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麒麟児



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【この小説が収録されている参考書籍】
麒麟児

麒麟児の評価: 3.87/5点 レビュー 15件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.87pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全15件 1~15 1/1ページ
No.15:
(2pt)

「氷川清話」の域、脱し得ず!

・勝海舟を描くとなると、彼の「氷川清話」を如何に越えるか、これが今流で云えば『壁』となる。
 この小説でも、「一人称」に非ずともそれに近く、べらんめえ口調の筆致で、海舟の手柄話が主体。
 具体には、慶喜を筆頭に幕府要人は、海舟を登用した阿部正弘や共に幕末処理に当たった大久保一翁を除き、挙って能無しで右往左往する体たらく、海舟だけが時勢を完全に読み、僅かに山岡鉄太郎・西郷隆盛の理解を得、手配り鮮やかに江戸無血開城に漕ぎ着ける、となる。
 「光圀伝」を、大所高所から描き切った冲方氏にしてこの様か、「清話」を脱し切れずに、敢えて上梓が残念に思えて仕方ない。
 
麒麟児Amazon書評・レビュー:麒麟児より
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No.14:
(5pt)

面白かったです

大体幕末は幕末でおわるか、日清まで飛んだりするイメージだけど、無血開城という歴史的な偉業を成し遂げた勝と西郷の交渉を勝の視点で描く。優れているが故に敵も多く慶喜にも嫌われたとされる勝の苦悩とその活躍を描く
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No.13:
(5pt)

息詰まる心理戦による交渉劇は、作者の独壇場。

江戸城無血開城は良く知られた話だが、この小説は特に新しい視点などを提示するわけでもなく、真正面からこの史実を取り上げている。が、そこは流石冲方丁で、息詰まる心理戦による交渉劇を濃密に描き、実に読み応えがあった。作者の代表作マルドゥックシリーズにも通じる手触りで、このような心理戦なら独壇場である。
  歯応えのある、歴史小説好きにオススメだ。史実を基に、勝海州と言う傑物の心情を描く、作者の腕が冴えている。
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No.12:
(5pt)

留魂の碑

冲方丁氏は留魂の碑を見て、勝の西郷に対する敬慕の情に深く感動したのではないかと思う。
それを一冊の書にしたのではないかと思う。
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No.11:
(5pt)

丁々発止の「腹式」交渉劇

この小説のポイントは「呼吸」にあると感じました。呼吸に関する描写が多い。たとえば――
 
 山岡(鉄太郎)が深々と呼吸した。体内にわきかけた激情をすっかり吐き出したのだ。見事な息づかいだと勝(麟太郎)は内心で大いに誉め……云々。[文庫本五四ページ]
 
 山岡が音を立てず、深く息吹をするのが勝に伝わってくる。それで、死を決する覚悟をただちに抱いてくれたのがわかった……云々。[同一八八ページ]
 
 勝は寝っ転がったまま禅の息吹を繰り返し、心に起こる様々な思いを味わい、やがて本当に清々しい気分に満たされた……云々。[同二四九ページ]
 
 剣禅一如といわれます。剣も禅も奥義は同じ。無念無想の境地に立つこと。勝ちたいとか、怖いとか、嬉しいとか、悲しいとか、そうした雑念を払拭した心の状態をいいます。
 ここでいう禅とは、たんに禅宗という一宗派をさすのではなく、「禅定(ぜんじょう)」という仏教の基本となる修行を意味すると考えていいでしょう。
 欧米では昨今、「マインドフルネス」と呼ばれる瞑想法が流行(はや)っています。今この瞬間の自分の心に意識を向ける。ストレス軽減や集中力の向上に役立つとされています。
 『サピエンス全史』などの著作で知られるユヴァル・ノア・ハラリ氏も、ヴィッパサナー瞑想をしているそうです(『21 Lessons ――21世紀のための21の思考』柴田裕之訳、河出書房新社、三九九ページ)。自分もふくめて、すべてをありのままに観察する。法華経如来寿量品に説かれる「如実知見三界之相(如実に三界の相を知見する)」ということですね。
 ハラリ氏はその瞑想を、一日二時間するそうです。いやはや、敵(かな)いません。
 瞑想法の要(かなめ)となるのは、腹式呼吸です。吸気(吸う息)と呼気(吐く息)のリズミカルな呼吸法が、心身を健やかに整える。
 スポーツでも、呼吸は大事です。運動神経は、呼気のとき活性化し、吸気のときは沈静化する。
 日本語には「腹」を使う言葉がけっこうあります。腹が立つ、腹が据わる、腹を決める、腹を割って話す、腹黒い奴、腹悪(あ)しき人、などなど。
 その点、ものごとの決め方も、西洋と日本とでは異なるように思われます。つまり、西洋人は「頭」で決める。しかし、日本人は「腹」で決める。
 江戸城無血開城をめぐる、勝と西郷の駆け引きは有名です。両者の丁々発止のやりとりは、まさに「腹式」交渉劇。理屈(=頭)ではなく、胆力(=腹)の真剣勝負として描く。そこに、作者の斬新な意図があると感じました。
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No.10:
(5pt)

