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(短編集)
人間の尊厳と八〇〇メートル
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人間の尊厳と八〇〇メートルの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.38pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全2件 1~2 1/1ページ
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昔、CHACHACHAという曲が一発だけあたった歌手がいた。 トムキャット、森川由香里なんかもそう。 人はいつしかこういう連中のことを一発屋と呼んだ。 この短編集ははっきりいって駄作だ。 ぜんぜん面白くない。 せいぜい当たったとすれば、表題の作品だけがミステリというかトリック小説としては際立っている。 しかし、どの小説にも言えることだけれども、短編にしては、薀蓄が多すぎる。 短編なのに、長編並みのうんちくを聞かされるのはまっぴらごめんだ。 長編小説は作者と読者の信頼関係が一応成り立っているからうんちくもある程度はお付き合いでゆるされる。 しかし、短編のうんちくやどうでもいい描写などは読みたいとは思わない。 短編としての風情に欠けるのである。 この作家の小説は残念ながらどれもそんな感じなのである。 どうでもいい薀蓄に付き合っても、表題作くらいの驚きがあればそれなりに溜飲も下げるけど そんな作品はほかにはなかった。 残念の一言である。 | ||||
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表題の作品は日本推理作家協会賞受賞作だそうで、新聞の書評でも取り上げられていた。こうした推理小説(?)のレビューはネタバレになってはいけないということで、書く方も気を使ってしまうということを先に申し上げておく。 実はこの作品を最後まで読んだところで、暗然となってしまった。 小さなバーで見知らぬ男から妙な賭けを申し込まれた主人公は、その男から不確定性原理だの、サルトルの実存主義だのといった長広舌の講釈を延々と聞かされる。しかし、こうした展開は150年前にドストエフスキーが『罪と罰』ですでにやっている。もちろんこの短編に出てくる男にはラスコーリニコフのような魅力はないし、男の言う「人間の尊厳」についての論理展開も、その長広舌に比べてあまりに稚拙過ぎる。 しかし私が暗然となった原因はそんなことではない。この作品の結末部分を読んだ時だ。 ここで話はガラリと変わるが、以前、テレビで盲目の少女が津軽海峡を泳いで渡るという企画があった。無事、泳ぎ切った後、その少女はインタビューに答えて次のようなことを話していた。 「人なら誰でも得意な分野、不得意な分野があります。勉強は得意だけどスポーツは苦手とか、数学は得意だけど英語は苦手とか…。それと同じで、たまたま私は「見ること」が不得意なだけ。目が見えないのにスゴイねとか言われることについて、正直、違和感、抵抗感があります」と。 再び本作のレビューに戻る。 純粋に推理小説を楽しみたいと思って読んだにもかかわらず、最後の最後に、いきなり自分が出てきて戸惑ってしまう人もいることを想像しただろうか。多くの読者を喜ばせるために、ある人たちの最も大切な部分を道具に使っているという感覚はあるだろうか。 もちろん反論もあると思う。たとえば放送禁止用語は逆差別を助長するといった考え方がある。それと同じで、このような批判的なレビューを書く方が意識し過ぎだという逆批判もあるだろう。それはそれで正論だと思うが、その考え方にはある種の想像力が欠如しているように思えてならない。 「人間の尊厳」という言葉をもてあそんではいないか。その言葉の意味を履き違えてはいないか。もしこの小説を、津軽海峡を泳ぎ切った少女が読んだとしたら、ラストの部分でどんな思いをするだろうか。 | ||||
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