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マルドゥック・ヴェロシティ
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【この小説が収録されている参考書籍】
マルドゥック・ヴェロシティの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.35pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全46件 21~40 2/3ページ
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マルドゥック・スクランブルの前日譚にあたる、ボイルドとウフコックを中心とした物語です。 他のレビューにもあるように、文体はやや特徴的ですが、慣れてしまえばこれほどスピード感と臨場感がある文体はありません。 物語は前作でバロットを救ったオーナインの機関がいかに成立したのかというところから始まります。 ボイルドを初めとして、そこに参加する個性豊かな”被験者”達は見ていて飽きません。 アニメで例えるなら『攻殻機動隊stand alone complex』の公安9課の様な精鋭部隊です。 この被験者達がだんだんと陰謀に巻き込まれていく訳ですが、そこには独特の文体で描かれる戦闘シーンと、 刑事ドラマのようなミステリーやサスペンスが織り込まれていて、前作とはかなり雰囲気が違います。 マルドゥック・スクランブルの話を意識して読むと多少の裏切りがあるかもしれませんが、それを補って余りあるほどの読み応えです。 マルドゥック・スクランブルの世界観をより魅力的なものにした本作は是非読んでもらいたい作品です。 | ||||
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マルドゥック・スクランブルの前日譚にあたる、ボイルドとウフコックを中心とした物語です。 他のレビューにもあるように、文体はやや特徴的ですが、慣れてしまえばこれほどスピード感と臨場感がある文体はありません。 物語は前作でバロットを救ったオーナインの機関がいかに成立したのかというところから始まります。 ボイルドを初めとして、そこに参加する個性豊かな”被験者”達は見ていて飽きません。 アニメで例えるなら『攻殻機動隊stand alone complex』の公安9課の様な精鋭部隊です。 この被験者達がだんだんと陰謀に巻き込まれていく訳ですが、そこには独特の文体で描かれる戦闘シーンと、 刑事ドラマのようなミステリーやサスペンスが織り込まれていて、前作とはかなり雰囲気が違います。 マルドゥック・スクランブルの話を意識して読むと多少の裏切りがあるかもしれませんが、それを補って余りあるほどの読み応えです。 マルドゥック・スクランブルの世界観をより魅力的なものにした本作は是非読んでもらいたい作品です。 | ||||
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マルドゥック・スクランブルの映画化をきっかけに冲方丁作品に手を出してみようと思い、 書店で表紙や裏表紙のあらすじ等を比較してみて、ハードボイルドさを窺わせるヴェロシティを手に取りました。 ほんの軽い気持ちでページを開いて驚いたのが、スラッシュを多用する文体でした。 最初の頃こそ「こんなもの読めるんだろうか」とおそるおそる読んでいたものでしたが、 情景を描写する単語を直接読み込むため単語一般的な小説の文体に比べてイメージが脳裏に浮かびやすく、 小説を読んでいるのにまるで映画やアニメを見ているような感覚に陥ってからは、 それこそ「加速」するように1巻を読了してしまいました。 助詞や接続詞などの余分な情報を挟むことなく、直感的に読み手に情景描写を届ける文体であり、 スラッシュの前後で「今見ている風景」と「ビジョン」が同じ一文の中に並存する、というのは ちょうど読み手がボイルドの視界を通してマルドゥック市を見ているよう。 また、戦闘描写も秀逸でした。 初めてボイルド達による戦闘が行われた場面では、「文字を読んでいる」感覚がなく、どちらかというと 手に汗握るアクション映画を見ていたようです。 映画館の真っ暗闇の中、両脇の他人の存在を忘れてスクリーンに熱中していた、あの感覚が重なります。 