状態良好

予想以上に本の状態が良かったので大満足です
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No.9:
(1pt)

作者の製作意図が不明のままの作品

第25回中山義秀文学賞最終候補に挙げられ、11月10日白河市で開催された公開選考会に
かけられたが、受賞はならなかった。
(受賞作は河治和香『がいなもん 松浦武四郎一代』)
私は当日参加に赴く前のTwitterに、

>あまりにも知られた話で読む気になれない。

と感想を書いたが、選考委員(高橋良夫、中村彰彦、朝井まかて、清原康正の4氏)も大方は
同じような感想だったので、大いに意を強くした。
登場人物やその歴史的経緯は大部分の読者がすでに熟知している話である。
それでは何か新しい事実の掘り起こしや、新視点によって人物像に新味が加えられているかと
言えば、そんなこともない。
要は、著者の執筆意図がよく分からない作品なのであり、それは作家としてのアイデンティ
ティに関わる。

選考委員の中では中村氏の指摘だったと思うが、著者の真剣度の希薄さは参考文献リストに
出ているとして、いくつか具体例を挙げられていた。
『勝海舟全集』はあっても、何故か『西郷隆盛全集』がない。
『史談会速記録』には復刻版(オンデマンド版)も出ていて参照可能なのに、ダイジェスト版
しか挙げられていない、など。

高橋、中村両氏のいつもの過激(?(笑))評論は痛快だったが、熱心な冲方ファンが聞いていたら、
さぞかし腹を立てたことだろう。

著者の視点と、登場人物の視点ということで、評者が特に感じた点は、選考委員の方はどなたも指摘
してなかったが、勝の木村芥舟及び福沢諭吉への悪感情の告白シーンであった。
勝の想いは歴史的事実なので嘘ではない。しかし、最近では木村の日本海軍創設における貢献は
正当に評価されているし、木村(及びその遺族)と福沢との交流は歴史上、感動のエピソードとして
紹介されている。
一方的に勝サイドの想いだけをあえて述べるのは、木村や福沢の間違ったイメージを広めることに
なるし、勝=著者の歴史観・価値観と受け取られかねない。
私がもし著者なら、たとえ勝を主人公にしても、木村や福沢への悪感情は触れないほうが歴史への
公平さではないか、と思う。
それが勝のためでもあったろう。
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No.8:
(5pt)

ナイスガイ

この作品は今年読んだ本でベスト3に入る。なんといっても山岡鉄舟がいい。
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No.7:
(3pt)

非常に惜しい

時代背景や情勢を勝海舟の口や思考を借りて説明するみたいな場面が非常に多いです
あまり詳しくない人向けの親切設計なんでしょうが、紙面の半分近く(体感)説明だとかなりくどく感じます。
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No.6:
(4pt)

英雄は英雄を知る

鳥羽・伏見の戦いに勝利し、東海道から江戸に迫る新政府の大軍。徳川の命運を託された勝麟太郎(海舟)は、官軍先鋒の西郷吉之助(隆盛)との命懸けの交渉に臨むべく、策を巡らせる。

「英雄は英雄を知る」の理どおり、他の誰よりも互いの胸のうちをよく推し量ることができる勝と西郷。しかし、かたや恭順する敗者、対するに余勢を駆って押し寄せる勝者と、立場は真逆。互いに、下手な交渉をすれば味方に背中を斬られかねない。

