麒麟児
- 幕末 (129)
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・勝海舟を描くとなると、彼の「氷川清話」を如何に越えるか、これが今流で云えば『壁』となる。 この小説でも、「一人称」に非ずともそれに近く、べらんめえ口調の筆致で、海舟の手柄話が主体。 具体には、慶喜を筆頭に幕府要人は、海舟を登用した阿部正弘や共に幕末処理に当たった大久保一翁を除き、挙って能無しで右往左往する体たらく、海舟だけが時勢を完全に読み、僅かに山岡鉄太郎・西郷隆盛の理解を得、手配り鮮やかに江戸無血開城に漕ぎ着ける、となる。 「光圀伝」を、大所高所から描き切った冲方氏にしてこの様か、「清話」を脱し切れずに、敢えて上梓が残念に思えて仕方ない。 | ||||
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大体幕末は幕末でおわるか、日清まで飛んだりするイメージだけど、無血開城という歴史的な偉業を成し遂げた勝と西郷の交渉を勝の視点で描く。優れているが故に敵も多く慶喜にも嫌われたとされる勝の苦悩とその活躍を描く | ||||
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江戸城無血開城は良く知られた話だが、この小説は特に新しい視点などを提示するわけでもなく、真正面からこの史実を取り上げている。が、そこは流石冲方丁で、息詰まる心理戦による交渉劇を濃密に描き、実に読み応えがあった。作者の代表作マルドゥックシリーズにも通じる手触りで、このような心理戦なら独壇場である。 歯応えのある、歴史小説好きにオススメだ。史実を基に、勝海州と言う傑物の心情を描く、作者の腕が冴えている。 | ||||
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冲方丁氏は留魂の碑を見て、勝の西郷に対する敬慕の情に深く感動したのではないかと思う。 それを一冊の書にしたのではないかと思う。 | ||||
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この小説のポイントは「呼吸」にあると感じました。呼吸に関する描写が多い。たとえば―― 山岡(鉄太郎)が深々と呼吸した。体内にわきかけた激情をすっかり吐き出したのだ。見事な息づかいだと勝(麟太郎)は内心で大いに誉め……云々。[文庫本五四ページ] 山岡が音を立てず、深く息吹をするのが勝に伝わってくる。それで、死を決する覚悟をただちに抱いてくれたのがわかった……云々。[同一八八ページ] 勝は寝っ転がったまま禅の息吹を繰り返し、心に起こる様々な思いを味わい、やがて本当に清々しい気分に満たされた……云々。[同二四九ページ] 剣禅一如といわれます。剣も禅も奥義は同じ。無念無想の境地に立つこと。勝ちたいとか、怖いとか、嬉しいとか、悲しいとか、そうした雑念を払拭した心の状態をいいます。 ここでいう禅とは、たんに禅宗という一宗派をさすのではなく、「禅定(ぜんじょう)」という仏教の基本となる修行を意味すると考えていいでしょう。 欧米では昨今、「マインドフルネス」と呼ばれる瞑想法が流行(はや)っています。今この瞬間の自分の心に意識を向ける。ストレス軽減や集中力の向上に役立つとされています。 『サピエンス全史』などの著作で知られるユヴァル・ノア・ハラリ氏も、ヴィッパサナー瞑想をしているそうです(『21 Lessons ――21世紀のための21の思考』柴田裕之訳、河出書房新社、三九九ページ)。自分もふくめて、すべてをありのままに観察する。法華経如来寿量品に説かれる「如実知見三界之相(如実に三界の相を知見する)」ということですね。 ハラリ氏はその瞑想を、一日二時間するそうです。いやはや、敵(かな)いません。 瞑想法の要(かなめ)となるのは、腹式呼吸です。吸気(吸う息)と呼気(吐く息)のリズミカルな呼吸法が、心身を健やかに整える。 スポーツでも、呼吸は大事です。運動神経は、呼気のとき活性化し、吸気のときは沈静化する。 日本語には「腹」を使う言葉がけっこうあります。腹が立つ、腹が据わる、腹を決める、腹を割って話す、腹黒い奴、腹悪(あ)しき人、などなど。 その点、ものごとの決め方も、西洋と日本とでは異なるように思われます。つまり、西洋人は「頭」で決める。しかし、日本人は「腹」で決める。 江戸城無血開城をめぐる、勝と西郷の駆け引きは有名です。両者の丁々発止のやりとりは、まさに「腹式」交渉劇。理屈(=頭)ではなく、胆力(=腹)の真剣勝負として描く。そこに、作者の斬新な意図があると感じました。 | ||||
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