戦闘でもスラッシュが使われていますが、こちらは行動の移り変わりの間にスラッシュを挿入するため、 まるで映画のフィルムのような様相を呈しています。 どちらもスラッシュが邪魔にならず、無意識のうちにそれを拾うことで、同時に流れの微妙な切れ目も 読み手の受け取る情報に滑り込ませ、読み手を心地よい言葉のリズムにのせてくれる気がしました。 スクランブルの改訂にあたり文庫本のページ(大きさや行数、字数)に合わせて文章を整えた、と 著者が自身のブログで言及されていますが、「読み手がひとかたまりの情報をどう受け取るか」について ここまでしっかりとお考えだからこそ、こうした読み手の「加速」が可能になったのでしょうか。 ただただ脱帽です。 以上は個人的な感想であり、先達の方々が仰るように、文体が受け付けるかどうかは人によりけりです。 (私はレギュラーメンバーの紹介が済んだあたりから文体が気にならなくなりました) ですが、文体で購入をためらわれるのであれば、是非、試しにお買い上げになることをお勧めします。 冲方作品初心者が数分読み始めただけでぐいぐい引き込まれてしまってすっかり冲方先生のファンになる くらい、魅力的な小説だと思います。 | ||||
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マルドゥック・スクランブルの映画化をきっかけに冲方丁作品に手を出してみようと思い、 表紙や裏表紙のあらすじ等を比較してみて、ハードボイルドさを窺わせるヴェロシティを購入しました。 ほんの軽い気持ちでページを開いて驚いたのが、スラッシュを多用する文体でした。 最初の頃こそ「こんなもの読めるんだろうか」とおそるおそる読んでいたものでしたが、 情景を描写する単語を直接読み込むため単語一般的な小説の文体に比べてイメージが脳裏に浮かびやすく、 小説を読んでいるのにまるで映画やアニメを見ているような感覚に陥ってからは、 それこそ「加速」するように1巻を読了してしまいました。 助詞や接続詞などの余分な情報を挟むことなく、直感的に読み手に情景描写を届ける文体であり、 スラッシュの前後で「今見ている風景」と「ビジョン」が同じ一文の中に並存する、というのは ちょうど読み手がボイルドの視界を通してマルドゥック市を見ているよう。 また、戦闘描写も秀逸でした。 初めてボイルド達による戦闘が行われた場面では、「文字を読んでいる」感覚がなく、どちらかというと 手に汗握るアクション映画を見ていたようです。 映画館の真っ暗闇の中、両脇の他人の存在を忘れてスクリーンに熱中していた、あの感覚が重なります。 戦闘でもスラッシュが使われていますが、こちらは行動の移り変わりの間にスラッシュを挿入するため、 まるで映画のフィルムのような様相を呈しています。 どちらもスラッシュが邪魔にならず、無意識のうちにそれを拾うことで、同時に流れの微妙な切れ目も 読み手の受け取る情報に滑り込ませ、読み手を心地よい言葉のリズムにのせてくれる気がしました。 スクランブルの改訂にあたり文庫本のページ(大きさや行数、字数)に合わせて文章を整えた、と 著者が自身のブログで言及されていますが、「読み手がひとかたまりの情報をどう受け取るか」について ここまでしっかりとお考えだからこそ、こうした読み手の「加速」が可能になったのでしょうか。 ただただ脱帽です。 以上は個人的な感想であり、先達の方々が仰るように、文体が受け付けるかどうかは人によりけりです。 (私はレギュラーメンバーの紹介が済んだあたりから文体が気にならなくなりました) ですが、文体で購入をためらわれるのであれば、是非、試しにお買い上げになることをお勧めします。 冲方作品初心者が数分読み始めただけでぐいぐい引き込まれてしまってすっかり冲方先生のファンになる くらい、魅力的な小説だと思います。 | ||||
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いや〜、前作に続けて一気に読んでしまいました! 文体に一瞬戸惑いを覚えましたが…。どちらかというとシナリオに近い感じがしましたね。ちょっと実験的な文章。 前作に負けず劣らず、でも、どちらかというと前作より面白いかも知れません。前作では敵役だったボイルドですが、この作品を読んで初めて彼の心理に多少納得がいった感があります。どちらかというと言葉の少ないボイルドはかなり誤解を抱かれ易い人物のようです。 それぞれの登場人物の心理はちょっと書き切られていない部分もあるので、もう少し冊数を増やして読んでみたかったような気がします。 私はウフコックがかなりお気に入りなので、もう少し彼の言動を見ていたい。 是非、このシリーズの続きを読んでみたいですね。作者に期待しています。 | ||||
