、がんばって下さい。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!