外国の介入を防ぐため、江戸での戦は回避できるのか。

江戸無血開城という幕末維新史における偉業を成し遂げた二人の談判に焦点を当て、しびれるような駆け引きを濃密に描いている。

実に読み応えのある作品。終始勝の視点で描かれているが、西郷視点も欲しかった。
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No.5:
(2pt)

手にとってみたが

この作者の本は疲れて途中で読むのをやめてしまう。体力がないのだろうか。
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No.4:
(3pt)

楽しく読んだ

受けも責めもこの呼吸でやってたら疲労困憊しそうなやり取りが大変楽しかった
見てるだけで疲れそうだけど…
元々勝派。どっちかというと西郷さんは苦手派。だが、本書で西郷さんの印象が良くなった
幕末から明治初期の要人は、何となく「意欲に満ち溢れ」てるイメージがあるんだけど、「誰かがやらなきゃ」→「…俺しかいないだろうなあ」→動き出せば邁進。が、大変に好ましい
唐突に、今、英国で「離脱」関係やってる人達も↑みたいな感じか?と連想が湧いた

楽しく読みました
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No.3:
(5pt)

音叉のように響きあう2人

ちょうどNHK大河ドラマ西郷どんが終わったタイミングで読みましたので、勝役の遠藤さんが喋り、動いているとしか思えませんでした(笑)

あまり史実に詳しくないので、どこまでが史実に沿って、どこまでが脚色かという詮索は留め置いたうえで読ませていただきました。

時代がそうさせたのか、西郷との間で、音叉のように共鳴しあう勝の魂は、遠大なる目的のために奔走するわけですが、西郷とは立場が異なることにより手段も異なってくるわけで、そこに何か深遠なるものの采配を感じさせました。

登場人物が少ないので、少人数劇を観ているかのようで、西郷との緊迫の会談の一幕では蝶が舞うかすかな空気の揺らぎすら感じられそうな緻密な描写でした。

実際には、西郷の登場は少ないのですが、勝にあそこまでさせるとは、西郷とはどれだけの男だったのでしょうね。
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No.2:
(5pt)

これは、勝と西郷への、鎮魂とカタルシス!

”ここまでどんな道を辿って、あなたにやっと辿り着いたのか
                似たもの同士のあなたと、出会えて良かった”

・・・安室ちゃんのBADY FELLS EXITの1節をつい口ずさんでしまう、そんな1冊かな。

敵・味方共に頼りとされた似た者同士の勝海舟と西郷隆盛を主軸に、江戸無血開城時期の前後を勝自身の目を通して濃厚に描いている。ヘタな学者の考察本よりわかりやすく面白いし感動する小説だ。勝と登場人物らの会話のやりとりが、読者に教示している作りなので江戸城が無血で開城したって何ぞや?!的な初心者には特にオススメだ。

西南戦争勃発からのエンディングへの持って行き方が素晴らしく、感動して半泣きした。もう勝阿呆守なんて呼べなくなっちゃうな~俺(笑)
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No.1:
(3pt)

決して交わらず,それでも信じた盟友二人の戦いと誇り

勝麟太郎(海舟)と西郷吉之助(隆盛),幕府軍と官軍として立場は違っていたものの,
それでも志は同じと信じ,けれど決して口には出せなかった盟友の戦いと誇りの物語です.

その大半を江戸城の無血開城に伴う交渉に割き,まさに決死の覚悟で調整に当たる中,
いざ西郷と対峙をしてみれば,のらりくらりと交わしては返す勝の交渉具合がおかしく,
かと思えば,立場をわきまえない徹底拒否など,肝の据わり具合には舌を巻くばかりです.

男二人の物語としても,勝の視点で描かれるため,西郷の胸の内はわからないのですが,
要所要所で見せる振る舞いには,敵であるはずの勝への敬意や信頼が伝わってくるようで,
また,交渉で敗れながらも引き締めは怠らないなど,上に立つ者としても魅力的に映ります.

その一方で,幕府からいいように使われるばかりで,報われることの少なかった勝が,
開城を終えた後,江戸から東京へと名を変えた町で,「いつか二人で」と願うも叶わず,
彼を偲ぶ碑を前に,引っ張り出されるのではなく,自らの意思でもう一働きをと誓う姿は,
すれ違い,交わることのなかった寂しさに,爽やかさが重なる素敵な幕引きとなっています.
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