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マルドゥック・スクランブルの前日譚の最終巻。いよいよ、主人公、ディムズデイル・ボイルドの戦いが終わりを告げる。 カトル・カールとの戦い、仲間の裏切り、そしてさらにはウフコックとの別れ。マルドゥック・スクランブルにようやくつながる。 全編、血塗られた暴力に彩られているが、そこに潜む虚無感。単なるバイオレンスアクションではない。 第三作も出るようなので、期待したい。 それと、なぜかこの本は著者のサイン入り。お気に入りの一冊になりそう。 | ||||
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『マルドゥック・スクランブル』の続編の第二巻。 いよいよ、マルドゥック・スクランブルの強敵、極悪の拷問集団?!のカトル・カールが正体を現した。 その行いの非道さは読んでいても気持ちが悪くなるぐらいだが、しかし、戦う相手は強すぎるぐらいの方が面白い。 また、ヴァンプ、ナタリア・ネイルズとボイルドの絡みも、なんだかハードボイルドミステリを思わせる。そうだよな、このシリーズは、SFの設定や過剰なまでの暴力性に彩られているけど、その根底には、チャンドラーみたいなロマンチシズムが流れているような気がする。 第二巻の最後は、ナタリアに危機が迫るところで終わるが、続きがどうなるのか気になってしょうがない。 | ||||
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『マルドゥック・スクランブル』の前日譚。ちょうど、「スクランブル」が漫画化されたので、未読だった「ヴェロシティ」を読み始めたところ。第1巻では、ウフコックやボイルド達がなぜ、「マルドゥック・スクランブル-09」の任務に就くようになったかが描かれる。 そして、マルドゥック・シティでの彼らの凄絶な戦いが始まる。 『マルドゥック・スクランブル』は傑作だったけど、この「ヴェロシティ」もそれに負けないくらいの出来。なぜ、今まで読まなかったのが不思議なくらい。 吐き気を催すぐらい血腥く、救いのない暴力とそこに潜む虚無感に引きつけられる。 まだ、第1巻は序章に過ぎないが、これからの展開の予感に心が躍る。 | ||||
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本編よりむしろこちらのほうが面白い。 戦闘シーンと記憶のフラッシュバックが混ざった内容で、戦闘シーンは本編と同じような流暢な文章、フラッシュバックのほうはわざと断片的な言葉を使う感じ。 そして、その予告編みたいな断片の間に、過去の輪郭が浮かび上がる。 ここまで来たらかえってボイルドとウフコックへの興味が減り、三博士の対峙への興味が湧いてきた。面白い世界構成だ。 | ||||
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日本SF大賞を受賞したマルドゥック・スクランブルの続編。 少女娼婦バロットと中身親父の万能ネズミ型アイテムウフコックの魅力的なコンビが活躍する前作とはまた違い、より人の醜さや都市の暗黒面が描かれてます。 「/」や体言止めを多用した独特の文体には最初面食らうけど慣れれば疾走感を生み出すこのテンポが心地よくなる。 やや「〜ように」という直喩の多用が気になるけど比喩も上手いし銃撃戦のシーンは迫力たっぷりでかっこいい。 寡黙な主人公ボイルドと相棒ウフコックの心温まる交流はもちろんユーモアに富む仲間内の会話ややりとりが痛快(「誰か外傷性ストレス障害を抱えてしまった者はいるかね?」「そりゃお前のダチの名前か?」/「「あたしが上に乗ってもいいか聞きたいね」「上下関係を巡るトラブルはパートナーシップにつきものだ」)。 魅力的な悪役にも注目。 個人的には若き野心家ギャングにして屈指のガンファイターニコラス・ネイルズがお気に入り。「棺桶に杭を打ってやるぜ」の決め台詞に痺れる。 拷問シーンなどえぐくてグロテスクな描写を含むので好き嫌いは分かれそうだけどハードボイルド六割SF色四割くらいの比率の小説が無性に読みたい人には猛烈におすすめ。新旧世代交代に火花を散らすギャングの抗争や資産家一族の暗闘などが結構な密度で書き込まれてます。 スクランブルは正直SF色が強くて最初に読んだときはぴんとこなかったんですが(バロットが蘇生する過程とかカフェのシーンとか)こっちはすんなり世界観に没頭できました。ボイルド以下09のメンバーは各々肉体的な改造を加え特殊能力をもってるんだけど、カラクリ仕掛け的なギミックを応用したアクションシーンは難しい知識がなくてもテンポが良いんでノリで読めます。 余談ですが大森望氏の「冲方丁が書く忍法帖」という発言には全然そんな発想なかったんでびっくりしました。 まあ確かにそう読めなくもないけど…。 | ||||
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前作「マルドゥック・スクランブル」を超える超大作。 読後、しばし呆然としました。 独特の文体に、最初、抵抗を感じるものの、しばらく読み進めると、逆にハマッていきます。 というのは、スラッシュ多用のこの文体は、アクションシーンにおいて特に効力を発揮します。 通常の文体に比べて情報量が圧倒的に多く、まだろっこしい場面説明に文章を費やすことなく、 スピーディーかつスリリングにアクションシーンを展開させます。 これが実に心地よい。 ある意味、映画以上に、ビジュアル的な手法であると思いました。 テーマがテーマだけに、吐き気をもよおすようなシーンもありますが、 前作以上に、登場人物たちの造形描写も鋭く、重厚感あふれる作品。 前作をお読みの方は、ぜひご一読を。 | ||||
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複雑で錯綜した全ての物語、現れた人物、成した行為 その全てが反転して飲み込まれる。 まるでウフコックが道具を吐き出し、約束された最後の姿体現するかのように 信頼と絆、裏切りと拒絶 全てが喰らい合い零となる最終巻 しかし残った物はある、スカスカになった頭にわずかな快感が残った。 | ||||
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複雑で錯綜した全ての物語、現れた人物、成した行為 その全てが反転して飲み込まれる。 まるでウフコックが道具を吐き出し、約束された最後の姿体現するかのように 信頼と絆、裏切りと拒絶 全てが喰らい合い零となる最終巻 しかし残った物はある、スカスカになった頭にわずかな快感が残った。 | ||||
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ダッシュとスラッシュを多用した文章は慣れるまで読みづらく、また、序盤で主要キャラクターがたくさん登場するので、とっかかりはあまりよくありません。最初さえ我慢すれば、残りは面白く読めると思います。 この物語の結末を知っているせいか、09メンバーが成果を挙げて法案が軌道に乗れば乗るほど、いつか待っている破滅が頭をよぎって哀愁を感じてしまいます。ダッシュやスラッシュを多用しているために生まれるスピード感が、登場人物たちの刹那的な人生を暗に表してるんじゃないかと感じました。 次が楽しみです。 | ||||
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スクランブルを価値の創成と位置付けるならば ヴェロシティは価値の失墜かもしれない。 前作に比べ、ハードボイルドな要素が多分に加味され、 ミステリ小説としてもなかなか読ませてくれる今作品。 過去に犯したボイルドの罪と罰。その浮かぶ事のない淵から救いだしたウフコック。 友情と一括りには出来ないパートナーシップがボイルドを虚無へと加速させる。 平易に言えば、仲間を助ける為に、自らが悪になるというありがちなテーマであるが、 読み終えてから再びスクランブルを読むと、ボイルドのウフコックに対する想いは、やはり悲しく、切ない。 ※文体について /(スラッシュ)等、初めは読みにくいのは確かです。 ただ、読み手の脳内に情報がバンバン打ち込まれていく感覚は気持ちいいし、 何よりボイルドの端的、客観的かつ淡白な視点が体現されていると思います。 | ||||
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まずは総評から これは極長の外伝と極短の続編を組み合わせた作品であり マルドゥックシリーズとしては"条件付き"の満点 設定は大雑把に見えて緻密、特に主役たる陽気な09メンバーに潜み込む狂気と、敵集団「カトル・カール」が見せる狂気の中に底付くロジカルな面はキャラに厚みを与えている 展開も二巻末から続く流れは正にヴェロシティの名に恥じず、そのスピード感に乗じて一気に読めた 文体はこの巻になれば特に気にならなかった、少々風変わりであるもの全編波乱あり、ロマンスもあり、決着もきちんとありでシリーズとしての完成度は高い 問題点はシリーズ故か作品として独立していない事 一段の決着は見せたものの、サイドストーリーではない本当の続編無しには消化できない程伏線を張っている という訳で続編を出すなら満点、出さないなら最後に未消化感を与えた作品という事で四つ星を、伏線を見ると前者に見えるので当面の評価は五つ星で | ||||
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あの読み難い文体はエルロイとかいう人へのオマージュ 何ですか。 しかしやっぱり読み難いのはいやです。 〜スクランブルの背景を明らかにしてくれているところは 嬉しいのですが... 気になった点として、ボイルドの性格はスクランブルに連続的につながっていない気が する。というのがあげられます。あの娘が生きているうちは死に急いだりしなそうだけれども。他の人が覚えているからいいのかな? 最後の思わせぶりな文章だけで、〜スクランブルの続編が 書かれないとしたら、星2つほど下げたいです。 | ||||
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あのマルドゥック・スクランブル全3巻の続編、というかあの世界のシリーズとしてのマルドゥック・ヴェロシティの評価は非常に辛めで星2つでもいいくらいだと思います。 前作が非常に斬新かつ綿密に練られた文体及び構成でぐいぐいと読者を引き込むタイプのエンターテイメント性の高い作品で、主人公の少女の非日常的日常と暗黒世界のフリークスの対比、世界観の設定やウフコックのギミックといったものが非常に全3巻にわたってバランス良く主人公の復讐と絡めて、よく書かれていただけに、贅沢を言いたいのかもしれません。 前作で、近親相姦、未成年虐待や法廷論争、アンダーグラウンドな匂いの犯罪の数々、フリーキーな軍事的/趣味の肉体改造と色々詰め込んでいるのなら、今作では、それをもっとセンセーショナルにスケールアップしたほうが、ファンには分かりやすいとは思うのですが、その作戦で行くならば、肉体改造組の他に、どのキャラクターが近親相姦担当で、どのへんがフリークス担当...というのが、ある程度名前や登場の仕方から想像が付きそうなのは、残念です。 しかも前作が主人公の生存のためという前向きなテーマだったのにくらべ、今作は主人公(前作の敵役)がマルドウック・スクランブルに至る前に全てを失っていくその経緯という、ダークなもの。今回の主人公は虚無というか死に向かって突っ走るしかないというテーマはもうちょっと丁寧に扱って欲しかったかなと思うのは、わがままなのでしょうか? 今回は、文体はよく言えば実験的、悪く言えば手抜きな印象で、ウブカタ得意の言葉遊びがなんだか煩雑に感じます。構成も、一巻でほとんどの主要キャラクターが登場しているらしい割に、文体のせいで各キャラクターの個性が分かりやすく描かれているとは感じられないため、2巻に期待していいのか、それとももっと文章と構成を練ってくれと苦情を言っていいのかも分かりません。この文体で、英単語や外来語のルビが多いと実力のない翻訳者が訳した海外ものを読まされているみたいなのも減点の要因。ここまでやられると、読んでいて、著者がのたうちまわりながら書いているような痛さがあるような気がして、ストーリーの骨格としてはエンターテイメント性があるのに読んでいて辛い作品と個人的にいうしかありません。 クレージーな世界観と、各キャラクターごとの綿密なSF的ギミックの割り振り方の対比は面白いと思うんだけど、圧縮進行というか、尋常ならざる速度(ヴェロシティ)で暗黒面に突っ走る感じだけの内容だと...内容如何では二巻目でげんなりしてしまいそうな予感。 以上の事は、マルドゥック・スクランブルの続編としてこの作品を読んだ感想。 もし、前作を未読ならば、やけにセンセーショナルで、文も荒れている感じだけど、荒唐無稽で面白いSFじゃんと、次巻を素直に待ち望んだ事だと思います。もしそうだったら、星4つくらいの評価だったんじゃないかと。 だから、間をとって星3つ。 | ||||
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あのマルドゥック・スクランブル全3巻の続編、というかあの世界のシリーズとしてのマルドゥック・ヴェロシティの評価は非常に辛めで星2つでもいいくらいだと思います。 前作が非常に斬新かつ綿密に練られた文体及び構成でぐいぐいと読者を引き込むタイプのエンターテイメント性の高い作品で、主人公の少女の非日常的日常と暗黒世界のフリークスの対比、世界観の設定やウフコックのギミックといったものが非常に全3巻にわたってバランス良く主人公の復讐と絡めて、よく書かれていただけに、贅沢を言いたいのかもしれません。 前作で、近親相姦、未成年虐待や法廷論争、アンダーグラウンドな匂いの犯罪の数々、フリーキーな軍事的/趣味の肉体改造と色々詰め込んでいるのなら、今作では、それをもっとセンセーショナルにスケールアップしたほうが、ファンには分かりやすいとは思うのですが、その作戦で行くならば、肉体改造組の他に、どのキャラクターが近親相姦担当で、どのへんがフリークス担当...というのが、ある程度名前や登場の仕方から想像が付きそうなのは、残念です。 しかも前作が主人公の生存のためという前向きなテーマだったのにくらべ、今作は主人公(前作の敵役)がマルドウック・スクランブルに至る前に全てを失っていくその経緯という、ダークなもの。今回の主人公は虚無というか死に向かって突っ走るしかないというテーマはもうちょっと丁寧に扱って欲しかったかなと思うのは、わがままなのでしょうか? 今回は、文体はよく言えば実験的、悪く言えば手抜きな印象で、ウブカタ得意の言葉遊びがなんだか煩雑に感じます。構成も、一巻でほとんどの主要キャラクターが登場しているらしい割に、文体のせいで各キャラクターの個性が分かりやすく描かれているとは感じられないため、2巻に期待していいのか、それとももっと文章と構成を練ってくれと苦情を言っていいのかも分かりません。この文体で、英単語や外来語のルビが多いと実力のない翻訳者が訳した海外ものを読まされているみたいなのも減点の要因。ここまでやられると、読んでいて、著者がのたうちまわりながら書いているような痛さがあるような気がして、ストーリーの骨格としてはエンターテイメント性があるのに読んでいて辛い作品と個人的にいうしかありません。 クレージーな世界観と、各キャラクターごとの綿密なSF的ギミックの割り振り方の対比は面白いと思うんだけど、圧縮進行というか、尋常ならざる速度(ヴェロシティ)で暗黒面に突っ走る感じだけの内容だと...内容如何では二巻目でげんなりしてしまいそうな予感。 以上の事は、マルドゥック・スクランブルの続編としてこの作品を読んだ感想。 もし、前作を未読ならば、やけにセンセーショナルで、文も荒れている感じだけど、荒唐無稽で面白いSFじゃんと、次巻を素直に待ち望んだ事だと思います。もしそうだったら、星4つくらいの評価だったんじゃないかと。 だから、間をとって星3つ。 | ||||
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『マルドゥック・スクランブル』を読んでいたら、ボイルドとウフコックが袂を分つエピソードについて触れられていた。 かつての盟友が殺し合わなければならなかったのはなぜか。 その理由を知りたかった。その結果が変らなくても。 だから、『マルドゥック・ヴェロシティ』を読むことにした。 ボイルドは圧倒的な速度で臨界点を突破し、自身の虚無に呑み込まれる。 これは、ボイルドが死の瞬間に見た、生という一時の夢の話だ。 非情だけれど、希望を見出すことは難しい。 ボイルドが絶望する様を、そしていつしかその絶望にさえ麻痺していくのを、ぼくは見た。 ここにいるのは虚無たちだ。 人外の肉体と精神を持つ、虚無たちの物語だ。 まともな奴なんて誰もいない。 全員が全員狂っている。救いを求め、虚無に呑み込まれる。 ぼくは虚無たちが何を思ったのか興味を持った。 でも、それは叶わない。 これはボイルドの物語だから。 この本を手に取る人は、『マルドゥック・スクランブル』も是非読んでほしい。 もし希望を見出したいのなら。 | ||||
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